20階の窓辺から

児童文学作家 加藤純子のblog
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年暮るる

2021年12月31日 | Weblog
            

2021 年もあとわずかで暮れていきます。

北風の強い晴れた日は、遠くの景色までよく見えます。
富士山、丹沢の山々、秩父連山、群馬の山々、東京タワー、スカイツリー。空高くのびる遠くのタワーマンションの数々。
それらに、きーんと澄みきった冷たい風が吹きつけ、冬の落日があたっています。

ある詩人が12月には、ひとり静かにバッハを聴くと著書に書いていました。
ベートーベンではなくてバッハ。
「ひとをけっして孤独にしない、それがバッハ」と彼は書いています。 

風の冷たい、陽のかたむきかけた夕暮れ。窓の外のそんな景色を見ながら、私はバッハを聴いています。

バッハを聴いていると、年の暮れを忘れ、心が静かになるような気がします。
音楽がこんなにも豊かで、あたたかなものであったのかということを、しみじみと思わせてくれます。





その詩人、長田弘はこうも書いています。
「音楽を聴くのは、胸中に、三本の小さなローソクをともすためです。
一本は、じぶんに話しかけるために。
一本は、他の人に話しかけるために。
そして残る一本は、死者のために」

コロナ禍で、大変な思いをしてきた子どもたちや、若くして亡くなった読書会の友人、今まさに病と闘っている友人。
すべての人たちに、この韓国人女性バイオリニスト、チョン・キョンファの演奏するバッハの「無伴奏ヴァイオリン・パルティータ」を捧げ、今年を終えたいと思います。

今年も拙blogに、たくさんの皆様にお付き合いいただきました。
ありがとうございました。

皆様、どうぞ良いお年をお迎えください。
コメント
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