ペンギン夫婦の山と旅

住み慣れた大和「氷」山の日常から、時には海外まで飛び出すペンギン夫婦の山と旅の日記です

湖沼と瀑布の奇観・九寨溝(3)

2010-09-08 18:19:01 | 旅日記
27日午後、九寨溝観光を続けます。Y字の中心・諾日朗から右(西)へ日則溝を遡ります。

五花海



「五花海」の意味は、日光の射しこむ角度や強弱によって、水の色が淡黄、エメラルド、
マリンブルー、濃紺など様々に変化することから名づけられました。九寨溝でも特に優れた
見所のひとつです。

以下は説明板の日本語の部分を転載します。
『 標高2472メートル、深さ5メートル、面積90,000平方メートル。山崩れと地滑りの崩れ
た物質が川を塞ぎ、今の五花海になった。』



『水底はカルシュウム、マグネシュウム、銅のイオンを含む多様な石灰化鉱物が沈積して
いる。』



『湖の中にはいろいろな藻類、コケが生きている。』



『その他、太陽の光線の屈折と散射により、緑、青、紫などのような波長の短い光がもっと
も散射しやすくなった(?)。これらの化学、生物と物理の作用により湖水は青、緑を主と
する色とりどりの色彩を呈している。』

例によって、やや分りにくいところもある日本語訳ですが、Wikipediaの以下の説明が分り
やすいと思い、少し長くなりますが引用します。
「九寨溝の水は飽和した炭酸カルシウムが微細な浮遊物を核として沈殿するために極度に
透明度がよい。そのため、深さ20メートル以上の湖底までもより浅く感じられる(浅く見える
理由は水と空気の屈折率の違いによる)。
 水は可視光の内、長波長の成分(赤い光)を吸収する性質がある。そのため深みでは、
水面から入射して湖底で反射した光の内から青い光だけが眼に多く届くようになり、結果と
して青い水に見える。また、深みでは光量が減少して暗くなるために水の青さに深みが増す。
 微細な浮遊物のために水中浅所での散乱が多いと、赤い波長部が十分に吸収されていない
光も併せて届くようになり、水の色は青みが薄まる。湖底に苔が生えている場所では青みに
緑や黄色が加わる。かつ太陽光や空の状態も影響し、加えて水面で反射する光にもよって、
神秘的に変化する色彩が生まれる。」



『五花海の色彩と輪郭は、尾羽を半ば扇状に広げている孔雀に似ているから、孔雀海とも
呼ばれ、"九寨溝の一絶"(九寨溝でしか見られない景色)と誉れられていた。(原文通り)』



様々な色が写真でうまく表現されているといいのですが…。
池の畔を散策してさまざまに変化する美しい水の色や、石灰分の付いた水底の倒木が創り
出す奇妙な造形などを見ているうちに、30分の自由時間はあっという間に過ぎました。

熊猫海(パンダ海)



熊猫海は五花海からバスで5分ほど走った近くにあります。
『標高2587メートル、長さ570メートル、平均深さ15m、面積91200平方m。まれにパンダが
現れる。…後略』



近くにパンダの好む種類の竹林があり、この湖で水を飲むパンダの姿も見られたそうです。



湖にそって右手に少し歩くとT字の分岐があり、左は湖岸に沿って湖面に突き出すよう
に、屋根つきの桟道が設けられています。



桟道の山側は、湖に落ち込むように切り立った断崖で、崩れやすそうな黄色い縞模様の
岩石が露わになっています。上の屋根は落石よけのためのようです。
自由時間が短いので、少し先まで行って引き返しました。



分岐に帰ると、反対側は急な木の階段道になっています。「熊猫瀑布」への標識があり、
バスに帰る時間に追われるように急いで下りましたが、ヒザが本調子でない変愚院は下りに
時間がかかります。滝の見える所で諦めてズームで滝を撮りました。滝大好きの♀ペンは
さらに下の展望台まで駆けおりて行きました。



これが♀ペンの撮ってきたパンダ滝です。「水飛沫が凄くてうまく撮れなかった」という
ことですが、途中で引き返した変愚院には、また一つ頭が上がらない種ができました。
九寨溝の旅はまだまだ続きます。

湖沼と瀑布の奇観・九寨溝(2)

2010-09-08 11:08:14 | 旅日記


長海の展望台に帰り記念撮影をした後、明日の「黄龍」での行動に備えて高度順化の
ため、しばらく歩いて別の場所からバスに乗りました。



その間に見た赤樺の木です。岳樺や白樺の種類だそうですが、
日本では珍しいと思います。

五彩池



五彩池は長海から1kmほど下流にあります。バスをおりて林の中の階段を下っていき
ます。上からの眺めが特に良いということでした。



説明板によると『標高2995メートル、長さは100.8メートル、平均幅は56メートル、平均
深さは6.6メートル、敷地面積は5645.8平方メートルです。カルシュウムとマグネシュウム
イオンが長海より豊富です。主な色調は華やかなブルーになっています。池の底に大量な
黄色、緑の藻類やグレーや白いカルシュウムの写しにより(?沈殿物が映えての意味か)
かなり綺麗に輝いています』



終わりの方は少し変な日本語訳で、原文の「更加変幻多姿 絢爛奪目」の意味がよく
伝わらないのが、少し残念です。



透明度も素晴らしく、底に横たわる倒木に石灰分が沈着している様子も良く分かりました。



割合に小さい池ですが、周囲を森林に囲まれ、九寨溝屈指の美しさを誇っています。
(なお、黄龍にも同じ名前の池があります)



バスに帰り、渓谷の分岐点・諾日朗へ向かいます。車窓から見下ろす五彩池が遠ざかって
いきます。窓外を流れる白い花は、背の高いヤマハハコの群落です。

九寨溝民俗文化村



九寨溝エリア内には幾つかのチベット人の集落がありますが、そのうち観光道路沿いにも
3つの集落があります。そのうちのひとつ樹正寨は観光地となっています。
蒲さんは「時間があるので、予定にはないが特別に民家を見せて貰えるか知り合いに頼んで
みる」といいましたが、実は有料でだれでも入れるのです。



この辺りは農地が少なく、牧畜や林業も出来ない(世界遺産のため?)ため、殆どの人が
バスの運転手、助手、ホテルの従業員など何らかの形で観光に関わって生計をたてています。
「九寨溝民俗文化村」は「樹正寨」の一角を土産品店街としたもので、今ではチベット族
の重要な収入源になっています。



これまで、樹正溝では違法で民宿を営んで旅行者を泊めていましたが、昨(2009)年から
は厳格に法律が適用され、一切、宿泊を認められなくなりました。それ以後は、チベット
族特有の木造建築の民家を有料で公開する家が多くなったようです。
そのためか、私には古い伝統文化というよりもケバケバしくてワザとらしい、いかにも
観光客向けの民俗村という感じがしました。
これはある家の前に置かれていた、ヤクの頭骨を飾った祈祷塔?です。



村の入口に待っていた「村長」と紹介された人は、日本語が話せるのが自慢で、自分の
家でチベット人の朝食風景を見て貰うといいます。
まず、このマニ車を全員に回させて「オムマニペニフン」の意味を教えました。

ン!回し方が「チベット仏教」とは逆の、時計と逆回り!
実は、この辺りの宗教は「チベット仏教」ではなく「ボン教」で、この祈祷車はマニ車
ではなく「マシモ車」といいます。
また、これまでの写真のタルチョー(祈祷旗)、チョルテン(祈祷塔)なども、すべて
ボン教のものです。道理でネパール奥地やチベットで見た祈りの風景とはどこか違うと、
違和感を持ったはずでした。



「村長」宅の玄関。ここにもヤクの頭が飾ってあります。内部は鮮やかな色彩の乱舞で
目も眩むばかりです。タンカなどの仏像の絵は、坊さんのアルバイトだそうです。



村長宅の居間。中央にある祭壇。この右手には大きな液晶TVが置いてありました。
別棟の広い部屋に案内されて、バター茶のご馳走を受けました。「食べやすいように
甘みを加えてあるが本来は塩味で、これでムギコガシの粉を食べるのが朝食だ」という
説明で朝食「風景」は終わり。あとは、部屋の周囲に飾ってある土産物の販売に移り
ました。特に、玉で作った枕の上におく敷物が主力のようでした。



この部屋を出ると、向かい側にも同じ造りの商品ショールームがあり、村長は別の
観光客を迎えに行きました。何か淋しい、気の毒な感じのする「チベット村」でした。



近くの「諾日朗旅遊服務中心」(ノーリラン観光センター)で昼食をとります。
レストランや軽食コーナーのある建物の中庭や通路には、



このように、ぎっしりと土産物の売店が並んでいます。
食事を済ませて、午後も九寨溝観光が続きます。