素晴らしいガラスの造形作品、中里保子さんの「Star Factory スターファクトリー」をご紹介します。
今年のザ・ブリュースター・カレイドスコープソサエティーのコンベンションでの新作発表作品です。
外観は、さまざまな表情、質感のダイクロイックガラスやアンティークガラスのパネルを立体的に組み合わせ、金属で繋ぎ合わせた現代建築のようなデザインです。
工房でご自身が撮影なさった写真(↓)もお借りしました。
ダイクロイックガラスは見る方向でも光の当たりかたによっても色や輝きが変わるし、本体を囲むガラスのジグザグな組み立ても、その変化をさらに効果的にみせています。
星の生まれる様子をイメージして製作なさったという万華鏡の映像は、とても斬新で美しいです。
テイパードの4ミラーシステム。 4枚の鏡を先の方が細くなるように組んだものです。 と書くと簡単なようですが、テイパードミラーシステムは、その傾き、鏡の大きさ、長さなど微妙に違っても映像に影響があり、作家さんの個性が表れるところでもあります。
奥行きのある立体的な映像と交叉するラインがとても印象的です。 点々と粒が並んでいるのは、ミラーシステムの中にクロスさせた細いガラス棒の効果です。バーナーワークで細く引いたガラス棒に小さな粒を作りました。全体に広がるこの小さな粒が星屑だそうです。
内部に照明を持っていて、テイパードミラーシステムの利点である大きな覗き口から覗くと、鮮やかでダイナミックな映像が展開します。
ミラーシステムの一部にダイクロイックガラスを組み込んでいて、光の当たりかたで色合いを変える効果もあるとのこと。 覗き方でも見えるものが違ってくるほど、広がりのある映像です。
この万華鏡は6月30日から9月9日まで仙台万華鏡美術館で開催中の「星の万華鏡展」の特別展示作品となっています。 たくさんの作家さんが参加するこの公募展には、「星」をテーマに復興への祈りと希望を込めた、個性あふれる力作が並んでいるとうかがいました。 多くの方に見ていただきたいと思います。