卍の城物語

弘前・津軽地方の美味しいお店と素晴らしい温泉を紹介するブログです

IT MIGHT GET LOUD

2011-12-14 00:33:03 | 映画
「IT MIGHT GET LOUD」(邦題「ゲットラウド」)を観てきました。


青森市のシネマディクトにて、レイトショー1000円ポッキリ。

内容が内容だけに観客は・・・、なんと2人いました!しかも自分と同じ歳くらいの女性たちでした。
会話からするに、ホワイトストライプスとか現代ロックが好きなんでしょうね。
自分はもちろんジミー・ペイジ目当てですよ!

そんなこんなで開演。


監督・デイヴィス・グッゲンハイム
出演・ジミー・ペイジ、ジ・エッジ、ジャック・ホワイト

音楽もののドキュメンタリー映画です。

08年に制作され、アメリカでは09年に公開されているが、日本では何故か今年の公開になった。

元レッド・ツェッペリンのジミーペイジ、U2のジ・エッジ、元ホワイトストライプス、ラカンターズ、デッド・ウェザーのジャック・ホワイトの3人の世代の違うギタリストが一堂に会し、座談会も兼ねたギターセッションが行われる。
それと同時に、3人の生い立ちから現在に至るまでの半生や、ギターやロックについてのインタビューが織り込まれている。


ま、自分はロック大好きではあるが、ツェッペリンはナンバーワンとして、U2もほとんど聴いた事ないし、ホワイトストライプスもほとんど聴いた事ない。
これは好みなのでどうしようもないが、ジ・エッジとジャック・ホワイトの実力が他のギタリストと別格なことくらいはわかっています。

それにギター弾かないので、ギターについてはあまり詳しくない。
かといって本編には何の支障もありません。

あくまでドキュメンタリーなので、起承転結もないし、これといった盛り上がりどころもない。

ロックという音楽に於いてのギターとは、ギタリストとは?という疑問に3人とも明確な答えが出せないまま今に至っている。

3人とも音楽性は似てないが、本編を観てみると実はルーツやスピリッツは似通っているのがわかるのが面白い。


ジミー・ペイジはテクニックの評価が低いのが腑に落ちないが、彼のギターリフのフレーズセンスは世界一でしょう!!ギターリフ聴いてりゃ文句ないもん。
そりゃ歌いらないからロバート・プラントは未だにツェッペリン時代をネガティブに捉えているわけだな。
劇中でペイジが「胸いっぱいの愛を」のギターリフを弾くシーンがあるが、この時のエッジとジャックの顔がギターキッズみたいな顔してたのが面白かった。
まだまだペイジは現役だぜ!ツェッペリン復活しないかな・・・。

ジ・エッジはよく知らないのが正直なところ。
でもギターの音色聴いたらU2だなとすぐわかるからすごいとは思うが。
「ホエア・ザ・ストリーツ・ハヴ・ノー・ネイム」のリフの誕生について語るシーンもあるが、自分はこの曲が大好きだからさすがに鳥肌たったな。

ジャック・ホワイトは有り余る才能が仇になったのか、結局3バンドも掛け持ちは無理になったのか、メインのホワイトストライプスが解散してしまいましたね・・・。
2ピースであれだけの事できるのはすごいよ。あえて才能のないメグがドラム叩いているわけで、それをカバーして更にそれ以上の力を出してねじ伏せるというバンドとして異常な状態で活動してたから解散してもしょうがないけど、また改めて聴き直してみたいね。
俳優としてはどうかと思うが・・・。


最後は3人のアコースティックセッションで、ザ・バンドの「ザ・ウェイト」という曲で締め括ります。
そういやバンドもちゃんと聞いた事ないなぁ・・・。


そんなわけで、ロック好き、ギター好きは観て損はないです。
それ以外の人は観ない方がいいね。映画といってもあくまで音楽ドキュメンタリーだし。

何より人選がよかったと思う。
ペイジが出てるから観たのもあるし、3人の世代が全く違うのがよかった。
イングウェイとか出てたら観なかったと思う・・・。

マーティン・フリードマン曰く「この映画はギターマニアにとってはエロビデオだ!」


唯一の2人組の女性客とこの映画について語りながら飲みたかったな・・・(嘘です)。

 

オススメ度(映画評価)・☆☆

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破

2009-07-14 23:05:00 | 映画
「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」観てきた。

津軽地方で唯一ロードショウしてるのがシネマディクトだったので、青森に行くのが面倒臭かった(先週歌舞伎観に行ったばかりなので)けど、暴風警報が出るくらいの嵐の中、なんとか辿り着いた。

初めてシネマディクトに入る。
県内唯一の単館映画館(テアトル弘前は映画館といっていいものか・・・)で、興行収入は見込めない名作を頑張って放映してる貴重な存在の映画館。
ここはスクリーンが二つもあるんだね。

18:55スタートだが、レイトショウ扱いで1000円ポッキリで嬉しい限り。
100人くらい入れそうなホールには客が3分の1ほど埋まってる。ほとんど20代ですね。
ヱヴァと言えばオタクなイメージだったが、今や普通の若者が観に来るんだねぇ。若いカップルとかもいたし。時代は変わったもんだ。

ヱヴァは高校生の時テレビシリーズやってて、見たのはそれっきり。そして一応旧劇場版も観といた。
全体的な感想は、まあまあ面白いといったレベルでした。

時は経ち、なんとなく観た「序」がかなり面白く再構築されて観易かったから映画館で観なくては思い切った所存です。

個人的な立場ですが、私はアニメなどほとんど観ないし(唯一ガンダムくらいか)、エヴァファンでもない。
結構フラットな立場で今回の「破」の感想を述べる。

テレビシリーズの第8話から19話あたりが今回の「破」。
「序」はテレビシリーズのリテイクであったのに対し「破」はテレビシリーズとほぼ別物だ。

前半はほのぼのシーンが続く。
何故かシンジが料理上手だという意味無さそうな設定に影響されるレイとアスカ・・・。
ここらへんのほのぼのシーンが長すぎて後半一気に展開が早送りする様な気になるのでどうかと思う。

大きい点が新キャラ「真希波・マリ・イラストリアス」の登場だろうか。
モロにアニオタを意識してる様なキャラだ。
メガネっ娘で、男勝りの破天荒な性格。セリフがアニメキャラ丸出しで、アニオタは喜ぶだろうが、そうでない自分はイラつきます。
勝手に二号機に乗ってビーストモードになっても結局ゼルエルに太刀打ち出来ないなら、ビーストモードの設定って無くていいじゃん?

レイはキャラがあまりに変わりすぎじゃないか。あのミステリアスさが魅力だったのに、普通の女の子っさが出過ぎで残念だった。
レイが「ポカポカ」という絶対言わ無そうなセリフを連発するシーンは笑えた。

アスカは相変わらずだったけど、まさかまさかの展開に唖然。
ここもテレビシリーズと違う大きい変更点だが、3号機の使徒に乗っ取りされるパイロットはトウジだったが、これがアスカになった・・・。という事は、初号機に殺されちゃうのがアスカになっちゃったんですわ。
別にアスカに思い入れもないけど、こんな扱いはないだろ・・・。
アスカは深層心理が使徒にバラされてその後廃人の様になるテレビ版の方が断然いいけどなぁ。
シンジがやっと出来た友達のトウジを殺しかけるハメになる方が断然いいし。

そしてこのダミープラグの初号機が3号機を美味しく頂くシーンのBGMが「今日の日はさようなら」・・・。これは絶対無しだわ!!
驚嘆の意表を突いてくるのはエヴァじゃしょっちゅうだけど、こりゃ裏狙いすぎて失敗だな。
庵野の案かどうかは知らんけど、こういうその場の雰囲気のノリで決めちゃったと思われる演出は考え物だ。

終盤、シンジがあれほどレイに固執する理由も定かじゃない。アスカの件もあってのことだろうけど、侵食されたら死んだと思うだろうし、精神が超越してシンジとレイは繋がるけど、あのシーンはアムロとララァに見えて仕方なかった。

使徒も益々キモチワルくなってシュールでカッコいい。それにしてもゼルエル強過ぎです。

最後は「翼をください」がBGMで流れなんだか訳わからん。
リツコが説明口調で色々喋るが、イマイチ納得出来ずにサードインパクトが起こるかも、みたいな。

そんなこんなでエンドロール。あらら・・・。
でもエンドロール終わってもちょっとだけ本編続く。
そして次回予告。

次回は「序」・「破」ときて「急」と思いきや「Q」です。凝ってるね。ってか村上春樹かいっ。
4部作なのに次回の劇場版が最後だとか、よくはわかんない。二部作一挙公開になるらしいとか。

なんか文句ばっかり書いてしまったが、実際あんまり感動できなかった。
アニメーションやCG部分は綺麗で素晴らしいなと思うが、結局ストーリーが一番大事だから、そんなの二の次だし。

あと印象が悪かったのが、セクシーショットの多かった事!
アニメってなんであんなパンチラとか乳とかのシーンをサービスショットの如く連発するかね。
アニオタじゃない自分からしたらキモイわ。喜ぶだろうと思っての制作側も喜ぶアニオタもキモイわ。
ヱヴァってもっと屈折したエロティシズムが魅力だった筈だ。直接的な描写は無くていい。
でもSOUND ONLYのミサトとリョウジの絡みは次作でやって欲しい!

それにしてもやっぱりアスカの扱いが雑過ぎやしないか。
アスカはもっと重要な立場だったし、簡単に死んでいいはずもない(「Q」で復活するとかしないとか)。
シンジとアスカのシンクロ攻撃シーンは好きだっのに残念だ。
アスカファンって少なさそうだから仕方ないのかね。ま、気の強いキャラはアニオタ苦手っぽいし。

マリの立場もイマイチわからん。次回明らかになるだろうが、中途半端な役回りだった。彼女を新キャラとして無理矢理出したからアスカの存在が弱くならざるを得なくなったのではないか。

エンディングテーマは宇多田の前作のテーマのリミックス。リミックスって・・・。
せめてオリジナルにして欲しいよな。アルバムのアウトテイクでもいいからさ。
極端な話、宇多田でなくてもいいじゃん。リミックスって・・・。
でもさすがの宇多田。なかなかカッコいいリミックスだけど。

特に後半胸糞悪い感じになっちゃったけど、何ヶ所か感動してちょっと泣いたりしちゃったけど、やっぱり次作も楽しみだし、テレビ版と旧劇場版のリベンジをどうしても果たして欲しい。
そのうやむやを晴らす為の新劇場版だろうし、それでもやっぱり今回のようなアヴァンギャルドな突飛な演出が失敗する様では、また旧劇場版みたいな悲劇が起こる可能性は十分にある。それこそサードインパクトは絶対に起してはならないとスタッフは本気で構えて欲しいものだ。

しかしながら、なんだかんだでエヴァの虜になってしまったから恐ろしい。
「Q」公開まではテレビシリーズ観直して復習したい。

オススメ度(映画評価)・☆☆

天使と悪魔

2009-06-03 22:01:22 | 映画
話題の映画「天使と悪魔」を観に行った。

久し振りの映画館だ。「少年メリケンサック」以来だ。ワーナーマイカル弘前では「マトリックス・リローデッド」以来の御無沙汰だ。

ワーナーマイカルは18時以降千円ポッキリで観れるので、18:40開演の回を狙っていった。
中に入ると結構人がいた。平日の夕方なのになぜこんなに人がいるんだろうと思ったが、恐らくは先ごろ公開された「ウルトラミラクルラブストーリー」と「ルーキーズ」の目当てっぽい。ほとんどが若い女子だったからそうに違いない。
だって「天使と悪魔」の客は10人もいなかったからね・・・。

「天使と悪魔」は「ダビンチコード」と同じくダン・ブラウンによって書かれた長編ミステリー小説を元にした映画。
映画は「ダビンチコード」の続編みたく扱われているが、実際の著書は「天使と悪魔」の方が先である。
「ダビンチコード」は2006年著で、「天使と悪魔」は2000年著(日本語訳版は2003年にやっと発行)

「ダビンチコード」は小説を読んでブッタまげるくらい面白い内容だったので、「天使と悪魔」も読みたかったのだけれど、如何せんハードカバーは高過ぎるので、文庫版が出るのを待つかと思っててそのまま忘れてて、いつのまにか映画化されて話題になっていた。

「ダビンチコード」の映画化は周知の事実の通り、失敗だったと思う。
巨大なテーマのサスペンスなのに、終止淡々と進む展開に唖然の連続。名画をチラッとしか映さないし、歴史回想シーンの無駄、数えたら切りが無い散々たる内容だった。

本作の監督は前回に続いてロン・ハワード。本当に大丈夫か?と不安になるが、名誉挽回となるか?
そしてこちらも前回に続いて主役のロバート・ラングドン役にトム・ハンクス。
名優だが、ラングドンっぽくはないなぁと前回思ったものだが、連続登板になっちゃったので、ハンクスがラングドンだと認めざるを得ない。

ストーリー
~ローマ教皇が病死し、次の教皇を選出するコンクラーベが行われようとしているヴァチカンに、400年前に弾圧された秘密結社「イルミナティ」が復讐を開始する。
彼らは4人の教皇候補を誘拐。科学の四大元素“土”“空気”“火”“水”を表わす焼き印を胸に押しつけ、一時間ごとに惨殺すると予告する。さらに街を吹き飛ばすほどの破壊力を持つ反物質を、ローマのどこかに隠したのだった…。この恐ろしい計画を阻止するため、ヴァチカンは宗教象徴学者のロバート・ラングドン教授に助けを求める

これまた「ダビンチコード」並みにブッタまげる超巨大なテーマ。
科学者弾圧をしたカトリック教会の闇が暴かれる。
タイムリミット迫る展開が手に汗握る緊張感を生んでいる。 

著書には「イルミナティ」の詳細が書いてあるらしいが、映画ではほぼ触れられていない。
だからただのテロ組織による犯行みたくなっちゃってる。犯行の動機が大事だが、深く掘り下げなくてもそんなに無理が生じない構成にはなっている。
さらに著書には「セルン」での反物質の近未来のサイエンスが重要なシフトを持っているらしいが、映画ではほぼ描かれていない。
実際には反物質の兵器は今後も開発されるかどうかは未定らしいとの事だ。

ロケはローマ・バチカンの教会・広場・市街地など。
ちょっとだけでも観光した気分になれるくらい美しすぎる街である。
教会ロケが素晴らしく、中でもシスティーナ礼拝堂のロケは圧巻だ。ミケランジェロの「最後の審判」の映像はチラッとしか映らないけど、恐ろしく美しいものだった。
他にも本作に重要な教会が存在するが、「ダビンチコード」の時と同様、撮影許可が下りなかった教会もあったとの事。

前作と違ってストーリー性に凝っており、淡々と進む様な展開ではなく、しかしスピーディーで危機感覚える展開にはなっていた。

最後の最後は前回同様、大ドンデン返しがあるが、そこはちょっと無理があるようにも思えたが、サスペンスなので仕方なしか。

ヒロインはイスラエル女優アィエット・ゾラ-。美人だけどそんなに華が感じられないような・・・。もうちょっと若い人の方がいいような・・・。
キーマンのカメルレンゴはユアン・マクレガー。これは彼でなくてもよかったような・・・。別に無名の役者でもよかったような・・・。

それでも全体的にはとても面白かった。
何よりテーマがデカ過ぎていいです。こんな世界規模のミステリーはダン・ブラウン以外無理だもの。そこらへんのミステリーがポンコツに思えてしまう。
キリスト教の過去の功罪がもたらした事件をテーマにした小説を今後も作っていくそうなのでとても楽しみである。

ま、あくまでフィクションとして観るぶんには最高峰のミステリーでありました。

オススメ度(映画評価)・☆☆☆

少年メリケンサック

2009-03-07 02:03:28 | 映画
「おくりびと」がアカデミー外国語映画賞受賞したが観る気も起きないので、「少年メリケンサック」を観に、というよりは暇で木造の温泉の帰りに、ワドナのゲーセンで麻雀格闘倶楽部してて、なかなか勝てなくて早々と終了したらちょうどレイトショーが始まる時間だったから、ちょっと気になってたからまあ千円ポッキリだしいいか、ということで観る事にした。

「好きです!パンク!嘘です!」(キャッチコピーです)
個人的にロックを殺したセックスピストルズ(本当の殺人犯は手のひら返したようにピストルズを支持したロックファンだが)に逆恨みしてるので、パンクは好きじゃないです!でも最近じゃ銀杏BOYZとかミドリとかのパンクは好きです!

レコード会社の新人発掘部のかんなは、動画サイトに投稿されたパンクバンド「少年メリケンサック」に目をつける。バンドとの契約に乗り込むと、そこにいたのは昼間から酔っ払ったオッサン。動画に投稿されていたのは25年前のライブ映像で、メンバーは50代になっていた。ネットで話題になるも、「少年メリケンサック」の素性を知らぬままツアーは決まり、久し振りに集まったバンドメンバーは碌に演奏も出来なかった。果たしてツアーは成功するのか!?・・・そんなお話。

監督・脚本は宮藤官九郎。
クドカンといえば劇団大人計画。ま、観た事無いけど人気あるみたいね。
ドラマの脚本とかでは何本か観た事あるけど、ほぼ面白くなかったね。だからあんまり監督・脚本で期待してなかったね。
結果、演出・脚本はやっぱりそんなでもなかった・・・。設定だけみればもうちょっと面白くなりそうなもんだったけどね。
でも普通に笑えるところも何ヶ所かあったりで、コメディとしてはそこそこだったかな。

主役は宮崎あおい。
「篤姫」は年末の総集編だけ観たけど、あの演技は素晴らしかった。存在感が凄かった。大物ばかり出演する大河ドラマで主役を堂々演じ切れた女優魂がこれでもかと感じられ、国民的女優の座を勝ち取った。
あおいチャンの女優のメインの畑は映画であるが、女優的好奇心が強過ぎるのか、ドラマや舞台にまで出演している。
あおいチャンを初めて見たのは「ユリイカ」という映画だった。ま、内容はあんまり面白くなかったけれど、とても印象深い映画だった。何より当時14歳のあおいチャンが役所広司を喰ってしまってたというのが一番の見所だった。
子役は大成しないとジンクスを見事にぶち破って、早々と結婚したりとプライベートも充実(不倫騒動もあったが)したりで、今後も目を離せない存在であり、普通に可愛くて好きだから、宮崎あおい目当で観に来たのが大きい。
劇中、もともと弾けてる女の子なので、バンドに感化されてパンクっぽくなっていくのが面白いのだろうけど、ここらへんは演出が悪かったのかも。
篤姫で多忙だったのに、わざわざコメディ映画に出るという姿勢が素晴らしいよね。ブリブリの演技とかムカツクくらい上手いよね。結構体当たりで演じたと思うが、何よりあおいチャンが無理してでもやる役ではなかったような気がしないわけでもないと感じた・・・。

バンドメンバーは佐藤浩一、木村祐一、田口トモロヲ、三宅弘城。
佐藤浩一は普通にカッコよかった。文句はなかった。流石一流役者です。
キムはあんまり・・・。役者ではないね。
三宅弘城はよく知らんが、劇団「ナイロン100℃」所属なんだって。「グループ魂」でドラムやってるから選ばれたんでしょう。
田口トモロヲといえばナレーターだが、彼はもととも「ばちかぶり」というパンクバンドでボーカルしてて、ライブで炊飯ジャーの炊き立ての御飯の上にウンコしたという伝説持ってる生粋のパンク人なんですな。当時を知らんから最初ギャップに驚いたが、劇中では演技ではなく、本業そのものを披露したんですな。

その他の出演者達もご紹介。
銀杏BOYZの峯田は25年前の少年メリケンサックのボーカルのジミー役。メインテーマの「ニューヨークマラソン」はいい曲だ。少年アラモードというアイドル役も似合ってた。
他の銀杏メンバーも出演してます。実際の演奏も銀杏が担当してます。

マルコム・マクラーレン的仕掛屋役のピエール滝。彼も役者としてよく出てますな。本当によく見る。本業よりよく見る。

田辺誠一がテルヤというアーティスト演じてるけど、どうみてもガクトのパロディ。このシャレは許可を取ったのかどうかが気になって仕方なかった。

元スターリンの遠藤ミチロウや、スタークラブの日影晃、ギターウルフのUGなど、ロックの大御所もカメオ出演してるのが、古くからのバンドブームファンにとっては嬉しいところでしょうか。

音楽担当はザゼンボーイズの向井秀徳。マサル、テルヤ、少年アラモード、GOAの曲を全て作曲している。ザゼンと違ってこんなクソみたいな曲作れるってのは才能があるからに決まっている!!

エンディングテーマは峯田と向井のデュエットで松任谷由実のカバー「守ってあげたい」。なんでこの曲なんだろう??

一つ思ったのは、宮崎あおいじゃなくてもよかったよね、ということ。
個人的には上野樹里でやったら面白かったかも、と思った。

というわけで、そんなに面白いわけでもなかったが、普通に、楽しかった!!

オススメ度(映画評価)・☆☆

素晴らしき哉、人生!

2009-02-23 02:29:33 | 映画
映画100選。第17回。

46年作品。アメリカ映画。モノクロ作品。
原題「It's a Wonderful Life」

監督・制作・脚本・フランク・キャプラ
出演・ジェームズ・ステュアート、ドナ・リード、ライオネル・バリモア

最近の映画は俄然勢いがなくなってしまって残念である。その為に映画を観たくなったら古い映画を観るしかなくなってしまっている状態の昨今、やはりクラシック映画の名作を観ておかなければならないと思い、今回は名作といわれる「素晴らしき哉、人生!」を観てみた。

~あらすじ~
アメリカのとある田舎町に住むジョージは、町の人々に住宅ローンを低金利で貸し付ける住宅金融会社を経営する父の仕事に不満を抱きながら、苦学で大学を卒業出来た。
大いなる夢を抱え、世界旅行へ出発しようとした最中、父が他界。父の遺した住宅金融会社を潰したくない為に会社を受け継ぐ。
建築家になる夢を諦めず、弟が大学を卒業したら会社を譲ろうとするも、弟は工場会社の娘と結婚し、婿入りした為、そのまま会社で働く事となった。
その後友人の妹のメアリーと結婚し、新婚旅行に出発する直前、銀行が破綻するとの噂が飛び交い、ジョージの会社の存亡も危惧され、町の人々は貸付金を返す様に要求。噂に惑わされぬように説得するも信じない為に、新婚旅行の旅費を少しずつ町の人に払い戻し、混乱は避けたが新婚旅行はお流れになった。
決して儲けているとも言えない会社だが、ジョージの会社のおかげで町の人々の多くは持ち家を建てることが出来、家では妻と子ども4人とささやかな生活を送っていた。
クリスマスの日、戦争で弟が活躍し、大統領から勲章を受け喜んでいたのも束の間、会社の資金8000ドルが紛失し、会社の存続どころか横領容疑さえ掛けられ、自暴自棄になったジョージは自殺を図ろうとする。その時、天から使命を受けた二級天使のクラレンスが現れ・・・、そして奇跡が起こる。

ちょっとしたファンタジーもありつつのヒューマンドラマである。でもファンタジーの部分はとても少なく、始まりの一部と後半のほんの一部のみ。実際はジョージの幼年から成長する姿を追っている。
彼の人生はそんなに不幸でもないが、人生の幸福期に限って事件が起き、進みたい方向には迎えない不運が起こる。それでもそれを受け止めて一生懸命に生きる。ほんの努力の積み重ねが町の人々を救い、結局は彼自身を救う。

ずばりアメリカ映画といったベタなストーリーだけれど、最後の最後は感動して泣いてしまった・・・。やっぱり何だかんだでハッピーエンドが好きである。でもこの日の体調で泣いてしまった感も否めないが、それでも感動のラストである事には違いない。

監督のフランク・キャプラは過去三度もアカデミー監督賞を受賞している名監督。しかし、この作品はアカデミー5部門にノミネートされるも無冠に終わり、興行的にも散々たる結果になってしまっている。
しかしながら、後にその評価は確実に認められ、今ではアメリカではクリスマスの夜のゴールデンタイムにこの映画を放映するのが伝統とさえなっている。

実際映画を観て思い出したのが、低金利の住宅金融といえばサブプライムローンであり、世界恐慌の発端となったが、ハッピーエンドの映画とやっぱり現実は違うのかと少し愕然とした・・・。

アメリカ映画協会のランキングでは歴代11位に選ばれ、「元気が出るアメリカ映画」部門では堂々1位を獲得している。
勧善懲悪的な構図とハッピーエンド。更に美人女優の起用という古き良きアメリカ映画がここにある。

オススメ度(映画評価)・☆☆☆

es

2009-01-26 23:33:22 | 映画
映画100選。第16回。

2001年作品。ドイツ映画。
原題「Das Experiment」

監督・製作総指揮・オリヴァー・ヒルシュビーゲル
脚本・ ドン・ボーリンガー、クリストフ・ダルンスタット、マリオ・ジョルダーノ
出演・モーリッツ・ブライブトロイ、クリスチャン・ベルケル、オリヴァー・ストコウスキ

~ストーリー~
新聞広告によって募集された24人の男達は、大学の地下に造られた擬似監獄で、囚人と看守の役に成り切り、二週間どのように過ごすかという心理実験に参加する。元記者の主人公も、潜入取材をすることで多額の報酬を貰おうと参加した。
最初の内はお互いにからかいあうなど和やかな雰囲気であったが、時が立つに連れ看守役は囚人を支配出来る権力を横行させ、囚人はただひたすら従順になっていく。
そして看守役達の横暴は一気にエスカレートしていき、遂には最悪な事態に発展していく・・・。

この物語の元ネタは、スタンフォード監獄実験によるものである。
スタンフォード監獄実験とは、1971年にアメリカ・スタンフォード大学心理学部で、心理学者フィリップ・ジンバルドーの指導の下に、刑務所を舞台にして、普通の人が特殊な肩書きや地位を与えられると、その役割に合わせて行動してしまう事を証明しようとした実験の事である。
実際のスタンフォード監獄実験では最悪な状況には至っていないが、本作の映画と同じく、看守役は禁止されていた暴力まで行い、囚人に罰を与えようとした例もあった。
そして肝心の心理学者のジンバルドーが理性を失い、実験に快感を覚え、危険な状態になるまで中止もせずに、実験を観賞していた。
結局、関係者が危険を感じ、被験者の家族達とともに実験の中止を訴え、二週間の予定が6日間で中止となる。
この実験は人権問題として裁判沙汰になり、未だに係争中らしい。その為、実験が行われたアメリカではこの「es」が上映出来なかったとの事である。

この映画では、スタンフォード監獄実験が、もしも、色々な偶然が重なり、危険な状態にも関わらず、実験が続いたとしたらというのが元にある。
かといってフィクションとは全く思えない、リアリティに満ちた内容になっている。

法律や宗教、道徳や倫理というものを身に付け、社会で生きていた普通の人々が、看守と囚人という異常な状況に陥ると、看守役は人をコントロールする支配欲が生まれ、囚人役は従順な奴隷と化してしまう。
今もって、訳の分からん生物の人間だが、一皮捲るとタダのケダモノというこの悲しくも恐ろしい事実は受け止めなければならない。
この映画や、元のスタンフォード実験も、貴重な失敗実験として心理学に活用して欲しいと思うのだが、この状況と言うのは実際の監獄にも起こっているだろうし、戦時下の収容所となったら、さぞ陰惨極まりないものだろうと推測できる。

さて、この恐ろしい映画に少し文句を付けなければならないのである。それは女の存在なのだが、女は居なくても映画全体に何ら問題は起きないと思うし、最近出会った女という設定よりは、昔の彼女とかにしたほうが断然良いと思う。監獄と一般社会のギャップを描きたかったのか、ハリウッド的なお馴染みの手法かは知らんが、女の存在は結構邪魔に感じた。

この監獄実験は一概には否定出来ない。実際同じ状況に立たされたら一体どうなってしまうだろうか。
看守役になったら・・・、人をあらゆる手段で支配しようとしてしまうのか?
囚人役になったら・・・、靴の裏を舐めてまで生に執着するのか?それともプライドを守って逆らって死ぬのか?
SMという性癖どころではない、人間の深層心理が暴かれる現実が、そこかしこに潜んでいるのかもしれない。そんな事を考えてしまう傑作映画です。

オススメ度(映画評価)・☆☆☆☆

生きる

2008-12-09 02:40:38 | 映画
映画100選。第15回。

52年作品。モノクロ作品。
監督・脚本・黒澤明
出演・志村喬、金子信雄、関京子、小田切みき、伊藤雄之助

お恥かしながら、そんなに黒澤作品は観ていないのです。
「七人の侍」「用心棒」「羅生門」「赤ひげ」「隠し砦の三悪人」と、有名な時代ものは観たのですが、はっきり言ってそんなに感動しなかったのです。
それは時代劇という分野があんまり好きでないのが理由でしょうが、そんなことで黒澤作品にはなかなか箸が進まない状態で、たまに気が向いたら観るようにしてたのです。

とはいってもこの「生きる」は別格中の別格です。確か19歳くらいに観たのだけど、大変感動したのを憶えています。
まだ観た事無い黒澤作品を借りようかと思ってたのだけれど、「生きる」を観直してみることにした。確認したかったのだ。あの感動は本物だったのか?と。およそ10年振りに観るのである。

あらすじ~
市役所に勤める渡辺勘治は毎日の役所仕事に無気力に過ごしていたが、ある日自分が胃癌で余命が少ないことを知り、自分の無意味な人生に愕然とする。歓楽街であらゆる快楽に興じるが実感が湧かない。しかし奔放に生きる部下の小田切とよと出会い力強く生きる姿に心を動かされる。そして市民の為の公園を造るという使命を抱え、最期に生きることの意味を取り戻す。

52年なので、古臭さは否めない。それは映像や音声の技術的なものであり、演出や演技、脚本などのことではない。
DVDになったとて、セリフがあまりに聴きづらいのが難。白黒なのがあまりに残念。と嘆いても仕方なし。

主役は志村喬。お馴染みの三船敏郎は出演すらしてない。
志村も黒澤作品の常連だが、完全な主役としては本作品のみになるだろう。
平凡な公務員が一気に絶望の淵に落とされるも生死を賭して仕事に打ち込む主人公を狂演。
あざといほどの気色悪さ、苛立つ物言いも全て完璧なる演技力によるものである。
死期が近いほどにやせ細っていく設定に、減量して演じた。ヤクザもお偉いさんも黙らす悲哀の表情はずっと目に焼きつくほどのインパクトである。

志村喬の演技もいいが、やはり黒澤明の演出は天下一品。まずレントゲン写真から物語が始まるのである。
そして一人息子の回想。そこから歓楽シーンと、とよとの憩い。そこでハッピーバースデーシーン。新しい人生の誕生が始まると思わせて、いきなり葬式シーン。この急激な展開が素晴らしい。
ここから市役所の面々が語りだし、主人公の功績が露わになる。その前に、公園建設を訴えた婦人達が無言の焼香をするのだけど、あそこで泣いた。主人公が何をしたのか全て伝わる場面だから。
そして役所員たちは無謀にも公園を完成させた故人を見習い、役所仕事へ全力で取り組もうと誓うが、次の日から以前と全く変わらない状態になるという皮肉たっぷりのユーモラスな展開。だけど最後は公園の子ども達が楽しく遊んでいるシーンで全てが救われるという憎過ぎる演出には拍手を送るしかなかろうか。

こんな大傑作なので、タイム試が選ぶ、全世界の50年代の映画でトップ1になりました。
多くの映画ファンは異論はないでしょう。個人的には日本映画では最高傑作だと思います。
ほとんど日本映画観ないですけど、これに匹敵する作品ありまかすね?あったら教えて欲しいくらいです。

普遍のテーマの生と死について考え、そして素晴らしい演技と演出に感動出来る素晴らしい映画に出会えただけで、生きる意味があるのかもしれません。

オススメ度(映画評価)・☆☆☆☆☆

セント・オブ・ウーマン/夢の香り

2008-09-02 12:47:45 | 映画
映画100選。第14回。
92年作品。アカデミー主演男優賞受賞作。

監督・制作・マーティン・ブレスト、脚本・ボー・ゴールドマン
出演・アル・パチーノ、クリス・オドネル、ガブリエル・アンウォー、フィリップ・シーモア・ホフマン

~ストーリー~
苦学生のチャーリーは感謝祭の休日を、盲目の退役軍人フランクの世話するアルバイトをする事となる。フランクは秘密裏にチャーリーを連れてニューヨークへ旅立ち、とある計画を実行しようとするのだが・・・。

私は映画で重要視しているのは、脚本と演出である。
しかし、本作の脚本はそこまで素晴らしいとは言えない。演出も文句はないが、賞賛は出来ない。では何故にこの映画がこれほどまで輝いているのか、というと、それはアル・パチーノの超人的演技に尽きるからである。

盲目の退役軍人という見事なハマリ役を掴んだアル・パチーノは、無敵である。
終止目線を動かさないという驚異的な演技。

見所はなんといっても、ガブリエル・アンウォーとのダンスシーン。
ガブリエルそのものが美しいのもあるけど、演技と演出が美しさを醸し出している。

本作以前にも「ゴッド・ファーザー」などの数々の名演をこなしてきてはいたが、タイミングの悪さからか、アカデミー主演男優賞は獲得しておらず、無冠の帝王であった。
だが本作では見事に悲願の受賞。名実共に最高の俳優になった。

助演はクリス・オドネル。この作品以降、彼はメキメキと成長し、ハリウッドスターの仲間入りを果たす。
更に若きフィリップ・シーモア・ホフマンも同級生として出演している。彼も現在名優として名高い。
ガブリエル・アンウォーは美しすぎる。この頃だったか、日本のシャンプーのCMに出演していた。

フランクの頑固で口の悪い憎まれキャラクターが、徐々にチャーリーに心を許していく様が素敵である。
フェラーリの運転シーンも微笑ましい。
ラストのフランクの演説と喝采シーもちょっと大袈裟だけど、感動のまま終わりを迎えられる。

実際初めて家でビデオで観た時は、あまりの感動に画面に向かって拍手した。それほどいい作品であった、というよりはやはり、アル・パチーノの演技に衝撃を受けた。
こんな演技は以前も今後も、もう二度と起こり得ない奇跡であると思う。

オススメ度(映画評価)・☆☆☆☆☆

ジュラシック・パーク

2008-06-16 16:48:30 | 映画
映画100選。第13回。

93年作品。アカデミー特殊視覚効果賞、音響効果編集賞、録音賞受賞。

監督・スティーブン・スピルバーグ
原作・脚本マイケル・クライトン
音楽・ジョン・ウィリアムス
出演・サム・ニ-ル、ローラ・ダーン、リチャード・アッテンボロー、ジェフ・ゴールドブラム、サミュエル・L・ジャクソン

私は小学生の頃から恐竜にとても興味があり、恐竜の図鑑を愛読し、学校の図書館では暇があったら恐竜の本をヘビーローテーションで借りていた。
男の子らしく、デカくて強いものに憧れていた普通の小学生であった。
そして中学生になった頃、物凄い映画があるので観に行こうと友人達から誘われたが、当時は映画に興味が無かったので断った。その映画がジュラシック・パークだった。
偶然だったのかどうかは知らないが、安達祐美主演の恐竜映画「REX」が同時期に公開されていて、どうせだったら「REX」の方を観るわと茶化していた。
その1年くらい後に、家族がレンタルしてきた「ジュラシック・パーク」を観た。
どうでもいいが、その日は滑り止めの私立の高校の受験日で、結構手ごたえはあったので、受かるだろうと思い帰宅した時であった。

なんとなく観た映画だったが、劇中の恐竜を観た時は、サム・ニール扮するグラント博士と観た時同様、開いた口が塞がらず、度肝を抜かれたものであった。多分この時の衝撃は今後無いと思う。
当時のハリウッド映画のCG技術は格段に向上し、CGが現実を超えてしまっていたのである。

スター・ウォーズから始まったであろう、色々なSFやファンタジーやアクション映画は軒並みヒットし、映画界は大いに盛り上がっていた。
自分よりちょっと上の人はスター・ウォーズで興奮していただろうが、エピソード4~6シリーズは自分の生まれる前から始まっており、エピソード1~3シリーズは、ある程度のスペクタル映画でCG技術はやることをやってしまったという時期になっており、結局スター・ウォーズに世間並みには衝撃を受ける事は出来なかった。
だいいち脚本がショボ過ぎるという点もあるしね。そんなわけで自分の中でCGといえばジュラシック・パークを挙げ、多分それが唯一であると思う。
ほとんどのCGメインの映画は一過性に過ぎない流行モノで消えていってしまった。個人的に世間が評価するほどスピルバーグがそんなに偉いとは思わないけど、この作品だけはあまりに素晴らしく感動出来る。

ストーリーは今更書く必要はないけど、単純過ぎてその方が万人受けでき、恐竜に集中できるのでいい。
夢の楽園が一人の欲望であっさり崩壊してしまうという点もシンプルかつリアルでいい。

メインはもちろん恐竜。残念ながら7種類の恐竜しか出ないのだが、やっぱり主役はティラノ・サウルスである!
あの暗闇から出てくるところは本当にちびったね。子ども心に「出たー!ティラノ・サウルスだ!」と思ったし、恐竜好きなら誰でも憧れの存在であった。
やはり「ゴジラ」の影響はスピルバーグにもあったろうし、足音の恐怖はゴジラからきてるだろう。
劇中車を追いかけるティラノ・サウルスのシーンがあるが、最近の研究では、ティラノ・サウルスは時速30kmほどしか走れないらしい・・・。がっかり。
でもこの映画のティラノ・サウルスが現実だと信じている!

そして影の主役はヴェロキ・ラプトル。この映画で初めて名前を知ってショックだった。ちょっとは恐竜に詳しいと思っていたもんで。
このラプトルが恐竜としては遥か高知能で残虐という設定。チームワークで獲物を仕留める狡猾さ。
劇中グラント博士は恐竜が鳥に進化した事を確信しているが、このラプトルは現代のカラスといったところか。
実際はもっと小型であるらしいが、この映画のヴェロキ・ラプトルが現実だと信じている!

他にもブラキオ・サウルス、パラサウロロフス、トリケラトプス、ディロフォ・サウルス、ガリミムスが出演(?)。
メジャーどころがあんまり出ていないところが惜しい!といって続編に期待しすぎるてしまうと大いに裏切られてしまうのが悔やまれる。
だが軽い気持ちで「ロスト・ワールド」、「Ⅲ」を観てもいいかと思う。
そして何と来年には続編が公開予定!これは期待していないけど、恐竜好きとして観ないわけにはいかない。

ジュラシック・パークこそがCGの頂点であり、そしてファンタジーであり、エンターテイメント映画である。
スビルバーグ同様、子ども心はいつまでも忘れてはいけない。それが映画の一番の刺激になるのである。

オススメ度(映画評価)・☆☆☆☆

十二人の怒れる男

2008-06-01 17:11:05 | 映画
映画100選。第12回。

57年作品。モノクロ作品。

監督・シドニ-・ルメット
脚本・制作・レジナルド・ローズ
主演・制作・ヘンリー・フォンダ

私達は来るべき裁判員制度にどう向き合っていくべきであろうか?
個人的にこの制度には大反対であり、中途半端な陪審員制度の猿真似などやめるべきなのだが、決まったものは仕方ない。
そもそも自分は裁判の一般傍聴に行くくらい裁判そのものに興味がある。弘前の地裁レベルなので、大きな事案は扱われない。
大抵、ちょっとした詐欺だの、ちょっとした窃盗だの、可愛い犯罪ばかり見てきたが、傍聴は実に面白く、それは、「演技無き舞台」である。
裁判に興味を持ってもらい、もっと一般社会と密着するといったテーマであれば、この制度を考えた愚人たちが思っているほど、庶民は裁判に興味があるのではないかと思われる。
実際、有名な犯罪事件の傍聴は、全く関係ない人たちが抽選してまで見たいと思っているわけだし。
裁判員制度は重犯罪しか扱わないとしているので、可愛い犯罪をお気軽に評決を出すなんてことは出来ない。
ずぶの素人に、なんでもかんでも簡単に死刑が決めれるのであれば、それは個人としては理想的な法曹界になるが、実際問題一人殺しただけで死刑になんかなかなかならないわけだし、新しい判例を創る事は、ただ面倒という理由だけで出来やしないのが現状である。結局実験的に行って、うまくいかないようであれば、さっさと廃止してしまえばいいのであるが。

前置きが長くなりましたが、この映画は陪審員たちの一室でのディベートをリアルタイムで撮ったものである。
ある父親殺しの容疑者の少年犯罪を、ある程度の証拠によって陪審員達は深く考える間もなく、有罪と決め込む。
だがある一人だけが、単純な疑問から無罪と言い出し、他の陪審員たちも、状況や証拠を熟慮し始め、立場は一転してしまう。そんな話。

陪審員達も一般人であり、生活もある。
この日は記録的な猛暑で、一室は蒸し風呂状態。早く評決を出して帰りたいところ。
仕事が忙しい者、ナイター観戦の予定の者もいる。事件の表面だけを見れば、父親を殺したのは一目瞭然。色んなニュースで、人は一定の先入観を形成してしまっている。
ある一人だけが有罪にするには疑問があるという理由で無罪を主張。まわりの陪審員達は事件と真っ向から向き合いだす。
一人、また一人無罪の主張をし始める。はかどらない状況に陪審員達はディベートを通り越して罵りあう。
犯罪現場の証言や証拠はどこまで信憑性があるのか?仕方無しに選ばれた国選弁護人はきちんと弁護をしたのか?そして裁判の素人の陪審員達に正当な評決は出せるのか?見所は多い。

一室(トイレシーンが少しと、最後に裁判所外のシーンが少しある)のみでの撮影と、編集なしのリアルタイム撮影により、緊張感と圧迫感が伝わる。
リアルタイムなので、なんなしの日常会話もあり、そこからまたストーリーに徐々に密接に関わらせる脚本も見事。
ヘンリー・フォンダを始めとする他の役者達もいい演技である。なので低予算の映画なのだが、完成度はずば抜けて高い。
犯罪事件そのものを取り上げるのではなく、人を裁く恐さや、先入観の恐さに主題を置いているのが素晴らしい。
多分少年は父親を殺したと思うけど、そんなことは重要ではないのである。

人は過ちを犯す。過ちから犯罪を生む。過ちから人を殺す。過ちを犯した人が人を裁く。
無常の世の中で平和に暮らす為に見るべき映画である。

オススメ度(映画評価)・☆☆☆☆

レオン

2008-03-27 03:20:13 | 映画
映画100選。第11回。

94年作品。
監督・脚本リュック・ベッソン
出演ジャン・レノ、ナタリー・ポートマン、ゲイリー・オールドマン、ダニー・アイエロ
音楽エリック・セラ

普及のハリウッドエンターテイメント傑作。たまに観たくなったりするので最近また観た。
あまりにも有名なので、詳しい事は書かなくてもいいでしょう。ちなみに完全版の方です。

フランスでの作品である「ニキータ」や「グラン・ブルー」で評価されたリュック・ベッソンは、ハリウッドに招かれ、このレオンの制作に掛かる。
一応アメリカとフランスの合作という形になっている。

レオンは「ニキータ」のサイドストーリー的な要素もあり、ある意味続編といったところでしょう。
「ニキータ」はフランスでもヒットし、ハリウッドで「アサシン」としてリメイクされる。
この当時のブリジッド・フォンダはいい女だった。

それはさておき、ベッソンもレオンの大ヒットでハリウッドで大活躍、とはいかず、結構ハズレ映画を作ってしまう。だが「TaXi」などのプロデュース作品は成功していった。

ベッソン監督作の「ニキータ」でもジャン・レノは出演しており、「グラン・ブルー」にも出演している。ベッソンとレノはお互いリスペクトしている盟友同士。
ベッソンのハリウッドデビューにレノが見事に主役に抜擢される。
レノはその後人気俳優として数々のハリウッド映画や、フランス映画に出演していく。
何故か親日家であり、それをメディアや企業には大いに悪用されたっけな。

マチルダ役は映画デビュー作のナタリー・ポートマン。これが映画デビューとは信じられない。
12歳なのに、堂々とした演技で、可愛らしいのは当然だが、それでいて子悪魔的な妖艶さ。ロリコンでなくても、このナタリーには惚れてしまってもしょうがない。
この当時に流行ったボブショートがあまりに似合っててキュート。悲しいかな、この時が一番のピークだった・・・。
天才子役として数々の映画に出るが、ヒッとはしなかったと記憶している。スターウォーズは別にやる必要もなかったと思うし。

レノもナタリーも最高だが、最凶ヒールのジャンキー麻薬捜査官のゲイリー・オールドマンの怪演ぶりは見事!
狂気に満ちた気持ち悪いブチ切れ演技。だが、顔はシュッとした良い男。
「シド・アンド・ナンシー」や「トゥルー・ロマンス」でも演技は評価され、このレオンでも高い評価を得た。ハリー・ポッターにレギュラーで出演しているとか。見る気もせんが。

ストーリーは誰でも知っていると思うので、個人的に好きな場面を一覧。
1.ジーン・ケリーの映画を少年の様な眼差しで観賞するレオン
2.マチルダの好きなアニメはトランスフォーマー
3.アパートを出る事になったレオンが、一人きりで出発した様に見せかけて、徐々にマチルダの姿が現われる坂道のカット。
4.その坂道でのOK問答。
5.恋焦がれてお腹が痛い
6.シャンパン飲んで大爆笑のマチルダ
あといろいろあったけど忘れた。
エンディング曲はスティングのいい曲。

役者と脚本と演出が見事に調和する作品にはなかなか巡り合えない。レオンは大衆的なエンターテインメント作品であり、映画が好きな者にも絶対愛される純粋な娯楽作品でもある。
興行的にもヒットしたのには納得せざるを得ない。

ハリウッドが一番元気だった時期だからこそ作り得た、監督、役者の一瞬の輝きが余りにも眩しかった奇跡の傑作。
これからも数年に一回観直してみたい。可愛すぎるマチルダ見たさで。

オススメ度(映画評価)・☆☆☆☆☆

セブン

2008-02-23 18:22:29 | 映画
映画100選。第10回。

95年作品。
監督・デビッド・フィンチャ-
出演・ブラッド・ピッド、モーガン・フリーマン、ケビン・スペイシー、グゥイネス・パルトロウ
脚本・アンドリュー・ケビン・ウォーカー

アメリカのとある大都会で二人の刑事が、キリスト教の七つの大罪に因んだ連続猟奇殺人事件を解決しようとするのだが・・・。みたいな話。

結局、世界で一番恐ろしいのは、人間の狂気である。つまりキチガイである。
ほんの何年か前にオバケホラーが流行ったが、あんなのウンコである。
ジャパニーズホラーが世界で一番恐いとか何とかでハリウッドでリメイクとか何とかあったが、それこそ日本の映画はそんなのでしか通用しないと恥を晒したようなもんである。夜に真っ暗な所で「ワっ!!」と驚かせれば誰だって恐いわ!そんなレベルの映画ばっかり作って、それがまた客がそこそこ入ったし。
オバケ屋敷に入りたがる女・子供が観に行ったんでしょうけどね。
特殊メイクで作られた、本当は誰も見たこともないオバケにしか恐怖、いや(恐怖と快感は紙一重であるから)、快感を求めるのは幼稚だなと思う。
ああいう映画は恐いというよりも、気味が悪い。未知のオバケを実体として見せないと恐怖も快感も感じないなら、もはやそいつらは不感症である。

そんな話は置いといて本題へ。
そもそもこの映画では、最後の「復讐」のシーン以外に、殺人シーンはない。
グロテスクな死体は映っているが、殺害の状況は、会話・写真・死体を通して、観る側に想像を委ねている。
なので、想像力がある人ほど、この映画は恐ろしく感じるであろうかと思う。
「大食」も「怠惰」も「高慢」も殺害の状況を想像するだけでおぞましい事この上ない。それでも一番恐ろしいのは「肉欲」である。これはもう、背筋も凍る、インポにでもなりそうな極悪非道の場面である。
場面といっても、あの器具の写真から勝手に場面を想像しているだけなのではあるが、このシーンが圧倒的に恐怖極まりなかった。

この映画が公開されたあたりは、ブラッド・ピッドが全盛期であり、アイドル化していた。嫁役のグウィネスとのロマンスもあって、映画の宣伝にもなった。
だが、彼はこの映画では体育会系の泥臭い刑事を見事に演じた。無精髭とボサボサの髪型であっても、ファンでなくても男のカッコよさを垣間見れる。

対して相棒のモーガン・フリーマンも、遅咲き過ぎる名優であり、脇役を演じさせたら右に出るものはいないといった地位にまでなった。ここでも哀愁漂わせるベテラン刑事はハマリにハマリ、ピッドとの掛け合いも、おどろおどろしい全体的な内容に、コミカルな場面が組み込まれていて、それも刹那に微笑ましい。

グゥイネスは当時全然美人だと思わなかったが、今観ると結構綺麗だなと思う。
この映画では全くの無名であったが、ピッドとのロマンスもあり、その後アカデミー主演女優も取るほどの実力派女優へステップアップしていく。切ない目つきが、都会で孤独に生きる不安な妻役がピッタリだと思う。

オープニングクレジットでは名を伏せていた犯人こそ、ケビン・スペイシー。
最後に姿を現して、いい所を全部持っていってしまう憎き存在感たるや。
同じ時期に、「ユージュアル・サスペクツ」が公開され、ここでも名演を光らせている。どちらも足が悪いという設定が笑える。
この頃は悪人役ばっかりだったが、今でこそ何を演じさせても様になる名優である。キャストの俳優人は最高だと思う。

監督はデビッド・フィンチャ-。「エイリアン3」が映画監督デビューだったかしら。
あれは別にやらなくてもよかったと思うけど、エイリアンシリーズを撮った監督は売れるというジンクスがあり、このセブンで見事に成功し、フィンチャ-の名は知れ渡った。
本作の演出は文句なし。全編、陰鬱な暗いカット。わざわざハンドライトを使っての恐怖を煽るテクニック。多用した雨のシーンは、都会の華やかさとは裏腹の悲しさと無関心さを現しており、観る側に不安すら覚えさせる。
脚本が最高なので、演出はそこそこでも面白いであろうが、全く気を抜かない、素晴らしい演出をした。その後の作品は結構スベった作品が多い気がするが・・・。

やっぱり何といっても脚本である。とてもよく出来ている。ただの猟奇殺人モノではない、現代の欲望のままに生きる人間に警鐘を鳴らすようなストーリー。
ラストシーンは監督と一緒に、一番最悪な展開を迎えるために書かれた。確か別バージョンのテイクがあったとかなかったとか・・・。
「嫉妬」で犯した罪を「憤怒」によって殺される犯人。誰も救いようのない最低最悪な展開。怒りのままに拳銃を放つミルズをただ何も出来ないで呆然と立っているサマセットの悲愴の表情が最もよい演技。葛藤するピッドの演技に不覚にも貰い泣きした私。こんな結末は悲し過ぎます・・・。
フィンチャ-お得意のサブリミナルは、必要不可欠の小細工であろうか。

罪を犯さない人間はいないが、私たちはこの堅苦しい絶望蔓延る世界で、どれだけ罪を犯さずに生きていかなくてはならないのか。
そして、罪人が罪人を裁く事ができようか?その時神は何をしてくれるのか?何とも罪な映画です。

オススメ度(映画評価)・☆☆☆☆☆

大日本人

2007-07-02 22:15:02 | 映画
久し振りに映画館に行こうと思った。
「マトリックス・リローデッド」振りである。単純に見たい映画がなかったからである。

全盛期のハリウッド映画は勢いを急激に衰え、ネタ不足に陥った。
日本映画が活気であるというが、ハリウッド映画の減衰が大きな要因であり、テレビドラマの延長のような作品が跋扈し、ロリコンファンタジーアニメが世界的にヒットしたと幼稚なアニオタが騒いだところで、結局はここ何年も日本映画に変わりはない。

私は映画が大好きだけど、CMで、観客が「感動して涙が止まりませんでした」などと姑息な手段で動員を促そうとするゴマスリ映画など見るに値しない。
配給側も観客も、落ちるところまで落ちたなと思った。ハリウッドは死んだと確信した。

松本人志が映画を撮っているとはかなり前から知っていた。本作の共同脚本である松本・高須のラジオ番組「放送室」で喋っていたので。
松っちゃんはベテランらしからぬ超多忙なスケジュールで映画制作をしていた。
そして映画は完成し、カンヌ映画祭の正式招待作品となった。そしていよいよ一般公開された。

殆どの映画をレンタルで済ませる私にとって、映画館にまで足を運ぼうと思ったのは、松っちゃんのプロモーション活動からである。
あの松っちゃんが「笑っていいとも」や「さんまのまんま」に出演していたことに衝撃を受けるも、それほど多くの人に自身の作品を見て欲しいのだと感じたからである。
映画の内容をほとんど話さなかったことから、もったいぶっているのではヤキモキした。
しかし、事前の知識・情報を一切知らずに、フラットな状態で見て欲しいとの本人のコメントから、そのために、プロモーションに徹した松っちゃんの心意気に感服し、映画館で観ることに決めた。

しかし、ワーナーマイカルシネマズ弘前で上演してない・・・。
一番近くて、柏のシネマビレッジ8だと分かり、レイトショー狙いで夜8:45から上演。
50人ほど収容の小さな客席。そこには、私を含め、オッサン四人しかいなかった。
却ってリラックスして観れてラッキー。というわけで始まる。

敢えて、おおまかなストーリーを書きます。
先祖代々から、謎の巨大宇宙怪獣を、強大な電力で巨大化して倒してきた大佐藤一家。時代錯誤と世間から叩かれながらも、現在唯一人「獣」と戦っている男の姿を、インタビュー形式で送る悲喜劇。

淡々と描かれる男の日常。セリフひとつひとつに重きを置く演出。
そして悲しき男を演じる役者・松本人志と、他の多くの無名役者たちの演技。
戦闘シーンでは迫力のCG。世界背景、歴史・伝統観、生命・倫理観、業界体質などを暗に含ませた脚本。その多くが秀逸である。

映画がクライマックスに差し掛かるまでは凄く良かった。どんな終わり方をしてくれるのかと期待していたら・・・、正直ガッカリなラストでした。

総合的な感想は、イマイチだったなと。個人的にラストシーンを重要視するタイプなので、あの終わり方に納得できないだけで、途中までは本当に良かった。プッとか、クスクスした笑いの連続であり、老人ホームのシーンなどは泣けてくる。
無駄な伝統という面は、現在の日本の最も考えるべき情緒の問題に深く共感。
子供の獣の、世間の偽善的倫理観の表現もよかった。

それよりなにより、一番評価されるべきは、演技力である。特に松っちゃんの演技は素晴らしい。
セリフまわしはそうでもないが、やっぱり独特の「間」の取りかたである。そして目で訴える演技などは感動すらした。
助演のUAの演技も素晴らしかった。映画に何本か出てることは知ってたけど、ここまで上手いとは知らなかった。
他にも板尾、四代目の爺様(撮影中に亡くなってしまった)、防衛庁幹部、離婚した嫁、スナックのママなど、無名の役者たちの演技がまた最高であった。
インタビュー形式だから、本当にドキュメンタリーみたいなナチュラルな演技だった。埋れておくには勿体無い実力役者たちの今後に期待。

この記事を書く前に、この映画のレビューを見た。本当に賛否両論だね。極端に100点か、0点とか、ざらにいた。
ネットのレビューなので、大したこと書いてないし、「映画代返せ」などの暴論も多くあった。
お前自信の意思決定を否定している阿呆に評価される映画監督も大変な商売である。
いろいろ書いてあったけど、演技の素晴らしさについて全く書いてなかった。どこを観ていたのだろうか?
確かに暗喩たっぷりの小難しい映画だけど、かしこまったり、見抜いてやろうなどという感情が邪魔して「作品」としての評価がなされていない。
本作のCGは、ハリウッド的CG映画に対するアンチテーゼである。それぐらいは理解するべきだし。
多くあったコメントで、「映画でやる必要はない」とのこと。これは全然違う。テレビと映画は影響力が違うのだ。
本人も言っていたが「映画になれば海を越えれる」と。DVDとして作品を出したほうが、ローリスクハイリターンだとも言っていた。それを映画としてのいち作品として、世界中で見ることが出きるが、当然非難される立場を受け止めなければならない。

「ごっつええ感じ」の「トカゲのオッサン」から「ビジュアルバム」路線といった感じの内容で、ベタベタのインパクトある笑いはない。
小さな非現実の人間のおかしさや悲しさが単純に面白いのに、「笑えなかった」という発言もどうかと思う。
映画で「アホアホマン」や「ゴレンジャイ」をやればよかったのかと問いたい。
といっても、私がこの作品に点をつけるとしたら60点くらいだけどね。

もうひとつ感じたことは、「エヴァンゲリオン」みたいだなと。
キモチワルイ怪物に、ひ弱な武器一つで戦うスタイル、そしてラスト。
本作のラストは意図して作っただろうけど、ついつい「予算切れ?」とエヴァの悪夢が脳裏をよぎった。
そんなわけはないんだけど、あのラストは観客側を不安に陥れたと思う。言わんとしてることは勿論理解しているけど、結局曲解されたら何も意味がないわけだし。それは個々の判断ですけど。

天才・松本人志の第一回監督作品として、かなりの高いハードルになって、しかも内容は秘密ということで、多くの動員を記録するも、評価は真っ二つに割れた。
私の過去・現在のお笑いの一番はいまだにダウンタウンだけど、松っちゃんの信者というわけじゃないし、この作品はイマイチだったと声を大にして言える。
ま、これからいろいろな映画を作っていけばいいわけだし、莫大な予算も、もはや回収できたみたいで、映画ならずとも今後に期待しましょうね。

最後に一言。「松本人志は誰よりも人の弱さを知っている。」

オススメ度(映画評価)・☆☆☆

機動戦士Zガンダム劇場版三部作

2007-04-06 21:51:16 | 映画
いまさら劇場版Zを観た。

87年放送のテレビ版を再編集・新カット・リメイクした形の映画版。全3部作。
ガンダム好きな人たちの数ある作品のトップ3は、一位ファースト、二位Z、三位逆襲のシャアとなるのが無難であると思う。

ファーストガンダムは別格として、テレビ版Zはやっぱり面白い。全体ストーリーとして、正義である筈の連邦の暴走によるティターンズの存在。ジオンの末裔アクシズ。勧善懲悪を否定した画期的アニメを踏襲。
何より敵であったシャアが名前を変えて味方になるとは斬新で続編としては嬉しい設定であった。
単純にMSの格好よさ。無駄とも思える変形MSの多いこと。でも格好いいから許す。
そして人為的ニュータイプ「強化人間」。
サイコミュ進化兵器のファンネルも格好良過ぎ。
キャラクターはアムロそのままの主人公カミーユもまた前作同様イライラする性格だか、少しずつ成長する姿が頼もしい。
他にも、アムロ、クワトロ、ジェリド、ハマーンと敵味方全く関係なく錯綜する視点の描き方も面白い。

しかし、この問題の三部作。はっきりいって失敗作。原作アニメを、新しく作ったカットを織り交ぜた内容がまた最悪。全部つくり直せ!と叫びたい。予算不足なのか?始めからそういう企画で通ったのが不思議。昔と今のカットでは、レコア・ロンドなどまるで別人である。

そして大事な編集。三部作各100分しかなく、全300分としても、大事なシーンのカットが目立つ。
ファーストの映画版三部作はそれなりによく出来ていたと思う。テレビ版見ていなくてもそこそこ理解できる内容に仕上がっていると思う。
でも本作はまるっきりダメ。正直編集が下手である。主要なロザミアやフォウがいつの間にか死んでいる。大事なシーンでしょうに。
新しいカット要らないから原作優先にしろ!と叫びたい。そして新解釈と謳ってた最も重要な新ラストシーン。いわゆるシロッコの怨念からのカミーユの精神崩壊による幼児退行。それが全くなくなり、ハッピーエンドになるというもの。度肝を抜かれたけど、これもまた良しかなと冷静に思った。だってテレビ版は可哀想過ぎるから。涙ものだもの。それがZの最大の見所だったりもするからもちろん原作を支持するけど。
主題歌のガクトもないよな。彼がガンダムファンなのはわかるけど。

非難轟々の本作。仕方なし。Zは名作だけに、がっかり。富野由悠季がZをあまり気にいってなかったから、作り直したにしても、こんな出来はひどいね。単純に新ラストシーンだけ作りたいからってだけの理由からなのかね。総集編ってよりは、ダイジェスト版ですよ。名場面特集にもなってない。

生粋のガンダムファンのみがなんとか観られる映画版だった。
初心者にはお薦めできないので、テレビ版から始めましょう。

オススメ度(映画評価)・☆☆

バッファロー'66

2007-04-01 21:55:40 | 映画
映画100選。第9回。

98年作品。
監督・脚本・音楽・主演ヴィンセント・ギャロ
共演クリスティーナ・リッチ、アンジェリカ・ヒューストン、ベン・ギャザラ、ロザンナ・アークエット、ミッキー・ローク

モデル、画家、バイクレーサー、プロボーラー、ミュージシャンという数多ある肩書きのマルチクリエイター・ヴィンセント・ギャロの初映画監督作であり、脚本・音楽、更に主演までこなした彼の、彼の為に作った映画。

主人公ビリーが、地元のアメフトチームに大金を賭け、支払われなくなった為に、身代わりに刑務所に入る羽目になり、なんとか五年の刑期を終えたところからストーリーが始まる。
出所した彼は、両親に獄中の五年間を隠し、結婚したと嘘をついた為に、偽りの妻を実家に招待する事になり、通りすがりの女を拉致し、実家へ向かう。そして、賭けをしたアメフトの試合でミスプレイをした選手を逆恨みして、復讐しようとするのだが・・・。

なんだか無茶苦茶のストーリーであり、斬新過ぎるカメラワークやカット割とコミカルなセリフ。そしてプログレ好きに堪らない音楽。その全てが、映画全体に漂うスタイリッシュさを醸し出している。

「愛らしきダメ男」の主人公は、不器用で見栄っ張り、臆病で女が苦手のダメダメっぷり。
しかし、両親想いで友人想い、高校時代のマドンナに今だに恋する優しい純朴青年である。
見た目カッコよ過ぎのギャロが演じる超ダメ男。そのギャップが一番の笑いどころです。

全体的にゲラゲラと笑えるシーンの連続です。特にモーテルでのシーンはとても微笑ましい。
寂しさから一緒に風呂に入ろうとするレイラが、恥かしがるビリーの隣で佇み、バスタブで縮こまるビリー。滑稽な画にニンマリ。
そして風呂上りに二人でベッドに入り、キスをして、更に先に進むのかと思いきや、ダメ男っぷりを発揮。しかし、微妙な二人の位置にニンマリ。

この映画のギャロの最高の立役者でヒロインのクリスティーナ・リッチがまたとてもキュート。
子役上がりの小柄な、特にきれいなわけでもない女優といったイメージだった彼女だが、本作ではムチムチのボディーで(ただのポッチャリ?)ミニスカワンピがまた物凄いセクシーであり、拉致された後はいつでも逃げれるのに、ダメ男のビリーにずっと付き合っていき、ビリーの心を徐々に解きほぐしていくレイラを好演。
あの若さで母性本能を感じさせる彼女の演技に拍手を送りたい。

効果的に使われた音楽だが、ギャロはプログレ好きであり、特にイエスが大好きである。
ストリップバーの店主を殺しに行くときにかかる「ハートオブサンライズ」がスリリングなシーンにマッチして超クール。
個人的にイエスで一番好きな曲だけに、劇中で流れるだけでとても嬉しい。
ちなみにこの曲は「クイズ」ってドラマでもサントラとして使用された。それぐらい鬼気迫るシーンに最適な名曲。
エンディングもイエスの「スウィートネス」。
ギャロいわく、「私の人生で最高の日は、イエスのベーシストのクリス・スクワイアに食事に招かれた時だ。2番目に最高だったのは、イエスのヴォーカリストのジョン・アンダーソンに会った時だった」 という程の熱狂的イエスファンである。
他にも、キングクリムゾンの「ムーンチャイルド」が、ボーリング場でのレイラのタップダンスのBGMという異色の使われ方に笑うしかない。

当時はこの映画に影響されたスタイリッシュな映画がとても多かった。
それらのほとんどがクソみたいなものだった。ギャロはこの映画で一躍スターになったが、その分後が続かず、一発屋みたいになってしまった・・・。

スタイリッシュラブコメディといった感じのあたたかくもあり、大笑いも出来るカッコいい映画です。

オススメ度(映画評価)・☆☆☆☆