今日初めてアトリエに一人で遠くからやって来た・・・・無事到着。
するといきなり凄い話から始まる・・・先生ここなんですけれど・・・・と。
カッタ-の先を見て。横を大事にして縦を切る・・・そんな具合でやっているように
見えている部分がここ一箇所だけ縦が優先になっている・・・・。
おいおい、もうそんな細かい所に引っ掛かってこだわるのかよぉぉぉ。
俺の教える残り時間は後数回・・・・そりゃ無理だわっ・・・・。
確かに今日は1個かも知れないが、今は1個であってそのこだわりは今後もっと増えるはず
何故なら上手くなれば、こだわりはどんどんと増して行くものだから・・・。
しかもすでにもうこの1個にこだわるのだ。作り手の姿勢は抜群なのだから、
もうどうなるか?は目に見えている・・・・。
しかも止める母はここにいない・・・となれば、こうしたい・・・とはっきり言う子。
こりゃ大変な教室になりそうだ・・・が上手く伝われば、とても充実した教室になる・・
その前に、今の質問に答える。あのね、この作品見る人はどの位の距離を取る?と思う。
すると数メ-トル離れて・・・この位・・・・だね、俺もそう思う。
じゃそこから見て、今の部分見つける事が出来る?と聞くと判らない・・・と言う。
だよね、えっとそれを見つけられる人は、俺と監督とユ-ミンとここを見ている人だけ。
後はほぼ無理。じゃもう1つ聞くね。このパ-ツの失敗は何点減点?と言うと、1点と言う。
ならば99点狙えるね・・・。一体大事なのは何か?を考える事。
今直して、また100点を狙えるように振り出しに戻す事が大事なのか?もしそれをすると
またそんな事が起こった時、また剥がすつもりなのか?何度も同じ事を・・・ね。
それよりも戒めとして使い、もう二度とそんな事が起こらないように良い教訓にした方が
勉強にはならないのか?つまりどうしてそうなったか?そうならないようにする為には?と
問題定義に使うのだ。だからそうなった事の原因を突き止め、それすらも製作日誌に
書き留める事。良い事だけを拾って行くのでは無く、悪くなった事も製作過程なのだ。と
・・・。そしてその理由は、オリジナルを作っているのだから試行錯誤なのだと・・・。
そして段々と経験値が上がって、腕と共に目も肥えて理想を追求しているのだ・・・と。
しかも先日、来年もやりたい・・・なんて事も聞いた事で、ならば尚更、素晴らしき
捨石としてこの作品を使えるのだから・・・。
オリジナルとの向き合う姿勢まで技術の他に教えられるのだから・・・ね。豪華だわっ。
俺も監督も・・・。
そんな事を考えたら、ん・・・・一人に教えるのが勿体無くなってね・・・・
かぐやを繋げる事にした。必ず奴への指導にもなるはずだから・・・・とね。
そんな中、監督がこのまま進みます・・・って言うじゃない・・・そっか、じゃ進むよ。
良い目してんのよっ・・・それが・・・。普通失敗に気が付けば直したいじゃない?
けれど完全に納得している目をすんのよ・・。もう1つの俺の話を理解してくれたから。
それは、まっ良いかって奴はここに気が付かないし、振り返らず先ばかりを見る。
けれど、向き合う奴はちくしょう・・・くそぉぉ・・・あっやっちまった・・・・と
後悔ばかり。けれどそれは美にこだわるが故・・・であって、楽したいからでは無い。
すべては自分の理想の美への追求。悪いはずが無い・・・けれど、時間が限られている
以上、終わらないとそのこだわりは協調性が無い・・・に変わってしまう・・・。
無制限ならそれでも良いが、そう言う訳にはいかない。そこでその為に俺がいるのね。
つまりこだわりを持ち続けて俺にぶつける。けれどその判断は俺にある。
当然却下もある。その調整は俺がするから、ずっとこだわりをぶつける事が出来る寸法。
結構大変なのね。何しろこだわりを一番大切にするのは俺なのだから・・・ね。
それを却下しなければならない場合、一体本当に辛いのは誰なのだろうか?
しかしその分、本人は一切妥協しなくて良い訳だ・・・止めたのはすべて俺なのだから。
さて更に進む。
何処からやる?と言うとトンボから・・・と言う。まっ良い場所を選んだものだ。
監督なりに考えて、狭い箇所は後から・・・とか、大きいと作りやすいかな?とかね。
そこでまた質問をした。ねぇこれ何トンボ?・・・赤とんぼ・・・じゃ時間は?
夕方・・・それじゃ・・・と見本を見せる。
ねぇ、赤トンボってこの中でどれ?と言うと、当然下の列の3列目にある奴を選ぶ。
だよねぇ・・・じゃあ質問。和風っぽいのが作りたいって下絵を描いて来たんだよね?
じゃあ上と下のタイルはどっちが和風に見える?すると、上って言うのね。
そうね、俺もそう思う・・・じゃ更に質問。その理由は何だと思う・・・?
これは困っていた・・・えっと・・・ん・・・・だよね・・・ただ感じただけだから。
じゃあ説明出来なくても、何故そう感じたのか?くらいは言えるように・・・と、
こんな説明をした。何かさぁ、上は地味じゃん。下は派手じゃん。
そうかと思うと、1つ1つが上は曖昧じゃん、けれど下ははっきりしているじゃん。
そうは感じ無いぃぃぃ?って聞くと、あっそう思うぅぅ。だよね・・・じゃ一緒になった
感じ方がね・・・俺と。すると、そっかぁ・・・上の方が和風に見えるんだぁ・・・
となる。やっとここまでたどり着く。しかしね、まだ続くのね。ねぇじゃ今度は視点を
変えるね・・・また質問。日本らしい食べ物の名前言って見て・・・?
えっと・・・・うな重とか・・・てんぷらとか・・・ん・・・えっとこう言う質問には
必ず2つ以上上げる事ね・・・繋がりが何であるか?検証出来ないから・・・。ね。
じゃ2つの繋がりは?うなぎもてんぷらダネにも魚類はいるけれど、関連性は少ないね。
手法として油で揚げているから?ん・・・それが日本らしいと言い切れる根拠は
見つからないにせよ、明らかに感じられたねぇ・・・2つ共にね・・・。感じられた・・
じゃ一旦それは置いて、また質問。じゃ今度は外国っぽい日本の食べ物は?
えっ?・・・・・もう何も答えは出なかった・・・・・良く頑張って付いて来た・・・
えっと答えは簡単。和風と言って、ハンバ-グだとか、スパゲッティを付ける。
これは邪道。王道なら、イカスミスパゲッティみたいに日本発祥みたいなものを探す事。
えっとここで何が言いたかったか?は、最初の質問の日本らしいの場合は答えられた。
しかも根拠は見つからなかったが、正しい答えであった。
でも後者の質問は明らかに答えられなかった。これが事実。これを踏まえた指導は?
実は和風が作りたい・・・と言っていた監督は、選ぶタイルすべて下の段から・・・
その後に選ぶ事になる。それでは和風にはならない・・・。だってさっき自分で言って
たじゃない?上のが和風に見えるって・・・。そう和風には見えない・・なら発想の転換
折角見えないのだ・・・とね。そこで和風は作らない・・・としないで、粘る・・・。
えっと和風が駄目なら、和風っぽい・・・和風に見えないかな?和風もどき・・・
和風テイスト、和風みたい・・・和風かも・・・もう何でも良いから見えてくれぇぇぇ
少しで良いから・・・とどっかに引っ掛かれないかな?とね。そもそもそうやって考えて
行かないと、こだわりが通らないと諦める癖が付く。何としてもそうしたい根拠を
見つけて俺を説得する。けれどそれが無理なら、感じられる・・・共有出来る事を探す。
それでも駄目なら、何とか見える方法のきっかけだけでも・・・ヒントをくれぇぇぇと
ね・・・。意地でも和風から何としても離れないように・・・どんな事をしても・・・
そんな指導の後、それを踏まえて赤のタイルで目玉2つ切って見て・・・となる。
そもそもぺきぺきは体験教室で1回やっているから、じゃトンボの目の丸を切ってみ・・
と言うと、下絵を写して無いし・・・と言うので、この丸がほぼ限界の小ささでね・・・
と言うと、意味が判ったらしくスイスイと切るのだけれど・・・ペキペキってむずい。
と言う。何故?と聞くと、柔らかくて欠けちゃうから・・・と言う・・・あはははは。
おやまぁ上手くなっちゃったのね。そもそも体験の時は、あっ柔らかくて切りやすいって
言ってたはず。じゃ何故同じ言葉で違う意味の表現をするのかな?
もう判っている人は多いはず。そう1cmタイルを切った後だから・・・。固いタイルに
慣れてしまったからなのね。固いタイルは固いから手は疲れる。けれど慣れれば
真っ直ぐ切る事は簡単になる。しかし今度はペキペは柔らかいがもろい。
いつもの良い事と悪い事は背中合わせ。つまりペキペキの真っ直ぐ切るのは難しい。
理由は簡単。もろいから。それが体験の時は割っただけでこだわりが少なかった。
だから真っ直ぐなんて表現のパ-ツは出て来ない。しかし、こだわり度が変われば、
難易度も上がる。難易度が上がれば、それがクリア-になれば当然グレ-ドも上がる。
モノの考え方さえしっかり理解すれば、後は経験値。
するとこんな質問?えっと赤のトンボにオレンジの夕日では和風に見えないですよね?
実にカンの良い子である・・・。ん・・・そうねぇ・・・見えないとまでは言わないが
和風じゃなくて、和風っぽいを目指せば良いんじゃない?ただとても難易度が上がるので
なるべく上の段のタイルを多くする事を考える事。でもさ赤トンボ作るのに、
赤使わないってのは無理が有り過ぎじゃない?だから、例えば3匹中2匹を赤にして、
後1匹を赤じゃない赤っぽいタイルで作るとしたら・・・・?真っ赤じゃなくなるよね?
はい・・・じゃ見本の赤のタイルを押えて、他のタイルで次に赤く見える奴は・・・?
と言う質問となる。でもね、本当は比喩があるのね、独特の・・・ね。
監督は楽天ファン。だから、まさかのキャッチャ-嶋選手負傷・・・さぁどうする?
監督どうします?監督ぅぅぅぅ・・・・ってあおったのね・・・・あはははは。
するとエンジを選択する。正解ぃぃぃ。俺もそう思う。つまり微調整はエンジでする。
それを踏まえて、赤と赤っぽいタイルにオレンジの夕日では和風に見えないですよね?と
言う質問に変わったはずだよね?・・・・それじゃこっち来て・・・とライトを付けて
まぶしい状況の中、目の前に赤のタイルを見せて・・・何色に見えた?えっと黒・・・
そこで、
こんな絵を描いて見た。ねぇさっきと同じ質問。どう?すると黒のトンボの方がはっきり
してる・・・と言う。そうねその通り。けれど、良く考えて・・・・
オレンジの夕日が大切なの?赤トンボが大切なの?すると赤トンボと言う・・・けれど、
オレンジの夕日も捨て難い・・・だよね・・・それも判るけれど、一番大切なのは?の
質問に赤トンボと答えたのだから、黒トンボは却下。そして赤トンボを選んだ時点で、
赤にオレンジ・・と下のタイルばかり・・・和風から離れ過ぎ・・・そこで、
3匹中何匹か上のエンジにして何とか上のタイルを使おうとした・・・それは何故?
何とか和風を残す為。ならばオレンジの夕日も同じ考え方をする。
オレンジを押えてオレンジっぽい色は上の段でどれ?・・・とね。
何ともテクニックだ、センスだってのが一番簡単に教えられる良い例だっ。
何度も言うが、先生ごときが教えられないのは根気のみ。根気は親が教えるものだから。
学校行けば何処であっても、テクニックやセンスなんて身に付くでしょ?そこそこね。
モノ作りは、最後は根気なのね・・・いかに最初の構想から離れないように・・・とね。
けれど最初からそうそう構想を立てられるはずが無い。そこで1つくらいの趣旨を
曲げない・・で最後までやり遂げる事で、その実績を人に褒められるってのを手にする。
それが自信に繋がると、またそれを手にしたい・・・とエンドレスになるって寸法。
そんなこんなの繰り返しでは、そうそう進むはずも無い・・・・昼飯だって食べて
休む事無くやったのに、30パ-ツが良いとこって感じ・・・・さぁどうする・・?
そんな感じであったが、かなりきちんとした教室になった・・・・何しろかぐやが、
中学生にこんな高度な教室ですか・・・・と言われたくらいなのだから・・・。
まっ付いて来てたじゃん・・・・中々良い根性してんじゃん。後は何処までやるか?
本気に火が付くと面白いもの見られるんだけれどな・・・・。
もう指導はそこそこにして、俺は終わらせる事を考えるとすっか・・・・。