Jun日記(さと さとみの世界)

趣味の日記&作品のブログ

今日は春分の日

2025-03-20 09:40:02 | 日記
 春のお彼岸です。中日とか。こちらは良いお天気です。雪がちらついた昨日とは違う、暖かな日になりましたね。10年に一度という気象予報をよく聞いた今年度でした。世情不安の現れでしょうか。私にすると、世界の情勢が気候にも影響を与えているような気がします。地球規模の変動という気がします。
 3月も後10日程です。4月からは新年度、いろいろ変化の多い月です。何があるかと不安でもあり、また、楽しみでもあります。

靄 3ー9

2025-03-18 08:54:03 | 日記
 歩き続けながら、実際にこの身に何かしらの引力を感じているという現実を、私は有りの儘に受け入れるべきだと思いました。一体何が如何なっているのか、身の回りに何が起こっているのか、これは真実神のなせる技なのか?。この場所が神社なだけに、人の計り知れない畏敬の何かがこの現状を引き起こしているのか?。私は観察してみようと試みるのでした。
 先ず私は、自分に掛かる何かしらの力を分析してみようと考えました。そこで身に掛かる力に注意を向けると、後方への引力を感じるのは私の体全体というよりも、私の下半身部分だけのようでした。下半身に注力すると、如何もその力は足の方向、靄に覆われている部分だけに強く感じるようでした。そう気付くと、私は自分の足元に掛かる白い物体の動きに留意するのでした。
 如何も、靄の中、気流はするすると滑るように動き、確かに私の後方へと流れて行っている様子です。私はその事に気付くと、足に力を込めて立ち止まりました。そうして更に靄の中をよくよく眺めて見ました。すると、その中には白い色の他に透明な何かが流れている事に気付きました。これも白い水蒸気の筋が存在するからこそ気付ける事で、目に見える物体の動きから無色の流れが見えて来るのでした。なる程、と、私は自然の大気の動きに感動すると、その地表近くの気流を面白可笑しく眺めていました。
 が、それはそれとして、この場から離れたい、神社から一刻も早く出なければという、先程の決定事項を思い出しました。私はこの場を脱出するという第一の目的を思い出したのです。好奇心も程々にしておかなければ、気の向く儘にこの場に踏み行ったからこそ私はこういう体たらくに陥っているではないか。私は先を急ぐ事にしました。
 重い足を引くように歩き始めて、私が前方を見ると、靄はもうすうっとした筋のような薄い物となり、私の足の踝辺りの所迄低くなりました。流れは依然後方へと向かい、靴の先端から側面を擦り、すうっと筋を引くように流れ滑って行くのでした。こうなると足運びも楽になり、私は直ぐに参詣の為の石畳の上に辿り着きました。ここでは冷気を足裏に感じるのみで、私はコツコツとした足音を立てると、ただ只管神社出口への行程を辿り、思い掛けずの容易な脱出劇となりました。
 さて、私はこの当時、やはり脳裏に境内奥の小川の事を思い出していました。振り返り靄から脱出しようと試みた時、私はふとあの奥に存在する小川の事を思い出していました。そうして先に進まなくてよかったと安堵しました。又、靄が霧のように沸き立てば不用意に境内へ踏み込んだ私は方向感覚を失い、何時の間にか奥に迷い込んでしまったかもしれないと、その事を危惧しました。私が小川と出会ったのは小学生の頃でしたから、成人したこの頃にはすっかり忘れ果てていました。本当に忘却とは忘れ去る事なりですね。しかし危険というシグナルは胸に折り込まれているようです。
 私は境内から脱出すると、鳥居を潜り、日差しさす日向に出ました。暖かい、そう思うとホッと安堵しました。私の耳には小鳥の囀る声が聞こえ、ふうっと深呼吸すると新緑の清々しい香りが胸いっぱいに広がりました。ここは明るく暖かい。再度認識すると、私は今来た道を振り返りました。境内の中、石畳が延びる参拝路の向こうに本殿が見えました。私は御免なさいとお辞儀をしました。今日は祭りの翌日です。前日迄続いた賑やかな喧騒に疲れた身を休めていたであろう、この神社の御神体にお詫びしたのです。折角の朝の微睡の中、ホッとした安堵、静寂を取り戻した平日の朝です。その憩いの中へ私がズカズカと土足で踏み入ったような気がしていました。私はその事を酷く反省したのです。御免なさい、ゆっくりお休みください。私は合掌するのでした。

靄 3ー8

2025-03-17 10:56:11 | 日記
 そんな事を数回、私は追い掛けても追い掛けても、それを拒むように後退する靄の様子に、何だか自分が揶揄われているような気分になりました。私は馬鹿にされているようで自尊心が傷ついて来ました。靄を追いかける事繰り返し、3度目程でむうっと向っ腹を立てた私は、もう辞めたとばかりに靄との鬼ごっこに区切りを付け、その場に立ち止まって靄を睨み付けました。ふんと、鼻息を吐くとくるりと靄に背を向けました。
 私は振り返ると神社入口、自身の背後の光景をその日初めて見ました。すると私の後方は、神社本殿へと続く石畳の延びる所迄、境内の白い靄で覆われていました。私はそれと気付かない内に、もうこの靄の中に入り込み、既に靄の中に立っていたのでした。この事態に私は驚きました、一瞬、その現実に驚愕し、恐れを感じた私は震撼しました。
 私の今いる位置から神社の入り口までは、約7、8メートルは有るでしょうか。その時の私には近くは無い距離だと感じました。そして、巨木の陰が降りる境内の暗さが、私が感じている恐怖に益々拍車を掛けました。『急いでこの場を出よう!。』、私は決心しました。
 早急に境内から出る事を念じながら、又後方を気にしながら、私はそろそろと足を踏み出しました。数歩歩くと、気のせいか後方に引き戻される気配を感じました。私は気のせいだろうと思いました。これは空元気のような物でした。神秘的な現実を受け入れたくなかったのです。実際、私を取り巻く足元の靄の流れは、私の後方、神社奥へと向かっていたのでした。

靄 3ー7

2025-03-14 10:07:08 | 日記
 ふっと足元に気付いて、私は自分から間近な場所に視線を落としました。煙のように漂う頼りない白い影、白い物体の先端辺り、これがこの白い物体の正体を告げていました。「靄だ!」これは靄なんだと、突如私は合点しました。
 雪のように見えた白い物が眼前遥かに広がる世界、それは今や私の目に雲上の世界のように見えて来ました。すうっと気流に乗り揺れ滑る、そんな白い筋さえ見分けられるようで、私は益々この自然現象に興味をそそられたでした。私は雲海の上に立ちたい、この天上のような世界に足を踏み入れたい、この靄の中に立ってみたい、そのような気持ちに襲われて、興味の向く儘赴く儘に靄の中に足を踏み入れました。
 ゆっくりと数歩歩んで、私はもう靄の中にいると思いましたが、目の前の靄は私から離れて、神社奥へと後退していました。おや、と私は思い、もう少し進まなければ靄に追い付かないと、幾分急足で前進しました。するとあともう少しの所で靄に辿り着ける場所まで来ました。私が立ちたいと希望する靄の中は、もう眼前直ぐの場所に有りました。
 これで入れると、私は靄の中に第一歩と、自分の足を下ろしました。白い塊に足を下ろしたと思うのですが、その瞬間、相手はそれを見計らったかのように私から後退しました。靄は私の直ぐ先でくぐもるような曲線を地上に下ろすと、私から遠ざかり、丸みを帯びたその嵩高の端にもったりと侍らせた濃い湯気の塊を見せているのでした。数十センチ程の高さの飽和した水蒸気、大気に溶け切れなくて出現した物体の色彩は、私の目に塊の中で対流しているようにも見えました。
 私はもう少しでそれに追い付くと、再び歩みを進め、その都度相手は遠去かりと、こういう様相になり、私にすると海岸での引き潮を追い掛けるよりは緩やかでしたが、相手と鬼ごっこをするように、靄の波打ち際を追い掛けるのでした。

靄 3ー6

2025-03-13 11:07:33 | 日記
 ふぅん、と私は思いました。如何してここへ入って来てしまったのだろう。そこはもう木陰の位置で、暗さの差す薄暗い場所でした。境内の大木から、も、そうかもしれませんが、この入り口付近にも幾本かの雑木、中低木が植わっていました。それらからの陰にも思える日陰の場所でした。陰の降りる場所に、私の心にも前進に気乗りし無い影が差していました。
 境内入口の前で躊躇した私は、周囲に気を配るように左右前後と見回して見るのでした。すると入口前の横手に設られた手水舎の水盤が目に付きました。私はそれを眺めました。こちらは旧い物で石の劣化がかなり進んでいます。既に新しい大きな物が鳥居の外、別の近い場所に立てられてから幾星霜、こちらの旧い物は私の幼い頃から殆ど使われなくなっていました。
 「私の若い頃はこちらの手水舎を使っていたのよ。」、と、珍しく母が私と連れ立って境内に来た時、私は彼女から聞いた事がありました。私が神社にいる時、母は殆ど姿を見せませんでした。共に遊んだ記憶も、そう多い物ではありません。ふと、今日も私は1人でいるなぁと思いました。しかしこれは母に限った事で、私の幼い頃は、私は親戚の子等と連れ立ってここに来ていました。子供時代は子供同士、何時も誰かしらとここで複数人で遊んでいました。
 さて、私はその見慣れた古さに微笑むと、水盤に彫られた文字が目に入りました。洗心か。呟くと、私は如何してこの陰に来たのかしら?。という疑問が再び胸に浮かびました。するとさっと、一抹のオカルトめいた不安を感じました。
 そうそう、境内入口、敷居の石の付近に何かを目にしたように感じたからと、私は入り口の白っぽい石に向き直ると、再び目を凝らしてそれを眺め始めました。
 やはり何も変わった物は発見できませんでした。そこで私は、それは私の気のせいだったのだろうと考えました。それでも、腑に落ち無いものを感じつつ、私は何思う所なく日頃の習慣で、つっと片方の足を石段に掛け、ぐいっとそこを昇ると、遂に境内に足を踏み入れました。
 私はそこから、真っ直ぐに本殿へと続く参拝用の石畳を進まずに、石畳の側面に有る広場、大木が散在して聳え立つ開けた場所、懐かしく、何時も遊んでいた広場へと向かう事にしました。かつては入口から駆け込むと、その勢いの儘一散に走り込み、遊びに向かう境内の広場です。すると、私の目はそこに、真っ白に降り広がる物体を捉えました。地面を覆う何物か、私はそこに不思議な見慣れぬ物を発見したのです。それがこの神社の靄でした。
 私は巨木の根下、蔓延るように広がる白い靄を見ました。それは余りに平坦で白くシンとして静寂でした。それは私にとって最初雪かと見紛う程の何物かなのでした。その為この時の私は自分の目を信じる事が出来ませんでした。この季節にまさか?、と思うと、私は、しかも昨日ここに来た時あそこに雪は無かった。昨晩は雪の降る気温でも無かった。と、唖然とした儘暫く自分の考えに没頭していました。