この時の私には、引き返すという考えが浮かんでいませんでした。その時の自分の立ち位置、遥か校庭の対角線上の向こう側を眺め、そこから続くだろう出口を見詰めていました。その時の私の頭には、グランドを渡るという一点しか無かったのです。
しかしそれ以前に、私はグランドを一目見た時に、ある衝撃を受けていました。懐かしさでしょうか?。自分でもそれは確かに有るかなと、かつての学び舎の影にふと感じていました。が、それ以前に、もっと大きな衝撃の感動を私はこの時覚えていました。 『凄い、確かにこんなには為るんでしょうね。』 まあそんな物だ、と私は思っていました。放置された空き地です、あなたもそういう土地を思い浮かべてみてください、大体分かると思います。 あなたのイメージしたその空き地は、ほぼ荒れ地として正解していると思います。が、その時私が目にした荒れ地は、私の予想した、長く放置された土地とは様相が少し違っていました。『何だか違う。』。 何だか違っている、私は思いました。家から歩き続けて来た歩を止めて、ふいと私は短息すると、生い立つ雑草の灌木林、とでもいうような光景、一本一本の緑の草が、揃いの丈で、前後左右と等間隔に生い、立ち、広がっている。そんな光景を染み染みと眺めました。 何処かで見覚えのある光景。私には、その光景が過去の私の記憶の中に確実に存在している様だ、という不明瞭な靄を感じ始めました。湧き出し始め、そのするすると蒸気の様に吹き初め映る、白く緩やかな噴出物を脳裏に感じた時、私の胸には小さなもどかしさが無意識の内にぼんやりと宿ったのでした。最新の画像[もっと見る]
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