赤津純子さんの作品展に先駆けて、今年の新作万華鏡「相響む(あいとよむ)」をご紹介します。
美しいガラスにサンドブラストで浮き上がらせたハート型の花びらの模様。
優しい予感のする万華鏡だと思いませんか。
この作品を創るにあたってはもともとあるイメージがあったそうです。
「池に水際の桜の木が、枝振りもそのままに逆さに映り、水面と岸辺に花びらが散っている写真を見て、生きている私たちが見るように、行ってしまった人の世界にも、同じように美しく花が散っているだろうと思ったのです。」
このハートは桜の花びらのようなふっくらとしたイメージなんですね。
その中でも、ざらっとした感触のガラスはオリジナルで製作してもらったもの。 青、ピンク、白の三層で、サンドブラストをしたときに水面の花びらのイメージにしたかったそうです。 サンドブラストは難しいそうですが、イメージにぴったりで、柔らかなピンクが温かな気持ちにしてくれます。
手に持った時ちょうどなじみやすい大きさで、置いた時も安定感があります。 はんだも細くてすっきり、装飾のドットがきれいなだけでなく、 手に持った時の支えともなっています。
オブジェクトセルは白いすりガラスの中にあります。
オブジェクトセルの背景が黒い万華鏡には、今回初めて挑戦しました。 2ミラー8ポイントです。
細い金線で小さなビーズをつないだオブジェクトは、ミラーシステムの向こうに、繋がる模様となって見えています。
ドライセルの中で繊細なオブジェクトが動く音がかすかに聞こえます。
細く引いたガラスオブジェクトは、美しいラインとなってリズムを作ります。
相響む・・・あいとよむ・・・万葉集の柔らかな言葉を題名にしたこの作品は、響き合う思いを伝えています。
「金子みすずさんの詩「こだまでしょうか」に、心響き合う意味を思います。」(ご案内のDMから)
「遊ぼう」っていうと
「遊ぼう」っていう。
「ばか」っていうと
「ばか」っていう。
「もう遊ばない」っていうと
「遊ばない」っていう。
そうして、あとで
さみしくなって、
「ごめんね」っていうと
「ごめんね」っていう。
こだまでしょうか、
いいえ、誰でも。
きっとあなたの心にも響くことでしょう。 この作品を含めた赤津純子さんの作品展が、12月18日から開かれます。ぜひ手にとって、その響き合う心を感じていただきたいと思います。
赤津純子 作品展 「万華鏡 -光の贈り物ー」
12月18日~24日 最終日5時終了
松屋銀座 7階 遊びのギャラリー