「第十七作 男はつらいよ 寅次郎夕焼け小焼」でこのシーンを見直したいと思うのがこのセリフの場面です。
岡田嘉子演ずる志乃が宇野重吉の青観に言う、
「私、この頃よくこう思うの。人生に後悔はつきものなんじゃないかしらって。ああすりゃよかったなあ、ていう後悔と、もう一つは、どうしてあんなことをしてしまったんだろうという後悔……」。
志乃のこの言葉の前に、青観の
「ぼくは、あなたの人生に責任がある」という言葉があり、
志乃が
「仮に、あなたがもう一つの生き方をしたら、後悔しないと言いきれますか?」と受けて、先の言葉に続くのでした。
この会話を頭に置いてラストシーンを振り返ると、次の場面で示された青観の真意を見せてくれたと思えます。

下の青観のセリフは、寅が芸者ぼたんのために止むに止まれぬ思いで青観に絵を描いてもらいたいと頼み込んだことへの返事です。

一時断った絵描きが己の故郷で「人生に責任」を負った人の言葉を受け、寅次郎の「真剣勝負」に画家としての真剣勝負で応えたのです。
【使わせてもらいましたぼたんと青観のセリフと映像は、
