卍の城物語

弘前・津軽地方の美味しいお店と素晴らしい温泉を紹介するブログです

津軽のほとけ

2011-10-02 23:02:33 | 美術鑑賞
弘前城築城400年記念を企画してか、弘前市立博物館で「津軽のほとけ」という企画展が催されています。


津軽地方から名仏との誉れ高い仏像が一堂に会する!との事で行って参りました。
というか、三回も行きました・・・。


企画展料金ではなく、常設展料金なので280円で入館できます!これは魅力的だ。

あいかわらず開館時間は9時半~16時半と短いのが残念なところではありますが・・・。


まず津軽藩の歴史コーナーがありますが、ここはあまり興味ないので無視します!
ここはいつでも見られるしね。


そしてまず「押出菩薩坐像」という10cmほどの小さい銅製の仏像が飾られています。
これはなんと奈良時代に作られたものであるという!
津軽地方なんて陸奥の更に奥なのに、奈良時代にすでに仏教は伝わっており、仏像崇拝の文化もあったというから驚きだ。

隣には「金銅観音菩薩坐像懸仏」もあり、これまた小型の懸仏であるが、平安時代のものでとても貴重な物である。

両者同じく市浦の「湊迎寺」に祀られているので、十三湖周辺がいかに海上交易が栄えていたかが窺える。


隣の展示室、ここが凄い事になっている。
神像などもあるが、メインは仏像です。

明治に入っての神仏分離令は仏教にとってホロコーストみたいなもんで、中でも仏像は各地に逃げ隠れる羽目になる。
それでも仏像信仰する者たちは仏像を匿って、本尊に代わるダミーを提出して難を逃れるなどという話は各所で聞かれる。

岩木山の「百沢寺」の仏像も廃仏毀釈を逃れて各所に散らばった。
そんな仏像が各寺々から何点か祀られています。
長勝寺の「薬師如来立像」と大仏院の「十一面観音菩薩坐像」がみどころ。


ここから仏像の芸術性が極めてレベルアップした江戸時代の作品が並ぶ。
「阿弥陀如来坐像」はどこの所蔵かわからんが、今にも動き出しそうな肉体感が見事。
これで一木造とは素晴らしい。

隣の本行寺の「弁財天像」も素晴らしい!
嫁入り道具なのか?それらしい箱に収められている。
蛇の頭と八臂のスタイルは美しい。

巨大観音でお馴染みの袋宮寺からは「宝冠阿弥陀如来坐像」が祀られる。
阿弥陀如来はシンプルな着衣が通例だが、これは宝冠で煌びやかに飾られている珍しいスタイルである。
宝冠の細かい仕事が見事である。

隣の報恩寺から「地蔵菩薩半跏像」が祀られる。
これまた見事な美しさを誇っている。金色で杓杖を持った半跏スタイル。
京都の弘教という仏師が作ったとか。

その隣は妙経寺の「妙見菩薩半跏像」です。
あまり聞き慣れない菩薩だが、日蓮宗で祀られている菩薩みたいだ。
妙見菩薩は葛飾北斎や勝海舟が信仰していたとの事だ。
赤銅色で、切金模様が美しい。
七代目林如水作とされている。
宝剣を持った隣の地蔵像と同じ半跏像スタイルが並んで飾られる展示がにくい。


そして報恩寺の「十一面観音菩薩立像」が別格の扱いで祀られている。
青みかかった古色仕上げと切金模様の見惚れる芸術性の高さと美しさ。
中心に赤い炎のような光背、龍と獅子の豪華な台座も全体的に有無を言わさぬ細かい仕事が行き届いている。
元々は鎌倉で作られたみたいであるが、由緒ある仏像が弘前に辿り着いたのは何かの由縁があるのだろう。
これは津軽一の名仏とされているが、文句なしに素晴らしい!!
長時間見ても飽きません。そして拝んでしまいました。


特別展示室は民間の仏像が多く、レベルは高くない。
高僧の円空や、黒石の浄仙寺の寂導作の仏像も価値は高いだろうが芸術性は低い。

ここでは有名な貞昌寺の「釈迦涅槃像」が祀られ、バックには長勝寺の「仏涅槃図」が飾られていて、華麗なる演出がみられる。

貞昌寺の「釈迦涅槃像」は一度観てみたいなぁと前々から思っていたが、ここで簡単に観られる事になるとは幸運である。
とはいえ、芸術的観点からみるとあまりよく出来た仏像とは言えないかも。
金色も剥げかかっているのが見えすぎて困る。
でも2mほどの巨大さが迫力があっていいです。

「仏涅槃図」は結構面白い。
仏像展でありながら、これは例外として見事な絵画であった。


そんなわけでものすごい楽しめました!!

所詮、津軽地方の仏像なんて大したことないでしょ、と見くびっていたが、意外や意外、名仏が多くて驚きでありました。
仏像好きは絶対訪れるべきです。

会期はもう少ししかないので急ぐべし!


場所・弘前市立博物館
会期・~10月16日
観覧時間・9:30~16:30
料金・280円
休館日・毎週月曜日

青森美術館開館5周年記念「光を描く印象派展」

2011-08-19 00:46:29 | 美術鑑賞
青森美術館で絶賛展示中「光を描く印象派展」に行ってきました!


7月9日からの企画展であるが、仕事が忙しくてなかかな行けないでいたけど、やっとまるまる休みの先日行ってきました。


16日はまだまだお盆休みの人が多いのか、駐車場はものすごい車の数です。
県外ナンバーの方が多かったかもしれません。

15時半頃にも関わらず館内もすごい人の数です。


うつろう光を捉える印象派絵画は、どのように描かれたのか。
鮮やかな色彩と生き生きとした筆のタッチを生み出した絵画理論と画材とは―。

ドイツ屈指の印象派コレクションを誇るケルンのヴァルラフ・リヒャルツ美術館は、印象派誕生の謎を解き明かすべく、4年がかりで作品を調査しました。赤外線や顕微鏡などを使った科学的な調査を含め、その成果を一挙公開した展覧会は大反響。フィレンツェとウィーンにも巡回し、3会場合わせて60万人が訪れています。

青森のみで開催される日本展には、ヴァルラフ・リヒャルツ美術館から約60点を超える名画とその研究成果が出品されます。さらに日本国内の名品も加えて、時代を超えた印象派の魅力にせまります。


そもそも自分が絵画に目覚めたのは印象派からである。
印象派の絵画はわかりやすいし、光の加減や空間を現実以上に描くという絵画技法は日本人の感性にもあっているようにも思える。


モネ、ルノワール、セザンヌ、マネ、ゴーギャン、ピサロ、ゴッホといった錚々たる大物画家たちの作品が並ぶ。


ただ絵画を展示するのではなく、科学的、技巧的に作品を調査して、いかにして作品を描いたかが分かるような独特な企画展になっている。

各章より見どころを掻い摘んでみる。

第一章より
いきなりのモネの「積みわら」と「睡蓮」が並ばれている。
睡蓮の幻想的な空気感はモネの真骨頂だ。目を奪われる。

マティスの風景画もあるのがちょっとしたみどころか。

第二章より
クールベ、シスレー、カイユボット、ルノワールの風景画が並ぶ。

第三章より
水辺周辺の絵画が並ぶ。
モネも何点かあり。
ロートレックの風景画もあった。

第四章より
マネの「アスパラガス、静物」、ゴッホの「クリシーの橋」、ルノワールの「縫い物をするジャン・ルノワール」と見どころ多し。

ゴッホはいかにもと言った黄色の発色が見事だ。

ルノワールの絵は企画展の中でベストで好きな絵だ。
ルノワールが得意とする幸福な人間が醸し出すふんわり感はこちらにも幸せな気分にしてくれる。
今にも動き出しそうな写実性も意外とあるのに驚いた。


第五章より
ブーグローの超写実的な娘の絵が異端的に飾られている。
これはこれで大変素晴らしいですが。

セザンヌも二品飾られている。
まだセザンヌらしいアンバランスさはないが、セザンヌの緑は映えていた。


第六章より
モネの贋作が飾れているのが面白い。
そしてマネの真作と怪しいのも飾られている。

ゴーギャンの風景画もあります。


そんなこんなで終了。
あれ、意外と少なかったなと・・・。
結構ゆっくりと観覧した筈だが。40分くらいで終わってしまった。

相変わらず常設のアレコは最後に観れるのであとでゆっくりと観るとして、とりあえずの奈良美智の「あおもり犬」も見ておく。


この日も暑かったので喉渇いたからレストランで高いアイスコーヒー飲んでから時間あったのでもう一周した。

好きな作品だけ眺める事にしたけど、印象派の近くで観るのと遠くから観るのと全然違ったりするから面白い。

いやー、それにしても点描の作品多すぎだな・・・。
自分は点描画があんまり好きじゃないのでね。

展示方法も大物を最後に持ってくるとか工夫して欲しかったもんだが。


ま、でも世界的な作品観れて心も浄化された気分になれました。


会期は10月10日までとまだまだあるので、時間があったら訪れてみてはいかがでしょうか。

 

津軽に眠る名宝展

2010-12-29 01:26:25 | 美術鑑賞
弘前城築城400年祭記念事業「津軽に眠る名宝展」@弘前市博物館!!

ま、築城400年は来年なんですが、年を跨いでの企画展の期間になってます。

最近の弘前市博物館は結構面白そうな企画展を行ってます。
いや、以前からやってただろうが、個人的な趣味が変わってきただけとの事か。


そんなわけで平日の15時頃にお邪魔する。

企画展だから800円くらい取られるのかな?と思ってたらなんと!常設展の料金280円ポッキリ!!激安な入館料です。
激安かどうかはこれからわかるのであるが、さっそく中へ。


まずは常設展「津軽の歴史展」です。
津軽藩の歴史や代々藩主の掛軸や、纏わる品々などある。
津軽代々の藩主は芸の才も持ち合わせていたようである。

個人的に興味深かったのは「悪戸焼」があった事か。
何せ悪戸に住んでいるのだから。ま、悪戸焼の窯は下湯口にあったのだけれどね。
今は無き悪戸焼に、陶器の美しさを知る。


中盤は「津軽の刀工展」である。
いわゆる日本刀が多数展示されている。

刀は長さによって名称が違うが、やっぱり太刀が一番カッコいいね。
刀は芸術的価値も持ち合わせているから、観賞にも向いている武器である。


そしてメインの「津軽に眠る名宝展」が終盤に待ち受ける。
弘前市博物館のコレクションに加え、寺院や個人収蔵の掛軸や屏風などが展示されている。

花鳥図が数点あるが、こういった日本的な構築美やモチーフは年のせいか年々好きになってきた。


そしてホールには何と、尾形光琳の国宝「紅白梅図屏風」が展示してます!!!
ま、複製なんですけどね。

意外と知られていないが、あの日本絵画を代表する尾形光琳の傑作中の傑作「紅白梅図屏風」はもともと弘前城所蔵の屏風です。 

ま、藩の財政が逼迫して売り払っちゃったんだろうが、実に惜しい事をしたもんである。
現在はMOA美術館が所蔵している(MOAって何よ、日本のくせして)。

せっかくだから本物レンタルして来いよ!!と誰もが思うところである。そもそも弘前城にあったんだから。
でも弘前市博物館レベルじゃ無理なのかな?だって国宝だし。


余談だけれど、クリムトの絵画の多くは日本画に影響されているが、中でも尾形光琳の影響は高いらしい。
代表作「ダナエ」のケツがブリンってなってる曲線は「紅白梅図屏風」の川の部分に影響されたとの事。


そんなわけで、あまり観賞せずに次へ。

特別展示室には4点の屏風が畳の上に飾ってある。
ま、屏風だからそもそも和室に飾ってあっただろうが、コンクリートの上に畳み敷いてあるから違和感極まりない展示方法ではある。

ここで一際輝くのは弘前の報恩寺所蔵・毛内雲林の「雲龍図・老子出関図屏風」である。
墨のみで書かれたモノトーンの南画であるが、迫力が物凄い。

龍の堂々たる存在感、雲海のダイナミズム、そして老子の緻密な描写、牛の荒々しさ、竹林の野生さ、どれをとっても見事な筆使いに心を奪われる。

他にもいろいろあるが、これだけ観にくるだけでも価値はある。


そんなわけで、意外と楽しめた。
これで280円はお得、とお金の事をいったら下世話だが、やっぱりお得である。

会期は来年もあるし、何と年末年始も開催中との事。
いつもヤル気ない博物館が、来年の弘前城築城400年を記念してはりきってます。

日本画が好きな人は気構えずにふらっと立ち寄ってみてはいかがかしら?

   
 (※展示されているのは複製であり、本物↑は展示されていません)


会期・1月31日まで
開館時間・9:30~16:30
休館日・月曜日(1月3日・10日は開館 、11日は休館)

福富太郎コレクション 華麗なる美人画の世界

2010-07-10 16:34:19 | 美術鑑賞
弘前市博物館で開催中の「華麗なる美人画」展に行って来ました。

午前中に病院に行く用があり、けれどすぐ診察が終わったもんで、ちょっと時間が出来たので弘前市博物館へ立ち寄った。

実はこの展示会に訪れるのは二度目なんですがね。
前回訪れた時はあまりに素晴らしかったので、また来ようと決めてたのだ。

昼の11時頃訪れたが、小さな博物館には似合わず、かなりの人が観賞していた。

今回の展示会は、美術品蒐集家として著名な福富太郎氏の所蔵品の中から、鏑木清方を中心に、上村松園、伊東深水、竹久夢二などの有名画家の作品が70点も展示される。

明治から昭和初期時代の近代美人画が確立された作品ばかりが並び、特に鏑木清方に於いては、20点もの多くの絵画が展示されている。

美術に興味を持ったのは、ルネサンスから印象派時代の西洋絵画からという、基本的なところからであるが、最近は日本画にも興味が出てきた。
それは「なんでも鑑定団」からの影響が多大だ。
鑑定団ではよく日本画の鑑定があるが、大抵は贋作で笑ってしまうけど、数少ない本物を観ては、日本画の素晴らしさをもっと追求しなければと想いに駆られる。
西洋絵画の美術展は各所で頻繁に行われているが、日本画展はそれに比べるとぐっと落ちる用に感じられる。
なので今回の企画展は待ちに待った展覧会である。

いろんな名作がある中で、中でも印象に残ったものを幾つか。

まずはメインの鏑木清方の「刺青の女」だ。
あまりに官能的な女性画で、肌蹴た衣服からチラリと見える乳房には、当時では問題作となったであろうと容易に推測出来よう。
美しさとエロティシズムはほぼ同意の様な、そんな魅力が詰まった素晴らしい傑作。

そしてその隣には大作の「妖魚」がある。
六曲一隻の屏風絵で、人魚が描かれているのだが、西洋的なマーメイドではなく、まさに妖怪の、しかしながら美しさを持った人魚なのである。
これもなかなかの問題作になったであろう、怪しいテーマ作で、強烈な人魚の眼が、こちらを挑発しているかのようで、まさに虜になってしまう超大作だ。

続いて池田輝方の「お夏狂乱」もなかなかの力作だ。
二曲一隻の屏風絵で、日本舞踊の人気演目のヒロインがお夏で、恋人が死んでキチガイになったお夏を見事に描いている。
恋人を失ったショックで、放心となったお夏の描写力は見事だ。

そして山川秀峰の「春雨の宿・時雨降る日」も強く印象に残った。
双幅の掛軸で、二点がセットになって一つの作品となっている。
着物の赤茶色とエメラルドグリーンの発色の良さがあまりに美しいのである。顔料が良質なのもあるだろうが、それに負けずの技量と美しさも併せて見れる。

さらに、松浦舞雪の「踊り」がまた大傑作であった。
二曲一双の屏風絵で、左側に後ろを向いた踊り子、右側に2人の踊り子が描かれている。
この展覧会の全ての作品の中で一番の写実であり、圧倒的な繊細な描写力を持っていた。
三味線や提灯は本物に見間違えるほどの写実力で、さらに踊り子の描写も見事で、素晴らしい大作であった。
堂々たる余白の使い方もこれぞ日本画といったところ。

ホールを抜けて特別展示室に移り、そこで一際光るのが松本華洋の「伴天連お春」だ。
隠れキリシタンのお春が処刑される事になるも、死ぬ前に桜を見たいとの要望を、看守の情けで叶う事になった一場面を描いた作品である。
咲き誇る八重桜をうっとりとした眼差しで眺めるお春の表情は、もはや全てを受け容れる準備が出来た超越した心理を見事に描ききっている。
表情をとっていえば、この展覧会の中で一番と言い切れる名作ではなかろうか。

そんなわけで、あまりに素晴らしき企画展であった。
今では西洋絵画より日本画の方が好きになってしまった。やっぱり自分は日本人だからなのであろう。
特に日本女性独特の美しさは、アングロサクソンの白い肌、金髪、整った顔立ち、そんな要素があろうと決して負けていないと思うし、ま、自分は日本人だから日本女性が好きなんだけれども。

その美しさを見事に描いた多くの有名画家たちの作品に触れられるのもあと数日なので、興味がある人は弘前市博物館へ足を運んでみてはいかがでしょうか?

ま、相変わらず閉館時間が早すぎるのが博物館の名物でありますが・・・。

会期・7月19日迄
開館時間・9:30~16:30
休館日・月曜日
観覧料・800円(一般)

20世紀フランス絵画の精髄~伝統とエスプリ~@鷹山宇一美術館

2010-05-19 01:23:19 | 美術鑑賞
祝!東北新幹線青森駅12月開業!
そして、七戸十和田駅も開業!ってわけで、七戸町の道の駅の敷地内にある「鷹山宇一美術館」の特別展に行ってきました。

弘前からみちのく有料道路を使って、ざっと2時間で到着。
もちろん初めて入る。

七戸町出身の鷹山宇一の作品を常設展示している小さな美術館だが、今回、山形美術館のコレクションを中心とした特別展が開催されている。

まず特別展のフランス絵画から。
有名どころでは、ピカソ、シャガール、ルノワール、ローランサン、ルオー、ユトリロなどの絵画があった。

シャガールは、2点あったが、中でも「花嫁の回想」が、これぞシャガールって感じのカラフルで幻想的な描写が素晴らしかった。

ローランサンは今まで興味なかったけど、この「犬を抱く少女」を見て、絵から伝わる悲壮感が滲み出てたのが、さすが有名なだけあるなと思った。

ルノワールは大好きだけど、「コロナ・ロマノ」という女性の肖像画で、しかも小さいサイズだったので、あんまり感動出来ず。
風景画がみたかったところだが。

ピカソも二点、しかも大きなサイズのものだったが、いわゆるキュビズムで、はっきりいって嫌いなので興味なかった。

他にあまり知られてないが、個人的に気に入ったものを。
・「雪と道の家」/ヴラマンク
・「騎士たちの休息」/アンドレ・ブラジリエ
・「ナイル川の婦人」/ミシェル・ロッド
・「追跡」/ウラジミール・ヴェリコヴィック
・「マリオネット祭り」/ジャン・ジャンセム
などが結構良かった。

ほとんどが、印象派以降の、フォービズムやキュビズムなどの近代から現代のフランスを中心に活躍した画家の作品で、山形美術館のコレクションが多かったようだ。

ちなみに、私は山形美術館に2回訪れて、2回とも臨時休館(そのうち1回は勘違い)で入館出来なかったという、苦い思い出があるので、その山形美術館のコレクションが数点観れたことは、ある意味リベンジになった。

小規模であったが、60作品と、なかなか満足出来るレベルではあったと思う。

他に、こちらの美術館を冠する鷹山宇一作品が数点展示されていた。
もっとたくさんあるだろうが、従来の常設展示スペースが、特別展になってるので、縮小されていたようだ。

七戸が生んだ鷹山宇一。
はっきりいって今まで名前も知らなかったが、展示作品を観ると、これがまた素晴らしいのである。
基本的には、ダークな色を背景に、蝶や花を中心に配置した花鳥画ならぬ、花蝶画である。
とはいっても、白鳥の絵もあったし、暗黒の中にある美をテーマに描いた作品が多かった。
10点ほどしかなく、もっと観てみたかったが・・・。

その隣に「絵馬展」なる、絵馬の常設展示。
七戸周辺の民間信仰の資料などあり。
このスペース削って、鷹山宇一作品を飾って欲しかったが。

その隣には「ランプコレクション」の常設展示。
鷹山宇一は大のランプ好きで、日本有数のコレクターであり、ヨーロッパ製のランプが数多く展示していた。
とはいえ、ランプには興味なし。

以上、小さな美術館ながら、なかなか楽しめました。

庭には実物大の馬の銅像が数多く展示されていて、気軽に触れるのもあり、遠目から見ると本物みたいで面白い。

その先には、建設中の新幹線の駅が見えます。
駅からこの道の駅や美術館まで徒歩5分くらいでしょうか。
今後、七戸に多くの観光客が訪れる事を望みます。

そんなわけで、満足して後にしました。
今後またこの美術館に来る事があるかはわかんないけど、魅力ある企画展を行って欲しいものです。

会期・6月6日迄
開館時間・10:00~18:00(入館は17:30迄)
休館日・会期中は無休

住所・七戸町字荒熊内67-94
電話・0176-62-5858

ウィーン美術史美術館所蔵 静物画の秘密展

2009-06-11 21:34:57 | 美術鑑賞
青森美術館の「ウィーン美術史美術館所蔵・静物画の秘密展」に行ってきた。
会期は14日までなので、終了そこそこギリギリに駆け込み観覧になった。

猿倉温泉に入ってから行ったので、結構遅くの会場入り。16:30くらい。平日ながらそこそこ客はいた。

コレクションは全部ウィーン美術史美術館蔵。ほとんどハプスブルグ家が所蔵してたとか。
展示は4部構成になっており、1部屋ごとにテーマが変わっている。

第1章 市場・台所・虚栄 (ヴァニタス) の静物
有名な絵があるかもしれないが、ほとんどが静物画なので、そんなにインパクトはない。
しかしながらほとんどが写実的でリアリアズムが感じられ、美しい作品が多い。

一番良かったのは、サルガド作「静物・虚栄 (ヴァニタス)」だった。
意味深なポーズの天使が印象的であった。

第2章 狩猟・果実・豪華な品々・花の静物
静物画の代表といったら花でしょう。あとフルーツもね。なぜか狩猟の絵も同じくかざってあったが。

一番良かったのは、デ・へーム作「朝食図」だった。
これも写実のリアルな絵。葡萄とさくらんぼがあまりに瑞々しく、美味しそうだった。

第3章 宗教・季節・自然と静物
季節を顕した自然の絵がたくさん。あと神々の絵も少しあり。

一番良かったのは、ヤン・ブリューゲル(父)作「大地女神ケレスと四大元素」であった。
美しき女神とプットが空を舞、大地には緑と果実が実る平和そのものの絵である。

第4章 風俗・肖像と静物
静物展だけど、ほとんど人物画ばっかり。だけどルーベンス作「チモーネとエフィジェニア」という大作もある。

最後の最後は一部屋にこの作品一点のみ展示。今回の企画展のメイン、ベラスケス作「薔薇色の衣裳のマルガリータ王女」である。これは世界の名画です。
近くで見ると上塗りが何回もしており、結構暈して描いている。印象派に近いような描き方だが、17世紀にこの描き方は革新的だったのかもしれない。
マルガリータと背景の立体感がちゃんとあり、マルガリータは絵から飛び出てきそうな気さえ起きる。
あと、マルガリータは単純にメゴイ!!

ま、企画展終わると最後はアレコ観れます。これはもう、見飽きた・・・。でも素晴らしいです。絶対アレコホールを最後通るから、全部持っていっちゃうズルさがあるね。

そんなわけでまあまあ良かった。ベラスケスのマルガリータとルーベンスの二点みるだけでも価値はあるね。1200円の元はとれる。

会期は14日までなので、あと3日しかないけどまだ行ってない人はどうぞ。

京都 細見美術館 琳派・若冲と雅の世界

2009-05-22 22:40:47 | 美術鑑賞
弘前博物館に細見美術館展を観に行った。

最近「なんでも鑑定団」にハマっていて(ABAで何故か週三回のペースで放送してる)番組を見る中で、特に日本画の美しさを知った。

日本画は西洋絵画とは全くの別物と思ってもおかしくはなかろうか。
特にキリスト教やギリシャ神話を主題としたものや、王侯貴族の肖像画がメインの古典の西洋絵画は最高芸術だと思うし、そこから絵画の虜になったが、近代の西洋絵画は、古典と違い、風景画や庶民やその暮らしを題材としていたりする。
中でも印象派の巨匠たちは、浮世絵などの日本画を参考にしてるので、そのルーツの日本画にも注目しなければと常々思っていたものだ。

そんな中での細見美術館のコレクション展である。
日本画の大物や、伊藤若冲を中心とした「琳派」の絵がメインで取り扱われる。

弘前博物館はお役所仕事丸出しで、9:30~16:30しか開館してなく、やる気が全く無い博物館なので、そんな早い時間に観に行けるわけなく、企画展くらい臨時の職員雇って時間延長すりゃいいのに(どうせ税金だし)、職員は定時に帰るのが何よりの楽しみなのかどうかは知らんけど、そんな市民の声も反映されないダメダメ博物館(ボロクソ言ってるけど博物館の為を思っての事)だけれど、金曜日だけは19:00迄開館してるとの事で、金曜日に何とか行けた。
そんなに広くはないほぼ客がいなかった博物館内をぐるりと回る。

まず大物たちの作品がズラリ。
本阿弥光悦、俵屋宗達、喜田川相説、尾形光琳など、自分でも名前知ってる琳派のスーパースターたちの絵が大体一人一点。でも、そんなに感動するほどの作品は無かったが・・・。
他にも中村芳中、酒井抱一、鈴木基一、鈴木守一、渡辺始興、神坂雪佳などの作品もある。
中でも渡辺始興の「簾に秋月図」は渋い。
薄と月のシンプルな構図に、絵の半分のスペースに簾が掛かっているという大胆な発想に感服した。
酒井抱一の「青面金剛像」も江戸後期作と思えぬ漆黒の美しさと新しさがあり、感動した。

そして伊藤若冲の作品が何点か並ぶ。
中でも「雪中雄鶏図」は逸品だ。写実的な鶏に、背景は竹の葉に積った雪をぼんやりと、しかしふんわりと感触のありそうなタッチで描いている。
よくはわからんが、この絵は名作中の名作に違いない、とても素晴らしいものであった。

他に仏教画もあり、「千手観音と二十八部衆像」と「六観音像より聖観音」が美しかった。
津軽観音巡礼をして、仏教の偶像化による広報活動も、キリスト教に負けず劣らずだと知り、最近じゃ仏像にハマっているほどである。
仏教画は基本的に金色の背景で、単純に綺麗で美しいので、この絵を観て仏教に入信する人がいてもおかしくないほどの華麗な作品であった。

他には「源氏物語」や「伊勢物語」の一場面の挿絵があり、奥ゆかしさを感じ取れた。

更に、引手、長持、装束などの歴史ある物品も豪華に飾ってあった。

なかなか楽しめたが、ちょっと数が少なすぎて物足りなかったのが正直なところ。もう少し作品が多かったら大満足出来たのだが、弘前博物館レベルなので仕方なしとする。
あとライティングが下手だった。オレンジ系の照明は暗過ぎで白色系にするべきだろう。素人だからはっきりとは指摘できないけど、ちょっと暗かったし、ガラス板に自分が反射したりするのはライティングのせいでしょう。ま、これも弘前博物館レベルだから仕方なしと思えば納得か。
でも開館時間然り、改善して欲しいところだよ。(弘前一市民より)

大ナポレオン展

2008-08-16 11:30:29 | 美術鑑賞
八甲田温泉の帰りに美術館へ行った。
現在開催中の「大ナポレオン展」を観る為に。

いつも閉館時間を間違えるのだが、今回も閉館時間ギリギリに到着。
だがお盆シーズンということもあり、駐車場はまだ多くの車があった。
雨も止んで来て駐車場から本館まで傘もささずに行けた。

地下に降りて企画展チケット購入。常設展は何回か見てるのでパス。

言わずもがなのフランスの英雄ナポレオンに携わる絵画や彫刻、宝飾品などの展示を中心とした企画展であります。
個人的には絵画以外あんまり興味ないので、絵画を中心に見て、後はさらりと通りすがることに。時間もないので。

まずは絵画コーナー。展示の多くは東京富士美術館所蔵。
ナポレオン展を常設で見れるコレクションのほとんどが東京富士美術館にあるとはなかなかすごい。あとは個人蔵など。

一番の見所はなんといっても、ジャック・ルイ・ダビッド作「サン・ベルナール峠を越えるボナパルト」である。これを見にきたといっても過言ではない。で、見たのだけど、ナンとも小さい・・・。
この東京富士美術館所蔵の本作は、ダビッドが描いた二枚目になる。なので有名なあの絵画は、一枚目の作である。ま、こちらで我慢しましょう。
有名な話だけど、峠を越えるのにこんな勇壮な衣服と、細い足の白馬で越えられるわけもないので、かなりの誇張を加えたこの作品。実際はラバに乗って峠越えしたのであるが、ナポレオンの威厳を示す為のイメージ戦略の為の絵画である。一枚目の原作はどこだかの美術館所蔵です。

後は世界初公開と謳っていたオーラス・ベルネ作「甦る皇帝ナポレオン」。
個人蔵なので、初公開となるのかな?キリストの復活のような絵画です。

あとかなり良かったのはジャック・フランソワ・スベバッグ作「タボル山の闘い」である。
これは戦争画なのだが、もちろんフランス軍の勇姿を描いたであろう作品。
展示作品の中で最も大きく、緻密な筆づかいによる大作。これは良かった。

他にはフランス革命以前のシンボルの貴族たちの絵画や、ナポレオンの家族や側近の肖像などが多い。もちろんナポレオンの肖像画も多数。絵画は以上。

あとは彫刻、工芸、書籍、宝石など。全くといっていいほど興味が無いので、ほぼ素通りしてた。そしたらあっという間に終わった。んー、ちょっと満足感得られず。でもあんまり期待してなかったので、まあまあ良かったかな。

最後はアレコホール通って帰ることになるのだが、やっぱりアレコは素晴らしい。ナポレオン展なのに、ナポレオン食っちゃった。特に一幕がいいよね。シャガールみたいな青い夜とはよく歌ったもんだよジッタリン・ジン。

そのあと最近極近くで見れるようになった「あおもり犬」を観に外へ。
前までは館内から窓越しにしか見れなかったのだが、外に出て触れるようになった。
触れ合える芸術こそモダンアートだね。犬も喜んでいるはず。
それにしても近くで見たら以上にデカイ。でも可愛いね。犬の周りにフラワーアレンジメントとしていてメルヘンチックであった。

そんなことで色々見て美術館を後にする。ナポレオン展はまあまあ良かったかな。今後の企画展に期待することにしましょう。

ダン・ゲァハルツ展@弘前中三

2008-03-18 04:03:15 | 美術鑑賞
「ダン・ゲァハルツ」って誰だ?
友達から中三で何やら展示してるよとの情報。そして前日訪れた弦やに何故かパンフレットが置いてあり、なかなか良い絵を描くなと思い、中三へ。

中三はデパートのくせに、中の上の階級って雰囲気がして嫌いだ、というどうでもいい話。
展示は6階のギャラリーアルス。

入ってまず度肝を抜かれる。「モロ好み!」と思った。いい女を見つけた時にでも言いそうなセリフだが、実際、絵のモデルはほとんど美女と花である。
展示数は20もなかったかと思うが、3分の2は女の絵。他は風景画や静物画。タッチは印象派だし、実際印象派の画家として扱われているようだが、印象派と写実の間といった様である。冷静と情熱のあいだといった感じでもなくもない。

多くの絵は、女をモデルとして中央に配置し、そして花をあざとく周りに配置するという構図。これは無敵の構図。

私の持論だけど、「絵は美しくなければならない」と思っている。なので絵画は「美しいもの」と「美しくないもの」に分けられる。
評価されている現代絵画はほぼ「美しくないもの」に部類されると思う。
美しい絵画を描くことが古典と思っているのか、独自性を出したいがあまりのアバンギャルドな絵に成り得るのであろうかは知らんが、私は理解も出来ずに、そいつらをスルーしてしまう。
私は美しいものが好きという単純な男である。しかも美しいものは万人に支持される。
じゃ、美しいものを描けばいいのだけど、実は、美しいものを描いても、美しくはならない。そこが画家の才能の有無になってるくるであろう。

絵画はキリスト教の普及という主題を持っていた為に、大きく繁栄した。更に、王侯貴族のための趣味として益々繁栄する。
宗教も貴族文化も排除した、純粋な芸術性のみを追求した大きな流れはやはり、印象派であろう。
私は純粋美として、印象派のメジャーな画家たちを愛している。印象派から絵画の良さを知った。
それはやはり、美しいからである。美しいものはそれだけで芸術であり、それを更に美しく描く事が天分の才を持った画家の使命である。
ダン・ゲァハルツは美しさを何か知っており、美しさを追求し、更に美しく描いている。女も、花も、風景も、煌びやかで繊細で美しい。

神の造りし最高の芸術作品は、美女である。美しい女を見てセックスしか考えない凡人とは違い、画家ならば描きたいと思わなければ異常であろう。
白い肌を持ち得た細身のアングロサクソンを黄色人種が羨望の眼差しで見つめてしまうのはいた仕方の無いことである。
絵から滲み出るアメリカの風景とは感じさせない柔らかな空気感は、ゲァハルツの発明なのかも知れない。

面倒臭いこと散々書いたが、結局言いたいのは、ゲァハルツの絵は美しい!この一点である。
現代美術の嬉しい進歩は、版画の技術が格段に向上したことだろう。庶民が格安で美しい本物の絵画を手に入れれるからだ。
展示してあった油彩画はオリジナルの1点ものなので、百万単位だけど、版画は数十万で手頃。二、三十万の美しすぎる絵が何点もあった。中でも「ライラック」はとても欲しかった。
でも私は貧困階級の労働者階級なので、買えないのだが、いずれ復讐するつもり。いずれ我が家に飾る日がくるであろう事を妄想して中三を後にした。

ロバート・ハインデル展@弘前中三

2007-10-05 23:35:10 | 美術鑑賞
以前に青森中三で催されたロバート・ハインデル展がなんと弘前中三で行われるとの事。

前回にふらっと立ち寄っただけなのに、一目惚れの如く虜にされ、一枚購入してしまうまでにファンになったのであった。
コレクション所蔵のギャラリーから丁寧にお手紙を頂戴したので、更に地元なのでちょっと時間を作って行った。
中三の六階催事場で開催。

前回からお馴染みの作品や、新たに買い付けた初出展の作品も多数であった。
自分の感性に直球ど真ん中のとても素晴らしい作品ばかり。

勿論ハインデルといえばバレエダンサーの絵しかありません。
現代のドガと称されているけど、ドガを完全に超越してしまったね。
ドガはやっばり印象派であるし、バレリーナばかり描いていたわけじゃない。しかしハインデルはほぼバレリーナしか描いていない。そのため人間の最も美しい肢体を手に入れたバレリーナの本質を描けている。
世界各国の一流バレエ団に入り浸って有名無名のバレリーナたちを本物より美しく描いてしまう技量。大胆なバックのシンプルカラーに抽象的なダンサーを大胆かつ鮮やかに描写。

いろいろ説明するのも面倒なので、ちょっとでも美術に興味がある方は、弘前中三へ行ってみて下さい。何せ無料だし。
こんな展覧会は有料でも観れませんよ。しかも気に入ったのあったら購入出来るし。そんなアンタッチャブルな値段ではありません。ほとんど数十万です。

会期は今月九日までなので皆さん急いで行きましょう。ギャラリーのお姉様も気さくで芸術博識でとても話しやすいので、絵画の含蓄でも聞きながらゆっくり観ましょう。
個人的にもう一度行きたいのだが、行ったらまた購入してしまいそうで恐いので多分行かないかも。多忙だし。でもローン地獄に落ちるのもまた悪くないかも。いや、冷静に感えたら無理だ。まさに冷静と情熱のあいだ。

「ホワイトダンサーオンブルー」がめちゃめちゃ美しくて素晴らしい。超欲しい・・・。

それにしてもハインデルの作品のタイトルはシンプル過ぎて面白くないのが唯一の欠点。

四大浮世絵師展

2007-06-24 23:47:28 | 美術鑑賞
四大浮世絵師展@弘前市立博物館。

博物館なんて初めて入った。開館時間が4時半までというやる気のなさを露呈する展覧会。
時間を無理やり作っていった。

日本を代表する浮世絵師たちの代表作が一堂に会する貴重な展覧会である。
誰もが一度は目にしたことのある有名画が多数集結。時間の押し迫る中、鑑賞する。

たった十ヶ月の活動期間に140展もの作品を残した「東州斎写楽」。
実在したかすら怪しい謎に包まれた絵師。役者画という当時のスターのブロマイドを鮮やかに描いた。

美人画でエロ本の元祖を作り出した「喜田川歌麿」。
女の美しさ、耽美さを追求し、いやらしさも醸し出すも、刑罰から逃れるために、女の裸に子供を付け足して親子の絵として誤魔化す。
しかし結局罰せられて絵が描けなくなってしまった悲劇の絵師。

アメリカのライフ誌の「この1000年間で偉大な業績を残した100人」のなかで、唯一選ばれた日本人が「葛飾北斎」。
「冨嶽三十六景」で日本のスーパーアイドル富士をこれでもかと描く。
中でも「凱風快晴」別名「赤富士」はあまりにも有名。これぞ日本の絵画といった情緒溢れる大傑作。
九十歳の長寿での晩年には「あと五年したら本当の絵描きになれるのに」といって死んでいった絵描きの鑑であった。

日本全国の美しさを求めて「東海道五十三次」シリーズを作り上げた「歌川広重」。
この作品は江戸土産として大好評を博したベストセラーだそうだ。
そして「名所江戸百景」でも名を馳せた。自然や庶民の人情を豊かに表現したことから「漂白の詩人」と呼ばれた。

これらの超有名絵師たちの超有名絵画が並ぶ。でもやっぱり、洋画と比べるとあまりにもレベルが・・・。悪くはないんだけどね。

いつものことだけど、疲労と寝不足で、半分寝ながら見てた。だいたい見終わる頃、係員に「もう閉館しますので」と言われる。開館時間が4時半と書いてたけど、4時半まで入館して、5時までやるものだと勝手に解釈してた。でもだいたい見たので帰る。赤富士なんか見直そうと思ったけど、時間ないから帰る。

あとでパンフレット見たら、広重の「大はしあたけの夕立」があったのに気付いたが、なんと見ていなかった!
普通に順路を周ったと思ったのに、どこにあったのだ?あの有名画見逃す始末。退館を迫られていたのもあったしさ。ショック。でもまた行こうとは思えない。

良い絵は良いです。日本人の日本的美意識に訴えかける叙情性が素晴らしいです。けど、やっぱり、同年代でのヨーロッパでの絵画と比べるとちょっと目劣りしてしまうのが正直なところでした。

ロバート・ハインデル展@青森中三

2007-05-23 18:21:05 | 美術鑑賞
今日は日本フィルの青森公演の為、青森市に来たが、先日のKバレエ公演の際、あるポスターが会場に貼られていた。
ロバート・ハインデルの展覧会が、青森市の中三で開催されるとの事。

美術界ではハインデルは正直そんなに有名ではないと思われる。私もほとんど知らないのだけれど、ちょっと前にテレビの「迷宮美術館」という番組で扱われたのをなんとなく見ていた。それで少しだけこの人物のことは知っていた。

ハインデルの作品のテーマは簡潔。ほとんどの作品は、バレエダンサーを描いている。
「現代のドガ」といわれているほどバレエ一辺倒の作品ばかり。
有名・無名問わず、バレエダンサーの、踊っている瞬間、即ち「人間の動き」をそのまま描いている。
中でも、日本人ダンサーもモデルとして多く描かれていて、熊谷哲也や吉田都の作品もあった。そのつながりでKバレエ公演でポスターが貼ってあったのである。

そしてもう一人、ハインデルの多くの作品のモデルとなった日本人がいる。それが、佐々木想美である。
その彼女が、今日の展覧会のゲストとして、トークイベントを開催。

会場でハインデルの作品を堪能しているところで、トークイベントが始まる。彼女とバレエ協会の会長みたいなオッサンが司会をして進行。想美さんとハインデルの交流や、他にもバレエについてのトークが繰り広げられた。初めて見た人だけど、すごいいい女です。当たり前だけどスタイルが素晴らしい。
都さんと同期みたいだから結構な歳のはずだが、いい女。
SHIHOと山崎真実を足して二で割ったような感じ。とてもキュート。

トークイベント終了後、ハインデルのグッズを購入した人には、想美さんのサインが貰えるとの事。
記念にポストカードを買ったら、たまたま想美さんモデルのポストカードで、係員に是非サインして貰いなさいとのことで、ポストカードにサインを貰う。しかしいい女であった。

展覧会は、日本フィルのおまけで来たのだけど、作品が50点もあり、かなりの完成度のしかも好みの作品ばかりで、感激していたけど、コンサートの時間に間に合わないため、じっくり鑑賞できずに会場を去った。無念。
展覧会でありながら、作品の多くが販売の形をとっており、気に入ったのは購入できる。その値段が激安なのである。高いのは100~200万くらいだけど、安いのは2,30万で買える。じっくり見れたら考える値段である。
お気に入りの作品が2,3あったけど、頑張ってローンで支払える値段である。いや、やっぱり激安だ。松尾坂内も「お求め安いお値段です」と言うだろうし、くりぃむしちゅーの上田も「手頃だねぇ」と言うに決まってるほどの破格値。

モダンアートは常に新しいことをしなければならないし、結果的にアバンギャルドになり、素人目にアートかどうかすらわからない難解な作品を作るしかなりえなくなる。だから私はモダンアートが好きじゃない。
しかしハインデルは時代に逆行するかのような作風である。しかし美しいものは時代性すら否定する力をもつ。ハインデルの作品は美しいのである。

ちなみに、ハインデルのファンで有名なセレブリティは、故ダイアナ妃、故高円宮親王、ジョージ・ルーカス、クリント・イーストウッド、原辰憲などである。

彼らの愛するハインデルはもっと評価されてしかるべきである。ドガより確実にいいですから!

27日まで開催しています。休みの日にもう一回行ってみようかしら。その日の気分で購入しような勢いです。とりあえず展覧会としてまた見たいところだし。
もちろん無料ですので、美術好きは見るべし。