何かのものごとや組織について、それと関係のない人たちからの批判は、社会の安定のために必要なことです。
◇かつてゴルフ場は錬金術でした
私は土地開発の仕事に20年余り従事しています。昭和の終わりごろはリゾート地開発とゴルフ場開発が花盛りでした。
ゴルフ場は金がなくてもできるという話をよく聞きました。買う土地は人里離れた山ですから非常に安い。施設に金がかかるのはクラブハウスだけで、造成工事費は構造物が少ないので安い。1000万円の会員券を1000枚売れば100億円になる。当時、そういう話を聞きました。錬金術です。
◇ゴルフ場開発はいい仕事、反対できません
私は当時、社員20人ばかりの設計会社の専務をしておりました。私自身はゴルフをしません。私個人の好みとしては、広大な土地が1000人ばかりの会員専用(ビジターは利用できるわけですが)の遊び場所というものは無い方がいいと思っています。僅かな人数の遊びのために芝生を維持し、そのために農薬汚染が発生するということも良いとは思えません。
土地開発の造成設計・許可という仕事は、どんぶり勘定的にはほぼ開発面積に比例します。ゴルフ場は面積が広大ですからいい仕事です。ゼネコンの下請けでしたが、ゴルフ場開発の仕事をいくつかやりました。プライベートでは「広大な土地を少数の人の遊びのために囲いこむのは社会的に良くない」という意見を持っていても、設計会社の専務としては社員の先頭に立って推進しなければなりません。社会的に良くない、とかいって仕事を選んでいれば会社がつぶれます。仕事が入るだけで、感謝感謝なのです。
◇所属組織に反対する行為は失職につながる
企業、団体、役所などの組織に所属していて、(1)その組織に全体として利益になること、(2)その組織の幹部に利益になること、(3)その組織が習慣的に従来からおこなってきたことなどに反対する行為は、至難です。中堅以下の民間企業なら、失業につながります。
役所や警察の裏金づくりは組織的に行われたものです。良くないということは当事者にとってはわかりきったことです。しかし習慣的にみんなでやっていれば、罪の意識も薄れるでしょう。裏金作りに加わりたくない人もたくさんいたでしょう。私の場合は個人として、ゴルフ場開発は良くないという考えを持ちながら、推進する側に立っていました。そのために職業と生活を捨てることはできませんでした。
◇「おかしいことはおかしい」と話していく勇気
ですから、そのことと「利害関係のない外部の人による批判」が世論を、企業を、役所を動かさない限り、世の中のことは改まりません。生活感覚に立脚した視点で、生活の場所や職場で「おかしいことはおかしい」と小さな声を上げ続けることが大切だと思います。話しつづけることは勇気のいることですが。
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