Jun日記(さと さとみの世界)

趣味の日記&作品のブログ

土筆(212)

2018-09-30 10:00:55 | 日記

 本とにこんな事を言う言葉なのだねと、そんな事を力なく言い、祖母はしょんぼりした感じで力なく佇むのでした。そんな部屋の物静かな雰囲気を感じたのでしょう、次の部屋から蛍さんの祖父がふいに現れました。

「如何したんだ、何かあったのか?」

そう祖父は祖母に言葉をかけたのですが、祖母はぼんやりと考え事をしているらしく、やはり言葉が無いのでした。

「お祖母ちゃんに何かしたのかい?」

何があったんだと、祖父は今度は責めるような目つきで蛍さんを見詰めました。お祖母ちゃんは如何してこんなになったのかと祖母の事を真剣な口調で孫に問い質しました。

「私、」

蛍さんはこの時、今日の蛉君の言った言葉、お前が掘った穴云々の言葉を思い出しました。また自分はあらぬ疑いを掛けられていると思うと、今回は憤りより涙が湧いてくるのでした。家族にさえ誤解されるのだと思うと悲しくなって来るのでした。私、そう言いながら泣き出すと、何も、何も、と言葉になら無い言葉を祖父に言う内に、ひっく…、彼女はしゃくり上げて泣き出すのでした。

 蛍さんは祖父とは殆ど会話した事が無く、この時祖父への対処が分からなかったのでした。父ならうまく冗談のようにその場を澄ます事が出来る術をしっていましたが、家にいる時の、祖父の普段に無いこの様な生真面目な態度に出会うと、やはり真剣に彼のその怒りを受け止めてしまうのでした。よく言われる様な気心の知れない相手、この頃の祖父は父とは違う、彼女にとっては気が置け無い相手では無かったのでした。


土筆(211)

2018-09-29 09:34:19 | 日記

  『これがよく聞く子供の反抗期なのかな?この年で?。』もう親の言う事に逆らうとは、こんな時どう対処するのかまた調べておかないといけないなと、父はこの場は、子の相手をするのはここまでにしようと思いました。

 押し黙った父の様子に、このいきで一気に父のお小言の難を逃れようと、蛍さんは畳みかけて言うのでした。

「それに、お母さん、私と遊ぶよりお父さんと遊んだ方が喜ぶと思う。」

お父さんとお母さんは夫婦なんだから、という娘の言葉に、あんぐりと口を開けて目だけが笑った父でした。

「あらまぁ、…。」

お前、なぁと、父はあとの言葉を飲み込むと、無言で娘の頭を撫で、

「お前はもう家に入って、お祖母ちゃんと遊んでいなさい。」

とだけ言い残して照れたような仕草で玄関から出て行くのでした。後にはしてやったりというような満足気な笑みを浮かべた蛍さんだけが玄関に残されていました。

 ただいまと蛍さんが玄関から高い敷居に上がり、最初の部屋に入って行くと、その部屋の入り口の戸のすぐ真後ろに祖母が立っていました。蛍さんはそんな戸の影直ぐに祖母がいたのでびっくりしました。

 「吃驚した、お祖母ちゃん、そんな所にいたの?」

と尋ねる蛍さんに、無言で顔を背けるようにした祖母です。蛍さんは、何時も笑顔で愛想の良い祖母のそう言った行為を初めてみる気がしました。この時、彼女は祖母に対して機嫌を損ねるようなことをした覚えがなかったので何だろうと思いました。

 「お祖母ちゃん、如何したの?」

機嫌が悪いの?私お祖母ちゃんに何かした?そう幾つか尋ねる蛍さんに、彼女はぽつりと独り言だけを漏らすのでした。

「子は鎹か…」


土筆(210)

2018-09-28 13:06:08 | 日記

「駄目だろう、友達と遊ぶ時に我が儘いっちゃ。誰とでも仲よく遊ばないと駄目だ。ぷんぷんしてちゃいけないだろう、そんな調子だと誰も遊んでくれなくなるぞ。」

父はさも父親然として娘を輸すのでした。蛍さんは父の話から、このお小言が誰の口から父に告げ口されたものか察しが付いてきました。

「蜻蛉君が何か言ってたの?」

あの子ったら、ほんとに嫌な子だと蛍さんはげんなりしました。彼女は父とあれこれ言い合いながら、あんな目に合うならもう彼に遊んでもらわなくてよいと訴えるのでした。こちらの方から遊ぶのはお断りだ、と迄娘が言い出すので、父の方も娘の話をそれでと詳しく聞き始めるのでした。 

 蛍さんからあらあらの話を聞いた父は、分かったと言いその後、「で、お母さんは如何したんだ?」と娘に尋ねました。蛍さんは「お母さんなら寺で1人で遊んでいる。」と答えました。

「寺で?1人で?」

母子でまぁ、なんとまぁ似ている事だ。そう父は呆れながら目を怒らせて言うので、蛍さんは、何時になく自分と遊んでくれた母を素気無く1人置いて帰って来た事を悪いと思いましたから、母の事を父に取り成す気持ちになるのでした。

 「最初は私と遊んでいたんだけど、お母さん遊んでくれたのよ、珍しく。でも、私お母さんと遊んでいても楽しくないから、お父さんとなら面白いのに、それで、途中で遊ぶのを止めて、私がお母さんを置いて帰って来たのよ。」

だから、母は悪くないのだと、蛍さんは父に訴えるのでした。

「途中で、って。」

お前最後まで遊ばなかったのか?やはり不機嫌になる父でした。又不機嫌に小言を言いそうになる父の口が動く前に、素早く蛍さんは言うのでした。

「蜻蛉君も茜ちゃんも、最後まで遊ばないで帰って行ったから、私もいいんだと思ったのよ。」

憮然として主張する娘に、まぁこれは、と、父は少々唖然として『もう反抗期なのか?』と思うのでした。


土筆(209)

2018-09-27 11:11:55 | 日記

  こんな遊びを、こんな所に穴を、そう呟きながら暗い表情で考え事をしながら、娘との遊びに参加する母のぎこちない動きに、母の番を待つ間の蛍さんは今日の遊びの中の色々な場面を蘇らせるのでした。場面場面で遊んでいた時の印象的な言葉、その言葉がぽろっと無意識の内に彼女の口から漏れて出るのでした。特に「この穴開けたのお前だろう!」の蛍さんの言葉に、母はしんとして動きを止め全く暗い淵に沈み込んでしまいました。

 「お母さんの番よ。」

蛍さんの再三のこの言葉に、全く身動き無く反応もしない母に、蛍さんは彼女のその様子に閉口してしまいました。元々最初から母と遊ぶ事に気の乗らなかった蛍さんです。蛍さんの脳裏に先程途中で退散した2人の姿が浮かび上がりました。そして、彼女はピン!とくると、早々にその二人の真似をする事にしました。

 彼等の言葉を真似てあれこれ言うと、じゃあちょっと先に家に帰ってるね。そう蛍さんは言って、何やら考え込んでいる母がええと生返事をしたのを機に、「お母さんは一緒に帰らないの?」とこれまた一応茜さんの真似をして母を誘い、ああ、ええと繰り返し生返事をする母に、じゃあねとそのまま母を1人寺に残して帰って来てしまうのでした。これで母には何があったのか大体の察しがついたのでした。

 家では父が彼女を待っていました。

「お前、何だか酷く我が儘だったそうだな。」

父はいつになく生真面目な顔をして、目に怒りを表すと小言を言い出す気配でした。蛍さんは意外な父の様子に一瞬肝が冷えるくらいに驚きました。そして注意深く父の出方を見るのでした。


修学旅行や課外学習

2018-09-27 10:44:21 | 日記

 旅の思い出といわれて思い付くのが、修学旅行や課外学習で行った場所です。多分同年代の集団でワイワイと責任無く行ったのが楽しかったのでしょうね。並んで歩いて心丈夫、特に何のトラブルにも遭わなかったため、本当に楽しい思い出しか残っていません。当時の仲良しとしか歩かなかったので、周りに嫌な相手もいないし、普段と違う雰囲気で解放感がありました。

 思い出で浮かぶのが土産物屋、ショッピングって楽しいですね。品物を選んだり、実際に買ったり、贈る相手を思い浮かべてあれこれと買う行程も楽しいものです。喜んでくれるだろうかとか、値段の折り合いとか、その土地特有の品々を目にするのも興味深い物でした。

 帰宅して自分用に買ったお土産を使う時、その土地の思い出が瞼に浮かんでくるのも懐かしくしみじみとした気分になるものです。特に自分固有の思い出は私だけの物と思うと、思い浮かべる光景も私だけの物、個人所有の想像の世界というものを感じます。