●太鼓打ちを限られた時間で育てる
多くの地域で、祭においてその継承が課題となっています。屋台や太鼓台の場合、特に頭を悩ますのが、太鼓打ちの育成です。聞いているようで聞いてない、聞いてないようで聞いている、関係ないように見えてリズムがくるうと怪我の元になるという太鼓は、センスと努力を必要とします。管理人にはその両方がたりず、大成はしませんでした(ToT
おそらくほとんどの屋台や太鼓台の太鼓打はそれを本業とするプロの演奏家ではありません。仕事や部活終わりなどの限られた時間にその技術を身につけなければなりません。
その下地として、子どもたちにその技術を早めに身につけてもらい、担い手になる門戸を広げる活動が活発になっています。とはいうものの、気が強かったり、分別がついたりする男子高校生や中学生に教えたりするのとは少し教え方もかってがちがってきます。ある程度の基本を子どもに短い時間で身につけさせる技術は、太鼓の名手が才能ある若手を育てる方法とはまた違う方法が必要になってきます。つまり太鼓打としてのスタートラインに立たせるまでの教授法の確立が必要ということになります。
ここではその留意点を書いてみたいと思います。。ここでは、「ドンドン(両手両手) ドンデドン(右左右) ドンデドン(右左右)」という三木市三木地区の一般的な太鼓のリズムを教える過程を例にして、それぞれの年代で考えていきます。
最後のポイントは他地域でも、使えるところだと思います。
●小学校3年生以上
Aはじめに教えるべきこと
まずは、挨拶、準備片付けのマナー、小さな子への思いやりなどを教えます。目の前に立派な目標(青年団)があり、強制でなく好きで来ているので、普段は腕白で通っている子も意欲的に頑張る子が多くなります。
Bまずはドンドン ドンデドン ドンデドン
管理人が失敗した例としては、「打ってくれドンドン」から教えたことでした。これは、普段使う太鼓ではありません。担ぐ前にスタートするためのもので、掛け声が複雑で混乱の元になるので後にする方がいいでしょう。差し上げ、太鼓を落としたりすえたりしたときなども後にする方が混乱を避けられます。
Cドンドン ドンデドン ドンデドンの教え方
1 ドンドン ドンデドン ドンデドンの見本を見せる
ドンドン ドンデドン ドンデドンの見本を見せます。こうすることで、今からどのリズムを打つかの見通しが立ちます。
2 ドンドンを覚える
次に両手でドンドンを教えます。これは、できるまでには、あまり時間がかかりません。
よくできたことを褒め、でも、一番奥の深いリズムでもあることを伝えて次に行きます。
3ドンデドン ドンデドンを教える
ここで、つまづく子は比較的多くなります。一番多いのが、はじめのドンデドンを右左右と打った後、次のドンデドンを左右左と打ってしまうことです。ドンデドン ドンデドンを「みひみ、みひみ」と言いながら打つと、この癖を正しやすくなります。
もう一つが、大きくバチを回すとリズムが狂うことです。この場合は、はじめはほとんどバチを回さずに打たせて、徐々に大きくすると動きをマスターできます。
少しでもよくなったら、そこを褒めてあげましょう。
4 ドンドン ドンデドン ドンデドンをつなげる
ここまで打てればあとはつなげるだけです。微妙な音の調整をしたり、ドンドンの時に「サッサ」と声をかけて太鼓を次のドンデドンから変わることなども教えていくといいでしょう。
ポイント
●礼儀面は、青年団員を目標として、はじめに約束させる
●はじめは、基本的なリズムから学ぶ
●基本的なリズムの教え方は、
①全体の見通しをもたせる
②簡単なところからパートに分けて教える ③左右が難しいところは、「み、ひ、み」と言ってやる
④小さい動きから動きを大きくする
●幼稚園くらいから小学校2年生
★鏡方式
基本的には、上のやり方と同じです。ですが、右と左の区別がつかない子がこの年代にはかなりいます。かといって、後ろから手を持つと嫌がる子がいたり、自分で覚えようとしなくなったりということがあります。
そこで、その子の対面にすわり、その子が右利きで右左右と打たせたいなら、教える方は左右左と手を動かして、真似するように促します。これを繰り返すことで、手本なしでもその子自身で太鼓を打てるようになります。
●教える人にめざしてほしいこと
管理人も前職が教員ということもあり、太鼓を子どもたちに教える機会が多くあります。
もちろん短い時間で、太鼓を打てるようにすることも大切です。でもそれ以上に、青年団やその子の家の人、屋台係や町の人たちが頑張ってるから祭ができるゆうことが大人になった時にわかって欲しいものです。そして、基本的な挨拶や礼儀、思いやりが身についていって欲しいと思っていました。ですが、祭好きな子は来る前から身につけてきてる気もします。