Dutch Life 備忘録

オランダのミュージアム、コンサート、レストランなどについて記録するノート。日常的な雑記も…。

本「蒼路の旅人」

2015-04-11 08:23:51 | Book
上橋菜穂子著「蒼路の旅人」を読了。
全10巻の「守り人」シリーズの7巻目です。シリーズの主人公の女用心棒バルサや呪術師のタンダが登場しなくて、新ヨゴ皇国の皇太子であるチャグムが活躍する作品です。
以前の作品で、チャグムはまだ10歳くらいの少年でバルサと出会います。まだ幼かったチャグムがだんだんと成長し、この「蒼路の旅人」では15、6歳になっています。この成長を、いままで読んできたシリーズ作品のところどころで見知っていますから、チャグムにはとても親近感をもって読めます。
今回のストーリーは、海の国サンガルが帝国タルシュの侵攻に合い、隣国の新ヨゴ皇国に援軍を依頼してきます。この罠とわかっている依頼に、チャグムの祖父である海軍大将が送られることになり、それに反発したチャグムも帝である父の命令により、サンガル国の海域へ送られます。
父と有望な息子との間の微妙な関係、自分の想いとは別に国同士の争いに巻き込まれていき、国民の幸せのためにそれをなんとか良い方向に導くたずなを握っているために、苦難の選択をしていかねばならないチャグム。
この物語では、タルシュ帝国の王子側の事情も語られ、王子の人となりも描かれています。国同士の戦いは、一方が善で他方が悪なのではなくて、それぞれの事情があり、それぞれの個人の事情もあるということが、多音声的に語られているのが、効果的に感じました。
この「蒼路の旅人」は、次の3巻からなる「天と地の守り人」へのステップとなる作品で、早く次を読みたいと思いました。
2015年の本屋大賞が上橋菜穂子の小説「鹿の王」になったというニュースを聞きました。児童文学、ファンタジーの枠組みで語られがちな著者ですが、こうして一般の読者にも大きく広がって受け入れられて当然です。
どんどんと次の作品を読むのが楽しみです。
体調は良好です。




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