保津川下りの船頭さん

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京都屈指の紅葉の名所、奥嵯峨・清滝を訪ねて。

2010-11-26 21:28:01 | シリーズ・京都を歩く
京都は今、紅葉が真っ盛り!

明日以降の休日は、おそらく紅葉が美しい名刹・名所は
どこも大混雑になることでしょう。

そんな京都にあって静かに紅葉狩りが楽しめ、しかも京都屈指いや、
日本有数のモミジの名所として名高い地が嵯峨・清滝です。

保津川の支流でもある清流・清滝川が流れる静寂の里。

江戸時代に「お伊勢に七度、熊野に三度、愛宕さんには月参り」と謳われ、
庶民の間に「火ふせの神さま」として篤い信仰を集めた「霊山・愛宕山」の
登山口にあたる山峡の里・清滝は、愛宕山参詣の宿場町として開けました。



清滝川に架かる丹塗りの橋・渡猿橋は有名で、平安末期に文覚上人が愛宕山下の空也の滝(京都一の滝)
へ修業に行く途中に、橋の近くで猿が連なって木からぶら下がり、魚を捕る姿を見て
この橋の名前を付けたといわれます。
橋のすぐ下には松尾芭蕉の「清滝や波に散りこむ青松葉」の句碑が立っていることでも
わかるように、芭蕉をはじめ与謝野鉄幹・晶子夫妻、徳富藘花など多くの文豪が
この地を愛し、歌会を催したり、作品の創作を練った地でもあります。
また、旧三高等学校の学生が集った逍遙の地で、田宮虎彦、山口誓子、織田作之助、
梶井基次郎、三好達治、湯川秀樹など京都大学が生んだ文化人や財界人の多くが
青春を謳歌した、常宿・ますや旅館があるのもこの清滝。
日本古来の山岳信仰の祈りと歴史、文化の香りが漂う里でもあるのです。


清滝川は世界遺産・神護寺がある高雄上流、北山杉の産地である中川・小野郷を
源流とし、高雄から清滝までの渓谷を「錦雲峡」、清滝から保津川合流点(落合)までの
渓谷は「金鈴峡」とそれぞれ呼ばれ、川沿いに整備されている東海自然遊歩道は
この季節、ハイキング・トレッキングに歩く人も多い。



清滝の里には昔、愛宕信仰の宿場まち、また景勝地として栄えた頃に
大勢の観光客を迎えた「お茶屋」さんが、当時の面影を残しています。

そして、この清滝の里こそ、私はっちんの故郷と呼べる地なのです。


今では京都の観光地・嵯峨野でも‘忘れられた地’でもあり、秋以外では訪れる人も
少ない‘鄙びた景勝地’として、清滝の里は今も静かに佇んでいます。

京都の紅葉シーズンの混雑を避けて、自然美がつくりだす錦絵の‘アート’に
触れてみたい方は、トンネルを越え、奥嵯峨野の清滝まで足をのばしてみてはいかがでしょうか。

☆京都市右京区嵯峨清滝町
 交通:京都バス清滝バス停下車(京都駅、阪急大宮、京福嵐電嵐山駅バス停より)