佐藤元洋さんの個展

銀座の「ギャルリー・ヴィヴァン」で今日から開催されている佐藤元洋さんの個展に伺いました。いろいろな表情のガラスで作られた、手持ち型とパーラー型の作品が並び、吹きガラスの万華鏡の魅力と、佐藤さんの持ち味である透明感のある美しい色合いの内部映像を十分に堪能させていただきました。
今回の個展では、ガラス工芸研究所の卒業作品だったプリズムの大型万華鏡作品や、初期の頃製作なさった作品でオイルセルを改良したものなども展示されていましたが、過去の作品にも、デザインの完成度の高さを感じました。
最近の作品で素晴らしいのは、ボールベアリングの仕組みを取り入れて、スムーズなオブジェクトセルの回転が可能になった、すっきりしたスタイルのパーラー型の作品です。この写真では手前、右側のブルー系の作品と中央のグリーン系の作品にこの仕組みが使われています。吹きガラスの筒の先端に、回転するこのような薄めのオブジェクトセルをつける仕組みをご自分で開発なさり、先端部でドライオブジェクトセルを回して映像を楽しむことが可能になりました。球状の、たっぷりとガラスオブジェクトの入ったオイルセルも素敵ですが、ドライセルの作品に新しい境地を開いた点で、特に目を惹きました。
吹きガラスの表情としては、透明感や光沢感があり、パステルカラーの流れるような色合いの「ピュア」シリーズ、銀箔をガラスに重ねて焼き付けた「螺鈿」シリーズの作品、イタリア風のレース棒をデザインに取り入れた作品、筒にひねりを加えた「アイリス」シリーズなど、さまざまなガラス工芸技術を駆使してのバラエティーです。
ガラスの色では、どの色もとてもきれいなのですが、琥珀色やブロンズ色が新しいかなと思いました。　映像では、佐藤さんらしい淡い色合いだけではなく、くっきりとした印象の色合いや、豊かな濃い目の印象の色合いなど、多彩な表情を見せていました。　作品を拝見するたびに、新しい要素を加えて私達ファンを惹き付ける作家さんです。　この個展は12月13日まで開催。（日休）11：00－19：00