この万華鏡は、溝口好晴さんの「桜」です。 さまざまな日本の伝統工芸の技能をお持ちの溝口さんですが、これは寄木造りの筒が美しい木製の万華鏡です。いろいろな木材を使い、その木肌の違いをデザインに活かしました。 とても滑らかな手触りで、手に持った時、木のぬくもりが心地よい作品です。
タイトルの通り、桜の花が咲く5ポイントの映像です。
ピンクの濃淡が重なって、オイルの中を動きながら姿を変えていく様子にとても惹かれました。
オブジェクトは何を使っているのか、わかりますか? ピンク色が少しだけ見えています。
オブジェクトは、さくら貝です。 さくら貝は光を透過させ、薄い桜の花びらのようなさくら貝が重なりあい、オイルの中を動いて、花を咲かせ、いろいろな表情を見せます。
螺鈿の技法などで、貝や真珠の輝きは日本の工芸にも使われてきた素材ですが、溝口さんは万華鏡にも取り入れました。 外観の装飾だけでなく、自然界にはオブジェクトとして美しいものがたくさんあることを溝口さんは教えてくださいました。
このさくら貝は四万十川の河口付近で取れたものだそうです。 さくら貝の色は薄紅色と言われますが、その紅の色も少しずつ違うものを使っています。 光を横から取り込む万華鏡で、その光によっても映像の色合いは変わります。
さくら貝って、海辺で見つけたら嬉しいし、そっととっておきたいと思いますよね。
でも、万華鏡の中にあって、桜の華を咲かせ続けているのもいいなあと思いました。