東京、銀座の「ギャラリー風」で開催中の 「北村幸信-万華鏡の世界」展に伺いました。 北村さんは万華鏡の製作を始めたのは2009年ということで、比較的新しい作家さんの一人ですが、登場した当初から作品が注目を集め、数々の受賞歴があります。
その北村さんの初めての個展で、上の写真のように、万華鏡製作に至るまでの作品群が並び、作家さんとしての歩みを振り返って見せていただく機会となりました。
これはDVDの鏡面反射を楽しむ万華鏡のようなオブジェです。 内蔵のLEDにより、いろいろな色に変化します。
DVDやCDのホログラム効果を活かした作品に挑戦し続けていらした経緯を伺い、その積み重ねがあってこそのBKS(ブリュースター・カレイドスコープソサエティー)コンベンションでの受賞となったことがよくわかりました。
これは初期の万華鏡だそうです。 DVDの銀色の面をはがし、淡い青色がかった透明なディスクとしたものを、カットして、ずらしながら重ねるように並べ、全体に曲線のラインを生み出しています。
中から光を当てているので、やさしいホログラム効果で、きれいな色が浮かび上がっています。先端にオブジェクトホイールがついており、手で回しながら映像の変化を楽しみます。
ディスクで構成された多面体の一面から大きなミラーシステムの筒をはめた作品です。 テイパードミラーシステムで内部には輝きに満ちた大きな球体が見えています。 また多面体の内側の面のホログラムも美しい反射を見せています。
仙台万華鏡美術館主催の「星の万華鏡展」(2012年)出展作品です。全体は大きな星の形。内部には希望の輝きに満ちた惑星のような球体が見えています。
富良野のニングルテラス大賞展(2012)で佳作となった「地球に優しく」という作品は、松ぼっくりやどんぐりなどを装飾に施した、32面体の大作です。
松ぼっくりを横にカットしたら、きれいな花になること、松傘が開かないようにして縦にカットしたら葉のように見えること、自然の創りだす造形美についてなど、楽しそうにお話しくださいましたが、ご自身が見つけた面白いものを作品に活かす工夫が随所に見られました。
BKSのコンベンションで受賞した作品です。 左のロブスターはその記念トロフィーです。
32面体の一部はクリアーになっていて、内部の虹色の反射が外からもきれいに見えています。ホログラムというのは一つの光源に対して1本の色の筋が見えることを、実際のDVDで見せていただきました。 いくつかの光源(LED)をこの万華鏡に組み込むことで何本かの色の筋ができ、それが反射しあって虹色の光の渦となっているそうです。
中央のミラーシステムは、テイパード(先が細くなっている鏡の筒)で、その先には交換可能なホイールタイプのオブジェクトがついています。 様々な素材を貼り付けてあるこのホイールはマグネットの着脱式で、交換も簡単です。
パスタやそうめん、木の実、米粒、貝(断面)など、本当にこれがオブジェクトになるの?と思うようなユニークなディスクです。 表裏異なった模様のリバーシブルタイプもあります。
映像の一例です。 何が映っているか分かりますか?
1枚のホイールをご覧ください。
そう、ホログラムを使って印刷されている切手がこのように見えるのです。 面白いですね。
ホイールの交換やオブジェクトの交換に小さなマグネットでの固定を利用していますが、これもスマートなやりかたです。 いろいろな工夫とアイディアに満ちた、そして虹色の光に満ちた万華鏡展でした。
この万華鏡展は明日、11月28日までです。(最終日17時まで)
Gallery 風 中央区銀座8-12-13 豊川ビル4階
電話 03-6226-2797
12月10日から1月7日まで、東京フォーラムのギャラリー「フォーラムアートショップ」での万華鏡展にも、北村さんは出展予定です。