幸い天候も安定していて
船は静かに進んでいます
… … …
若い船員さんと
知り合いになれました
… … …
少し丸く曲がった水平線を
眺めながら、若い船員さんは
「私の耳がおかしいだろう…」
と耳を私に向けます
彼の耳が潰れています
「私はスポーツマン、ラグビーで
こうなった…」と
笑いながら話してくれました
私はラグビーを、見たことがありません
世の中には激しいスポーツがあるものだと
強く印象に残りました
… … …
若い船員さんは
「この船は明日の朝、大連港(だいれん)に入港…」
と話を結んで去っていきました
… … …
その後、その若い船員さんはどうされたでしょう
船室はコンパートメントで、
その夜は静かにやすみました
翌朝、船は大連港に入港していくところでした
まもなく、埠頭に近づいていくと
大勢の出迎えのなかに父親を見つけました
父親を見るのは数ヶ月ぶりです
政府の奨励していた
カーキ色の国民帽と国民服姿でした
別に強制的ではなかったようですが
最近の「クール・ビズ」のようなものでしょうか
… … …
国民服の父親を見た母親は
「まあ、イヤだ…」と叫びました