Jun日記(さと さとみの世界)

趣味の日記&作品のブログ

美湾

2017-11-30 21:22:07 | 日記

 「何だか今日は違いますね。」

「随分違います。」

そうガイドさんに言われて、私は笑顔でここへ来る為にオーストラリアへ来たのですから、ウルル登山が私の旅の目的ですから、と答えるのでした。

「私は山歩きが好きで、ここに登ったら元気になれるような気がしてこのツアーを選んだんです。」

そうにこやかに語るのでした。

 すると何だかガイドさんの顔が曇りました。私の登山理由は他とちょっと趣旨が違うというようなことを言われたと思います。もう昔の事なのでハッキリとは言えませんが、この山は、ウルルはそう言った感じの場所では無いというような話をされたと思います。ここへやってくる人は他の目的で来ている人が多いというような事だったと思います。

 「登るの止めませんか。」

急に彼女にそう言われて、私は理由が分からず戸惑った気がします。彼女はその後続けてこんな事を言っていたようです。そう高いという山ではないけれど、結構きつい登山になる様な事や、時間は十分に取ってありますが、人によってはそれでもきつくて熟せないかもしれないというような話です。

 「それでも登りますか?」

再度言われて、彼女に登山を止められるのを怪訝に思いながら、私は無言でこくりと頷くのでした。

「その為にこの旅行を選んでオーストラリアに来たのですから、登ります。」

と確り自分の決意を表明したのでした。ガイドさんはそれ以上は何も言われませんでした。

 (日付は8日になっていますが、この地を訪れた記念のチケットという感じです。ウルル・カタジュタ国立公園の入場チケットです。)

 

 


美湾

2017-11-30 15:03:38 | 日記

 未まだ明けやらぬウルルの麓にバスが着くと、もう何人かの人影があり、他の旅行者がちらほらと見られました。新婚旅行の若いペアの姿も何組か認められました。何年前のことになるでしょうか。私は自身のハネムーンを思い出して彼等の事を微笑ましく思いました。勿論私のハネムーンはこの場所ではありませんが、来し方、他人事だと思うと、第三者の目で達観して眺める事が出来るものです。

  彼等を見ていると、一口にカップルと言っても目立たない仲良し型、ぎくしゃくしている不協和音型、他人の目が気になる警戒型、等、様々なカップルがいるのだと改めて気付かされました。しかし若いっていいなぁ、素晴らしいなぁと思います。彼等は人生の未だ未熟な時にいて、その途上にいる者達であり、一つの区切り、結婚したという節目の達成感などに感動してこの場にいるのだろうなと思いやるのでした。

  彼等を眺める私はつい微笑んでしまいます。私は先達者であり修正した事に満足している者だったからでした。社会的に挫折はあっても、自分の個人的な人生に満足していました。

 ここにこうやって来られた事、まだ自分の若い日に、テレビで生まれて初めてこの赤茶色の岩ウルルを見てから、是非ここに来たいと思っていた憧れの日々、それがもう忘れ去ったようなかなり過去の青少年の日々であるのに、こうやって現実にここ迄来ている事、ここ迄来れた事に非常に満足していました。

 私はこの赤い大地に直に立ち、ズックの底にこの地を踏みしめていると再度確認して実感すると、目の前にある本物のウルルの壁を確りと見つめて、この上ない幸福感を感じていました。ウルルの影になりながらこの場所は真っ暗ではありませんでした。が、太陽はまだここに顔を見せてはいませんでした。

  (新婚さんのようです。寛いだ雰囲気で今から登山でしょうか。見学だけかもしれません。)

 (登山当日の私。早朝なので黄色の薄地の長袖を着ています。ガイドさんに脱いだほうが良いと言われて、登山前早々に取り上げられて脱いでしまいました。手にはお気に入りの、この時貰ったディパックを下げています。写真はガイドさんか、ご家族連れのお母様に撮っていただいたと思います。写真の頃は結構明るく感じますが、まだ日差しは差していないようです。薄曇りの状態だったのかもしれません。手に紅茶の紙コップを持って、背景のウルルが嬉しい1枚です。私の人生の至高の時と言えるでしょう。)


美湾

2017-11-30 13:38:42 | 日記

 3月9日(火)、いよいよ待ちに待ったウルル登山の日がやって来ました。私は朝から嬉しくて、嬉しくて、仕様がありません。赤いTシャツと赤いスラックス(実はルームウェア)に着替え、気持ちも明るく登山に向かいました。

 この日の日程は、

 「朝、エアーズロック(ウルル)登山と山麓めぐり。出発前に朝食と飲み物が入ったデイパックをご用意します。

 エアーズロック発13:10、AN049、空路シドニーへ。

 シドニー着、17:45、着後ホテルへ。夕食は、久しぶりの日本食をお召し上がりください。」

です。

メモの方には、

 「エアーズロック(ウルル)登山完了、足疲れる。急坂鎖の結び…(判読不可)。10回前後休みながら登る。頂上に羅針盤あり。岩肌、砂岩というが硬くあちこちに窪みが有り登り易い。日が昇ると逆光で眩しい。結構大変な登山。」

とあり、以上で9日のメモは全て終わります。

 (当時のウルル登山の時に渡されたディパック、中にクロワッサンにハムとチーズの挟んだ物と飲料が入っていました。これは子供への良いお土産になりました。1999年3月、当時このバックはもう古いタイプになるところでした。次の新しい物:多分青色系だったと思います。:が出ていたようですが、旅行社のパンフレットにこの写真があり、私は写真で見たこのバックが気に入っていたので、手渡された時に凄く嬉しく思いました。半面、旧バックかという思いも心の隅に湧いたのは確かです。人間贅沢ですよね。つい不平不満を言ってしまいます。私は内心に留めておきました。でも、このバッグが気に入っていたのは本当です。子供も未だに愛用しています。中心の絵柄が良いですね。バックのベースの生成りの生地も雰囲気があります。絵と生地がマッチしている点が気に入った理由でした。)

 

 


美湾

2017-11-30 10:49:49 | 日記

 9日の記述に移ろうとして、ここで、日程表を見ていて私は気付きました。8日の日の夕方はウルルの麓でシャンパンサンセットというロマンティックなひと時があったのでした。

 カタ・ジュタの散策後、ウルルの壁面のくぼみや神聖な水飲み場を眺めた最後にこのシャンパンサンセットがあったと思います。これでこの日の日程は終了です。

 皆でチーズ数種類の皿などを勧められながら、シャンパンのグラスを各々手に手に、夕日に映えるウルルを見て1日が終わるのです。夕映えに染まる朱色の世界までにはまだ少し間があったように思いますが、美味しいチーズに魅かれて、機嫌よく私は数枚のチーズをパクパクと連続で食べてしまいました。

 このチーズの中には、よく知られているカマンベールチーズもありましたが、普通のチーズでとても美味しく感じる物が有り、私は声に出して「美味しいこのチーズ。」と言って3枚は軽く平らげてしまいました。その先は流石に遠慮して手が出ませんでした。日本のべったりとしたクリーミーなチーズとは違い、あっさりとしていてやや弾力があり、塩加減も薄めで何枚でも行ける感じのチーズでした。私の口には合っていました。

 「本当に美味しかったんですか?」

とガイドさんに言われて、ええと答えた私でした。外国のチーズは美味しくないですよ、と彼女に更に言われて、「ええ、私もそう聞いています。ヨーロッパの方のチーズは日本人が食べると石鹸を食べているみたいに感じるのでしょう。」と私は彼女に応えながら、「私の口には合っていました、あのチーズ、美味しかったです。」と言い、日本人向けに改良されたのでしょうか?と意見を添えたのでした。…私の口にだけ合っていたのでしょうか?

 気になって後で見に行くと、皿にはチーズが結構沢山残っていました。『残っているなら食べたいわ。』そう思いながら、『私1人がやたらとぱくつくのもねぇ…』と、名残り惜し気にはしたないと思い、それ以上チーズにおいそれとは手が出せない私なのでした。

 シャンパンを飲む前に、先住民の人達の飲酒について注意がありました。アルコール類は絶対に先住民の人達に上げないでくださいという事でした。元々飲酒の習慣がない人達なので、アルコールを覚え、アルコール欲しさに犯罪を犯す例があったとかいうような事でした。

 私はシャンパンは好みというものではなく、元々お酒自体嗜まない達でしたから、2口ほど飲む間に周囲の様子を見て、柵で隔てられた灌木の傍によるとするするとグラスの中身を柵の外の緑の中に滑らせるのでした。他の観光客の何人かが、やはり柵の外にグラスのシャンパンを空けていたので、私はそれに倣ったのでした。

 戻って来ると、ガイドさんが「見ていました。」と言われるので、誰もいない所に空けました。私は元々お酒はあまり飲まないんです。と、言い訳めいた事を言うと、

「高価なシャンパンなんですよ。」

という事でした。申し訳の無い事です。こういうのを「猫に小判」と言うのですよね。

 私にとっては飲み慣れないシャンパン、この日のシャンパンは少しとろっとした濃度が感じられて、緩めのあんかけの様な濃度です。勿論お酒の味です。果実酒なのでそうだけれど、癖の無い、甘みや酸味がきつくないゆったりしたお酒でした。実はグラス1杯空けると私は酔いそうでした。その後はバスに揺られてホテルまで帰りました。


美湾

2017-11-29 15:04:35 | 日記

 この日の夕飯のバイキングを終えて、皆でレストランからプールのある青空天井の広場へ出ました。星空なので星空天上のプールです。素敵でした。一言に尽きます。程よくライトもありました。

 星空だけでも素敵なのに、さらさらゆれる葉のある木や綺麗な水のプールがあるのです。さながら砂漠のオアシスのような雰囲気です。水の無い所で綺麗な水のプールに浸かって満天の星空を眺める。贅沢なひと時を満喫している異国の人もちらほらいました。

 私は日本では絶対に見られない、南十字星を見たいと思い、ガイドさんに尋ねました。ガイドさんに教えられた方向の星を皆で見上げながら、あれがそうなのかと暫し感動に浸りました。そして、私は明日の登山に備えて早めに休みたかったので、早々に部屋に引き取ることにしました。後に残った何人かはガイドさんとそのままホテルの庭を散策するようでした。

 私は部屋への帰りがけにプールの端を通りました。本当に奇麗で静かな水です。でも私に今から泳ぐ元気はありません。満腹な上に、カタ・ジュタの散策も効いていました。しかし、通り掛けに足だけでもプールに浸してみようかなと思いました。プールの水面に近付いて行くと、異国の男性が一人プールにしゃがんで寛ぎ水に浸かっていました。白人の中年の方です。いかにも気の良いおじさん風の方でした。

 ❛…❜

と声をかけられました。何となく溜め息に近い声の出し方と元気のない雰囲気でした。私には何を言われたのか全然わかりませんでした。が、多分彼は私がプールに入りたいのだと思ったのでしょう。自分はもうプールから上がるから、この後プールに入ったら、と言われたのかなと、私は思いました。又は、自分は1人でプールに居て手持無沙汰で寂しいから、君も来て一緒にプールで泳がないかい?かな、と、勝手に2タイプ私は考えました。何方にしても私はこの後ベッドで休むのでプールには戻りません。すると、そこへガイドさんが1人で戻ってきました。

「何かありましたか?」

と彼女に尋ねられたので、私は前述の勝手に考えた2通りの考えを言いました。ガイドさんが彼にそう言われたんですか?と言われるので、

「いえ、私が勝手にそうかなと思っただけで、全然別の事を言われたのかもしれません。」

と答えておきました。

 「あの人、何だか元気が無くて寂しそうな様子でした。」

と言うと、その後、ガイドさんはプールの男性に近付いて行って話しかけておられたので、良いように処理してくださったのでしょう。その後の事は知りません。

(ウルルでの宿泊ホテルの鍵が入っていた封筒。封筒の表(裏)にホテルの見取り図が書いてあります。平面的な間取りのホテルでした。どの部屋の窓からも庭の様子が分かり、良い風が入りました。翌日(9日)、もしかしたら窓を開けて寝ませんでしたか?とガイドさんに言われて、ええ、夏の夜は自然の風が気持ちよいので、と答えた私です。でも、さすがに夜半には閉めました。不用心ですからね。)

 (見取り図を見ると、2階建てのホテルのようです。ゆったり広々としています。パラダイス、リゾート、荒野、ステップ気候、熱帯、そんな言葉が連想されてきます。建物内のキャンプ、合宿、皆笑顔で元気で楽しそうな雰囲気でした。自国の夏を待ちきれずに来た人は、皆この地で元気になりたくて来たのかもしれませんね。私見、偏見、私は気ままで独りよがりな旅に徹していました。)