月刊「祭御宅(祭オタク)」

一番後を行くマツオタ月刊誌

414.長治公辞世の句の元歌??(月刊「祭御宅」2023.7月1号)

2023-08-01 22:07:21 | 民俗・信仰・文化-文学-
●長治公辞世の句は百人一首とは関係ない??
-某氏の百人一首のテスト問題の話-
 かれこれ今をさかのぼること約35、6年前、三木市民の某氏は当時高校生でした。テストの「百人一首の歌をひとつ書け」という問題で、
今はただ 恨みもあらじ もろ人の
命にかはる 我が身と思へば
と、三木の英雄・別所長治公辞世の句を書き、世界一見事な❌をもらったとのことです。

しかし長治公の辞世の句をよく見ると、必ずしも百人一首と「全く無関係」ではないように思えてくるのです。そこで、ここでは長治公辞世の句と伝わる二首(リンク先下の方)と百人一首の関係をみていきます。

●今はただ 恨みもあらじ
供人の
命にかはる 我が身と思へば
長治公が名君たるいわれであり、下のモンのせいにするビッグモーターや、統一協会とその仲間たち、プーチン大統領には、この心意気の1%でも見習ってほしいところです。
実際に切腹のときにつくったのか、後世の伝承なのかは今となってはわかりません。それはさておき、この歌は本歌どりしているのではないかと最近思い至りました。

わびぬれば 今はた同じ 
難波(なには)なる
みをつくしても 逢はむとぞ思ふ
元良親王

音の近さ
「今はた同じ」と「今はただうらみもあらじ」
「難波(なには)なる み」と「我が身」
「逢はむとぞ思ふ」と「我が身と思えば」

本歌どりといっても音がちかい別の言葉を使っているので、片方は恋の歌、もう片方は辞世の句と意味や内容ははなれたものになります。

澪標(みおつくし)住吉神社の夏祭の布団太鼓

●長治と よばれきことは
いつはりよ
二十五年の みじかき春に

難波津に さくやこの花
冬籠もり
今は春べと さくやこの花
王仁博士

この歌は仁徳天皇が即位されたときに王仁博士が歌った歌です。百人一首の冒頭に読まれるそうです。
貧しい民をみかね、自分の住まいの雨漏りも気にせず三年の税を免除したと伝わる仁徳天皇は、長治公の産土神とされた大宮八幡宮の御祭神・応神天皇の御子神とされています。また、江戸時代の文献では、お旅所では若宮(仁徳天皇)をまつることが書かれているものもあります。
仁徳天皇と長治公はともに民衆思いの為政者という共通点が見いだせます。

意味的な近さ
「今は春」と「長治(ながはる)」
「冬籠もり」と「短き春」
「歌の送り先」と「作者」が民衆思いの名君であること


大阪市生野区御幸森神社の歌碑
コリアンタウンの町中の神社で、万葉仮名、草書、ハングルでかかれています。

御幸森神社猪飼野だんじり

●名歌二首
 長治公2首の歌のうち後者の類似?については、管理人の思い入れが強いゆえかんじたものかもしれません。前者は、可能性は高いとおもっています。百人一首などの元歌のあるなしはさておき、いずれも名歌であることにはかわりありません。


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