初心者の老人です

75才になって初めてVISTAを始めました。

黄塵万丈(こうじんばんじょう)

2015年09月28日 21時12分08秒 | Weblog


厳しかった新京の冬もやがて

春がやってきます

朝、秋だったのに昼から

冬になる大陸性気候でしたから

春の訪れも突然です



春が訪れると地面で凍結していた

あらゆるものが解凍されます

馬や野犬などの糞は新鮮なまま

冷凍されています。

それが春になって、一斉に解凍されるのです

… … …

冷蔵庫の冷凍食品を解凍するのに似ています

例は悪いのですが解凍された汚物の

新鮮な臭いが野原にたちこめるのです

最初、私には何の臭いかわかりませんでした



次に、満洲の春の名物、

黄塵万丈(こうじんばんじょう)です

日本の春霞は黄砂(こうさ)だったとなりましたが

満洲の黄塵万丈はその黄砂の本家です

中途半端なものではありません



春の朝、窓の外を見ると砂嵐で

あたり一面真っ黄色で五里霧中です

登校するのにゴーグルをつけなくては、

目が痛くてとても歩けません。

… … …

添付写真のゴーグルは

最近のスマートなプラスチック製ですが

当時は布製でガラス窓でした



ゴーグルをつけて外を歩くと、

前を行く人が砂嵐の中に

黒くぼんやりとしか見えません。

… … …

家のほうでは、厳重な二重窓の隙間から

微細な粘土のような砂が廊下にうっすらと積もります

それを雑巾がけすると粘土の筋が床に残って始末が悪いのです

… … …

母親はぼやきながら毎日、雑巾がけしていました

… … …

現在の精密なズームレンズ付きカメラをこの砂嵐の直中へ

持ち込めばたちまち、ズームリング、フォーカスリングが

じゃりじゃりして故障するでしょう