月刊「祭御宅(祭オタク)」

一番後を行くマツオタ月刊誌

395.間違いが!?-教科書の中の祇園祭-(月刊「祭御宅」2022.8月3号)

2022-08-30 20:38:25 | 屋台・だんじり・神輿-子どもへの指導、後継者育成-
●伝統文化への理解??-教科書にのりはじめた祇園祭-
 教科書に祇園祭がよく掲載されるようになってきました。いや、もともと掲載されていたのかもしれませんが、かなり、めだつようになってきました。
とはいえ、教科書を書く人は、社会科教育や道徳科教育の専門家であって、祭の専門家ではありません。なので、教育効果が高まる作りにはなっているものの、祇園祭に参加したり、祇園祭の歴史をちょっとかじった人には「あれ?」とおもわれる間違いが過去にもあったし、現在にもみられます。

●過去 -某社会科教科書の指導書-
 某社会科教科書、小学六年生・歴史分野の指導書(教科書に沿って先生方が授業するための手引き)の記述です。
室町時代ごろから盛大になった山鉾巡行を室町文化のひとつとして位置付けての学習です。祇園祭の画像は2枚ありした。一枚目は山鉾巡行が描かれた洛中洛外図の鶏鉾の本体が前面、長刀鉾の長刀が下から少しでているものです。もう一枚は現在の長刀鉾の写真です。
そして、教師の指導の要点かなにかに「長刀鉾が当時からかわらないことにきづく」といったことが書いてありました
昔の鶏鉾と今の長刀鉾をくらべても、、長刀鉾の変化の様子はわかりません。
もうひとつ、祇園祭の創始伝承を史実として取り上げているところも問題点として指摘したメールをおくりました。
丁寧なメールでのお返事では、指摘に対するお礼の言葉をたまわり、また、真摯に間違いを認める旨のメールをいただきました。おそらく、後に発行されたものでは訂正されていることでしょう。

●現在 -ぎおんまつり・小学2年道徳科-
 小学2年の道徳科「ぎおんまつり」でも間違いがみられました。まずは、辻回しの掛け声は、「ヨーイトセ」ではなく、動かしはじめの「エンヤラヤ」のかけごえとされています。

↑ヨーイトセの声での辻回し北観音山


↑ヨーイトセの声での辻回し放下鉾
次は間違いかどうかはかなりグレーな表現ですが、「壁にぶつかりそう」なのが角に差し掛かったときとなっています。山鉾巡行路の「角」は大きな山鉾が方向転換できるだけの十分なスペースがあり、壁に当たりそうなことはありません。「グレー」としたのは、角に差し掛かる前の狭い直線道路の表現ならば、そういうことまあるので、ギリセーフといったところでしょうか。
これらの間違いについては、指摘のメールは昨今だしたのて、返答までにしばらく時間がかかると思われます。

●訂正すべし、されど責めるべからず
これらの間違いにたいしては、実際に祭りに取り組まれている方のこともあるので、訂正すべきです。とはいえ、教科書発行業務のうち、もっとも事実確認が困難を極めるもののひとつが、これらの歴史民俗的な内容といえるでしょう。間違えてしまうのも、無理はないので、それを笑ったり責めることも術喜多はないと思います。
歴史認識の是非はさておき、日本の義務教育の教科書は子どもが目標に到達できるように、考え抜かれて作られています。教科書をうのみにするのは危険ですが、そのよさは、存分に行かし享受したいものです。

編集後記
 某カルト教団と政治家との繋がりが連日報じられています。国民の関心の高さは、政治家たちがカルト教団幹部と信者のような関係、盲目的な服従の関係、徹底的な搾取被搾取の関係、北朝鮮の総書記と国民のような関係をこの国でも作ろうとしているのではないかという疑念によるものだと思います。


394.朝日に向かう太鼓台(月刊「祭御宅」2022.8月3号)

2022-08-29 21:13:49 | 屋台・だんじり・神輿-装飾の題材-
●ちょうさ展 於:アクト琴平
ちょうさ展が香川県仲多度郡琴平町で9月15日まで開催されています。





素晴らしい作品を「ボンクラ管理人の解説なしで、写真だけ見る」が理想かもしれません。ですが、それはもっと理想的な現地に足を運んで実現していただければと思います。
ここでは、展示されている旭町太鼓台について見ていきたいと思います。

●旭町太鼓台の四神



旭町太鼓台のかけ布団には、多くの太鼓台や屋台のように四神が配されています。しかし、多くの太鼓台や屋台は図1のように南・朱雀を前面としていますが、旭町太鼓台は図2のように前が、東・青龍となっています。
それはなぜでしょうか?




前面の東・青龍(「旗岡太鼓台」の文字は、疫病退散のメッセージの送り主、太鼓台は旭町太鼓台)

左面・北・玄武

右面・南・朱雀

後面・西・(白)虎

●旭(あさひ)に向かう太鼓台
 旭町太鼓台が東の青龍を前とするのは、旭(あさひ)は東から上ることによると思われます。そして、旭町の町名は、金刀比羅宮内の摂社・旭社に由来すると思われます。

金刀比羅宮内の摂社・旭社

この旭社もまた、旭町太鼓台と同じく東側を向いています。旭社はの屋台は天保八(1837)年に再建されているので、太鼓台が旭社を踏襲したものなのでしょう。

旭社の地図(上が北、googlemapより)


編集後記
この記事は、展示があったからこそできました。情熱的にこの展示を実現されたK氏始め展示の関係者、そして琴平の祭関係者の皆様にお礼申し上げます。






393.コロナ禍中の屋台・だんじり運行の中止、決行の選択とその理由(月刊「祭御宅」2022.8月2号)

2022-08-22 17:31:18 | 新型コロナと祭、民俗
●新型コロナウィルスの大流行下での屋台・山車・だんじり運行
新型コロナが再び流行しています。管理人は家庭の事情でかつては屋台・だんじり運行の決行については強い反対意見を持っていました。しかし、反対すべき家庭の事情が大きく緩和されたことと、新型コロナウィルスによる死亡率がかなり減少してきたことから、屋台、だんじりの運行をしたいという気持ちになっています。
だからといって、絶対に運行すべきだとはいえません。また、個人単位で参加を取り止める人の意思も尊重すべきであると考えます。
ここでは、開催の是非はさておき、運行する地域しない地域の特徴をみていきます。

↑京都市八坂神社祇園祭の鷹山。今年、196年ぶりに復活した。




●運行する地域、しない地域
祭見聞をしていて、屋台や山車、だんじりなどを運行する地域ととりやめる地域それぞれにわかれています。そして、管理人が見聞する限りでは、とりやめる地域と運行する地域は、はっきりとした特徴がみられました。
まず運行を実施する地域は、比較的人が多い地域です。一方運行をとりやめる地域は、人が少ない地域・いわゆる過疎化が進んでいる地域です。
その理由としては、とある運行をとりやめた神社のご神職さんの言葉が印象的でした。
「やりたい気持ちはある。だけど町中ほど病院や検査所があるわけでもない。担い手も恒例の人が多いなかでやるのは怖い」
とのことでした。
過疎化による担い手の高齢化と、医療資源の不足が、運行中止の決断の要因となっているようです。

管理人としては非常に残念でしたが、責めることはできませんでした。



392.粉河のだんじりの前後切り替え(月刊「祭」2022.8月.1号)

2022-08-12 12:23:49 | 屋台・だんじり・神輿-台車、骨組み、かけ声、楽器、担ぎ方-
●粉河寺の中の神社の祭
 毎年、7月の最終土日は粉河寺内の産土神社で祭が行われだんじりが運行します。今年は新型コロナウィルスの流行により、祭でのだんじり運行は中止となりました。
町内の駐車場にだんじりを出し、引き回しも行われました。

↑粉河寺山門この門の向こう側に神社がある

↑粉河寺本堂と左手に見える産土神社の鳥居

産土神社

●据え置き形態から運行形態へのバージョンチェンジ
据え置き形態
祭の一日目は下の写真のように、「もちばな(ひげこ)」をたててかざられるとのことです。もちばなは、もともとの地元の呼び名、ひげこは、折口信夫が書いたことによって広まった呼び名だそうです。灯籠のようなものの上に竹が噴水のように周囲にたれさがっています。

運行形態
 運行時はもちばなははずされ、提灯がともされます。よくみると、岸和田だんじりでみる舵とりようの後ろでこのようなものが前後についており、車輪にブレーキをかけるためのてこは、舵取り用のてこが長い方についています。


実際の運行時は前後の切り替えをてこを前後にもってくることでできる構造になっているようでした。
↑まずは、ブレーキ用のてこの入れ換えのみの映像。


↑こちらは、舵取り用のてこもいれかえる映像。方向転換もともなうときは舵取り用のてこもいれかえるようです。

この記事は、本町だんじり関係者Hさま、産土神社ご神職さま御一同のご厚意で書き上げることができました。御礼申し上げます。

編集後記
昨今話題になっているカルト教団の存在から、宗教団体の非課税をやめるべしという暴論を、カルト教団とのつながりがある輩が多数いた集団の実質ボスが発しました。
必要なのは我々のような祭を行う全うな宗教団体への非課税へのとりやめではありません。必要なのは、カルトとつながりある議員の更迭と、カルトの規制です。






391.カルトと宗教の別(月刊「祭」2022.7月5号)

2022-08-01 00:32:13 | 民俗・信仰・文化-時事・コミュニケイション-
混同される言説
この本の著者が「カルトと宗教は違う」とSNSで言い、昨今の報道などを批判していたので、それに倣います。
この記事では、カルトの見分け方を考えてみました。
もう一つこの統一協会というカルト集団できになることがあるので、記事にします。
ニュースで議員さんがたが、統一協会との癒着をめぐってあれこれニュースがでています。そのときに、言葉にされるのが「政治と宗教との関係」という言葉です。
しかし、今回話題になっているのは、「政治と宗教の関係」ではあません。「政治とカルトとの関係」です。議論の余地はありません。「縁を切れ」です。
しかし、それぞれの議員さんがもっている信仰など、例えばプライベートでお参りして、それをブログに書くなどは許してもいいでしょう。
統一協会などカルト集団と政治との距離、宗教と政治との距離は分けて考えられるべきです。