自分達の話に如何にも感心して感じ入った風情の叔父に対して、してやったりという様に甥は微笑むと、
「でもね、反対の時もあるんだ、上の伯父さんがお母さんを叱ったり、後で妹によく言って聞かせるとふんぞり返っていたり。」
そう言うと彼は、内緒話の合図の様に片目を瞑り、密やかに目を輝かせて叔父の顔を見上げるのでした。
さて、彼は兄の家から這々の体で帰宅していました。直ぐ近くの自宅に帰る道すがら、先程の甥達から聞いた話を思い返してみます。
『それでもなぁ、確かにあの子達ははしかい(賢い)よ、けれど、どう言うものかなぁ、子供らしさが無いと言うのも…。』
彼は考えてみます。自分の子があんな風に父さんの言う事は云々。それは何々でしょう。ああして欲しい、こうして欲しい、等々。そんな事を大人に言う様な、結構に大人びた世間擦れした子に育つというのもなぁと、また、そういう風に教育されています。等言い出された事には、俺も困るよなぁ…。今でさえこましゃくれていると思う時がある…なのに、あれ以上に生意気になってもらってはなぁ…。
「困るなぁ。」
彼は冴えない声で口に出すと、味気ない顔をして地面をポンと蹴りました。