橋長戯言

Bluegrass Music lover, sometimes fly-fishing addict.
橋長です。

EHAGAKI #269 ≪不動産業≫

2013年04月22日 | EHAGAKI

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お世話になります

先般とある会合で「TPPは不動産業にどんな影響があるの?」という話題がありました

影響は? 正直全く知りません

で ちょっと調べるとその会合で講演された民主党の前原誠司氏の国会での答弁が出てきました(講演ではTPPの話題なし)

■3月11日の国会にて

「我々が最後まで交渉参加を表明できなかったのは、なぜかというと、米国の要求、事前協議の中身があまりにも不公平だった。

トラック、乗用車については関税をすぐにはゼロにしない猶予期間を設けるべきだ、ということだった。日本の安全基準については米韓FTAと同じように枠を設けるべきだ、ということだった。

保険については、はじめはがん保険だけと思っていたら、学資保険の中身を変えることについても色々と言い出した。つまり中身について、事前交渉でこれをとにかく武装解除しなければ米国議会に通告しない、と。

しかしこういう中身について我々は不公平であると、本来であれば、自動車の関税猶予なんてことは本交渉でやる話であって、我々は農産物を相殺して妥協しなかった」

参照)
ダイヤモンド・オンライン山田厚史の「世界かわら版」

その中で「TPPの最大の問題点は、「農業」でも「聖域なき関税」でもない。交渉内容が国民に知らされないまま、決まってしまうことだ。」と山田氏は指摘してます

前原氏は当時の判断をオープンにしてしまったんですが 朝日も日経も無視東京新聞が扱っただけだったそうです

■  ■  ■

報道されない 知らない訳です 

関税の自由化等 貿易関係のことが多く取り上げられていますが 太平洋横断戦略的経済連携協定(P4)の大まかな内容を紹介しているサイトからサービス関係について見ると

■サービスの自由化

対象となる「サービス」は以下。
(WTO協定の一部であるGATS(サービス貿易一般協定)に準拠)

実務)
自由職業(芸術家・芸能人・医師・弁護士・会計士・文筆業など)、電子計算機及び関連、研究及び開発、不動産、運転者を伴わない賃貸サービス、その他の実務サービス

通信)
郵便サービス、クーリエサービス(航空便で海外へ書類や小口荷物を届ける民間の配達)、通信サービス、音響映像サービス、その他

建設・エンジニアリング)
建築物に係る総合建設工事、土木に係る総合建設工事、設置及び組立工事、建築物の仕上げの工事、その他

流通)
問屋サービス、卸売サービス、小売サービス、フランチャイズ・サービス、その他

教育)
初等教育サービス、中等教育サービス、高等教育サービス、その他

環境)
汚水サービス、廃棄物処理サービス、衛生サービス及びこれに類似するサービス、その他

金融)
全ての保険及び保険関連のサービス、銀行及びその他の金融サービス(保険以外)、その他

健康・社会事業)
病院サービス、その他の人に係る健康サービス、社会事業サービス、その他

観光)
ホテル及び飲食店(仕出しを含む)、旅行業サービス、観光客の案内サービス、その他

娯楽)
興行サービス(演劇、生演奏及びサーカスのサービスを含む)、通信社サービス、図書館及び記録保管所のサービス、スポーツその他の娯楽のサービス、その他

運送)
海上運送、内陸水路における運送、航空運送サービス、宇宙運送、鉄道運送、道路運送、パイプライン輸送、全ての形態の運送の補助的なサービス、その他

これらのサービスについて以下の制限を加えることを禁止している。

サービス提供者数
サービス取引総額あるいは資産
サービス事業の総数あるいは総産出量
サービスセクターに雇用あるいは関係する自然人の総数
サービスを提供する法人あるいはジョイントベンチャーの形態

※現在シンガポール・ニュージーランド・チリ・ブルネイ間で発効している太平洋横断戦略的経済連携協定(P4)の大まかな内容を紹介。この協定が基本になるため、ほぼこのようになると考えて間違いない。現在話し合われているのはそれぞれの詳細なルールや実行時期など。TV・新聞をはじめとして大手メディアは農業、とりわけコメ農家だけに影響があるかの
ような報道がなされているが、労働、医療、公共事業なども含む全ての人の生活に関わる協定であることに注意。

http://tppbot.jp/archives/241

■  ■  ■

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とあります あらゆる分野に影響が及ぶ訳です

我々日本の不動産業者は 大手さん等の一部を除き典型的内需型ビジネスで海外とは無縁でありました

「障壁を撤廃してグローバル化する」ことがTPPの主旨ですから「不動産取引のルールを世界標準にしろ」という要求を受けることになります

世界標準=USAでしょうね

■断片的に不動産に絞ってWEB上で拾ってみました

あくまで断片 「不動産 TPP」で検索すると出てきますが それほど多くは無いように(興味を持っている人が少ない)感じます

・「申込み入ってます」これ、使えない?
(欧米諸国は契約社会=申込みで物件を押さえることは出来ない 解除条件を明示した事前契約が必要か)

・不動産屋(エージェント)の名刺は個人名が一番大きくてその横には顔写真所属会社が隅に書いてある つまり不動産仲介は企業レベルのビジネスから個人能力のビジネスに取って代わる?

・日本の不動産取引は宅建業者が大きな役割を背負っているが 北米の個人プレー主体の不動産取引となる?

・緩い?宅建免許が厳格になる?
 免許持ってない人間は会社の電話すら出てはいけない?
 =宅建免許を取得していない人間は不動産屋に入れない?
 ==大量に失業者が生まれる?

・敷金や礼金はなくなる?

・情報は一元管理?すべての売り物件が平等に誰でも閲覧することが出来る?

・とっておき物件がなくなる?

アメリカではMLSという業界団体のサイトによってあらゆる物件情報にアクセスでき そしてこのMLSには不動産登録は必須=未登録物件の売買は違法売買にあたる

・アメリカ基準となった場合 エージェント制度なので 売り買いのどちらか一方の代理人になって売買を行うので 仲介業自体が無くなる?

 両手仲介は利益相反だ!

・契約書は英語で作成しなければならない??

■  ■  ■

ということでした

TPP云々に係らず日本の不動産業が行っている情報の操作=非対称性によって稼いでいた手法を見直さなければならない時にきているのは確かではないでしょうか

「業界にとって有利」から「消費者にとって有利」かつ「日本にとって有利」という視点で考えなければならないと愚考する次第です

ではまた

TPPの内容を理解しやすいサイト

プロジェクト99%()が作成している「サルでもわか
るTPP」はわかりやすく説明されています(反対の立場で)

PDF版はこちら

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