学芸員のちょっと?した日記

美術館学芸員の本当に他愛もない日記・・・だったのですが、今は自分の趣味をなんでも書いています

手帳のつかいかた

2018-12-21 19:58:25 | その他
昨日に引き続き、今朝も気持ちの良い青空となりました。カーテンを開けると、明るい日差しが部屋のなかに差し込み、気持ちがとても明るくなります。冬は寒い日が多いけれど、太陽の晴れ間が多いので、その日差しを体全体で存分に味わって過ごしたいですね。

年末になると、書店や雑貨店では来年の手帳を売り出しますね。先日書店へ行ったときにも、いろいろな種類の手帳がずらりと並んでいました。最近ではスマートフォンのアプリでスケジュール管理をされる方もいるようですが、私はアナログな紙ベースでの手帳を使っています。

以前、私は手帳を2冊併用していて、日用使いの手帳と『歴史手帳』(吉川弘文館)を使い分けしていました。『歴史手帳』のメリットは、何といっても情報量の多さ。各週ごとの祭礼や行事、日本の年表、各県ごとの国宝などの文化財情報、さらに仏像や仏閣の様式の名称まで図解入りで教えてくれるのです。博物館や美術館に行くときには必ずと行っていいほど持ち歩き、特に年表は作品が生まれた社会的な背景などを知るのにとても役立ちました。ただ、やはり手帳を併用すると、情報がバラバラになってスケジュール管理がしづらいため、1つに統一することにして今に至ります。

日用使いの手帳は、10年近く、同じ会社の同じ種類の手帳を使い続けています。私は手帳に何でも書き込むほう。仕事のTODOリストはもちろん、気になっていること、ふと感じたことなどをメモ代わりに書き込むほか、博物館や美術館のチケットを貼ったり、各地のスタンプ印を押したりします。そのため、私の手帳はかなり使い込まれ、年末の今の時期になるとボロボロになってしまいます。こうした使い方は、横尾忠則さんのノート(日記)から影響を受けています。ずいぶん前、金沢21世紀美術館で横尾忠則さんの展覧会を見たときに、横尾さんのノート(日記)が展示されていたのですが、それがまさにそんな感じの内容でした。言葉があり、イラストがあり、チケットの貼りつけがあり、新聞の切り抜きがありで、とても創造的な使い方をされていたのが印象的でした。ああ、こんな風な使い方もアリなんだ、と私は思い、それまで手帳を大事に大事に綺麗に使っていたのですが、手帳を使い倒すことに決めたのです。

私の歴代の手帳はいずれもボロボロですが、きちんと保存してあります。それは思い出を振り返るため、というのもありますが、私が1年1年生きてきたことの目に見える証を手元に置いておきたいという想いのほうが強いかもしれません。

来年の手帳はすでに購入して、そろそろ来年の仕事やプライベートの予定を書き込む予定です。まだ早いですけれど、来年どんなわくわくすることが起きるのか、今からとても楽しみです。

ぶらりと書店へゆく

2018-12-20 21:31:10 | その他
今日も冬晴れの1日。今朝はカーテンから漏れるオレンジ色の朝日で目が覚めました。外光で目覚めるのは気持ちが良いものですね。

今日は仕事帰りに何気なく書店へ立ち寄りました。私は書店内のずらりと並ぶ本棚を見るのが好きで、もちろん、本を買うのも好きですが、何時間でもいることができます。ここ数年、新書や文庫で美術関係の本が相次いで出版され、手軽に読めるようになりました。辻惟雄さんの《奇想の系譜》や《若冲》、高階秀爾さんの《名画を見る眼》はだいぶ前からですが《増補 日本美術を見る眼》、《近代絵画史》、今橋理子さんの《江戸の花鳥画》、小林忠さんの《日本水墨画全史》など、先日私が紹介した草薙奈津子さんの《日本画の歴史》もそうです。長年の研究に裏付けられた研究者の方々の文章を、ポケットに収まるほどの文庫や新書で読めるなんて、素晴らしい時代が来たものだと感じます。

このところ、私は3つのジャンルの本を同時並行で読んでいます。美術に関するもの、歴史に関するもの、そして健康に関するものです。それにときどき小説が加わりますが、おおよそ、その3つで、言うなれば、仕事、趣味、心身の管理、といったところでしょうか。現在の私はひとつの本に集中するより、いろいろな本を少しずつ読み進めたい気分なのです。もうすぐ年末年始。たくさん本を読む時間が取れます。今から、どんな本を読もうか、考えるだけで心がワクワクします。どうか、良い本に出会えますように。

感謝の気持ちを忘れないように

2018-12-19 22:00:37 | 仕事
今日も雲ひとつない青空が広がりました。近頃は晴れの日が多くて、気持ちも明るくなりますね。

このような日和のなか、私は朝から作品調査で出張していました。公的な施設ではなく、個人宅への訪問です。その方とは私が美術館に就職してから、ずっとおつきあいさせて頂いており、これまで沢山の作品を拝見させて頂いたほか、美術に関する貴重な情報を頂いたりしています。私の経験上、学芸員の勉強とは、作品と対峙したり、本を読むことだけではなくて、人と人とのつながりのなかから教わることもとても多いのです。

ただ、当然のことながら、長年親しくあっても、礼儀を欠いてはいけません。信用というのは、築くのに時間がかかるけれど、崩れるのは一瞬です。作品の取り扱いには細心の注意を払いますし、お宅をお邪魔させて頂いた後はすぐにお礼状を出して、感謝の気持ちを伝えます。忙しいなか、快く作品調査させて下さったのも、こうした感謝の気持ちの積み重ねであろうと思います。本当にありがたいことです。

調査させて頂いたことは、今後の展覧会に活用していく予定です。展覧会を企画するのは学芸員だけれど、開催には沢山の方々の協力から成り立ちます。私は、決して自惚れることがないよう、常に感謝の気持ちを持ちながら、仕事をすることを忘れないようにしています。

今日も夜が更けてきましたね。明日も良い日でありますように。それでは、おやすみなさい。

美術館への作品寄贈

2018-12-18 21:13:33 | 仕事
今日は雲ひとつない青空で、とても気持ちの良い天気でした。戸外の空気は冷たいけれど、とても澄んでいて、深呼吸すると体の中がリフレッシュするようです。

このところ、どういうわけか、私が勤めている美術館に作品を引き取って欲しいとの依頼が多々寄せられています。美術館という施設は、美術作品を後世まで残すという使命がありますから、こうした依頼は学芸員として嬉しい限りです。ただ、美術館として収蔵するべき作品について、条例や内規で収集方針決められていますから、泣く泣くお断りすることもあります。

今日はある作家の資料について寄贈の申し込みを受けました。とても貴重なもので、作家の美術に対する考え方がよくわかるものです。作品や資料の寄贈は、単純にそれらをお預かりするだけではなくて、寄贈者の気持ちも一緒にお預かりするものと考えています。美術館を信頼して下さった寄贈者に心から感謝です。

明日は朝から作品調査で出張です。先方の御好意に感謝して、しっかり勉強してきたいと思います。今夜も夜が更けました。星が綺麗ですね。それでは、おやすみなさい。

図書館で資料探し

2018-12-17 17:00:39 | その他
今日は曇りのち晴れ。気温は暖かく、過ごしやすい1日でした。

休日の今日は、国立国会図書館でほぼ1日、作家の資料探し。国立国会図書館は、月曜日も開館していて、デジタルデータも豊富なので、よく活用させていただいています。資料探しは、私にとってなかなか楽しい作業で、今日埋もれてしまっている作家の創作活動の記録を見つけた時にはとても嬉しくなります。あまりにも楽しすぎて、いつも閉館ギリギリまでいてしまうことになるので、きっちり時間を決めて集中して探しました。本日の収穫はなかなかのもの。美術館の資料として活用できそうです。

休日を使ってでも調べものをすること。人によっては仕事のオン・オフを使い分けていらっしゃる方も多いと思います。私の場面はほとんど分けていません。もともと美術自体が好きだし、そもそも何かを調べること好きなので、ただただ休日に好きなことをしているだけなのです。私は24時間学芸員しているようです。

図書館での調べもののあと、知り合いの作家さんからご案内をいただいたギャラリーに足を運び、作品を楽しんだあと、今に至ります。今日もリフレッシュできました。また明日から頑張ります。

メールよりも手紙で

2018-12-16 21:37:22 | 仕事
今日も青空が広がる1日となりました。冬の澄んだ空気によって、我が家から遥か向こうの山々がくっきりと見えるようになり、山頂付近は雪で覆われているのが見えました。どうりで寒いわけですね。

世の中に電子メールが普及してからずいぶん経ちます。電子メールはいつでも気軽に送ることができ、電話と違って先方に時間を取らせませんし、先方の都合のいいときに返信をいただくことができます。私はプライベートでも仕事でも電子メールを多用しますが、もはや一般的に広く利用されているツールであり、現代社会を生活するうえではなくてはならないものになっていますね。

ただ、こういう時代だからこそ、手書きの文章を書く、ということは自分の気持ちを伝えるうえで大切になっています。私は美術館での仕事、とりわけ、先方に何かを依頼させていただくとき、あるいは依頼していたことが終わったときの御礼には、必ずすぐに手書きで御礼状を書くことにしています。私は恥ずかしながら字がきれいではありませんが、精一杯の感謝の気持ちを込めて一文字、一文字と丁寧に書きます。また、すぐに書く、ということも大切なことで、1週間後に御礼状を書くようでは、先方に感謝の気持ちが伝わりにくくなってしまいます。

どんな仕事でもそうですが、すべては人と人とのつながりから成り立ちます。一つの仕事が終わったから、その人との関係が終わるわけではありません。特に学芸員はそれぞれ専門を持っているがゆえに、専門外のことは多くの学芸員や先生方から教わることが多く、また、展覧会を企画するうえで作家との関係も大切になってきます。誰にでも感謝の気持ちを持つこと。仕事をしていくうえで心に常に留めておきたいことです。

また、逆に私が御礼状を頂く場合もあって、それらは私にとってかけがえのないものになっています。仕事に失敗したとき、疲れたとき、弱気になったとき、先方から頂いた御礼状を読み返すと、不思議に気持ちが高揚し、元気が湧いてきます。御礼状の効用といったところでしょうか。

今宵もだいぶ更けてきました。これから温かいお風呂に浸かって、ゆっくり休むことにします。それでは、おやすみなさい。

やきものをつかう生活

2018-12-15 21:01:10 | その他
引き続き、今日も青空が広がる1日となりました。今日は吹く風が特に冷たくて、肩を縮こませながらの出勤でした。もうすっかり冬ですね。

先日まで、岡山県の岡山城と備中松山城をご紹介してきました。2つのお城は岡山を代表する観光スポットとなっているわけですが、やきものが好きな方であれば、もちろん備前焼を挙げられることでしょう。岡山県備前市は、古来より作陶で有名な土地柄です。

私は日々やきものを使う生活をして過ごしています。伊賀焼の土鍋でご飯を炊きますし、笠間焼の急須でお茶をつくって、備前焼の湯呑に注いで飲みます。自分の目で見て、好きなやきものを少し買い、それらと共に暮らす生活は、私にとってかけがえのない時間です。なぜなら、やきものを使うとき、作り手が心を込めて器を作ったように、私も心を込めて料理を作ろうと思うためです。また、器は使い込めば使い込むほど味が出て、親しみがわいてくるところにも魅力がありますよね。

近頃、私は若手の作家を応援したくて、彼・彼女らのやきものを進んで買っています。若手作家の作品なら何でもいいというわけではもちろんなく、柳宗悦風にいえば「正直な仕事」をしている作品を選びます。素朴で美しいもの。さらに、自分の手に取ってしっくりくるもの、そして花や料理を映えさせてくれるもの。あくまで日々使うことを目的としたお気に入りの器を探すために、時間をかけてじっくりと選んでいきます。

師走に入ると、前述した伊賀焼の土鍋が大活躍してくれます。昨夜もおでんを作りました。体の芯からぽかぽかと温まって、気持ちまで温かくなってきます。やきものには人の心を温かくする、そんな効用もあるようです。

寒さ厳しい日が続きますが、みなさまも温かいものを食べ、風邪などひかれませんよう、お過ごしくださいね。

自律神経を整える

2018-12-12 21:26:39 | その他
昨日の冷たい雨が嘘のように、青空が晴れ渡る1日でした。朝、暖かい日差しを浴びた松の木から白い靄が出ていて、それだけ戸外は冷えていたのですね。

いわゆる現代はストレス社会だと言われます。朝の通勤ラッシュ、職場での人間関係、取引先との交渉、家庭での役割など、ありとあらゆることにストレスを感じている人が多いそう。自分の好きな仕事をしている私もストレスゼロとはいかず、人間ですから、どうしてもストレスを感じてしまう場面が出てきます。4、5年ほど前、自分のストレスのメーターが振り切れて、私はとうとう自律神経に不調を生じるようになってしまいました。

最近は自律神経を整えて、だいぶ症状は落ち着いてきました。自律神経の不調で困っていた時に、医師の小林弘幸さんの『なぜ、「これ」は健康にいいのか?』を読みました。私のストレスの原因や症状に当てはまることが書いてありましたので、早速実践してみたところ、確かに身体の調子は上向きになってきています。特に喉に異物があるような違和感が取れたり、頭痛の頻度が著しく減少しました。私は効果を実感するまで3週間程度かかりましたが、今まで不摂生をしてきた身体の変調がその期間で落ち着くなら早いものであったのかもしれません。

仕事でもちょっとした工夫を取り入れるようにしました。私は学芸員の仕事のなかでも調査研究が一番好きな仕事です。これまで業務時間中に調査研究をする時間がほとんど取れず、それがストレスにもなっていましたが、とにかく自分の好きな仕事をする時間を確保するようにしました。するとやっぱり心持ちがスッとします。

自律神経の不調に悩まれている方がいらっしゃいましたら、上記の本を読んでみることをオススメします。少なくとも、私には効果があったので、自律神経を整える方法のひとつとしてご紹介するものです。私自身、自律神経の不調には悩まされましたので、少しでもそうした方がどうか減りますように。

作品画像の公開

2018-12-11 21:41:42 | 仕事
今日は降りしきる雨の冷たい日。吐く息も白し。家の暖房がこよなく愛しい1日でした。

昨今、インターネットの普及に伴い、博物館や美術館のコレクションをホームページ上で公開し、その活用を促す試みが増えているようです。もちろん公開できる作品は著作権が切れたもの。施設としては、画像を大いに活用してもらって、作品をさらに広くPRしたい狙いがあるよう。最近では愛知県立美術館が1,200点もの作品公開を開始したそうです。すごい点数ですね。担当された方々の努力は並々ならぬものがあったと思います。

私もこうした活用には賛成で、公共的な作品ならば、なるべく情報を提示し、多くの方に作品の魅力を知ってもらうことはとても良いことと考えます。私の勤務する美術館もネットでの作品公開を検討中です。PRの要素はもちろんですが、当館の場合は、所蔵作品を見に来たのに展示されていない、とのお客様の声もあるため。そうならないように展覧会目録の広報を強化するのは当然のこととして、本物を見ていただくのことが一番なのは承知のうえですが、高画質の写真がネットで見られれば、お客様の要望に少しでもお答えできるのかなと。実現にはサーバーの問題がネックですが、それでも現在のサーバーの範囲内で可能な限り進める予定です。

インターネットの活用で、博物館、美術館の新たな役割が増えて来ています。それに対応するためにも、現在のトレンドは掴んでおかなければなりません。学芸員の仕事の幅広さを改めて感じています。

旅行の計画を立てる

2018-12-10 20:28:55 | その他
今日も青空が広がる素敵な1日となりました。気持ちも明るくなりますね!

今日、月曜日は仕事がおやすみ。部屋の掃除をしたあとに、年末に行く旅行の計画を立てていました。行き先は岡山県です。旅先では日本100名城の岡山城、備中松山城をメインに見て来たいと思っています。岡山に行くのは、実に10年ぶり。前回は新幹線で行きましたが、今回は飛行機を使う予定です。

10年前、私は倉敷市をメインに楽しみました。倉敷といえば、美観地区ですよね。1日中、美観地区のなかをぐるぐる回り、大原美術館、倉敷民藝館など、時間をかけて楽しんだ覚えがあります。夕食に食べた鯛茶漬けの味といったら、もう最高で、いま思い起こしても、とても贅沢な時間でした。

岡山県は私の大好きな街のひとつです。歴史を大切にしているし、文化の振興にも力を入れているし、美味しいものがたくさんあふれています。またご縁があって、今回行けることに、とてもワクワクしています。もちろん、今回もお城と共に大原美術館、倉敷民藝館を見て来ます。どうか楽しい旅になりますように。