Jun日記(さと さとみの世界)

趣味の日記&作品のブログ

うの華4 57

2022-10-17 16:30:37 | 日記

 『お父さんは、私が先になった事を怒っているんだ!。』

「そうだ!。」

私は思わず叫んだ。

 私の胸中に、仲間との遊びの中で味わった先陣争いの優劣の場面、自分が劣り劣等感に苛まれた時の、苦くも腹立たしい気持ちが甦っていた。

 先陣を子である私に取って代わられた。それでは彼の父としての面目は丸潰れだ。否、彼の親の立場どころか、大人としての面目さえもが丸潰れだ。そんなことを独り合点してみる。私はこの考えに一時はうんうんと頷いた。が、では、何故父はその後微笑んだのだろうか?。

『お父さんはその事で、その儘は暫くずうっと腹を立てていそうな物だが…。』

なぜ直ぐに機嫌が治ったのだろう?。私にするとそれも妙だった。

 

 「お父さんは、家の事が心配じゃ無いの?。」

私は父にこう尋ねてみた。すると父は不思議そうに、何だって?と、私の言葉を聞き返して来た。

「家の事だよ、知らない人がいるでしょう。家の中に、家のこんな奥に。…」

私は、自分の持っている疑問を矢継ぎ早に父に問い掛けた。

「お父さんは家の跡取りとして、家の中の事が気になら無いの?。お祖母ちゃんは?、お祖父ちゃんは?。お祖父ちゃんは男だけど、お歳でしょう。」

「お母さんの事は?、お父さんにすれば奥さんでしょう。気にならないの?。」

如何して気にならないのだと、私は無意識の内に裏庭にいる父を責めていた。

 

 すると父の方が狼狽し始めた。否、それ以前から父は、私の様子を彼の後ろ目に窺っていた様子だった。私はそんな父の異変を薄々感じ取っていた。



 (と、ここ迄が2022年に書いた物です。続きは2024年8月に飛びます。そして下書きがアップされるのが9月です。唐突ですが、この物語はそこで最終話にする予定です。そして、これを書いているのは、2024年9月7日です。UP!)