Jun日記(さと さとみの世界)

趣味の日記&作品のブログ

三文小説(35)

2017-08-31 10:19:29 | 日記

 こう松山君の意見を聞かされて、小手川君は内心思い当たる事がありました。

入社当時から、彼女が親切にしてくれるから自分に好意を持っていると思ったのですが、その後積極的に恋のアプローチが有る訳ではありませんでした。彼女がお嬢さんだから慎み深いのだろうと考えていましたが、案外松山君の言う通りで、課長にお対する彼女の出世欲、または恋心からの自分へのアプローチだったのか。小手川君はそう思うと、人付き合いや仕事に関しては結構なやり手だと自負していただけに、臍を噛むような思いにとらわれるのでした。

  小手川君は暗い気持ちで沈み込むと、松山君に返す言葉も無いまま彼の目の前でうな垂れるのでした。そんな小手川君の様子に松山君は言いました。

「冗談だよ、本気にしたの?」

「えっ!」

「お前が本気かどうか試してみたんだよ、こんな話で俺の言う事を鵜呑みにするなんて、相当あの娘にお熱なんだな。」

 小手川君は眉根に皺を寄せました。

「どういうこと何だい。」

「いやさ、さっきお前達二人がなんだかとてもいいムードで帰って来たから、一寸からかってみたんだよ。」

『人の悪い奴。』小手川君は嫌な顔をして松山君の顔を見上げながら思いました。


三文小説(34)

2017-08-30 14:26:08 | 日記

 松山君が小手川君に語った話はこうでした。

 俺も入社当時からあの娘の事を見ているから、彼女とは君よりは3カ月ほど長い付き合いだ。彼女、その間にかなり世慣れしたけど、初めは全然、世の中のよの字も知らないようなお嬢さんだったんだ。下町育ちの騒々しい俺達の事なんかてんで馬鹿にした感じでさ、つんつんして、陰でせせら笑ってる感じだった。上品ぶりやがってと思ったよ。嫌味な奴だったよな。

 ところが、いざ仕事を始めたら、彼女、世間慣れしていないどころか、これが仕事がよくできるんだ。しかも営業だよ、注文を取ってくる仕事だ。加えて俺と同じ課だ、だから彼女の成績が手に取るように分かるんだ。フロアの壁にも表にして張り出されているしな。彼女の名前のグラフを見てびっくりしたよ。

 彼女、如何やってこんなに注文を取って来るのかと思ったら、親が陰で根回ししてるんだな、きっと。それに親が内の課の課長にも何か頼んであるらしい、課長のやつ彼女にやたらと肩入れしてるんだよ。あの子自身も何かと課長に取り入っているしな。彼女、地方から来た奴の面倒を見たりして、課長ににっこり笑って目で合図してるんだぜ。それに俺聞いたんだ、課長が他の課の課長や上役に

「野原君のお陰で楽が出来る。いい子だよ、部下にするならお薦めだ。」

って言うのを。なんかお嬢さんだと思ったら酷くやり手でさ、気に入らない奴だ。

 「だからお前に愛想がいいのは、好きだからじゃなくて、課長へのアピールの出汁にされているだけなんだよ。」

「いや、案外彼女、課長みたいな年増男が好きなのかもな、それでやたら課長に媚びを売っているんだ。」

「お前も大概人のいいやつだな、あいつの好き放題にされてるんだろう。今に仕事でも出し抜かれるぞ。」


1人旅

2017-08-30 13:56:05 | 日記

 治安の良い所が一番ですね。女性の1人旅ですから。

以前、団体旅行に入って1人旅をした事がありますが、言葉が通じないと不安です。国内旅行がいいかもしれません。

1人旅に行くなら、今の私なら、沖縄かな。

かなり遠い場所で、非日常的なところと、観光地として興味深い点で魅力を感じます。


三文小説(33)

2017-08-29 08:55:33 | 日記

 「それはそれは、ご馳走様。」

小手川君に、彼女に惚れられているようだというのろけ話を聞かされて、そんな話には気の無さそうな松山君は言いました。

 そうして松山君は、自分のこの言葉を受けてにやけて頬を染めた小手川君の顔を探るように見つめると、更に彼に言いました。

「そう言いながら本心はあの娘(こ)にぞっこんなんじゃないの?」

と、冗談めいて鎌をかけてみます。松山君は目を細めて彼の様子を見るのでした。

 小手川君は、ここまで松山君に本心を見透かされているのかと思いました。流石にお隣さんだなとちょっと心が折れました。

「分かった?、実はそうなんだ。」

嬉しそうに本心を言うと、弓なりの目で満面笑みとなり、頬を上気させるのでした。そんな小手川君の顔を見ながら、益々白けたように松山君は言いました。

「お隣さんが正直に話したから俺も言うけど、俺あの娘あんまり好きじゃないんだ。」

「えっ!」

と驚く小手川君、そんな彼に松山君は続けました。

「それにあの娘、お前の事を好きじゃないと思うよ。」


今年の夏の思い出

2017-08-28 15:11:34 | 日記

  扇風機で夜間の熱帯夜を乗り切れた事です。信じられません。

2度ほどクーラーをつけましたが、その他は一晩中扇風機をかけっぱなしで寝ていました。夜中に何度か起きて、冷たいお茶や水を飲みました。そのお陰でしょう、今夏は無事に過ぎました。ここ2、3日は夜間が涼しいくらいの気候です。扇風機を回すと冷え込んで寒いくらいになりました。

  今頃になると、日中、熱波に当たると扇風機の風が彷彿として思い出され、夜間にトリップしてしまいます。日中の屋外でも全然平気なので、人間慣れだなと感じます。