Radix社のV形ダイポールRD-S106についてのレポートの続報です。元々のレポートはこちら。あるいはCQ誌2009年5月号の別冊付録をご覧下さい。今回は使い込んでの感想です。
[7MHzでの使用感]
従来バンド(7000~7100kHz)では混雑が激しく、それなりの出力を入れてやらないと苦しい感じです。空き周波数を見つけてCQを出しても近くで他局が出てくると負けてしまうことが多いです。
一方、今年拡張された部分(7100~7200kHz)では今のところQRVする局数が少ないためQRMに邪魔されず快適に使えます。国内QSOでは十分な性能です。短縮率が高いので難しいかと思っていたら意外にしっかり飛んでくれています。
先日の三宅島ではRD-S106と5WのFT-817を用いて7100upで使ったところ2時間近くにわたりパイルになりました。打ち上げ角が高いのか1エリアの局がかなり強かったです(三宅島の場合は本土まで約180kmですからこれが幸いします)。パワーを入れてもDXには向かないかな、という感じはしますが、国内なら十分満足できます。
[21MHzでの使用感]
21MHzは短縮率が低いですし、オープンすればSが強いハイバンドの特性から7MHzよりは条件がいいと思います。
釣り竿アンテナのようなコモンモード対策が不要ですし、近所にノイズの発生源があるときはヌル点をノイズの発生源に向けてやることができますのでノイズレベルも低くなります。
[50/28MHzでの使用感]
両バンドともEsの恩恵をよく受けることのできるバンドです。Esには向きだと思います。50MHzについては他バンドと共用ということでしたらいいと思います。50MHzオンリーという方はゲインのあるHB9CV等を検討した方がいいです。
[全般的な使用感]
回転半径がコンパクト(2mを切ります)ですから、持ち運びやすく回しやすいアンテナです。50MHzのアンテナに近い感覚で設営できますのでVUに慣れた局には使いこなしやすいと思います。伸縮ポールに取り付けると安定してよく飛びます。
ATUのチューンボタン一押しでQSYできる釣り竿アンテナに較べてマッチングコイルの取り替えが必要でQSYに時間がかかりますが、アースの心配が不要ですし、コモンモード対策が不要なのでこういった点では楽です。
ネジが緩みやすい傾向がありますし、7MHzなんかはバンド全域をカバーすることができないので、固定局用には不向きかも知れません。使うにしてもネジをしっかり締めたのち接合部を自己融着テープ等で固めてやってもいいのではないでしょうか。
コンパクトですので飛行機や船に簡単に積み込むことができ、離島などでHFを楽しみたい場合面白いアンテナかも知れません。