<吉本騒動> お笑い大企業「吉本興業」大崎会長インタビュー(毎日新聞記事2019.7.14.転載)
安倍首相は自民党大阪府連を差し置き、憲法改正発議および公明党への牽制のために、大阪維新を陰ながら支援してきました。安倍首相にとって維新の会は、安倍私党の位置にあります。
その結果、2019(平31).4.7.統一地方選挙投票日。大阪維新の会圧勝、大阪府下議席増。再び大阪府知事、大阪市長を大阪維新が独占。大阪自公が推した対抗馬は、知事選、市長選ともに負けました。大阪府市両議会で第一党だった大阪維新は議席増を果たして、さらに強くなりました。
■2019(平31).4.20. 安倍首相、衆院補選大阪12区応援のため大阪入り
衆院補選大阪12区補選応援のため大阪入りした安倍首相は、大阪12区の3カ所で街頭演説の後、引きつづいて吉本新喜劇なんばグランド花月劇場の舞台に登場。6月のG20大阪サミットを成功させるため協力を呼びかけました。
安倍首相発言 https://www.youtube.com/watch?v=0PdSzDBDmUg
(G20では)世界の首脳が集まって地球的な課題、特に経済につ
いて話をします。「四角い仁鶴がまーるくおさめまっせ」(場内に笑
い起こる)と、何とか解決策を見いだしたいと思ってます。
ただ、一つお願いがありますが、交通規制をさせていただきたい
と思いますので、どうかご協力をお願いしたいと思います。
―略― G20を成功させれば、2025年はいよいよ大阪で万国博
覧会が開催されます。
「四角い仁鶴がまーるくおさめまっせ」というのは、NHK大阪土曜番組「バラエティー笑百科」のイントロフレーズです。30年以上つづく長寿番組、上方落語の仁鶴師匠が司会、法律相談のさきがけ番組。中高年大阪人には親しみ深いセリフです。
安倍首相の登場で場内がオーとどよめき、「四角い仁鶴が…」で笑いがまき起こりました。劇場はにこやかな雰囲気に包まれて、安倍首相は見たことのないくつろいだ笑顔にあふれていました。わたしは安倍首相は戦後最悪の首相だと批判してきましたが、そんなわたしでさえ、その笑みにあふれた好人物ぶりに感心したほどでした。
安倍首相の大阪入りは、衆院大阪12区補選街頭演説3カ所と吉本新喜劇出演の二つのシーンが一連のものとして、大阪キー局すべての局で紹介されました。
衆院補欠選挙投票日は4月21日。その前日、4月20日大阪キー局すべての複数番組で「衆院補選の街頭演説をこなし、つづいて吉本新喜劇で6月G20首脳会議への協力を訴えました」と放送されても、吉本新喜劇出演は公選法違反にはならないようです。
ニューストークや街頭演説を見聞きしているつづきのことであり、安倍首相が来阪したのは自民党候補応援のため、と大阪のテレビ視聴者はわかっています。しかし吉本新喜劇の舞台上で安倍首相は補選に触れず、総理大臣の立場でG20首脳会議への協力を呼びかけるにとどめました。
明けて4月21日、事前の大方の予測通り、維新の会候補が勝利。自民候補、敗北。もう、大阪自民党は維新の会に勝てなくなりました。
陰ながら大阪維新の会に力を貸してきた安倍首相。自民党総裁でありながら自民党大阪府連を冷遇してきた安倍首相の背信ぶりが、4.22.毎日新聞の記事に表れています。
2019.4.22.毎日新聞大阪記事
自民は3月中旬ごろまで「北川氏が優勢」と余裕をみせていたが、ダブル
選の惨敗で状況は一変。「衆院選があったら大阪は全滅だ」と補選を前
に地元は危機感を強めた。
※ダブル選……統一地方選で大阪府知事選・大阪市長選が同日選になった。知事選
市長選ともに自民vs維新の勝負。
ところが政府・与党の動きはちぐはぐだった。ダブル選で3回大阪入りし
た二階氏は、補選の応援を見送った。国政で維新との連携を意識する首相
官邸がダブル選を静観したことに、党内で不満がくすぶっていたためだ。
党幹部は「今回は安倍晋三首相が応援に行けばいい」と突き放した。
結局、首相は選挙戦最終日の20日、大阪12区の3カ所で街頭演説したが、
府連幹部は「もう火の手は広がっている」と嘆いた。
さらに演説を終えた首相は、大阪市で「吉本新喜劇」に特別出演し、6月
に大阪で開く主要20カ国・地域(G20)首脳会議をPR。
「維新」に言及せず全面対決から距離を置いた大阪入りに「アリバイ作り
では」(自民府連関係者)との声が上がった。首相自身も「大阪は自民が
野党で、維新が与党だ。支持率も維新が高いんだから元々厳しい」と周囲
に予防線を張っていた。
■吉本騒動――芸人と会社の契約のブラックぶり、反社会的勢力とのつなが
りへの疑い
吉本興業の宮迫博之さん、田村亮さんが反社会的人間と交際している、と6月7日発売の週刊誌「フライデー」が伝えました。それから吉本興業は大騒動になっています。騒動はまだ継続中。なお、宮迫さんは7月19日発売「フライデー」で、続報を打たれています。
吉本騒動の過程で、会社と芸人との間にタレント契約書がなく、会社側からの一方的口頭通知を「契約」と称するなど、吉本興業のブラックぶりが明らかになりました。
芸人と会社とのブラックな人間関係や雇用関係は旧時代から続く業界慣習なのでしょう。しかしこのたび明らかになった吉本興業の実態は、現代の社会通念に照らせば十二分に「アウト」です。
また、所属芸人を通じた反社会的勢力とのつながりを吉本興業が意図的に看過していたのではないか、という疑いも生じています。
7月31日のニュースでは、吉本興業が、芸人養成所「NSC」の合宿に参加する生徒に対し、合宿中の死亡や負傷について原因に関係なく吉本興業を免責し、賠償請求権も認めないとする規約に同意するよう求めていたことが明らかになった、と伝えています。
「やっていけへんのやったらやめてもええで」
「教育訓練中のけが・死亡は自己責任やから、そのつもりで」
――7月22日岡本社長記者会見では、これまでにわかっているこんな風なやり方を「家庭的な人間関係」と言っています。
7月22日岡本社長記者会見を見ても、7月14日大崎会長インタビュー記事(毎日新聞)を読んでも、「芸人育成」と「タレント雇用契約」との観念上の分別ができていません。
「芸人育成」は体育会式鍛錬といった趣であり、「タレント雇用契約」については労働法感覚ゼロです。経営陣に雇用コンプライアンス精神が欠如しています。
このように吉本興業の陰の部分が明るみに出て、政府官民投資のクールジャパン機構の投資先として吉本興業は適格なのかという批判が起きています。対象事業が「教育」コンテンツとなれば、なおさらのこと。
■クールジャパン機構(政府投資)2019.4.21.発表
■教育コンテンツ等を国内外に発信する国産プラットフォーム事業へ出資
吉本興業と教育コンテンツが結びつけるとどういうコンテンツになるのか、簡単な発表資料だけでは一般人には想像がつきません。ともかく今渦中にある吉本騒動から、「教育」という名がつく事業育成のために「官」が吉本興業に出資していいのか、という批判が起きています。
新会社ラフ&ピース_マザーには最大100億円を出資する計画です。一方、クールジャパン機構はほかの出資案件で95億円の損失を出して、存在意義を問われている立場にあります。
<クールジャパン機構(=株式会社海外需要開拓支援機構)プレス発表>
2019 年 4 月 21 日
吉本興業株式会社
日本電信電話株式会社
株式会社海外需要開拓支援機構
※https://www.cj-fund.co.jp/
吉本興業株式会社(本社:大阪府大阪市、代表取締役会長:大﨑 洋、以
下、吉本興業)と日本電信電話株式会社(本社:東京都千代田区、代表取
締役社長:澤田 純、以下、NTT)は共同で、「遊びと学び」をコンセプト
にした教育コンテンツ等を国内外に発信していく国産プラットフォーム事
業「Laugh & Peace_Mother(ラフアンドピースマザー)powered by
NTT Group」を始めます。株式会社海外需要開拓支援機構(本社:東京都
港区、代表取締役社長 CEO:北川 直樹、以下、クールジャパン機構)か
らも出資を受け、沖縄に事業運営会社を設立します。
――略――
新会社にはNTTと吉本興業からの出資に加えて、段階的に最大 100
億円をクールジャパン機構が出資します。また、沖縄県に、本プラットフ
ォームの拠点となるアトラクション施設を設置します。バーチャルなコン
テンツの世界観をリアルに体感できるアトラクション施設を設置すること
で、沖縄の地域産業の活性化や、国内外からの観光誘致にも寄与していき
ます。
■新会社の事業概要
① 新たな教育等コンテンツ・アプリの制作・配信
② 日本発の良質な教育等コンテンツを展開するプラットフォームの構築
③ アトラクション施設
■新会社について
商号: 株式会社ラフ&ピース マザー
本社所在地: 沖縄県那覇市(予定)
代表者: 生沼 教行
事業内容: 「遊びと学び」をテーマとした教育等コンテンツ・アプリの
制作・配信、アトラクション施設の運営等
設立年月日: 2019 年 4 月
事業開始時期: 2019 年 10 月以降準備が整い次第
クールジャパン機構が発表したアジア市場対象の国産プラットフォーム構想の発表は、今年2019.4.21.でした。ところが吉本興行はこれとほぼ同じプラットフォーム構想をちょうど1年前に沖縄から発表していました。
『第10回沖縄国際映画祭』会期中の2018年4月21日に、吉本興業が「仮称 沖縄アジアエンタテインメントプラットフォーム」構想を発表しています。発表と同じ4月に「沖縄ラフ&ピース専門学校」を沖縄で開校したのも、プラットフォーム構想の一環でしょう。 ※ラフ&ピース……laugh & peace
吉本興業はこれまで10年間、沖縄国際映画祭を軸にして沖縄で活動を積み上げてきました。
クールジャパン機構の100億円出資計画は、基地問題に対する中期的沖縄懐柔策として、安倍政権が吉本興業の事業構想に相乗りしたと考えられます。クールジャパン機構が発表したプラットフォーム名でも新会社名でも、吉本興業の「沖縄ラフ&ピース専門学校」と「ラフ&ピース」で共通していますから。
■クールジャパンパーク大阪 クールジャパン機構が最大12億円出資
大阪市が2015年ごろから大阪城公園域の再生事業=大阪城パークマネジメントに力を入れています。2017年にJO-TERRACE OSAKAやMIRAIZA OSAKA-JOなどの新施設を開業させました。クールジャパンパーク大阪も大阪城公園活性化の一群として期待されています。
これに呼応して今年2019年2月には、劇場型文化集客施設「クールジャパンパーク大阪」が大阪城公園域でオープンしました。
吉本興業と大阪市(当時、吉村洋文市長)は2017年11月22日、包括連携協定を締結しています。
大阪城公園の新たなエンターテインメント発信拠点と期待を担うのは、1144席のWWホール、706席のTTホール、着席300席/スタンディング600人収容のSSホールで、すでに稼働中です。ホール命名者は明石家さんまさん。
クールジャパン大阪株式会社の代表取締役は戸田義人氏。吉本興業副社長から転籍であり、ホール命名者が明石家さんまさんですから、この会社が吉本興業HDの会社であると、素人目にもわかります。
クールジャパン大阪株式会社には、経済産業省所管の官民ファンド「クールジャパン機構(正式名称:株式会社海外需要開拓支援機構)」が最大12億円出資しています。ほかに民間13社が出資しています。
〇出資構成民間13社
・吉本興業株式会社(大阪府大阪市中央区)
・株式会社 MBSメディアホールディングス(大阪府大阪市北区)
・朝日放送株式会社(大阪府大阪市福島区)
・関西テレビ放送株式会社(大阪府大阪市北区)
・讀賣テレビ放送株式会社(大阪府大阪市中央区)
・テレビ大阪株式会社(大阪府大阪市中央区)
・株式会社 エイチ・アイ・エス(東京都新宿区)
・株式会社 JTB(東京都品川区)
・株式会社 NTTぷらら(東京都豊島区)
・株式会社 KADOKAWA(東京都千代田区)
・株式会社 滋慶(大阪府大阪市中央区)
・株式会社 電通(東京都港区)
・株式会社 UFI FUTECH ユーエフアイフューテック (東京都豊島区)
※株式会社ファミマ・ドット・コムを社名変更してUFI FUTECH