Dutch Life 備忘録

オランダのミュージアム、コンサート、レストランなどについて記録するノート。日常的な雑記も…。

本「同じ年に生まれて」

2014-01-14 12:24:28 | Book
小澤征爾と大江健三郎の対談集「同じ年に生まれて 音楽、文学が僕らをつくった」を読了。
音楽と文学というそれぞれの分野で日々研鑽を続け、突出した功績を残している1935年生まれの二人が、還暦を迎える2000年に対談したものをまとめた一冊です。芸術論、教育論、日本論と話は豊かに発展しています。
音楽についてかなり多く語られていますが、ほとんど大江健三郎がしゃべっています。音楽も文学も同じだと普遍的に語ろうとしていて、ところどころ小澤氏が「ああ」「……(笑)」という部分が目についたりしますが、面白い視点も多く、興味深く読めました。
例えば、音楽をする人は、若い人はまずはきれいな音を出したい、そしてきれいな音を出せば、だれかに伝わると思っているかもしれないが、専門家は本当に伝わるところまで持っていく、それが表現ということ。クラシック音楽が現代でもこれだけ聞かれるのは、(現代の)演奏者が生で仲介しているからだ。などなど。
好感が持てたのは、小澤氏がすごく教育というものが好きなこと。若い音楽家に教えて、その人が上達するのがすごくうれしく、教えることが楽しいと語っていました。また、同時に習うことを大好きで、スキーに行くと今でもスキースクールに入って、習うのが好きとのこと。
大江氏は、ところどころ人を批判する口調のところがあって、おやおやと思いましたが、これもダメなことはうやむやにせずにはっきり言うという彼の姿勢を表しているのかなと思いました。
彼の本は少ししか読んだことがありませんが、去年発売された長編「晩年様式集 イン・レイト・スタイル」をいつか読みたいなと思っています。
ちょっと頭を使いながら読むのに良い本でした。
体調はまだ完全ではないですが、良好です。