2017-10-13「国家戦略特区は「利益誘導」事業に、成り得る 中心的唱道者・竹中平蔵氏は大物『規制緩和ビジネスマン』である」の記事で次のように書きました。
○国家戦略特別区域諮問会議運営規則 (平成26年1月7日)
第4条4 会議は、その決定するところにより、会議に付議される事項について直接の利害関係を有する議員を、審議及び議決に参加させないことができる。← 利益誘導防止の規則
上の第4条第4号の規定を実行するならば、今治特区(加計学園獣医学部新設)審議・決定では、安倍晋三諮問会議議長を外す。神奈川特区(家事支援外国人在)審議・決定では、竹中平蔵有識者議員を外す。――ということになります。しかし、この規定はお飾りにすぎなかった。
サンデー毎日5月29日号では江田憲司議員が「加計は贈収賄事件だ」と言っています。
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(サンデー毎日2018年5月29日号)
■「首相の職務権限は100%ある」
まずは、江田憲司氏だ。元通産官僚。橋本龍太郎政権で2年7カ月、首相秘書官を務めた。経産支配といわれる今の官邸事情に精通、加計疑惑について最も本質に迫った追及をしている。
加計は贈収賄事件だと。
「刑法には単純収賄として『公務員が、その職務に関し、賄賂を収受し、又(また)はその要求若(も)しくは約束をしたときは、5年以下の懲役に処する』(197条)とある。首相は公務員だし、国家戦略特区の議長だから職務権限は100%ある」
「問題は賄賂性。金銭の収受だけでなくていい、というのが20年前の大蔵省接待スキャンダルの時の捜査当局の方針転換だった」
1998年の橋本政権時に発覚した金融業界と監督官庁の大蔵官僚(当時)の癒着が問われた事件だ。
「あの時、東京地検特捜部は大蔵省証券局課長補佐、日銀証券課長らキャリア官僚を収賄容疑で逮捕した。従来は金銭収受があったかどうかが重要とされたが、時の熊崎勝彦特捜部長は、飲食接待だけで立件し、有罪となっている」
「今でも思い出す。大蔵官僚たちがなぜ急に方針が変わったのかと文句を言っていた。僕も通産官僚として先輩から聞いていたのは、金銭の授受だけは絶対ダメ、だが、飲食やゴルフはいくらでもやっていい、ということだった。そういう感覚があった」
今でもそういう認識の役人もいる。だが、20年前に180度転換した。その意味が今また問われている。
「安倍首相は加計孝太郎理事長との間で、第2次政権だけで19回の会食、ゴルフをしたことを明らかにした。奢(おご)られた場合もあると明言している」
「接待は金額の多寡は問われないのが通説だ。問題は対価性の認識。加計氏側に獣医学部新設認可をしてもらおうという接待の意図があり、安倍氏がそういう趣旨で接待を受けた、という認識があればアウトだ」
安倍氏がいつ加計の獣医学部新設計画を知ったかが、重要になる。
「安倍氏が2017年1月20日(の加計が特区申請した時)に初めて知った、となぜ答弁を変更したのか。それ以前は、国会答弁や質問主意書で『今治市が特区申請した15年6月4日に知った』と言っていた」
大臣規範に触れる、というのが変更の理由という。
「そんな軽い話ではない。加計が申請業者と知りながら許認可権者である首相が接待を受けたのでは、さすがにやばいと判断した。ことの流れが贈収賄に当たりかねない。その後、一貫して『17年1月20日』ラインを死守しようとしていることでも見て取れる」
だからこそ、柳瀬唯夫元首相秘書官が15年4月2日に加計、今治市、愛媛県側担当者と官邸で面談したことも認めたくなかった。だが、愛媛県、農水、文科省文書によって面談の事実と中身が詳(つまび)らかにされてしまった。
「柳瀬氏が加計側とそれを含めて前後3回も官邸で会っていたのには驚いた。しかも、相手は首相が許認可権限を持つ利害関係者だ。私の官邸経験では100%あり得ない話だ」
「首相秘書官は、首相にとっては夫人よりも時間を長く共有する。毎日夕方には打ち合わせをするし、昼食を共にすることも多い。首相の息遣いや体温までも感じる間合いで仕事をしている。17年1月20日までの1年9カ月の間、首相と秘書官の間でこの話題が出なかったことは到底あり得ない」
首相側は、19回の会食等が加計認可に関する特別なものではなかった、という立場だ。過去何度も行われてきた中の一つで新規性はなく、従って認可とは対価性はない、という論法だ。
「いみじくも僕がひっかけ質問した。『第1次安倍政権(06年9月~07年8月)では一回も加計氏との飲食ゴルフはなかったようだが』と。通告せずいきなり質問したら、安倍氏は『首相動静に載ってないこともある。1次政権でもやっていた』と答弁した。認可との対価性を消すために接待を常態化しようとしたが、結果的に墓穴を掘った形だ。動静に載ってないこともあると答弁したわけだ」
そこで、最新の愛媛県文書だ。それによると、15年2月25日に安倍首相、加計理事長との15分間の面談があり、加計氏が「今治市に設置予定の獣医学部では、国際水準の獣医学教育を目指すこと」などを説明、安倍氏は「そういう新しい獣医大学の考えはいいね」と応じている。これは「首相動静」には載っていない。
「この事実が判明したのは重い。これまでの話だと、安倍、加計会食の最後は14年12月で、15年4月2日の柳瀬・加計面談までは間があった。今回の文書ですべてが氷解する。柳瀬氏の3度の面談には、安倍、加計トップ会談という前段があり、そこから官邸が総がかりで加計認可のバックアップ態勢に入った」
■安倍首相が「進退答弁」をした理由
トップ会談は加計氏から請託があった場面、とも受け取れる。
「そうだ。少なくとも獣医学部問題が話し合われたことははっきりした。請託が立証されると受託収賄になる。裁判であれば証拠能力の高い文書ばかりだ。県知事が保証役だ。文科相も『官邸の最高レベルが言っている』とか『総理のご意向である』という一連のやりとりを真正文書として認めた。前川喜平前文科事務次官の一連の証言も然(しか)り。裁判所であれば、書いた人に出廷を要請し証人尋問し、信憑(しんぴょう)性を確認して証拠資料として採用するが、本件は100%の確度で証拠資料として採用されるものだ」
「加計問題の本質は、疑惑とか忖度(そんたく)ではない。官僚は忖度なんかで危ない橋を渡らない。つまり、首相指示による贈収賄事件の疑いが濃厚ということだ。検察が捜査するかは別にして告発はできる。状況証拠はすべて固まっており、後は本人自白だけという局面だ」