京都・下鴨国民学校から
満洲國新京特別市春光国民学校へ
転校して、初めて満洲國の夏が終わって
秋を迎えることになりました
春光国民学校の広い運動場いっぱいに
土で低い土手が楕円形に築かれました
真冬になるとスケートリンクになるのです
先生が太い長いホースで土手のなかへ
水を張っていきます
… … …
1日や2日ではとても水が張れません
運動場の土は少し粘土質で
水が溜まりやすいのでしょう
ある初秋の朝、夜明けからしとしと雨が降っていました
私はいつもの運動靴をやめて下駄を履いて登校しました
教室に入ると皆の服装がチョット違うのです
全員、綿入りの手袋、冬の外套姿なのでした
間もなく、授業が始まりました
窓の外は相変わらず雨音が聞こえています
… … …
そして、ふと気づくといつの間にか雨から雪になっているのです
午前中は秋で下校時にはいきなり冬になっているのです
これが大陸性気候というのでしょうか
あたり一面、初雪の銀世界の中、素足に下駄履きで
泣きながら帰宅しました
母親は「知らなくてごめんね、ごめんね…」と
謝っていました
… … …
母親も昼前は秋だったのに
昼から冬と一日で
激変する季節に
吃驚したのでしょう