20階の窓辺から

児童文学作家 加藤純子のblog
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第55回産経児童出版文化賞

2008年05月02日 | Weblog
 昨日、「第55回産経児童出版文化賞 贈呈式・祝賀会」への招待状が届きました。
 6月2日、ホテルメトロポリタンエドモンドに伺えるかどうか微妙なところなので、ここで受賞のうれしいお知らせを、ちょっと。
 
 今年の「大賞」は、広瀬寿子さんの『ぼくらは「コウモリ穴」をぬけて』(あかね書房)でした。
 広瀬寿子さんから昨年、このご本をご恵贈いただき、拝読してまっさきに思ったのが「あいかわらず、すごい」そんな思いでした。
 広瀬寿子さんは、いたずらに自我を振り回さない、とても物静かで上品な方です。
 けれど作品になると、潔く、鮮やかで、瑞々しくて、無駄のない文体で対象から決して逃げず、追い続けます。
「お上手だなぁ」
 いつもそう思います。
 数年前、赤い鳥文学賞を受賞された『そして、カエルはとぶ』(国土社)も、そうでした。
 
 また「産経新聞社賞」には、昨年、本郷で出版記念パーティのお祝いをした、我らが友人、本多明さんの『幸子の庭』(小峰書店)が受賞されました。
 本多さんはこの作品で、「第41回日本児童文学者協会新人賞」のダブル受賞です。
『幸子の庭』もまたすばらしい作品でした。
 本多明さんの人間を捉える目の確かさ、人間を描き上げる力の確かさは、半端ではありません。唸ってしまうくらいです。
 冷静に、無駄のない文体で、働くことやハサミの音ひとつひとつに、細やかな神経を行き届かせ、物語を積み上げていく力。
 そんな、仕事をする人間のすがたを見事に彫り込みながら関係性を紡いでいく物語性は、新人とは思えない筆力です。

「言葉へのこだわりの深さ」
 これは、おふたりの共通点です。
 その原点は、広瀬寿子さんは短歌。本多明さんは詩にあります。

 エンターテインメントのハラハラドキドキするストーリーや、興味をひかれるキャラクターに、子どもたちが、ぐいっとひきつけられる時代。
 それに負けじとがんばっているのは、思わず線でも引いて、読みたくなるような、生きることを励ましてくれる、まさしく「言葉の持つ力」なのだと、そんなことをあらためて思わせてくれた受賞のお知らせでした。
 
 広瀬さん、本多さん、おめでとうございました!
コメント (2)
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