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組み体操

2014年09月23日 | 時事
組み体操で事故多発…「人間ピラミッド」高層化
この辺では余り見かけませんが、巷では復活傾向があるのですかね。

自分が小学生の頃はもちろんやりましたし、練習中3段タワーの上から落ちて病院送りになった子もいました。今と昔の違いは、そういう事故があるとすぐに「危険だから止めさせろ。」という声が上がるようになったことでしょう。昔はおそらく親世代もやっていたわけで、「多少の怪我は付き物」という認識があったと思いますが、少子化で段々と過保護になり、また子どもも外で遊ばなくなって体力の低下も進み、こういう事故が増え、クレームも増え、中止する所が増え始めると、あとはなし崩し的になくなってしまったのだと思います。ソーラン節とか、そういうダンス系の種目なら見栄えもよく危険が少ないので、一時期はほとんどの学校の運動会でそんな傾向があったような気がします。その後「ダンス必修化」の追い風もあり、むしろ組み体操はもう完全に淘汰されたかとすら思っていました。

まあ、現に昨日のNHKのニュースWEBでこの特集をやっていたのを見たので、復活傾向にあるのは間違いないのでしょう。ただ、専門家らしき人が「本来は学習指導要領にない」と言っていましたがそれは間違いで、自分は十分に高学年の学習内容である「表現運動」の範疇だと思います。ここ、先刻の淘汰発言と矛盾するようですけど、正確に言うと、学習指導要領の体育編は「このような動きを学ぶ」と言うことと種目例が書いてあり、実際にどの種目で学ばせるは教師が決めているので、別に組み体操で学ぶ必要性はないけど、同時に禁止されてもいないということです。例えば中学年の「ゴール型」の動きであれば、サッカー、バスケ、ハンドボール、ラグビーなどや、それらを簡略したゲーム(ポートボールなど)の中の、どの種目で学んでもよいことになります。さらに言えば、「学ぶ動き」が含まれていれば、別に例示されていない教師の考えたオリジナルスポーツでも良いわけです。なので、学校や年度によってやったりやってなかったりする種目ができてくるのは当然の現象であり、準備にお金や時間がかかるスポーツは例示されていても敬遠されたり、ノウハウがあれば踏襲されやすかったりと、学校や地域の特性が出て然るべき所なのです。また、例えば「水泳」の動きでは、明確に水中スタートと明記されており、飛び込みは禁止されています。つまりもし「組み体操」が小学生の運動として相応しくないのなら必ず禁止事項として載っているはずであり、その記載がない以上、「指導要領にない」とは言えないのです。この教授?の主張はどちらかというと反対派だったので、朝日のような捏造とまでは言わないものの、例示がないことを思い込みからあたかも「学習指導要領に載っていない危険な行為を学校がさせている」という印象操作をテレビで流してしまったのでしょう。こういう所は、ちゃんとした教育の専門家に裏を取るとか、組み体操賛成派の専門家もコメンテーターとして呼ぶべきだと思うのですがね。

まあ、全体的な要旨は組み体操自体をやめさせるものではなく、見栄え優先で指導要領以上の危険な技に挑戦させることに警鐘を鳴らすものだったので、内容的には自分もその通りだと思います。体育では往々にして1年生に逆上がりをさせたり、跳び箱で6段を飛ばしたりするわけですが、実はこれは算数で言うと1年生にかけ算の筆算をやらせるようなもので、禁止はされていないにしても、発達段階を踏まえない突飛な活動を危険性を認識させずにさせてしまうことがあるのです。組み体操に限らず、ムカデ競走や騎馬戦など団体競技は個人の不注意や不始末の及ばない予期せぬ事故がつき物であり、また道具を使ったり数人分の加重がかかったりすれば当然怪我の程度も大きくなりがちです。運動会の練習は体育の時間だけでなく教師の目の届かない休み時間に及ぶこともあり、危険に対応しきれない面がどうしても出てきてしまいます。第一、復活したからと言っても、昔と今では実情が全然違います。授業日数増の問題もあって準備期間も短縮傾向にありますから、完成度を高めることもままなりません。自分が小学校の時は6年次のクラス替えがなく、6年生の運動会で組み体操をするために、5年の秋から準備を進めていたものですけどね。かといって、何の危険もない運だけの競技や、高学年で30m走程度の運動量で決まる種目では見ていても面白くありませんし、学習にもならないでしょう。運動会は行事ですが体育指導の一環であるべきです。どうせやるなら地味でもしっかり力をつけさせたい、達成感を味わわせてあげたいというのが教師の願いですが、昨今のお祭り騒ぎと化している観客席の保護者を見ていると難しいのかなと思います。