天の海に 雲の波立ち 月の舟 星の林に 漕ぎ隠る見ゆ
数週間前のある晩 タクシーの運転手さんと話がはずみました その運転手さん 和歌が好きで高校の時は「自分は天才だ」と疑わず 先生にも自作を自慢 先生もえらく関心し褒めてくれた とか ところが柿本人麻呂のこの歌に出会い「あかん これは勝てん これは越えられない」と あきらめたとのこと とはいえ今も結構活動しておられるようでした タクシーでは万葉集の本を差し出され ページ番号を指定 そこにはさきほど運転手さんが詠まれた歌がありました
天の海に 雲の波立ち 月の舟 星の林に 漕ぎ隠る見ゆ
仮名:あめのうみに,くものなみたち,つきのふね,ほしのはやしに,こぎかくるみゆ
天~雲~月~星、海~波~船~林、そして人の動きと視線 地球と宇宙 自然の精神的なかかわりを言い得て 自分でもそんな表現をしたい衝動にかられます でも運転手さんの様に自分には出来ないコトを思い知らされる ちょっと羨ましい歌です
そんな月を待ちわびる上賀茂神社の賀茂観月祭 重要文化財の馬場殿で奉納演奏をしてまいりました 今年で三回目の奉納です
まつほどに こころあさくも思ふかな ひかりさやけき 夜な夜なのつき (秋月を詠める歌 主馬首賀茂敦直)
そんな月が登場するといよいよ我々の出番 今回はいつもの古手の澤田さんと若手のくろじん↑と共演 リハーサルの時から気分は全開 その後の神事での祝詞が「サワダノヨシヒロとダイハンジョージャグバンドとクロジンの…」「アナオモシロヤ!アナタノシ!」というもの
昨年のブログに書いたことと同じ気分になった“今”という現在進行形のひとときでした(以下)
客席からは我々の頭上に満月がみえる たまたまステージに上がっていましたが やはり主役は“神々の気配が濃い凛とした夜の空気”そして“月”でした