月刊「祭御宅(祭オタク)」

一番後を行くマツオタ月刊誌

64 怨霊としての菅原道真・平安時代の共謀罪被害者(月刊「祭」2017.2月)

2017-01-08 14:28:30 | 各年、目次、カテゴリ別

今、日本の一番の政治的な課題ともいえるのが、共謀罪の可否です。その性質は、テロを行うと話し合ったことやその兆候をみせたことが罪になるということです。問題点としては、恣意的な逮捕が可能になるということで、現政権にその意がなく(?)とも、うるさい奴をしょっぴきたいというのは、古今東西老若男女左右中問わない本音と言えるでしょう。
そして、平安期にも、政府転覆の罪を着せられ罰せられた人がいます。それが、菅原道真です。彼は太宰府で憤死し、その怨霊が猛威をふるいます。
ここでは、後世に残る「天神縁起」を見ていきたいと思います。

1道真、無念の死まで
菅公、実は武芸も得意(承久本*以下特に指定がなければ、承久本とする。)


反逆の罪を着せられ、大宰府へ左遷される道真。


筑紫の天拝山で無罪の祭文で訴える


道真の遺体搬送中、弾いていた牛がうごかなくなった。そこを墓所として、現在の安楽寺となる。このような伝承が道真と言えば、牛というイメージがついていったのでしょう。


2道真の死後

雷神飛来、刀を抜く藤原時平。この人が道真に無実の罪を着せたと伝わります。


時平の耳を青龍がつきぬける


延喜帝(醍醐天皇)も崩御。道真の左遷にサインした天皇です。


日蔵のあの世への出発
様子については後ほど



後世の官位追贈 正暦四年(993)、元のくらいより一つ上の太政大臣を追贈する。(津田天満神社本)
この追贈は史実として、歴史書にも残っています。


後世の祭(杉谷本)
神輿が出ていますね。




延喜帝(醍醐天皇)さえも地獄の業火に(英賀神社本 永正本)


参考文献および、本記事の全ての写真の引用
「日本の美術 299 絵巻=北野天神縁起」
(至文堂) 1991






⚫︎編集後記
釜山の日本大使館前従軍慰安婦像設置の可否が現在の政治的課題として話題になっています。が、像を撤去する方向で交渉するよりも、日本もアメリカ大使館前に原爆関係のモニュメントを置くことを検討する方がよほど建設的な気がします。

その影に計らずも(?)隠れている共謀罪。その議論こそが今一番の政治的課題として話し合うべきだと思い、今回は予定を変更して、菅公をあげました。


63.5過去良記事、独断と偏見による月刊祭大賞選出(月刊「祭」2017番外)

2017-01-02 08:31:48 | 各年、目次、カテゴリ別


もうすぐ月刊「祭」創刊5周年を迎えます。
ということで、過去の良記事を独断と偏見で選んでみました。これで号数を増やすのは気がひけるので、63.5号とします。
一番下に月刊「祭」大賞の記事を掲載しました。

播州の神社別各屋台分布図 -二つの川上の反り屋根-
偉大すぎる先行研究サイトを参考に、各神社の主な屋台を地図上に落としていくと、面白いことが分かってきました。



50.秋夕(チュソク)の訳と盂蘭盆 (2016.1月)
韓国では一大里帰り行事となる秋夕。
日本語訳ではお盆となりますが、本当にそれでいいのでしょうか。韓国で山車の祭がほとんど見られない理由についても考察しました。


山車、地車の鉦(月刊「祭」49号.2015.12月)
東西の鉦は、西◯東◻︎。◯と◻︎には何が当てはまるでしょうか?


好きな屋台占い
車と屋台の好みには関連がある!?



欄間彫刻不明場面解明? 三木市大宮八幡宮明石町屋台
謎とされていた二面の彫刻の場面を解明した!! と思ったら一面は間違いでしたToT


屋台・だんじりの彫刻・刺繍場面案内-「平家物語」編-
源平合戦の場面を集めてみました。
意外と平家物語にはないストーリーが見られたことに驚きです。
http://blog.goo.ne.jp/hol_my_ow/e/5cd8e8b1936d744070de06bbd301636c/?img=47813f155bd8a5c0520e445ca3aac6b9

韓国全羅北道南原市with河東市長丞(チャンスン)見聞記
引月から実相寺の道を歩く中で出会ったチャンスンなどをレポートしました。仏教と関連した護法チャンスンとよべるものもありました。



<月刊「祭」2012.8月 第5号 「I love 大津! 大津市の祭特集」 
大津市中学生いじめ自殺事件の報道をめぐり、地に落ちた大津の評判。ですが、大津には三木にも負けず劣らずの祭文化とそして、それを支える人がいます。
日吉大社山王祭編のみ別稿です。
「子どもにはなあ、神さまが宿るんやで」
管理人がとある子どもから聞いた名言は、全ての大人が心すべきことかもしれません。



おっさんなんどい
:問題提起編(月刊「祭」48号.015.11月の1)
:調査?報告編(月刊「祭」48号.2015.11月の2)
おみこっさんどいおっさんなんどいの掛け声がいつ頃から言われているのかを調査。
ちゃんと三木市中心部での屋台を担ぐ掛け声と大宮八幡宮のオミコッサン・お神輿を担ぐ掛け声と播州弁との関連にも話は行っています。



その中でナンバーワンは⤵︎
嗚呼、わが町の台車事情
「なんで台車やねん」とつっこまれたこと数知れず。でもこの記事こそが月刊「祭」の代名詞。台車にはその屋台の祭にたいする考え方がギッシリつまっていました。



●編集後記
月刊「祭」を始めてもうすぐ5年。記事の気合の入り具合にムラがありますが、月一回のペースは死守できています。少しずつ見てくれる人が増え、少しずつ祭に関する話を持ちかけてくださる方も増えてきました。
これまでと同様に管理人本位でのわがままな運営を細く長く続けていきたいと思っています。

番外編として、本ブログ:月刊「祭」の前身である「言葉の装い」からも一つだけ記事を選出します。国際文化学の英訳 -国際のもうひとつの意味-

母校には国際文化学部がなくなりました。そして真逆の意味ともいえる国際学部が誕生しました。
国際学部で国際文化学の精神が受け継がれること、そして、国際文化学部の復活を願ってやみません。


63.三木の屋台と鬼研究の足跡(月刊「祭」2017.1月)

2017-01-01 20:42:48 | 民俗・信仰・文化-伝承・信仰-

あけましておめでとうございます。
今年一発目は、三木や播州地方の屋台や鬼の研究を振り返ってみたいと思います。

<書籍の表示形式>
・編著者名「題名」『掲載された書籍名』(出版社)出版年
概要
<ウェブページの表示形式>
・活動者名『ウェブページ名(当該ページへのリンク付き)』
概要
<講演・発表等>
・講演者名『発表の題』(主催団体など)発表がなされた年
概要



「鬼」
・藤原喜美子『オニを迎えまつる人々』(岩田書院)2006
 三木や姫路市松原八幡神社、魚吹八幡神社、加西市東光寺など播州各地の鬼が追い払われるものではなく、不動などの化身として現れることを指摘。
 藤原氏は播磨の鬼研究の第一人者ともいえる方で、他にも膨大な研究をされています。

・喜多慶治『兵庫県民俗芸能誌』(錦正社)1977
 おそらく一人?で調査した結果をまとめたと思われる力作。北から南までまとめられています。今はもうない芸能も。他にも県の民俗芸能報告書などはありますが、氏の活動に敬意を表して。

 


「屋台」
・コタニマサオ『なんでもかんでも三木』(神戸新聞事業社三木営業所)昭和61年
岩壺神社、大宮八幡宮と久留美の大人屋台を取材し掲載しています。多くの方に取材されてできた記事は30年を経た今、より史料としての価値を増してきました。

粕谷宗関氏の著書
いわずと知れた播州屋台研究の第一人者。彫刻師や縫師の系譜を明らかにしました。

・兵庫県教育委員会『播磨の祭礼:屋台とダンジリ:平成16年度文化庁ふるさと文化再興事業伝統文化総合支援研究委嘱事業実施報告書』(兵庫県教育委員会)
三木、灘のけんか祭、曽根、網干など播磨で比較的大きな祭りを調査報告しています。詳細で分かりやすいのですが、大宮八幡宮の階段の間に溝があり、それがもともと宮入用の綱が上下するためのものだったという内容の謎の記述があります。

・三木市観光協会『三木の祭』(三木市観光協会)2002
三木市内の大人屋台すべてを網羅しています。また、当時の堀光美術館館長石田氏の論考では、18世紀の檀鶴の記述が三木の屋台の起源である可能性を指摘しています。

上記は一応書籍化されたものの代表作ですが、播州屋台研究においては、その金字塔的な役割を果たしている活動が、ウェブページにも見られます。

・namerakozo『播州祭り行脚
播州の三段平屋根布団屋台の分布域全体の各屋台を調査、紹介した最初のウェブページ。もちろん、同様の内容を扱った書籍はそれまでは出ていませんでした。

・播州祭礼研究室『播州祭り見聞記
播州の神輿屋根型屋台、反り屋根型屋台の分布域全体の各屋台を調査、紹介した最初のウェブページ。もちろん、同様の内容を扱った書籍はそれまでは出ていませんでした。

・Y氏の各活動
三木市吉川町若宮神社屋台の復興・調査。岩壺神社大塚屋台の彫刻の原画解明など。

今回は、三木市と播州地域の主だったもののみの紹介となりました。後に機会があれば、それ以外の地域も見ていきたいと思います。

●編集後記
 今年は、祭礼研究ももう少し力を入れていきたいと思っています。