卍の城物語

弘前・津軽地方の美味しいお店と素晴らしい温泉を紹介するブログです

わしズム Vol.30 夜明けの復刊号

2012-04-18 00:04:11 | 
小林よしのり編集長の「わしズム」が復活しました。


前号の「前夜」がコンセプト不足で失敗したのか、わしズムとして復刊。

女優が表紙だと何の雑誌かよくわかんらんから売れなかったようですね・・・。


内容はわしズム踏襲で、でも前夜の女性作家ものがやや多め。


特集「女性宮家創設の真相はこれだ!」

まずゴー宣二本立て。

そして小林よしのりと久能靖と友納尚子の対談。

田中卓、高森明勅の評論。

以上これだけ読めば、女性宮家の必要性、皇室典範の改正、男系固持の不可能さがわかる。


続いての特集「AKB48で日本が変わっていく!」

まさかのAKB特集で、よしりんと秋元康の貴重な対談あり。

ゴー宣もAKBについて。

その他AKB評論が7本くらいとアイドル誌並だ。

ま~、普通の言論誌でないところがわしズムのいいところである。

自分はAKBはさほど興味ないが、推しメンは柏木由紀!
あの清楚さと長身と丸い鼻と巨乳が魅力的。


さらにはゴー宣外伝「女について」の第二弾も、よしりんの女遊びについて赤裸々に描いてる。
あそこまで行くと笑える。よしりんはかなり器小さいしね~。


「10万年の神様」は面白くないです。
多分人気無くなったらやめるだろうが。


その他、今回も照沼ファリーザ(晶エリー)のヌードもある!

辛酸なめ子の漫画も好きだな。


そんなわけで、復活したわしズムは前号よりは面白くなりました。

次号も乞うご期待!

前夜 Vol.1

2012-01-15 01:10:57 | 
小林よしのり責任編集の季刊誌「前夜(ZEN-YA)」の創刊号が発売してたので、よくわからんが購入してみました。


ゴーマニズム宣言は単行本でしか読まないので、SAPIOでは前もって宣伝してたかもしれないが、いつのまにか創刊号が出てた。

「わしズム」の後継誌なんだろうと思ったが、内容はさほど言論誌寄りではない。


そもそも「わしズム」は2009年冬号を持って休刊したわけだが、原因は佐藤優がSAPIO編集部に圧力をかけて言論封鎖したのに屈した編集部の態度に霹靂してよしりんの士気が下がったからである。

なのでこの「前夜」は幻冬舎からの発行になったのかな。


さて内容だけど、表紙は満島ひかりである。まさかのグラビアですね。
この女優さん、朝ドラに出てたくらいの印象でよく知らないが、実は懐かしの「Folder」ってグループに属してたんだね!知らなかったわ。


巻頭の漫画はメインのゴー宣じゃなくて、ゴーマニズム宣言外伝「女について」という漫画。ま、愛人の話です。
これをどう取るかで、この雑誌を読み進むるか、切り捨てるか分かれるだろう。
最初は自慢話かいっ!と思ったが、あそこまで赤裸々に描くとさすがに笑える。


続いて、辛酸なめ子、倉田まゆみ、蛇蔵、沖田×華の女子座談会。
ここによしりんがいないのが正解だと思う。
でも3人の漫画が読みたかったな・・・(沖田×華のみ漫画掲載あり)。


次もグラビアあり!照沼ファリーザのセルフポートレートです。
成人男子はこの人見た事あるかもね。晶エリー(大沢佑香)の写真家としての別名義です。
そんなわけでエロイです。


そしてやっとこさメインの「ゴーマニズム宣言」である。
福島原発による放射能問題です。
ガイガーカウンターを持って飯舘村に現地取材している。
現状は極めて危機です。

以下特集の「放射能、どんだけ恐い?」の記事いろいろ。


巻中は「10万年の神様」というよしりんの悲喜劇(?)の漫画。
正直あんまり面白くない・・・。


編集長インタビューでは加藤紘一とのTPPについての対談。
論敵だった加藤と場合によっては同調するからその姿勢は偉いよね。


巻末は西尾幹二の原発についての記事。
これまた最近はよしりんと西尾は敵対してたから↑と同じ。


その他、多くの記事があるが、どれもあんまり面白くなかったなぁ・・・。


そんなわけで、新創刊のこの雑誌ですが、わしズムほど面白くはない。
でも始まったばかりなので、今後に期待!

次回は3月に刊行予定。

TEKUTEKU Vol.9

2011-12-17 00:17:11 | 
年に一度のお楽しみ、と毎回いいつつも、今年はまさかの年に二回刊行された「TEKUTEKU」の最新巻が絶賛発売中!

今回も勝手にTEKUTEKUを紹介していきます!


巻頭特集は「暮らしを豊かにするくふう」です。

「ガーデニングなくらし」「ていねいなくらし」「保存食なくらし」「蒔ストーブなくらし」からなります。
時代はオーガニックなスローライフに転化していくんでしょうか?
自分としてはほぼ興味ない内容ですが・・・。
ちなみに我が家は蒔ストーブです。


続いて「弘前マルシェ」&プロに聞く本格レシピ。

そういや弘前マルシェなる日曜市場が開かれていると噂に聞いてましたが、その市場で買った食材でのレシピとか。
地産地消はいいと思います。
でも料理はしないのでなんとも。


続いて「黒菓子VS白菓子&バラエティなお茶しましょ」です。
やっとこさお菓子特集です。
白っぽいお菓子と黒っぽいお菓子の対決?とお茶をあれこれ紹介してる。


更に「女子会」特集。
女子会の場としての和食屋、バー、レストラン、居酒屋などを紹介してる。


その他「ほっと、AGITATORSⅢ」「おいなりさん考」「弘前の色と香」「おでかけのおとも」「昭和を着(コーディネイト)る」などの特集があります。


そんなわけでいつも楽しみにしてるTEKUTEKUですが、今回はあんまり面白くなかったかなぁ・・・。

個人的にはお店紹介が一番楽しみで参考にしてるのだけれど、今回はあんまりなかったし、主婦の為の特集が多かったような?

編集後記にも書いてたが、やはり大震災が影響あっての巻頭の特集になった気がしますね。

ま、でも今後も楽しみにします。

TEKUTEKU Vol.8

2011-06-23 22:31:13 | 
「TEKUTEKU(テクテク)Vol.8」絶賛発売中!!

あれ?年に一度のお楽しみ、と毎年秋頃に発刊されてるけど、今回は春の発刊になりました。
今年は東北新幹線全線開通や弘前城築城400年祭などで弘前の観光が大いに盛り上がる筈だったので、半年のスパンで敢行されたのでしょう。

しかし、例の如くの東日本大震災により、手放しで盛り上がれるどころか、観光業にも大ダメージを喰らった訳であり・・・。

そんなわけで地震の影響で発売の延期もあってのそれでも今回無事に刊行されました。

本の販売利益の二割は義援金として寄付されるので、支援にもなるし、且つ、相変わらず楽しめる内容となっております。


本の表紙は弘前の有名建築物が並んでおります。
弘前は和洋問わず、歴史ある建物が多いですな。


巻頭特集は弘前の伝統工芸あれこれ。
「津軽塗」「こぎん刺し」「藍染め」など、津軽地方に代々引き継がれる伝統工芸を紹介しています。

古いものは廃れていくものも少なくは無いけど、こういった風情のある工芸品は消えて欲しくないですね。


続いて津軽の夏の風物詩「夜宮(よみや)」特集。
「よみや」は「宵宮」と表記される事があるが、ここでは「夜宮」と書かれている。
「よみや」は津軽地方の神社・仏閣に於いての縁日に当たる行事だが、神社・仏閣の大小に問わず行われている。
夏場の2,3日に一度は必ずどこかで夜宮があるので、津軽人は縁も縁ない神社であろうが、夜宮に通りすがった際はちょっと立寄って出店で食べ物を買って楽しんだりするのである。
そんな夜宮について楽しく紹介されています。


続いてはパスタ特集。
ぺペロンチーノVSカルボナーラである!

ぺペロンチーノは置いといて、自分はカルボナーラが異常に好きなので、これは嬉しい特集である。
これを見ていろいろ巡りたいなと思います。


続いて「岩木山麓ヒーリング&パワースポット」。
明峰であり、霊山である岩木山を詳しく解説してくれている。

岩木山は一つ山としては全国一の美人な山であることは間違いないが、その美しさは年中体感できる。

登山できる山としてはあまりにイージーなのか、評価が低いイメージがあるが、それだけ穏やかな山なのである。
雪国に於いての山としても恐怖を抱いた事もないくらい、さほど荒れ狂う山と思ったこともない。
遭難事故などもほとんど聞いた事ないし。

「岩木山神社」「高照神社」「巌鬼山神社」「求聞寺」などの見どころある神社・仏閣も多い。
もちろん温泉も多く、「嶽温泉」「湯段温泉」「百沢温泉」などの名湯も多い。

そんな岩木山の素晴らしさを改めて認識できる内容になっています。


その他にもいろんな特集がありますよ。

今回も弘前を十分に堪能出来る内容になってますよ~。

TEKUTEKU Vol.7

2010-12-09 23:26:47 | 
年に一度のお楽しみ♪
「TEKUTEKU」最新号絶賛発売中です!

弘前を中心としたウォーキングガイドブックのTEKUTEKUも今回で第7号です。

今回のみどころをお伝えしましょう。


巻頭特集は「レトロモダンツアー」です。
弘前の洋館巡りですね。

中でも教会巡りはお薦めです。
全て無料で入館できるし、ふらっと気軽に入館出来るのもキリスト教の寛大さである。
でも自分は一応仏教徒みたいなもんなので、いつかお寺特集してほしい。

続いては映画「津軽百年食堂」ロケ地を巡る、です。

密かなブームに沸いた「津軽百年食堂」という小説が何故か映画化になっちゃった。
そのロケ風景などを紹介してる。
主演はこれまた何故かオリエンタルラジオ・・・。
ま、だもんで映画は絶対観ませんけどね。


次が「弘前五十年酒場」特集。
「津軽百年食堂」にインスパイアされて、その飲み屋版といったところ。
弘前で長く愛されている飲み屋さんを紹介してる。
ほとんど行ったことないお店ばかりですわ。


そして「ほっとAGITATORSⅡ」では、弘前を中心に活躍している3人をご紹介。
かとうのぼる、菊池錦子、小山隆秀の後三人です。

中でも驚いたのが菊池錦子さんだが、彼女はNHK大河ドラマ「篤姫」の題字を書き、更に来年の大河ドラマの題字も決定しているという書家である。
恥ずかしながら彼女は知らなかったもので、こんな日本を代表する書家が、しかも弘前在住で活躍しているとは驚きでした。

続きまして「BAR OVER 30゜」という、アルコール度数30度を越えたカクテルをバーごとに紹介してる。

ま、カクテルは30度越えてるものがほとんどなので、度数の高さは驚く事は無く、チビチビ味わえば急に酔う事も無いわけです。

それにしても弘前ってなんでこんなにバーがあるんだろ?
ほとんど行った事ないバーだらけで、いつか行ってみたいバーだらけ。


その他にもたくさんの特集が組まれており、今回も充実の内容となっております。

特にお店情報はありがたい。
今後は本で取り上げた気になるお店に訪れてみたいところです。

ゴーマニズム宣言 SPECIAL 「天皇論」/小林よしのり

2010-02-01 02:08:47 | 
「天皇」とは一体何者であるか?
その疑問がスッキリ解決してしまうのが本著である。

お馴染み「ゴーマニズム宣言」のスペシャル本「天皇論」が発売されたのは去年だが、今でも増刷が掛かり売り続けているのは、小林よしのり独特のユーモアとわかりやすい漫画解説、そして膨大な資料を参考とした徹底した事実考察である。

日本国の「象徴」と教わった程度の現在の義務教育のレベルでは、天皇という存在は靄がかかった神秘的な位置としてでしか捉えられざるを得ない。

本著では皇室の基礎知識から、皇室祭祀、日本神話から成る歴史まで丁寧に記されている。
万世一系の天皇が国家元首として今日まで存在し得た奇跡。
終戦後、GHQ統治下に於いても、皇室は護持されたという奇跡。
それは2670年の伝統が成せる業であったという事実。

明治維新から大東亜戦争まで、戦争に利用された武人としての天皇が、自己の身分・生命を顧みず、国民の生命を第一に考えてポツダム宣言を受諾し、玉音放送にまで至ったか。
戦後には縮小された皇室ながら、国民の支えとなり、日本は高度経済成長し、何不自由ない暮らしの出来る国家になったか。

特に近代に於いては天皇の存在は偉大であったが、現代に於いては、目を覆いたくなるような皇室のバッシングが目に付く自由主義が跋扈する情けない有り様。

天皇制度反対などと現を抜かすカルトたちが、実際教育現場に入り込んで洗脳しているという事実もあるのだから恐ろしい。
聖徳太子を厩戸皇子と称し、更には聖徳太子は存在しないという怪説まで飛び出し、そして源頼朝が鎌倉幕府を成立した年号さえ改竄されているのは、全て天皇が絡んでいる為に、反天皇分子が働いた策略だというのには驚いた。

私自身の無知もあるが、年号は天皇が崩御するたびに変わるもんだと思っていた。
そして現在の祭日が元来、どういう行事が催される日なのかは全くもって知らなんだ。

皇室祭祀は如何に大変であり、大事であり、それは日本国民の為に行われているという事が初めて知ることが出来、それに加えて儀式、執務、国賓歓迎、訪問、式典などもあるのだから、天皇陛下の精神性の高さには感服するばかりである。

一般参賀や、地方訪問に於いての、国民の日の丸を振る姿を見る度に、日本もまだまだ大丈夫だと安心出来るのであるが、それもある程度の年齢までになってしまうのは仕方なく、歴史教育としての天皇知識は末端から教え込むべきであるが、現在の教育現場では絶対的に無理なので、本著は小中学校の図書室に常備されておいて然るべきであろう。

この本を読む事によって、欠けていたパズルのピースが嵌めこまれる様な、日本人としての存在意義が天皇を通して確認出来る、そんな有り難い内容なので必読されたし。

オススメ度(本評価)・☆☆☆☆☆

TEKUTEKU vol.6

2009-12-12 23:48:15 | 
一年に一度のお楽しみ。「TEKUTEKU Vol.6」絶賛発売中!!

ちょっとオシャレな弘前観光情報誌「TEKUTEKU」の最新号を頼まれてもいないのにご紹介。

まず巻頭特集「地元食材」
「地産地消」が叫ばれる昨今、地元の食材を扱う店舗を紹介している。
一番人気は大鰐産「シャモロック」。他にも「岩木山麓高原ポーク」、「十和田ガーリックポーク」、鯵ヶ沢の「長谷川自然牧場豚」など、ブランド豚も有名になってきてますね。
全部一度食べてみたいところです。

続いて「夜めし&居酒屋ランチ」
居酒屋などの飲み屋さんでもランチや普通のお食事もやってますよ、という特集。
知らないお店がたくさんあるので食事行く時には参考になります。

続いて「ほっとAGITATORS」
弘前出身の方や、弘前を中心に活躍されてるクリエーターさんを紹介してる。

次に「弘前の酒蔵探訪」
酒なら何でも好きな自分にとって、日本酒はもっと極めなければならないと以前から思っていた。だから今回の特集はかなり興味あり。
「じょっぱり」の六花酒造、「松緑」の斎藤酒造、「豊盃」の三浦酒造、「白神」の白神酒造、「じょんから」の玉田酒造の、弘前の五ヶ所の酒蔵を紹介。
酒蔵の建物って風情があって好きなんだよなぁ。今度酒蔵巡りでもしようかなと思案中。

次に結構飛んで「大人の習い事」
弘前で学べる大人ならではの習い事いろいろ。
中でもブラジリアン柔術に興味あり!だって男ですからねぇ。
コンデ・コマこと前田光世がブラジルに渡って柔道を教え、その教わった柔道を格闘技として昇華させたのがグレイシー一族というは有名な話ですよね。
習いたいけど授業料がちょっと高いなぁ・・・。

その他いろんな特集あります。
大満足な内容とボリュームで500円ポッキリだから、弘前の人は必須アイテムとなるでしょう!

今回も編集スタッフのみなさんはボランティアで作り上げています。
その努力と情熱は十分に誌面に伝わってますので、これからも頑張って欲しいです。

告白/湊かなえ

2009-04-14 01:21:31 | 
「告白」といえばチャットモンチ-のニューアルバムであるが、全く関係ない。
「かなえ」といえばFiction tellerのボーカルであるが、それも全く関係ない。

何かと話題の「告白」を読んでみた。
2009年の本屋大賞を受賞したり、2008年の週刊文春ミステリーベスト1とかで未だに売れているので前から読もうと思って後回しにしてたが、今回やっと買って読んだ。

とある中学のクラスの担任の女教師の子どもがプールで水死した。事故死と判断されたが、犯人はクラスの2人の生徒だった。そして女教師の復讐が行われた。
そんなストーリーです。
ミステリーだから詳しく書いても仕方ないですね。

文章は全て独白体になっている。
全六章からなり、第一章が女教師の告白。第二章が女生徒の告白。第三章が少年Bの母親の告白。第四章が少年Bの告白。第五章が少年Aの告白。第六章が女教師の告白。以上からなる。

テーマは少年犯罪と、母と子であろうか。

犯人を警察に引き渡したところで、少年法に守られて決して厳罰に処せない事を見越して、恐ろしい手段で復讐を果たす第一章の展開は素晴らしい。
ダラダラと全く関係のない話をしているようで全て関連しているという高い構成力が感じられる。
淡々と話しているようで、いかに子どもへの愛情が強かった事をふつふつと感じさせている。

少年A、B、女生徒と、本作に出てくる生徒はぶっ飛んでいる。かといってそんな少年少女がいないのかというと、残念ながら存在する。
個人的な中学生時代と比べてみると、少年A、B、女生徒の肥大化した自我には共感さえ覚える。
私もちょっと間違ったら殺人くらいしてたかも・・・、なんて思う。
そうならなかったのは、家族がいたからであり、犯罪は個人がしても連帯責任で家族が巻き込まれるのは容易に想像できたからである。
家族に愛情を感じず、それどころか憎しみでも感じていれば、一線を越すのは簡単な事かもしれない。

中学生という時期は本当に多感である。情緒不安定極まりない。
高校生ともなれば、ほとんど大人であり、学生という身分が幼稚にさえ成り下がってしまい、実際は自我を確立出来ている筈である。
近年、少年犯罪やら親殺しが増えているとかいわれているが、実際はそうでもないらしい。
インパクトが強い事件は増えただろうが、それは時代も関係しているだろうし、事件の詳細が一般人まで知れ渡るのは、通信機器の発達によるマスメディアの過剰報道からなるもので、事件の数はそんなに変わらないそうである。
特に家族間の殺人は古くからずっと続いているらしい。

西洋は「罪の文化」であるのに対し、日本は「恥の文化」であると説いた者がいた。
一神教の戒律が罪の判断基準であるのに対し、戒律のない曖昧な宗教を持った日本人が如何にして平和を築けたかといえば、それは世間体であるとされる。
世間に顔向けできない行為をすることを恥とし、それが罪と同様の価値基準を持った。
最小の集合体である家族の一人が行った恥晒しが、家族全体にも責任を持たせるようにした事で世間体が生まれ、抑止力になっている。
怒りの矛先が家族内で終わるのは日本の誇れる点と言い切っていいものなのか。
「心中」という単語に当てはまる英単語がないのがそれを顕している。

第三章の少年Bの母親の日記は、あまりにも正直であり、愛が感じられる一番好きな章だ。
家族に全てを捧げる偏愛から、家族を守る為に心中を思い立った深い心情が伝わってくる。

寝る前に第一章から第三章まで読み、面白かったと思い、第三章で終わってもいいなと感じた。
眠れなかったので、今度は残りの第四章から第六章まで読んだ。
いわゆる後半は少年の犯罪心理描写や生い立ちなど描いている。そしてラストは怒涛の展開で終わる。
個人的にはラストはなんか煮え切らない。無理矢理捻じ込んだ様な気さえする。

前半三章は「小説推理」に連載されたもので、後半三章は書き下ろしになっている。そのために少し温度が違うような気がしたのは気のせいではなかった。
前半はとても面白く読めた。後半は続きがあるからついでに読んだような感じだ。

ミステリーだから次の展開が気になるような構成力はあるし、突飛な設定は目を見張るものがある。しかし文章や細かな内容は素晴らしいとはいえない。
だがエンターテイメントとしてのミステリー本としては傑作である。

不振のテレビドラマ業界や映画業界が見逃すわけは無く、映像化するのは必須であろうか。

オススメ度(本評価)・☆☆☆

ポトスライムの舟/津村記久子

2009-03-30 02:57:21 | 
第140回芥川賞受賞作の「ポトスライムの舟」を読みました。

タイトルの「ポトスライム」とは、葉を水差しするだけで育つ繁殖率の高い観葉植物らしい。
一応文中にポトスライムが何度か出てくるので、それを知らないもんで聴きなれない植物だからなかなかイメージしづらかった。でも知らなくてもそんなに差し支えない。

主人公のナガセは工場の契約社員。副業で友人のリツコが経営する喫茶店のアルバイトと、土日にはパソコンの講師をしている。
ナガセが工場で得る年収と、世界一周の旅費がほぼ同額である事から、ふとアルバイト収入のみで生活し、工場の収入を貯金して1年後に世界一周の旅に出ることを考えた。
そんな中、友人のそよ乃が離婚を考えてナガセの家に娘を連れて転がり込む。

決して裕福ではないが不幸でもない些細な日常の中に、いかにして希望を見出して仕事をこなし、生活していくのか。それがテーマだと思います。

芥川賞といえば純文学の新人賞ですが、作者がそんなに有名ではない事から、新人と同様と扱うのはいいとして、文章は決して純文学ではない。
緻密な描写、叙情的な表現、詩的な文体などは本作では感じ得ない。
自分も全く持って詳しいわけではないが、芥川賞の受賞作としては決していい評価を得ていないように思った。
レビューなどを見ると、絶賛などほぼ無く、酷評の方が多いほどだ。
かといって駄作などでは絶対にしてない。個人的な評価は、優秀な佳作と言える。

そもそも編集者が勝手にイメージ操作したから、評価が低くなってしまったと言わざるを得ない。
この御時世の非正規労働者の実態や、心情が描かれているような文句を謳っているが、それは全く持って違う!!
主人公はただ契約社員というだけで、さほど金に困ってはいないし、しかし目標するものが存在しないからただひたすら貯金し、欲も弱く浪費せず、趣味も持たず有効な時間活用としてひたすら働いているだけのことである。
根本的なテーマを履き違え、勝手に植え付けた販売戦略に本作の価値が作品の意図に反して捻じ曲げられてしまったのは不幸なのか。
それとも同じ境遇の輩が「蟹工船」よろしく購買し、ベストセラーになったのは幸なのか。

芥川賞選考委員の村上ナンチャラが「自分のコントロール出来る世界しか描いていない」みたいなこと言ってたが、作者の実経験が生かされた内容や、地元の町の描写などがあってもいいではないかと思うのだが。
元医者の作家は医療をテーマで描くし、元弁護士の作家は法律をテーマで描く。そんなの当たり前じゃないか。
元工場勤務の経験があったらそれを事細かに描いたら何故いけないのだろうか。理解に苦しむ。
それに地元の奈良の描写が詳細で、少し煩わしくも感じたが、地元の空気感や生活感というのは、そこで働いて暮らさないと絶対に描けないと思う。
作家が旅してその地方を舞台として描いても、やはりそんなに伝わってはこない。そこで生活していないからである。
作家は、想像からいかにして創造するかだが、読者が疑問に思わない程度だったら何でもアリという考え方は疑問に思う。

特徴的なのは、登場人物は全て女性という点だ(男の課長がちょっと出るけど)。
30手前の独身の女というのは複雑な心情だろうと安易に推測出来る。かといって既婚者でも、問題は個々にして多々あるだろう。
そんな日常的な問題がテーマで淡々とストーリーは進むから、人によっては本作が退屈に感じるかもしれない。
個人的には些細な日常の一コマというのが好きだから、リアルな心理描写には共感を覚えずにいられない。

そしてこの作品の一番のテーマは「仕事」であると思う。
「仕事」とは、「働く」とは何だろう?と純粋に疑問に思うのは実は女性ならではないかと感じた。
高校や大学を出た女性はまず就職し、そして結婚・出産の為に離職する。その後、家計に余裕のある者は専業主婦になり、余裕の無いものはまた復職するか、パートなどの仕事をする。
勝手な推測だけど、世の多くの女性はそんな過程を経ると思う。
世間的な結婚適齢期というものを逃した女性は、「仕事」を人生上、どう捉えるか考え抜くと思う。
運命的に巡り合えた天職でも無い限り、生活する為に否応無く働く人は大多数であろう。
生活する為に仕方ないと働き続けるか、新しい仕事を探すか、または結婚相手を探すか。

男性は働くという葛藤が絶対的に低い。自堕落な奴は置いといて、結婚しようがしまいが、必然的に働かなきゃならないから、「仕事」とは何かというのを深く考えないのかもしれない(業種や仕事の内容や人間関係は別として)。

別の作品だが、「働きマン」でもそれは感じた。
女性だから「仕事」とは何かを客観的に見れるのでないかと思えた。今までそれをテーマとして扱った男性作家はいるのだろうか?(エッセイとかは別として)。
そんなテーマがこの作品から充分に感じられ、身に染みる思いでページを捲った。

私自身、正社員、派遣労働者、アルバイト、農業などいろいろ働いたが、「生活する為」を抜きにしてみると、「仕事」って一体何だろうと悩んでしまう。
「人生の最高の幸福は好きな仕事に就く事だ」と誰かが言ってたが、全くその通りだと思うし、そんな人間は一握りしかいないだろう。

世界一周を目標として節約生活する動機はほとんどなく、思いつきでしかない。それでも単調な生活にスパイスを与えるべく、それに向かって地道にゆっくりゆっくり歩む姿は美しいではないか!!

私自身も、ニヒルな日常から些細な希望を見出し、ゆっくり何かに向かって歩みたい。そう思わせてくれる勇気強い本である。

同時収録の「十二月の窓辺」も「仕事」について考えさせられます。

オススメ度(本評価)・☆☆☆

TEKUTEKU vol.5.5

2009-01-12 14:38:34 | 
一年に一度のお楽しみ。年刊の弘前観光情報誌テクテクのvol.5.5が絶賛発売中!
去年の11月に発売してたけど、忘れてたので今回ご紹介。
創刊五周年を記念として、今号は特別号となっております(だからvol5.5なんだね)。でもvol.6が発売してないから、実質第六号みたいなもんです。
今号はほとんどお店紹介になっております。

まずは「弘前の唯一店」特集から。
弘前の老舗中の老舗の職人の仕事から、お店の歴史を紹介している。銅器や革具、投網店など弘前に唯一存在する歴史ある専門店の職人たちに感服。

続いて「ワンコインツアー」。
100円、500円のワンコイン内でこんなもの買えるよ、といったあれこれ。
ほとんど食べ物だが、ペンやキーホルダーなどの小物、ネイルサロンやプール・体育館使用料などの、格安で利用できる情報など。

次はカフェの「イートイン」情報。
市内の有名カフェでのドリンクとスウィーツのおすすめ情報など。
コーヒー好きじゃないし、気負いしそうだから、カフェは行くことないのだが、本心は行きたいと思っているのである。

さらに弘前の「カレーロード」
弘前市内はカレー専門店が少なすぎて残念だと思い続けていたが、カレーが美味しそうなお店が少しでもわかったので、そのうち行ってみたい。

巻中特集は「弘前観交劇場」
「弘前巻交劇場」とは、弘前観光コンベンション協会が薦める、弘前の新しい形の観光ツアーである。
その弘前巻交劇場の冬の観光ガイドになっております。
寺院・教会などの名所巡りから、三味線の聴ける居酒屋や、ちょっと座敷の高そうな和食や洋食の名店紹介など。

そして去年8・9月に開催された「弘前カクテルコンペティション」での詳細など。
弘前はやたらバーが多い。もちろんレベルが高い店が多い。
未来の名店のバーテンダーになるべく、自身の腕を披露する若きバーテンダーたちのコンクールの結果や、各々考えたオリジナルカクテルを紹介している。
毎年開催されているが、一度行ってみたいもんである。

その他、B級グルメ特集、てみやげ特集、「かだれ横丁」情報など、もりだくさんの内容になっております。
弘前に29年住み続けているけど、まだまだ知らないところはたくさんあります。このテクテクの情報には大変助かっています。
テクテクはほとんどボランティアの方々の手によって作られています。出来るだけ購入して売上に協力しましょう。さすれば来年以降もテクテクを読み続けていくことが出来ますので。
編集部のみなさんにはこれからも頑張っていただきたい。応援しています。

乳と卵/川上未映子

2008-11-26 14:37:26 | 
久し振りに、今の作家の本を読んだ。

仕事の食事休憩中には大抵雑誌を耽っていたのだけれども、決まってそこそこ身に付く特集を組んでいる雑誌などそうそう無く、思い切って現代の小説でも買ってみようと思ったけども、如何せん、今、この現在、誰が活躍しているのか全く持って知らず、だけれどもこういう場合には、賞を獲得した作家を選んでおいて、まあ妥当かと思った訳で、何と無しに憶えている記憶から、最近芥川賞を受賞したとか、そして何だか実は歌手だとか、何だか美人だとか何だかで、結構話題になっていたこの「乳と卵」を読んでおいて損はしないだろうとのことで、仕事中に気軽に読む事にしたのであるが、弁当食べながら読んでいたので、そこまで集中して読んではおらず、この独特の文章にはなかなかさらりと読み進めていけず、けれども読み終わってみると、さすがに芥川賞を受賞しただけはあるなと、しかしながら昨今の芥川賞だか直木賞だかの受賞作の傾向とかはよくわからんし、他の作品など読んだ事も無しで、唯一、選考委員の石原都知事の「太陽の季節」を読んだくらいかで、あれは全くもって面白くもなんともなかったが、この「乳と卵」については、都知事はボロクソに批判していたらしいが、そんなことはどうでもいいのだが、一応話題になっただけあってなかなか素晴らしかったと感じ、だがまた一度読み返してみて、改めて小説として久し振りに感動したので紹介しておく事とする。
(↑の文章は本作の作風に感化されちゃった)

娘の緑子を連れて豊胸手術のために大阪から上京してきた姉の巻子と暮らす三日間の物語。

文章は読点が遥か遠く感じるほどの長々とした改行も無い、「」もない関西弁のセリフもも混じった口語体の何とも読み辛い文体。
最初はそう感じるが、読み進めるとすぐ慣れる。

関西お笑い人によって、第二の標準語となった関西弁も何の違和感も無く、しかしながらこの文体は、関西弁でしか成立し得ない。

途中、挟み込むように緑子の日記が描かれ、演出が上手い。
そして表現力も鮮やかである。純文学としての文体の問題は置いといて、主人公のふとした思惑、考察の描き方が現代的ではあるが言い得て妙というか、単純に楽しい。

登場人物は三人全員女性。
豊胸手術を受けようとする姉。そして初潮を迎え女に成り始めた少女。それを見守る主人公。

この問題はどんなに知識を得ても、男には決して解けない謎である。
奇麗事ではなく、純粋に男と女は違う生き物だなと感じる。自分の為にするのか、潜在的に男の気を引く為なのかは正確には明らかにはせず、その一件の誰かと誰かが討論する場面も微笑ましい狂熱。

多感な思春期とだけでは言い表せない母子家庭での葛藤に陥る緑子。話せば話すほど傷つけてしまうジレンマに、会話を拒否して筆談する異常なコミュニケーションは思いやりであり、私28歳ですら共感。
話すとパワー使うし、言い返すとストレス溜まるし、だから言葉を飲み込んで表に出さなくなるが、結局はコミュニケーション不足から関係が悪くなってしまうんだけれども。

クライマックスは衝撃の展開。溜まりに溜まった感情のぶつけ合いは、ただの親子喧嘩みたいにもみえるが、この出来事が親子の大事件であり、それこそが不器用な表現で分かち合った絆に感動して涙さえ出てくる。

著者は、少し前まで売れないバンドのボーカルで、自身のブログの文章をたまたま見た編集者が、彼女の独創力に感銘して、小説を書くように薦め、デビューしてすぐに芥川賞を受賞したという異例の遍歴。
ま、大抵の小説家はデビューまでなにかしらの仕事してるだろうが、音楽から小説への転身が珍しい。彼女には音楽の才能がさほどなかったろうが、文才が認められた奇跡にはドラマがある。

著者自身も言ってるように、本作は樋口一葉に影響されているらしい。「たけくらべ」へのオマージュだとか。

第138回の芥川受賞作の本作、そして同回直木賞の桜庭一樹。そして139回の芥川・直木賞も女性。一部では話題作りの選考として批判されてたが、ま、面白けりゃどうでもいいやというのが率直な意見。

同巻には短編の「あなたたちの恋愛は溺死」収録。
イイ女っぽい屁理屈染みた持論を展開するも、結局はただの不細工みたいな話だが、これはそんなでもない。

本作は、生物としての女から決して逃れられない宿命を記した傑作である。

オススメ度(本評価)・☆☆☆☆

ゴーマニズム宣言SPECIAL パール真論/小林よしのり

2008-09-05 13:12:05 | 
小林よしのりのゴー宣SPの新刊をやっと読破。
SAPIO連載でのゴー宣を編集してのスペシャル本はここ最近では「沖縄論」「靖国論」「いわゆるA級戦犯」「平成攘夷論」をリリースし、いずれも話題になった。

ゴー宣は思想漫画といわれているが、個人的にはゴー宣は新たなメディアだと思っている。
薬害エイズ問題、オウム問題、慰安婦問題と、常に時代の潮流の先駆者となって問題に取り組み、闘ってきている。
そこらの学者や政治家より、博学で、常識者である。少しゴーマンなのではあるが・・・。

本書は、東京裁判で判事を務めたラダビノード・パール氏が書いた判決書を中心に、「パール判事」の著者の、学者の中島岳史を徹底批判している。

本の構成が今までのゴー宣とは違い、半分近くは文章で、うち3分の1ほどが「改題パール判決書」と、パール判決書の要約文になっている。

そもそも中島岳史の「パール判事」という本が、一部の学者や論壇から大絶賛されていることに始まる。
しかし実際の本の内容は、インチキデタラメ本であるとよしりんは見抜き、膨大な資料検証により、パールは真に何を伝えたのかを詳しく記している。

東京裁判は事後法によって不当に裁かれた日本への、戦勝国の報復裁判である。
この東京裁判で判事を務めたパール氏が書いた反対意見書が実に興味深い。

パールはA級戦犯全員を無罪の判決を下している。当時の国際法を鑑みての、真っ当な判決なのであるが、しかしながら当時の世界情勢の中、この判決を出すのは生半可な精神では決してない、パール氏の強い信念が職務として表れている。
当時の侵略行為は致し方ないものであり、アジアへの侵略を肯定し、欧米列強から守ることが義務とさえ言っている。そしてアメリカの原爆使用を痛烈に批判もしている。

本書は著者のイデオロギーというよりは、いまだまかり通る戦後贖罪意識から歴史を歪曲する者への批判、そして真実を描いている。
小林よしのりを好きだろうが嫌いだろうが、新しい未来へ進むためにもう一度振り替えなければならない過去を知る為に必要な最重要資料と割り切って読んでみることをお薦めしたい。

オススメ度(本評価)・☆☆☆☆☆

TEKUTEKU vol.5

2007-10-26 17:58:10 | 
一年に一度のお楽しみ、TEKUTEKU vol.5遂に発売。
というか、一ヶ月前くらいから買ってたけど、時間無くて読めてなかったので、やっとご紹介。

弘前のお店や観光名所のガイドブックといえばわかりやすいけど、基本的にちょっとお洒落。若い人向けな感じはある。
カフェやバーやスウィーツショップの紹介は、普段なら入りにくかった所でも、店内やご主人などの情報が伝わってとても役立つ。

今号の内容。
表紙は弘前の一般人の女性9×9=81人大集合。美女(?)揃い。

巻頭特集はローカル鉄道の、弘南鉄道大鰐線を巡る旅。線路界隈のお店なんか写真を通して紹介。

続いて、弘前を中心に活躍するシャンソン歌手の秋田漣や、弘劇の立ち上げから現在まで活躍する福士賢治などのインタビュー。

特集は弘前美人考察。ちゃんと読んでないのだけど、女の永遠の追求するテーマの美しさを考えてる。インタビューやファッションなど盛りだくさん。
いつも思うけど、弘前って美人が山ほどいるよね。石を投げれば美人に当たるというぐらい。いいことだ。その理由が少しでもわかる特集です。

他にはお馴染みのお店紹介。ランチや、シュークリームとアップルパイだったらこの店みたいな。スタンダードカクテルで勝負ってな感じのバー紹介など。

更に、弘大探検や弘前に関するトリビアっぽいのもあるし、大満足の内容です。

実は自分はあんまりお店とか詳しくないので、当ブログのお店紹介には必須のこのテクテク。いつもお世話になってます。
今号も弘前人に欠かせないアイテムになっております。

国家の品格/藤原正彦

2007-07-19 23:49:03 | 
今更だけど、読み直した。
二年前くらいに話題になって買い、読んだ後は、この本がもっと売れて欲しいと願った。
結局200万冊以上売れた大ベストセラーになった。
現在もまだ売れ続けているらしいが、それは素晴らしいことである。

歴史をきちんと勉強した者は、日本人が世界最高の民族であるということに否が応にも気付かせられる。
それを否定するものはただの不勉強か、ただの戦後洗脳教育に冒された者か、ただの外国カブレか、ただの左翼である。

数学者として世界を飛び回った著者が見た各国の人間性というものが描かれているのが興味深い。いわゆる国際人として、日本を俯瞰して、本当に必要なものが何かと説く。

結局大衆は愚民だが、少数の真っ当な常識人が、日本を愛していて、ほんの少しでもいいから、日本がいい方向に向かうのを望んでいる。

文章はとてもわかりやすく、丁寧で、ジョークまじりで書かれているので、小学生からでも読めると思う。
内容はほとんど理解出来なくても、云わんとする事は汲み取れる筈である。なので学校の図書館に十冊は置いて欲しいと切に願う。

本の内容は敢えて書きませんが、まともな勉学をした人ならほぼ共感できると思います。
この本を否定する輩が、日本を腐敗させている本人だと言い切ってもいいでしょう。

考え方は人それぞれですけど、誇りと想像力が欠けた人間は、未熟な人間です。
そんな人間が政治家の大多数を占めているのが嘆かれますが、少数のまともな政治家に期待しつつ、それを選ばなければなりません。

個人的に著者の言葉の99%を支持します。
思うに、誰も先の時代を読むことが出来ないし、誰も時代に順応出来ていないのだと思う。それを
出来ると勘違いしている人間がまず、大事なものを捨てるのだと思う。

たかが一回戦争に負けただけである。それだけである。私たちは本当に必要なものを選び、捨てず、間違ったものに見切りをつける時が来たのである。

オススメ度(本評価)・☆☆☆☆☆

海と毒薬/遠藤周作

2007-07-14 20:15:16 | 
「あ」アタック25、司会の児玉清です。
「い」いつものように、VTR問題からスタートです、どうぞ。
「う」海と毒薬などで知られる、クリスチャンとしても有名な作家は?
「え」遠藤周作!
「お」おみごと!
(華丸大吉の児玉清のあいうえお作文のネタより)

大戦末期の九州大学でのアメリカ人捕虜の人体実験という、実話を基にした物語。

しかし、残酷なテーマとは裏腹に、実験に関わった人物の現在・過去の心理描写が主立って書かれている。

第一章は、主人公勝呂が、実験の数十年後に、しがない町医者となり、ある男の患者に過去を調べられる。
その過去に振り返って、若き勝呂と同僚の戸田がいかに実験に関わっていくかが描かれる。

第二章では、実験に参加した看護婦の手記と、戸田の幼年期からの回想による手記。
そしていよいよ行われる実験に迎える勝呂の心理が描かれる。

第三章は、ついに行われた実験を通して、今まで登場した人物たちの錯綜する心理・思惑が描かれ、終わりを迎える。

幾人の主人公が場面によって変わり、過去を振り返っての手記を通して、人物たちの人生が細やかに、如何にして実験に参加することになったかを明確に表した。

この手法は、映画などでもよく見られるが、個人的に好きな手法である。
一人の主人公の人生より、多くの主人公の交錯が、現実として他人の共同体によって形成される「私」の多方面から見た描き方が好きなのである。

人体実験など、大戦中では致し方ない行為であると思うし、それ以上の実験を島国で二回も行われたと思うと、残酷性など微塵も感じないが、その時代に各々が、医療の進歩のため、実験行為そのもののため、自分の将来のため、名誉挽回のため、報復のため、そして、何のためでもない、という様々な思惑が、ドラマティックに流動する。

空襲で死ぬ者、病死する者、戦って死ぬ者、実験によって死ぬ者。全ての命は平等か? 倫理的疑問を投げかける。

一番好きな場面は、看護婦の手記。
女の情念、嫉妬、空虚感。男の強欲的な行動に相反する自暴自棄的な感覚的に生きる姿に美しさを覚える。

この傑作には「悲しみの歌」という続編があるらしいので読んでみたい。

オススメ度(本評価)・☆☆☆☆