ピサというと、すぐにガリレオの落体実験で有名な「斜塔」が頭に浮かびます。
しかし、ピサ市のドゥオモ広場全体が世界遺産で、斜塔はその構成要素の一つ…。
独立した建築物ではなく「ピサ大聖堂の鐘楼」です。
つまり「通天閣」や「東京タワー」ではなく、「法隆寺の五重塔」にあたる建物です。
この鐘楼は1173年に着工され、13世紀にはすでに傾いていることが知られています。
訪問当時(1979年)も1年に1ミリづつ傾いていて、日本の技術協力で防止しているという話でした。
「倒れては困るし、直立しても困る」と英語を話すガイドが笑っていました。
現在では300年間は倒壊の恐れがないことが、分かっているそうですが…。
塔の内壁沿いに螺旋階段がつけられています。
登る途中で何度か窓から顔を出して外を覗くと、地面が傾いて見えて確かに「斜塔」であることを実感しました。
体も傾けながら294段数えて昇ると、地上55mの頂上へ出ました。
遠くに見える山波はモンタ・カラーダ「大理石の山」。
折からの夕焼けでバラ色に輝いて、実に美しい眺めでした。