藤原伊織著『シリウスの道』上・下巻を読了。この著者の本を読んだのは初めてでした。
大手広告代理店に勤める男性が主人公です。著者自身、電通に勤めていたそうなので、内情がよく書かれていました。私の知らない世界だったので興味があったのですが、広告という分野はあまり楽しい分野ではないようですね。クリエイティブ部門の一部はけっこう持ち上げられていますけれども。
また、『沈まぬ太陽』もそうでしたが、企業内の権力闘争というか、メンツばかり気にした闘争というか、ほんと背筋が寒くなります。この主人公は妻子がないので、簡単に「辞職する」ということを口に出しますが、そうはいかない守るものがある普通の家庭の男性は、ほんと板ばさみで大変だろうと思います。
この本の中に出てくる役員の曽我部という人物のモデルが、広告代理店勤務で芥川賞を取ったA氏だという噂を聞いたことがあるのですが、本当なのでしょうか。真偽は別として、企業で私欲を満たすことに力を入れ、何の罪悪感をもたない人というのは、けっこういるように思います。
藤原伊織氏は59歳で食道癌で亡くなられています。口の上手な人が目新しい言葉をつかって書く文章ではなく、口下手だけど正義感がある人が紡ぐ物語がこの本にはありました。そして、子供時代というかけがけのない時間を大切に思う純粋さ。子供の頃は、だいたい皆、善悪に対して素直です。ウルトラマンなどのヒーローもので、悪人側に共感する子供なんていません。正義に対して、強い共感を持っているものです。でも、大人となるにつれ、いかにこの正義を曲げても何とも思わなくなっていくことか。そして、正義について常に考え、それに沿って生きていくことの、
何と難しいことか。
プロットはそこそこで、あまりあっとはさせられませんでした。機会があれば、処女作『テロリストのパラソル』も読んでみようかなと思います。
体調は変わらず。
大手広告代理店に勤める男性が主人公です。著者自身、電通に勤めていたそうなので、内情がよく書かれていました。私の知らない世界だったので興味があったのですが、広告という分野はあまり楽しい分野ではないようですね。クリエイティブ部門の一部はけっこう持ち上げられていますけれども。
また、『沈まぬ太陽』もそうでしたが、企業内の権力闘争というか、メンツばかり気にした闘争というか、ほんと背筋が寒くなります。この主人公は妻子がないので、簡単に「辞職する」ということを口に出しますが、そうはいかない守るものがある普通の家庭の男性は、ほんと板ばさみで大変だろうと思います。
この本の中に出てくる役員の曽我部という人物のモデルが、広告代理店勤務で芥川賞を取ったA氏だという噂を聞いたことがあるのですが、本当なのでしょうか。真偽は別として、企業で私欲を満たすことに力を入れ、何の罪悪感をもたない人というのは、けっこういるように思います。
藤原伊織氏は59歳で食道癌で亡くなられています。口の上手な人が目新しい言葉をつかって書く文章ではなく、口下手だけど正義感がある人が紡ぐ物語がこの本にはありました。そして、子供時代というかけがけのない時間を大切に思う純粋さ。子供の頃は、だいたい皆、善悪に対して素直です。ウルトラマンなどのヒーローもので、悪人側に共感する子供なんていません。正義に対して、強い共感を持っているものです。でも、大人となるにつれ、いかにこの正義を曲げても何とも思わなくなっていくことか。そして、正義について常に考え、それに沿って生きていくことの、
何と難しいことか。
プロットはそこそこで、あまりあっとはさせられませんでした。機会があれば、処女作『テロリストのパラソル』も読んでみようかなと思います。
体調は変わらず。