ロック100選。第21回。
73年作品。2枚組アルバム。
邦題「四重人格」
フーの最高傑作といえば「フーズ・ネクスト」を挙げる人が多い。もちろんそれはわかる。
次いで「マイジェネレーション」だろうか。でもやっぱり「トミー」は外せまい。
それがフーの一般の評価であろうかと思う。だが私が選ぶフーの最高傑作はダントツで「四重人格」である。
コンセプトアルバムを作らせたら世界一のロックキチガイアーティスト、ピート・タウンゼント。
セカンドの「クイック・ワン」のタイトルトラックは一曲そのままコンセプチュアルな構成になっており、次いで「セル・アウト」はラジオ番組風のコンセプトアルバム。
そしてロックオペラというかつて無い未来のロックへの挑戦に「トミー」は成功した。
それに気を良くしたピートは「ライフハウス」というとんでもない構想を描いていたが、画期的でそれでいてあまりにも無謀だった為に頓挫。
結局失敗のもとに作った「フーズ・ネクスト」は意外にも最高の評価を得た。そして懲りずにまたコンセプトアルバム2枚組みの大作を完成させてしまう。
正直、歌詞は読んでないのだけど、世界観はなんとなく伝わるし、何より圧倒的に音楽面が凄いからそちらは後回しにしておくことにする。
ハードロックギターバンドとしてのフーはこのアルバムでは半分の力に抑えられている気がする。全体的にシンセサイザーやブラスセクション、サンプリングなどが多用されており、この当時にスタジオで出来る限界の音を追求している。
一曲目から荒ぶる海の音に、アルバム全体を凝縮した序曲的構成で始まる。こんなスターティングナンバーに度肝を抜かれ、だからといって、お得意のギターロックサウンドナンバーは聴けない訳ではなく、一曲個々としての秀作も多数ある。
M2「リアル・ミー」はギターギャンギャンの風車ブンブンのギターと、何故か音量がデカイ、ジョン・エントウィッスルのバキバキベースが唸りまくる。そしてラッパ隊がこの曲をより一層華やかなものに作り上げる。
M5「少年とゴッドファザー」もハードロックな気持ちいいナンバーで、キース・ムーンも爆裂してます。観客も盛り上がってます。
一枚目ラストのM10「アイブ・ナット・イナフ」もタテノリの曲で、途中の転換が面白く、最後はロジャー・ダルトリーのスクリームと電車の通過した音がダブって終わるというニクイ演出。
二枚目は「5:15」のホルンとシンセサイザーの小気味いいリズムに酔いしれてスタート。ホルンはジョンが吹いている。ホルン吹けるロックアーティストなんて聴いたこと無いけど、「トミー」でもこのアルバムでもジョンのホルンは大活躍。
そしてなんといってもD面が凄いのである。たった3曲だけだが、このアルバムの総括する重要な3曲である。
二枚目M5「ドクター・ジミー」
とてつもない盛り上がり魅せる。ここまで来たらロックは究極の音楽と思わせてくれる。無敵のシャウトのロジャー、ギターとシンセで全ての世界観をメロディにのせるピート、ここでも唸りまくりのリズムちょっと無視のテクニカルなベースを披露するジョン、爆裂太鼓連打のキース。この曲聴いて少し泣いた。
M6「ロック」
ロックって何だろうか?このインストナンバーで全てがわかる。ザ・フーこそロックである。
M7「愛の支配」
悲しきクロージングナンバー。ピアノとティンパニの旋律から始まり、最後の最後はシンプルなバンドサウンドに戻り、圧倒的ボーカルで歌そのものの存在感を示したロジャーは偉い。
最後はこれでもかとド派手なコーダ。このアルバムが終わるのが惜しいと感じてしまう。
このアルバムはライブという得意の場所を無視し、ロックの追及と世界観だけを表現したアルバムなので、結局バンド形態のサウンドより、シンセ、ブラスの音が多いため、ピートの身勝手なソロ演出作品と捉えている輩もいるようだが、そんな奴は阿呆である。
このバンドケミストリーは信頼から成り得ている。だからこそのロックの、音楽の進化としての曲作りであると結論付けるのが正当な評価である。
久し振りに聴いたのだけど、ここまで素晴らしいと思わなかった。こんな感動する作品になかなか出会えることが出来ないし、日本でのフーの評価はやっぱり低いなと思う。でも理解できる奴だけ聴けばいいだけの話でもある。
恐らくピートはオーケストラを意識しての作曲なのだと純粋に感じる。ブラスはそのままだが、バイオリンパートはシンセサイザーで表現し、低音部はベース、打楽器はドラムという最小限オーケストラを実現したかったのではないか?これはあくまで推測なのですけどね。最新鋭のシンセサイザーの音の多様性に惚れたわけがわかる。
「トミー」が「ロックオペラ」ならば、このアルバムは「ロック交響詩」と銘打ってもおかしくなかろうロックの金字塔である。
オススメ度(ロック評価)・☆☆☆☆☆
73年作品。2枚組アルバム。
邦題「四重人格」
フーの最高傑作といえば「フーズ・ネクスト」を挙げる人が多い。もちろんそれはわかる。
次いで「マイジェネレーション」だろうか。でもやっぱり「トミー」は外せまい。
それがフーの一般の評価であろうかと思う。だが私が選ぶフーの最高傑作はダントツで「四重人格」である。
コンセプトアルバムを作らせたら世界一のロックキチガイアーティスト、ピート・タウンゼント。
セカンドの「クイック・ワン」のタイトルトラックは一曲そのままコンセプチュアルな構成になっており、次いで「セル・アウト」はラジオ番組風のコンセプトアルバム。
そしてロックオペラというかつて無い未来のロックへの挑戦に「トミー」は成功した。
それに気を良くしたピートは「ライフハウス」というとんでもない構想を描いていたが、画期的でそれでいてあまりにも無謀だった為に頓挫。
結局失敗のもとに作った「フーズ・ネクスト」は意外にも最高の評価を得た。そして懲りずにまたコンセプトアルバム2枚組みの大作を完成させてしまう。
正直、歌詞は読んでないのだけど、世界観はなんとなく伝わるし、何より圧倒的に音楽面が凄いからそちらは後回しにしておくことにする。
ハードロックギターバンドとしてのフーはこのアルバムでは半分の力に抑えられている気がする。全体的にシンセサイザーやブラスセクション、サンプリングなどが多用されており、この当時にスタジオで出来る限界の音を追求している。
一曲目から荒ぶる海の音に、アルバム全体を凝縮した序曲的構成で始まる。こんなスターティングナンバーに度肝を抜かれ、だからといって、お得意のギターロックサウンドナンバーは聴けない訳ではなく、一曲個々としての秀作も多数ある。
M2「リアル・ミー」はギターギャンギャンの風車ブンブンのギターと、何故か音量がデカイ、ジョン・エントウィッスルのバキバキベースが唸りまくる。そしてラッパ隊がこの曲をより一層華やかなものに作り上げる。
M5「少年とゴッドファザー」もハードロックな気持ちいいナンバーで、キース・ムーンも爆裂してます。観客も盛り上がってます。
一枚目ラストのM10「アイブ・ナット・イナフ」もタテノリの曲で、途中の転換が面白く、最後はロジャー・ダルトリーのスクリームと電車の通過した音がダブって終わるというニクイ演出。
二枚目は「5:15」のホルンとシンセサイザーの小気味いいリズムに酔いしれてスタート。ホルンはジョンが吹いている。ホルン吹けるロックアーティストなんて聴いたこと無いけど、「トミー」でもこのアルバムでもジョンのホルンは大活躍。
そしてなんといってもD面が凄いのである。たった3曲だけだが、このアルバムの総括する重要な3曲である。
二枚目M5「ドクター・ジミー」
とてつもない盛り上がり魅せる。ここまで来たらロックは究極の音楽と思わせてくれる。無敵のシャウトのロジャー、ギターとシンセで全ての世界観をメロディにのせるピート、ここでも唸りまくりのリズムちょっと無視のテクニカルなベースを披露するジョン、爆裂太鼓連打のキース。この曲聴いて少し泣いた。
M6「ロック」
ロックって何だろうか?このインストナンバーで全てがわかる。ザ・フーこそロックである。
M7「愛の支配」
悲しきクロージングナンバー。ピアノとティンパニの旋律から始まり、最後の最後はシンプルなバンドサウンドに戻り、圧倒的ボーカルで歌そのものの存在感を示したロジャーは偉い。
最後はこれでもかとド派手なコーダ。このアルバムが終わるのが惜しいと感じてしまう。
このアルバムはライブという得意の場所を無視し、ロックの追及と世界観だけを表現したアルバムなので、結局バンド形態のサウンドより、シンセ、ブラスの音が多いため、ピートの身勝手なソロ演出作品と捉えている輩もいるようだが、そんな奴は阿呆である。
このバンドケミストリーは信頼から成り得ている。だからこそのロックの、音楽の進化としての曲作りであると結論付けるのが正当な評価である。
久し振りに聴いたのだけど、ここまで素晴らしいと思わなかった。こんな感動する作品になかなか出会えることが出来ないし、日本でのフーの評価はやっぱり低いなと思う。でも理解できる奴だけ聴けばいいだけの話でもある。
恐らくピートはオーケストラを意識しての作曲なのだと純粋に感じる。ブラスはそのままだが、バイオリンパートはシンセサイザーで表現し、低音部はベース、打楽器はドラムという最小限オーケストラを実現したかったのではないか?これはあくまで推測なのですけどね。最新鋭のシンセサイザーの音の多様性に惚れたわけがわかる。
「トミー」が「ロックオペラ」ならば、このアルバムは「ロック交響詩」と銘打ってもおかしくなかろうロックの金字塔である。
オススメ度(ロック評価)・☆☆☆☆☆