経営コンサルタントへの道

コンサルタントのためのコンサルタントが、半世紀にわたる経験に基づき、経営やコンサルティングに関し毎日複数のブログを発信

■■竹根事務所を訪問 【連載小説】経営コンサルタント竹根好助の「先見思考経営」 No.134

2011-11-14 10:42:49 | 小説・先見思考

■■竹根事務所を訪問 【連載小説】経営コンサルタント竹根好助の「先見思考経営」 No.134<o:p></o:p>

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 昼は休みに読むブログ連載小説です。経営コンサルタントとどのようにつきあうと経営者・管理職として、プロ士業として一歩上を目指せるのか、小説を通じて体感してください。<o:p></o:p>

【本書の読み方】 脚注参照<o:p></o:p>

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■12 第二創業期始まる 10 通算134回 竹根事務所を訪問 <o:p></o:p>

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 印刷会社ラッキーの取締役会の場である。荒れた取締役会であるが、五カ年計画の第二議案まで何とか可決されるところまできた。<o:p></o:p>

 幸は、荒れた役員会の思い出から、我に返ると、そこはまだ靖国神社の茶室であった。三代目になるであろう育猛が何故ブログの話をしだしたのか気になって仕方のない幸である。<o:p></o:p>

 そのうちに幸は竹根と再会した1980年代に再び引き戻された。竹根がプリダ印刷機の販売の件で、古巣である福田商事を訪れた。<o:p></o:p>

 幸もまた、偶然福田商事の角菊にあった。竹根もそのフォローのために、日時をずらして福田商事に行った。そのことが気になる幸である。<o:p></o:p>

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【回想2 1980年代】 <o:p></o:p>

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 福田商事のプリダ・オフセット印刷機の販売のことで幸は福田商事を訪問する決心をした。<o:p></o:p>

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 翌日の午後、福田商事を訪問した幸は、その足で竹根の事務所に足を伸ばした。<o:p></o:p>

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 竹根の事務所は、『文の都』と愛称されている東京の中でも学園地域といわれる文京区にある。<o:p></o:p>

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 文京区は、JR環状線である山手線のほぼ中央に位置する住宅街の一つでもあるが、東京大学やお茶の水女子大学、東京医科歯科大学をはじめとする、日本を代表する大学や高校などがひしめいているところでもある。<o:p></o:p>

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 何度か足を運んだことのある幸を竹根の秘書をしている平しずかが温かく迎えてくれた。<o:p></o:p>

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 彼女を見ても、愛子と共通する女性らしさを感ずるので、竹根の女性の好みを幸は自信を持って勝手に自分の見る目は正しいのだと確定した。<o:p></o:p>

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――昨日の教唆で愛子は竹根とのデートの約束ができたのだろうか。何も言ってこないけど、まあ、うまく運んでいるのだろう。たぶん、竹根のスケジュールの関係で時間調整中なのかな――<o:p></o:p>

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 応接室に通されると、秘書の平が「竹根は五分ほどで参ります。貴重なお時間なのにお待たせして申し訳ありません」といいながら、薫り高いコーヒーを出してくれた。<o:p></o:p>

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 コーヒーをすすりながら、応接室に飾ってある、竹根が描いたという海の風景画を眺めた。遠くに突き出た半島の先に小さく灯台が描かれている。<o:p></o:p>

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 ニューヨークにいた時にロングアイランドの東端で描いたことを以前に聞いている。<o:p></o:p>

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< 次回に続く お楽しみに ><o:p></o:p>

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■■ 脚注<o:p></o:p>

 本書は、現代情景と階層部分を並行して話が展開する新しい試みをしています。読みづらい部分もあろうかと思いますので、現代情景部分については【現代】と、また過去の回想シーンについては【回想】と表記します。回想シーンも、回想1は1970年代前半にはじめて幸が竹根に会ったときと、回想2は、その十数年後、二度目にあったときの二つの時間帯があります。<o:p></o:p>

■■ これまでのあらすじ PC←クリック<o:p></o:p>

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■■新戦略が動き出す 【連載小説】経営コンサルタント竹根好助の「先見思考経営」 No.133

2011-11-11 12:05:17 | 小説・先見思考

■■新戦略が動き出す 【連載小説】経営コンサルタント竹根好助の「先見思考経営」 No.133<o:p></o:p>

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 昼は休みに読むブログ連載小説です。経営コンサルタントとどのようにつきあうと経営者・管理職として、プロ士業として一歩上を目指せるのか、小説を通じて体感してください。<o:p></o:p>

【本書の読み方】 脚注参照<o:p></o:p>

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■12 第二創業期始まる 9 通算133回 プリダ戦略が動き出す <o:p></o:p>

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 印刷会社ラッキーの取締役会の場である。荒れた取締役会であるが、五カ年計画の第二議案まで何とか可決されるところまできた。<o:p></o:p>

 幸は、荒れた役員会の思い出から、我に返ると、そこはまだ靖国神社の茶室であった。三代目になるであろう育猛が何故ブログの話をしだしたのか気になって仕方のない幸である。<o:p></o:p>

 そのうちに幸は竹根と再会した1980年代に再び引き戻された。竹根がプリダ印刷機の販売の件で、古巣である福田商事を訪れた。<o:p></o:p>

 幸もまた、偶然福田商事の角菊にあった。竹根もそのフォローのために、日時をずらして福田商事に行った。そのことが気になる幸である。<o:p></o:p>

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【回想2 1980年代】 <o:p></o:p>

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 福田商事を訪問したプリダ商品の戦略について、竹根の話を聞いた。竹根は直接的なことを言わないが、竹根の気持ちを推量してこう言った。<o:p></o:p>

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「それで、先生は、うちが早速提案書を持って、名乗り出ればよい、こうおっしゃりたいのですね」<o:p></o:p>

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「その通りです。そこまで読めるということは、ラッキー様には経営コンサルタントはいりませんね」<o:p></o:p>

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 おどけながら応える竹根の笑いに、幸は追従した。最近、よく笑うようになったと幸は思うことがある。竹根のおかげで精神的にゆとりができたからであろうか。前向きなことを考えることも多くなってきた。<o:p></o:p>

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「とりあえず、荻野たちに提案書の原案を準備させています。でき上がり次第お持ちしますので、ご検討をお願いします。必要な箇所を修正の上、福田商事に持って行ってください。たぶん、今日の十五時頃にはできあがると思いますので、遅くても社長が帰宅されるまでには持参させます」<o:p></o:p>

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「そうですか、それはありがとうございます。では早速、軽オフセット国内販売担当の伊中事業部長とアポを取って明日にでも訪問してみます。ちょっと失礼します」<o:p></o:p>

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 竹根のいる前で、秘書の愛子を通じてアポイントの電話を福田商事に入れた。<o:p></o:p>

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「先生、明日の十時半に時間をわざわざ作ってくれ、伊中事業部長が会ってくれるそうです」<o:p></o:p>

<o:p> </o:p>

「それだけ、先方も手詰まりな状況のようですね」<o:p></o:p>

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< 次回に続く お楽しみに ><o:p></o:p>

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■■ 脚注<o:p></o:p>

 本書は、現代情景と階層部分を並行して話が展開する新しい試みをしています。読みづらい部分もあろうかと思いますので、現代情景部分については【現代】と、また過去の回想シーンについては【回想】と表記します。回想シーンも、回想1は1970年代前半にはじめて幸が竹根に会ったときと、回想2は、その十数年後、二度目にあったときの二つの時間帯があります。<o:p></o:p>

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■■竹根の元上司 【連載小説】経営コンサルタント竹根好助の「先見思考経営」 No.132

2011-11-10 12:05:00 | 小説・先見思考

■■竹根の元上司 【連載小説】経営コンサルタント竹根好助の「先見思考経営」 No.132<o:p></o:p>

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 昼は休みに読むブログ連載小説です。経営コンサルタントとどのようにつきあうと経営者・管理職として、プロ士業として一歩上を目指せるのか、小説を通じて体感してください。<o:p></o:p>

【本書の読み方】 脚注参照<o:p></o:p>

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■12 第二創業期始まる 8 通算132回 竹根の元上司 <o:p></o:p>

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 印刷会社ラッキーの取締役会の場である。荒れた取締役会であるが、五カ年計画の第二議案まで何とか可決されるところまできた。<o:p></o:p>

 幸は、荒れた役員会の思い出から、我に返ると、そこはまだ靖国神社の茶室であった。三代目になるであろう育猛が何故ブログの話をしだしたのか気になって仕方のない幸である。<o:p></o:p>

 そのうちに幸は竹根と再会した1980年代に再び引き戻された。竹根がプリダ印刷機の販売の件で、古巣である福田商事を訪れた。<o:p></o:p>

 幸もまた、偶然福田商事の角菊にあった。会社に戻った幸であるが、何となく気分がすっきりしない中でからかい半分で愛子を相手に、気分転換に、愛子に竹根とのデータの件で智恵をつけようとした。<o:p></o:p>

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【回想2 1980年代】 <o:p></o:p>

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 幸は、竹根が福田商事に行ったことが気になる。話の行きがかり上、竹根にまず角菊の話から始めると、竹根は昔を思い出しながら言った。<o:p></o:p>

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「若くして大会社の取締役に抜擢されたのですから、力はある人です。今日ある私の恩人でもあります」<o:p></o:p>

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「先生は、相変わらず人がいいですね。先生がわざわざ挨拶に来たと、ふんぞり返っていました。いかにも俺は大人(たいじん)なのだと言いたげで・・・」<o:p></o:p>

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「ええ、軽オフセットの件で、福田商事に行ってきました。彼の事業部で輸入して、印刷関連の事業部で軽オフセットを販売するとかいって、その準備に忙しそうでした」<o:p></o:p>

<o:p> </o:p>

「そうですか、ありがとうございました。でっ?いかがでしたでしょうか」<o:p></o:p>

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「結論から言うと、まだ模索中で、とにかくどこか影響力のあるモニター的なところと話をしたいというような段階です」<o:p></o:p>

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「それで、先生は、うちを推薦してくれたのですね」<o:p></o:p>

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「いえいえ、私は、自分のクライアントや顧問先がどのようなところであるのかは、基本的には明かさない主義です」<o:p></o:p>

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「そう言えば、先生から以前にそのようにお聞きしていました。『経営コンサルタントというのは、企業の恥部まで見ているので、具体的な事例を紹介する時に、それがどこの会社かわかってしまいかねない。だから固有名詞は極力表には出さない』ということでしたね」<o:p></o:p>

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「おや、よく覚えてくれていますね」<o:p></o:p>

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< 次回に続く お楽しみに ><o:p></o:p>

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■■ 脚注<o:p></o:p>

 本書は、現代情景と階層部分を並行して話が展開する新しい試みをしています。読みづらい部分もあろうかと思いますので、現代情景部分については【現代】と、また過去の回想シーンについては【回想】と表記します。回想シーンも、回想1は1970年代前半にはじめて幸が竹根に会ったときと、回想2は、その十数年後、二度目にあったときの二つの時間帯があります。<o:p></o:p>

■■ これまでのあらすじ PC←クリック<o:p></o:p>

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■■竹根の地獄耳 【連載小説】経営コンサルタント竹根好助の「先見思考経営」 No.131

2011-11-09 11:32:01 | 小説・先見思考

■■竹根の地獄耳 【連載小説】経営コンサルタント竹根好助の「先見思考経営」 No.131<o:p></o:p>

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 昼は休みに読むブログ連載小説です。経営コンサルタントとどのようにつきあうと経営者・管理職として、プロ士業として一歩上を目指せるのか、小説を通じて体感してください。<o:p></o:p>

【本書の読み方】 脚注参照<o:p></o:p>

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■12 第二創業期始まる 7 通算131回 竹根の地獄耳 <o:p></o:p>

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 印刷会社ラッキーの取締役会の場である。荒れた取締役会であるが、五カ年計画の第二議案まで何とか可決されるところまできた。<o:p></o:p>

 幸は、荒れた役員会の思い出から、我に返ると、そこはまだ靖国神社の茶室であった。三代目になるであろう育猛が何故ブログの話をしだしたのか気になって仕方のない幸である。<o:p></o:p>

 そのうちに幸は竹根と再会した1980年代に再び引き戻された。竹根がプリダ印刷機の販売の件で、古巣である福田商事を訪れた。<o:p></o:p>

 会社に戻った幸であるが、何となく気分がすっきりしない中でからかい半分で愛子を相手に、竹根とのデートをそれとなく洗脳し始めた。<o:p></o:p>

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【回想2 1980年代】 <o:p></o:p>

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 幸の机上にある内線電話が鳴った。<o:p></o:p>

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 竹根からである。<o:p></o:p>

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 急な話だが、今日これから来てもよいかという内容であった。<o:p></o:p>

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 小一時間して、竹根がやってきて、いつものように社長室に愛子が案内をしてきた。<o:p></o:p>

<o:p> </o:p>

「先生、ちょっと席を外しますが、愛子さんと話でもして、時間をつぶしていてください」<o:p></o:p>

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 幸と入れ替わりに愛子がお茶を運んできた。すれ違った時に、「ディナーの件、先生のご都合を聞いておいたら」と耳打ちをした。愛子は、顔を赤らめながら竹根にお茶を出した。手が震えていた。<o:p></o:p>

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 観察眼に優れている竹根は、今日の愛子がいつもと違うことを敏感に感じ取ったが、それが何かは竹根にはわからない。<o:p></o:p>

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 幸は、特別に部屋を開ける用事があったわけではないが、二人が時間を取れるように気を利かせた。気を利かせたというよりは、下心の計略である。<o:p></o:p>

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 しばらくしてから何食わぬ顔で社長室に戻り、いつも通り、応接セットに身を沈めた。<o:p></o:p>

<o:p> </o:p>

「先生は、先日福田商事に行ってきたそうですね」<o:p></o:p>

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「おやまた、どうしてご存じなのですか?」<o:p></o:p>

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「地獄耳ですよ」<o:p></o:p>

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「閻魔様に舌を抜かれましたか?」<o:p></o:p>

<o:p> </o:p>

「幸い、まだ舌は付いています。実は、軽印刷組合のセミナーに義理で行ってきたのですが、その席で角菊さんに会いましてね。相変わらず嫌味な人ですね」<o:p></o:p>

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< 次回に続く お楽しみに ><o:p></o:p>

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■■ 脚注<o:p></o:p>

 本書は、現代情景と階層部分を並行して話が展開する新しい試みをしています。読みづらい部分もあろうかと思いますので、現代情景部分については【現代】と、また過去の回想シーンについては【回想】と表記します。回想シーンも、回想1は1970年代前半にはじめて幸が竹根に会ったときと、回想2は、その十数年後、二度目にあったときの二つの時間帯があります。<o:p></o:p>

■■ これまでのあらすじ PC←クリック<o:p></o:p>

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■■気晴らし 【連載小説】経営コンサルタント竹根好助の「先見思考経営」 No.130

2011-11-08 12:07:40 | 小説・先見思考

■■気晴らし 【連載小説】経営コンサルタント竹根好助の「先見思考経営」 No.130<o:p></o:p>

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 昼は休みに読むブログ連載小説です。経営コンサルタントとどのようにつきあうと経営者・管理職として、プロ士業として一歩上を目指せるのか、小説を通じて体感してください。<o:p></o:p>

【本書の読み方】 脚注参照<o:p></o:p>

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■12 第二創業期始まる 6 通算130回 気晴らし <o:p></o:p>

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 印刷会社ラッキーの取締役会の場である。荒れた取締役会であるが、五カ年計画の第二議案まで何とか可決されるところまできた。<o:p></o:p>

 幸は、荒れた役員会の思い出から、我に返ると、そこはまだ靖国神社の茶室であった。三代目になるであろう育猛が何故ブログの話をしだしたのか気になって仕方のない幸である。<o:p></o:p>

 そのうちに幸は竹根と再会した1980年代に再び引き戻された。幸がプリダ印刷機の販売の件で、竹根の古巣である福田商事を訪れた。そこで偶然竹根の元上司である角菊にあった。<o:p></o:p>

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【回想2 1980年代】 <o:p></o:p>

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 何となくすっきりしない気持ちで、帰社した。愛子がすぐにコーヒーを入れてくれた。<o:p></o:p>

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――愛子さんを相手に気晴らしでもするか――<o:p></o:p>

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「愛子さんは、先日竹根先生からお土産をもらって、お礼でもしたの?」<o:p></o:p>

「いいえ、いただいたままですが、何かお礼をした方がよろしかったでしょうか。先生は、湯飲み茶碗のお礼だからって言ってらしたので、そのまま何もしてないのです」<o:p></o:p>

<o:p> </o:p>

「そうね、やっぱり、した方がいいのじゃないかね」<o:p></o:p>

<o:p> </o:p>

 幸の気晴らしにはもってこいの話題である。<o:p></o:p>

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「食事にでも誘ってみたら?」<o:p></o:p>

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「そうですね。そうしようかしら」<o:p></o:p>

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「それがいいよ」<o:p></o:p>

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「でも、竹根先生のような方ですと、口が肥えているのでしょうね。どのようなところにお誘いしたら失礼にならないのかしら」<o:p></o:p>

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「そんなこと、心配はいらないよ。いいところを知っているから・・・きっと先生も気に入るよ。もちろん、愛子さんもだけどね」<o:p></o:p>

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「そうですか、その時にはそのようにお願いできますか?でも、まず、竹根先生のご都合をお伺いしてからにしますわ」<o:p></o:p>

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――これはおもしろくなりそうだ。うまく二人の間が狭まればおもしろいな――<o:p></o:p>

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 幸は、そのような下心で日頃の憂さを晴らそうとしている。<o:p></o:p>

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 そのような悪だ組の空想を破るかのように内線電話が鳴った。竹根からである。<o:p></o:p>

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 急な話だが、今日これから来てもよいかという内容であった。<o:p></o:p>

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 とりわけスケジュールもないことだし、愛子さんとの会話の件もあることから下心丸出しで、早速来てもらうことにした。<o:p></o:p>

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< 次回に続く お楽しみに ><o:p></o:p>

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■■ 脚注<o:p></o:p>

 本書は、現代情景と階層部分を並行して話が展開する新しい試みをしています。読みづらい部分もあろうかと思いますので、現代情景部分については【現代】と、また過去の回想シーンについては【回想】と表記します。回想シーンも、回想1は1970年代前半にはじめて幸が竹根に会ったときと、回想2は、その十数年後、二度目にあったときの二つの時間帯があります。<o:p></o:p>

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■■自慢話【連載小説】経営コンサルタント竹根好助の「先見思考経営」 No.129

2011-11-07 11:57:16 | 小説・先見思考

■■自慢話【連載小説】経営コンサルタント竹根好助の「先見思考経営」 No.129

 昼は休みに読むブログ連載小説です。経営コンサルタントとどのようにつきあうと経営者・管理職として、プロ士業として一歩上を目指せるのか、小説を通じて体感してください。

【本書の読み方】 脚注参照

■12 第二創業期始まる 5 通算129回 自慢話

 印刷会社ラッキーの取締役会の場である。荒れた取締役会であるが、五カ年計画の第二議案まで何とか可決されるところまできた。

 幸は、荒れた役員会の思い出から、我に返ると、そこはまだ靖国神社の茶室であった。三代目になるであろう育猛が何故ブログの話をしだしたのか気になって仕方のない幸である。

 そのうちに幸は竹根と再会した1980年代に再び引き戻された。幸がプリダ印刷機の販売の件で、竹根の古巣である福田商事を訪れた。

【回想2 1980年代】 

「新聞で見たのですが、お宅で今度プリダの軽オフセットを輸入販売するのだそうですね」

「そうなのだ。俺の部署が輸入して、国内の印刷関連の部署で販売する。取説やサービスマニュアルなど、二千ページ近くの資料を翻訳しなければならない。忙しい時にやっていられないよ」

「ドイツ語ですか?」

「幸い、英語だけどね。さすが世界各地に販売網を持っているだけあるよな」

「どのような契機で輸入販売することになったのですか?」

「ああ、あれか。竹根のやつがドイツに出張した時につばをつけてきたやつを、この俺が契約に漕ぎ着けたのだ。苦労したよ、何せ相手は世界のプリダだからね。ちょっとやそっとでは総代理権なんかくれないよ。何度も足を運んだよ」

――竹根先生は、福田商事にプリダの件で折衝に行ってくれたようだ。それにしても、この嫌みな人にラッキーが竹根先生の取り計らいでプリダを取り扱う意向があるということを言う必要もなさそうだ。竹根先生も彼に訪問目的を言わなかったようだし――

 何となくすっきりしない気持ちで、帰社した。愛子がすぐにコーヒーを入れてくれた。

< 次回に続く お楽しみに >

■■ 脚注

 本書は、現代情景と階層部分を並行して話が展開する新しい試みをしています。読みづらい部分もあろうかと思いますので、現代情景部分については【現代】と、また過去の回想シーンについては【回想】と表記します。回想シーンも、回想1は1970年代前半にはじめて幸が竹根に会ったときと、回想2は、その十数年後、二度目にあったときの二つの時間帯があります。

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■■思いもよらぬ人との再会【連載小説】経営コンサルタント竹根好助の「先見思考経営」 No.128

2011-11-04 12:01:17 | 小説・先見思考

■■思いもよらぬ人との再会【連載小説】経営コンサルタント竹根好助の「先見思考経営」 No.128

 昼は休みに読むブログ連載小説です。経営コンサルタントとどのようにつきあうと経営者・管理職として、プロ士業として一歩上を目指せるのか、小説を通じて体感してください。

【本書の読み方】 脚注参照

■12 第二創業期始まる 4 通算128回 思いもよらぬ人との再会

 印刷会社ラッキーの取締役会の場である。荒れた取締役会であるが、五カ年計画の第二議案まで何とか可決されるところまできた。

 幸は、荒れた役員会の思い出から、我に返ると、そこはまだ靖国神社の茶室であった。三代目になるであろう育猛が何故ブログの話をしだしたのか気になって仕方のない幸である。

 そのうちに幸は竹根と再会した1980年代に再び引き戻された。

【回想2 1980年代】 

 九月に入っても、一向に涼しくならない。

 幸は先月の役員会のことでデスクワークが多い。軽印刷組合の経営者向けのセミナーが開催されたが、それに行く気はなかった。

 しかし、同業の飲み仲間に強引に誘われ参加した。セミナーの内容は抽象的なことばかりで、たいして参考にならなかった。

 ところが、終わってからの名刺交換会の席で思いもよらぬ人に出会った。福田商事の海外事業部の角菊事業部長だ。

 二人で会場内のラウンジに移って話をした。

「昨日、経営コンサルタントの竹根君にあったよ」

 かつて竹根の上司であったこともあり、君付けである。

「そうですか、どちらで?」

「うちの会社に来たらしいが、久しぶりだといって、わざわざ俺のところに挨拶に来た」

「竹根先生らしく、律儀ですね」

「君らは、アメリカで結ばれたんだよな」

「結ばれたという表現は微妙ですが、私がまだ駆け出しの頃でした」

「あいつだって、若造だったが、俺がアメリカに出してやったんだ。それなのに、あいつときたら帰国後二年でおさらばだからな」

――どうやら、角菊さんは竹根先生をよく思っていないどころか恨みを持っているようだ。自分があたかも先生を育てたような口ぶりで、その人が辞めてしまったのだから、わからなくもないけど。それにしても、もう何年も前のことなのに、執念深いというか・・・どうもこの人みたいなインテリ風を吹かす人は好きになれないな――

< 次回に続く お楽しみに >

■■ 脚注

 本書は、現代情景と階層部分を並行して話が展開する新しい試みをしています。読みづらい部分もあろうかと思いますので、現代情景部分については【現代】と、また過去の回想シーンについては【回想】と表記します。回想シーンも、回想1は1970年代前半にはじめて幸が竹根に会ったときと、回想2は、その十数年後、二度目にあったときの二つの時間帯があります。

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■■竹根と愛子 【連載小説】経営コンサルタント竹根好助の「先見思考経営」 No.127

2011-11-03 12:20:55 | 小説・先見思考

■■竹根と愛子 【連載小説】経営コンサルタント竹根好助の「先見思考経営」 No.127<o:p></o:p>

<o:p>

</o:p>

 昼は休みに読むブログ連載小説です。経営コンサルタントとどのようにつきあうと経営者・管理職として、プロ士業として一歩上を目指せるのか、小説を通じて体感してください。<o:p></o:p>

【本書の読み方】 脚注参照<o:p></o:p>

<o:p>

</o:p>

■12 第二創業期始まる 3 通算127回 竹根と愛子 <o:p></o:p>

<o:p> </o:p>

 印刷会社ラッキーの取締役会の場である。荒れた取締役会であるが、五カ年計画の第二議案まで何とか可決されるところまできた。<o:p></o:p>

 幸は、荒れた役員会の思い出から、我に返ると、そこはまだ靖国神社の茶室であった。三代目になるであろう育猛が何故ブログの話をしだしたのか気になって仕方のない幸である。<o:p></o:p>

<o:p> </o:p>

【現代】 <o:p></o:p>

<o:p> </o:p>

 先ほど庭園に入ってくる前に通ってきた広場には、観光バスのガイドに伴われたグループが説明を受けている声が聞こえる。静かな庭園にもこのような時があることを発見した。<o:p></o:p>

<o:p> </o:p>

 幸は、水面に目を転じた。するとまた、社長になった当時の思い出の続きに戻った。<o:p></o:p>

<o:p> </o:p>

――プリントショップ・ビジネスでもっとも悩んだことの一つが、誰を担当させるかだったな。当時の刷増部長は、営業部長として忙しすぎたし・・・役員と一般社員との年齢差が大きすぎたからな・・・手を打たなければならないことは山積していたけど、若さがいろいろな問題を解決してくれたのだろう。でも、あのときに人事を間違えていたら、今日のラッキーはなかったかもしれない――<o:p></o:p>

<o:p> </o:p>

 先ほどのバスツアーの人たちがゾロゾロと動き始めた。<o:p></o:p>

<o:p> </o:p>

 なぜか、急に幸の思い出は、急展開した。<o:p></o:p>

<o:p> </o:p>

――あの頃、竹根先生と愛子さんの二人の間を取り持つ仕掛けをしたっけな。仕事のことであまりにもいろいろと考えることがあったので、気分転換の気持ちだったこと、二人の間の発展を期待する気持ち・・・今になると懐かしいな――<o:p></o:p>

<o:p> </o:p>

 竹根の声が遠くの方から聞こえ始めて、次第にそれが大きくなってきて幸の次々と続く思い出は中断された。<o:p></o:p>

<o:p> </o:p>

< 次回に続く お楽しみに ><o:p></o:p>

<o:p>

</o:p>

■■ 脚注<o:p></o:p>

 本書は、現代情景と階層部分を並行して話が展開する新しい試みをしています。読みづらい部分もあろうかと思いますので、現代情景部分については【現代】と、また過去の回想シーンについては【回想】と表記します。回想シーンも、回想1は1970年代前半にはじめて幸が竹根に会ったときと、回想2は、その十数年後、二度目にあったときの二つの時間帯があります。<o:p></o:p>

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■■薬籠中物 【連載小説】経営コンサルタント竹根好助の「先見思考経営」 No.126

2011-11-02 11:49:41 | 小説・先見思考

■■薬籠中物 【連載小説】経営コンサルタント竹根好助の「先見思考経営」 No.126<o:p></o:p>

<o:p>

</o:p>

 昼は休みに読むブログ連載小説です。経営コンサルタントとどのようにつきあうと経営者・管理職として、プロ士業として一歩上を目指せるのか、小説を通じて体感してください。<o:p></o:p>

【本書の読み方】 脚注参照<o:p></o:p>

<o:p>

 

</o:p>

■12 第二創業期始まる 2 通算126回 薬籠中物 <o:p></o:p>

<o:p>

 

</o:p>

 印刷会社ラッキーの取締役会の場である。<o:p></o:p>

 顧問を依頼した竹根との相談の上で策定した五カ年計画案の第一議案であるノンファブリック戦略が可決され、第二議案である活版とオフセット印刷の両建て戦略の審議に入った。<o:p></o:p>

 取締役の大松田がオフセット印刷機取り扱いの難しさとして、オフセット印刷機には不可欠な水の話になった。工場長の金山は、オフセット印刷への取り組みには慎重であった。<o:p></o:p>

 営業部長の刷増(すります)は、オフセット時代への突入が始まらんとしている今こそビジネスチャンスであると、大松田に賛意を示した。難問は山積しているが、時代の変化、技術動向を先読みした対応を図る方向に次第と取締役会の雰囲気が変化して来た。<o:p></o:p>

<o:p>

 

</o:p>

 幸は、荒れた役員会の思い出から、我に返ると、そこはまだ靖国神社の茶室であった。<o:p></o:p>

<o:p>

 

</o:p>

【現代】 <o:p></o:p>

<o:p>

 

</o:p>

「最近、午後四時台にブログを書くことがあります。『薬籠中物』という言葉がありますね。育さんなら説明をしなくてもその意味はわかると思います」<o:p></o:p>

<o:p>

 

</o:p>

「すなわち、孤独といわれる経営者が、手元に経営コンサルタントなどの外部ブレインを持つことは、企業業績が回復し、持続的に成長できるようになるということを先生は仰りたいのですね」<o:p></o:p>

<o:p>

 

</o:p>

「手前味噌ですが、まさにその通りです。『経営コンサルタントを使いこなせない社長は引退せよ』というテーマで、経営コンサルタントの効果的な選び方、使い方を紹介しています」<o:p></o:p>

<o:p>

 

</o:p>

「少々過激な題名付けですね。外部ブレインを使いこなせる強い経営者になるための情報提供ですね」<o:p></o:p>

<o:p>

 

</o:p>

「そのとおりです」<o:p></o:p>

<o:p>

 

</o:p>

「それは、一見すると経営者・管理職向けの情報ですが、裏を返すと経営コンサルタントのための情報ということですね」<o:p></o:p>

<o:p>

 

</o:p>

「さすが、育さん、読心術を心得てきましたね」<o:p></o:p>

<o:p>

 

</o:p>

「竹根先生のおかげです」<o:p></o:p>

<o:p>

 

</o:p>

 そう言いながら幸が頭を下げた。二人は危うく大きな声を出して笑うところであった。<o:p></o:p>

<o:p>

 

</o:p>

「その読み替えができる人が経営コンサルタントとして成功できる人かも知れませんね」<o:p></o:p>

<o:p>

 

</o:p>

 幸は、竹根の意図が理解できると、経営コンサルタントという先生達の奥行きを感じた。<o:p></o:p>

<o:p>

 

</o:p>

< 次回に続く お楽しみに ><o:p></o:p>

<o:p>

 

</o:p>

■■ 脚注<o:p></o:p>

 本書は、現代情景と階層部分を並行して話が展開する新しい試みをしています。読みづらい部分もあろうかと思いますので、現代情景部分については【現代】と、また過去の回想シーンについては【回想】と表記します。回想シーンも、回想1は1970年代前半にはじめて幸が竹根に会ったときと、回想2は、その十数年後、二度目にあったときの二つの時間帯があります。


<o:p></o:p>

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■■三代目 【連載小説】経営コンサルタント竹根好助の「先見思考経営」 No.125

2011-11-01 14:21:43 | 小説・先見思考

■■三代目 【連載小説】経営コンサルタント竹根好助の「先見思考経営」 No.125<o:p></o:p>

<o:p>

</o:p>

 昼は休みに読むブログ連載小説です。経営コンサルタントとどのようにつきあうと経営者・管理職として、プロ士業として一歩上を目指せるのか、小説を通じて体感してください。<o:p></o:p>

【本書の読み方】 脚注参照<o:p></o:p>

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</o:p>

■12 第二創業期始まる 1 通算125回 三代目 <o:p></o:p>

<o:p> </o:p>

 印刷会社ラッキーの取締役会の場である。<o:p></o:p>

 顧問を依頼した竹根との相談の上で策定した五カ年計画案の第一議案であるノンファブリック戦略が可決され、第二議案である活版とオフセット印刷の両建て戦略の審議に入った。<o:p></o:p>

 取締役の大松田がオフセット印刷機取り扱いの難しさとして、オフセット印刷機には不可欠な水の話になった。工場長の金山は、オフセット印刷への取り組みには慎重であった。<o:p></o:p>

 営業部長の刷増(すります)は、オフセット時代への突入が始まらんとしている今こそビジネスチャンスであると、大松田に賛意を示した。難問は山積しているが、時代の変化、技術動向を先読みした対応を図る方向に次第と取締役会の雰囲気が変化して来た。<o:p></o:p>

<o:p> </o:p>

 幸は、荒れた役員会の思い出から、我に返ると、そこはまだ靖国神社の茶室であった。<o:p></o:p>

<o:p> </o:p>

【現代】 <o:p></o:p>

<o:p> </o:p>

 靖国神社の洗心亭で開かれた茶会の席にいた竹根と幸は、神池庭園の池の見える側に席を移した。二人だけの会話がしやすくなった。<o:p></o:p>

<o:p> </o:p>

 竹根は、幸が先ほどから一人で思いにふけるときに、暗い顔をしているときがあることを見ていた。竹根と再会した当時を思い出しているのとは違う何かを考えているのではないかと気にかかっていた。<o:p></o:p>

<o:p> </o:p>

「育さん、今日は、二つの顔をしていますね」<o:p></o:p>

<o:p> </o:p>

 勘の働く幸であるが、竹根の突然の言葉の真意を測りかねている。<o:p></o:p>

<o:p> </o:p>

「時々暗い顔をしていることがあります」<o:p></o:p>

<o:p> </o:p>

 幸は、ようやく思い当たった。――自分が育猛のことを考えているときにはきっと暗い顔をしているのだろう――<o:p></o:p>

<o:p> </o:p>

「先生の読心術にはかないませんね。先生には隠し事ができないことがわかりました。実は、先程来から途切れ途切れに話している育猛がなぜ夕飯時にツイッターやブログのことを話したのかを考えていたのです」<o:p></o:p>

<o:p> </o:p>

 竹根は、幸がそのことを考えているだろうと推察したことが当たっていたことにホッとした。<o:p></o:p>

<o:p> </o:p>

「最近、午後四時台にブログを書くことがあります。『薬籠中物』という言葉がありますね。育さんなら説明をしなくてもその意味はわかると思います」<o:p></o:p>

<o:p> </o:p>

< 次回に続く お楽しみに ><o:p></o:p>

<o:p> </o:p>

■■ 脚注<o:p></o:p>

 本書は、現代情景と階層部分を並行して話が展開する新しい試みをしています。読みづらい部分もあろうかと思いますので、現代情景部分については【現代】と、また過去の回想シーンについては【回想】と表記します。回想シーンも、回想1は1970年代前半にはじめて幸が竹根に会ったときと、回想2は、その十数年後、二度目にあったときの二つの時間帯があります。<o:p></o:p>

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■■技術変化の先を読んだ結論【連載小説】経営コンサルタント竹根好助の「先見思考経営」 No.124

2011-10-31 13:12:43 | 小説・先見思考

■■技術変化の先を読んだ結論【連載小説】経営コンサルタント竹根好助の「先見思考経営」 No.124<o:p></o:p>

<o:p>

</o:p>

 昼は休みに読むブログ連載小説です。経営コンサルタントとどのようにつきあうと経営者・管理職として、プロ士業として一歩上を目指せるのか、小説を通じて体感してください。<o:p></o:p>

【本書の読み方】 脚注参照<o:p></o:p>

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</o:p>

■11 新しい企業作り 9 通算124回 技術変化の先を読んだ結論 <o:p></o:p>

<o:p> </o:p>

 顧問を依頼した竹根との相談の上で策定した五カ年計画案の第一議案であるノンファブリック戦略が可決され、第二議案である活版とオフセット印刷の両建て戦略の審議に入った。<o:p></o:p>

 取締役の大松田がオフセット印刷機取り扱いの難しさとして、オフセット印刷機には不可欠な水の話になった。工場長の金山は、オフセット印刷への取り組みには慎重であった。<o:p></o:p>

 営業部長の刷増(すります)は、オフセット時代への突入が始まらんとしている今こそビジネスチャンスであると、大松田に賛意を示した。難問は山積しているが、時代の変化、技術動向を先読みした対応を図る方向に次第と取締役会の雰囲気が変化して来た。<o:p></o:p>

<o:p> </o:p>

【回想2 1980年代】 <o:p></o:p>

<o:p> </o:p>

 経営コンサルタントになる前は、竹根は福田商事という中堅専門商社で貿易をタントし、アメリカに5年ほど現地ビジネス体験をしていた。<o:p></o:p>

<o:p> </o:p>

「竹根先生、福田商事のその辺のユーザー対応はいかがでしょうか」<o:p></o:p>

<o:p> </o:p>

「私も福田商事をやめて何年にもなるので、その辺のことは正確な情報としては持っていません。一方で、これから新規事業として本腰を入れて展開するつもりのようです。先日、印刷事業部長にある席であった時に、どこか信頼できるところとタイアップをして、モデルユーザーをいくつか育てることを提案したんです。結構乗り気でしたよ。そのときには、ラッキーをタイアップ先として念頭において話をしたところです。ただし、ラッキーではまだ方針が決まっていないので先方にはこちらの話は一切していません」<o:p></o:p>

<o:p> </o:p>

「今、竹根先生からご説明があったように、福田商事はまだ未知数だが、逆に先方も必死でこの市場に食い込もうとするだろう。それだけに、こちらの要望に耳を傾けてくれる可能性は高いのではないだろうか。金山工場長の言うように、リスクが高いことは否定できず、福田商事の戦略に乗ることと、そのリスクとを天秤にかけて決めなければならない」<o:p></o:p>

<o:p> </o:p>

 第二議案についての意見交換も侃侃諤諤であった。金山は依然として慎重な意見であり、あいかわらず茂手木は金山べったりで主体性が見られない。賛成派との調整案が出された。<o:p></o:p>

<o:p> </o:p>

「では、そろそろ採決に入りたいと思います。『プリントシップ・ビジネスについては、まず福田商事の姿勢を竹根先生に探ってもらい、探るというと表現は不適切ですが、福田商事の意向次第では福田商事と手を組み、先方が弊社のような零細で、オフセットに実績のないところとは手を組めないというのであれば他社のオフセット機を入れることも含めて検討する』ということに賛成の方は挙手をお願いします」<o:p></o:p>

<o:p> </o:p>

 大松田と刷増が手を挙げた。金山と茂手木は調整案についても賛成しなかった。<o:p></o:p>

<o:p> </o:p>

「二対二ですので、議長の私の一票で決めさせてもらいます。私は、この案に賛成です。ただし、福田商事次第では、福田商事と連係してやることについてはビジネスライクに判断するつもりです。工場長、茂手木取締役、よろしいですか」<o:p></o:p>

<o:p> </o:p>

「社長がそこまで言ってくれるのであれば結構です」<o:p></o:p>

<o:p> </o:p>

 第二議案までが採決され、他に緊急動議があるかどうかが議長から問われたが、特別に追加議案もなく、本件とは関係のないことでの情報交換をしてから解散となった。<o:p></o:p>

<o:p> </o:p>

< 次回に続く お楽しみに ><o:p></o:p>

<o:p> </o:p>

■■ 脚注<o:p></o:p>

 本書は、現代情景と階層部分を並行して話が展開する新しい試みをしています。読みづらい部分もあろうかと思いますので、現代情景部分については【現代】と、また過去の回想シーンについては【回想】と表記します。回想シーンも、回想1は1970年代前半にはじめて幸が竹根に会ったときと、回想2は、その十数年後、二度目にあったときの二つの時間帯があります。<o:p></o:p>

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■■マーケティング的発想【連載小説】経営コンサルタント竹根好助の「先見思考経営」 No.123

2011-10-28 11:46:51 | 小説・先見思考

■■マーケティング的発想【連載小説】経営コンサルタント竹根好助の「先見思考経営」 No.123

 昼は休みに読むブログ連載小説です。経営コンサルタントとどのようにつきあうと経営者・管理職として、プロ士業として一歩上を目指せるのか、小説を通じて体感してください。

【本書の読み方】 脚注参照

■11 新しい企業作り 8 通算123回 マーケティング的発想

 顧問を依頼した竹根との相談の上で策定した五カ年計画案の第一議案であるノンファブリック戦略が可決され、第二議案である活版とオフセット印刷の両建て戦略の審議に入った。

 取締役の大松田がオフセット印刷機取り扱いの難しさとして、オフセット印刷機には不可欠な水の話になった。工場長の金山は、オフセット印刷への取り組みには慎重であった。

 営業部長の刷増(すります)は、オフセット時代への突入が始まらんとしている今こそビジネスチャンスであると、大松田に賛意を示した。しかし、アメリカと日本の市場の違いからオフセットビジネスとしてのプリントショップ展開はリスクが潜んでいる。

 欧米では、タイプライターの普及があるのでプリントショップというビジネスモデルが成り立っている。しかるに、日本では和文タイプライターは限られた均か操作ができない。

【回想2 1980年代】 

「部長の前提は、アメリカのようにタイプやこれから普及されるであろう汎用ワープロやパソコンソフトがあることが前提だよね。その前提を取り払ってごらんよ。それをゼロベース思考と言うんだ。これは竹根先生の受け売りだけどね」

 そういいながら幸は、竹根の方を見た。竹根は笑顔を返すだけである。

「版下をうちで作ってやればいいじゃないか。会社には、立派な活字印刷をしなくてもいい印刷物がたくさんあるはずだ。例えば社内通達などは、上質紙で充分なのに今はコート紙を使ったりしている。コスト意識をお客が持つようになれば、当然その辺のことを考えてくる。これから需要を掘り起こすのが、部長、あんたの役割ではないか」

――需要の掘り起こしか。まさにマーケティングができる営業部長にピッタリの仕事だ――

「社長、よくわかりました」

「今話したように、待ちの営業から攻めの営業に体質を強化しないとうまくいかないだろうね。それに、見込み客にこの仕事が見えるようにしないとうまくいかないだろう。それには、多店舗展開をして、お店に印刷機を置き、それが外から見えるようにするんだ。仕事場が、即ショールームになり、顧客に新しい業態をアッピールしていくことになる。その結果、プリントショップという便利な施設の存在を知り、利用法をお客が発掘してくれ、ますます需要が広がるというものだ」

 経営コンサルタントになる前は、竹根は福田商事という中堅専門商社で貿易をタントし、アメリカに5年ほど現地ビジネス体験をしていた。

「竹根先生、福田商事のその辺のユーザー対応はいかがでしょうか」

< 次回に続く お楽しみに >

■■ 脚注

 本書は、現代情景と階層部分を並行して話が展開する新しい試みをしています。読みづらい部分もあろうかと思いますので、現代情景部分については【現代】と、また過去の回想シーンについては【回想】と表記します。回想シーンも、回想1は1970年代前半にはじめて幸が竹根に会ったときと、回想2は、その十数年後、二度目にあったときの二つの時間帯があります。

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■■マーケティング的発想 【連載小説】経営コンサルタント竹根好助の「先見思考経営」 No.123

2011-10-28 11:32:57 | 小説・先見思考

■■マーケティング的発想【連載小説】経営コンサルタント竹根好助の「先見思考経営」 No.123

 昼は休みに読むブログ連載小説です。経営コンサルタントとどのようにつきあうと経営者・管理職として、プロ士業として一歩上を目指せるのか、小説を通じて体感してください。

【本書の読み方】 脚注参照

■11 新しい企業作り 8 通算123回 マーケティング的発想

 顧問を依頼した竹根との相談の上で策定した五カ年計画案の第一議案であるノンファブリック戦略が可決され、第二議案である活版とオフセット印刷の両建て戦略の審議に入った。

 取締役の大松田がオフセット印刷機取り扱いの難しさとして、オフセット印刷機には不可欠な水の話になった。工場長の金山は、オフセット印刷への取り組みには慎重であった。

 営業部長の刷増(すります)は、オフセット時代への突入が始まらんとしている今こそビジネスチャンスであると、大松田に賛意を示した。しかし、アメリカと日本の市場の違いからオフセットビジネスとしてのプリントショップ展開はリスクが潜んでいる。

 欧米では、タイプライターの普及があるのでプリントショップというビジネスモデルが成り立っている。しかるに、日本では和文タイプライターは限られた均か操作ができない。

【回想2 1980年代】 

「部長の前提は、アメリカのようにタイプやこれから普及されるであろう汎用ワープロやパソコンソフトがあることが前提だよね。その前提を取り払ってごらんよ。それをゼロベース思考と言うんだ。これは竹根先生の受け売りだけどね」

 そういいながら幸は、竹根の方を見た。竹根は笑顔を返すだけである。

「版下をうちで作ってやればいいじゃないか。会社には、立派な活字印刷をしなくてもいい印刷物がたくさんあるはずだ。例えば社内通達などは、上質紙で充分なのに今はコート紙を使ったりしている。コスト意識をお客が持つようになれば、当然その辺のことを考えてくる。これから需要を掘り起こすのが、部長、あんたの役割ではないか」

――需要の掘り起こしか。まさにマーケティングができる営業部長にピッタリの仕事だ――

「社長、よくわかりました」

「今話したように、待ちの営業から攻めの営業に体質を強化しないとうまくいかないだろうね。それに、見込み客にこの仕事が見えるようにしないとうまくいかないだろう。それには、多店舗展開をして、お店に印刷機を置き、それが外から見えるようにするんだ。仕事場が、即ショールームになり、顧客に新しい業態をアッピールしていくことになる。その結果、プリントショップという便利な施設の存在を知り、利用法をお客が発掘してくれ、ますます需要が広がるというものだ」

 経営コンサルタントになる前は、竹根は福田商事という中堅専門商社で貿易をタントし、アメリカに5年ほど現地ビジネス体験をしていた。

「竹根先生、福田商事のその辺のユーザー対応はいかがでしょうか」

< 次回に続く お楽しみに >

■■ 脚注

 本書は、現代情景と階層部分を並行して話が展開する新しい試みをしています。読みづらい部分もあろうかと思いますので、現代情景部分については【現代】と、また過去の回想シーンについては【回想】と表記します。回想シーンも、回想1は1970年代前半にはじめて幸が竹根に会ったときと、回想2は、その十数年後、二度目にあったときの二つの時間帯があります。

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■■高価なワープロがネック 【連載小説】経営コンサルタント竹根好助の「先見思考経営」 No.12

2011-10-27 11:57:12 | 小説・先見思考

■■高価なワープロがネック 【連載小説】経営コンサルタント竹根好助の「先見思考経営」 No.122<o:p></o:p>

<o:p>

</o:p>

 昼は休みに読むブログ連載小説です。経営コンサルタントとどのようにつきあうと経営者・管理職として、プロ士業として一歩上を目指せるのか、小説を通じて体感してください。<o:p></o:p>

【本書の読み方】 脚注参照<o:p></o:p>

<o:p>

</o:p>

■11 新しい企業作り 7 通算122回 高価なワープロがネック <o:p></o:p>

<o:p> </o:p>

 第11話「新しい企業作り」は、現代に戻り、東京の靖国神社境内である。経営コンサルタントの竹根に誘われて、印刷会社ラッキーの幸社長が肩を並べて散策をしている。<o:p></o:p>

 散策をしながら、幸は竹根のブログへの取り組み姿勢について質問をし、自社にも参考になると考えた。<o:p></o:p>

 竹根に誘われて幸は、洗心亭という靖国神社境内にある茶室に入った。茶道の経験のない幸は、竹根の言葉で観念をしてその席に着いた。落ち着いた雰囲気の中で、幸は再び1980年代に戻り、沈思黙考が始まった。<o:p></o:p>

 顧問を依頼した竹根との相談の上で策定した五カ年計画案の第一議案であるノンファブリック戦略が可決され、第二議案である活版とオフセット印刷の両建て戦略の審議に入った。<o:p></o:p>

 取締役の大松田がオフセット印刷機取り扱いの難しさとして、オフセット印刷機には不可欠な水の話になった。工場長の金山は、オフセット印刷への取り組みには慎重であった。<o:p></o:p>

 営業部長の刷増(すります)は、オフセット時代への突入が始まらんとしている今こそビジネスチャンスであると、大松田に賛意を示した。しかし、アメリカと日本の市場の違いからオフセットビジネスとしてのプリントショップ展開はリスクが潜んでいる。<o:p></o:p>

<o:p>

</o:p>

【回想2 1980年代】 <o:p></o:p>

<o:p> </o:p>

「だけどワープロは百五十万も二百万もするので、一般企業で一社に一台というわけにはいかないのではないですか?」<o:p></o:p>

<o:p> </o:p>

「ワープロはこれから今の価格の五十分の一くらいになると予測されている」<o:p></o:p>

<o:p> </o:p>

「ということは、三万円と言うことですか?いくら何でも、それは無理ではないだろうか」<o:p></o:p>

<o:p> </o:p>

「一、二年後というわけにはいかないけど、そういう時代がやってくるし、パソコンが普及すればソフトを買うだけで、パソコンがワープロにも早変わりするらしい」<o:p></o:p>

<o:p> </o:p>

「しかし、その時代が来るまではお客をつかむことができないということになりますね」<o:p></o:p>

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「そこは、営業戦略の問題ではないか?営業部長、あんたの担当だよ」<o:p></o:p>

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 それまで明るい将来を期待していた刷増の希望が急にしぼんでしまったような顔になった。<o:p></o:p>

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「部長の前提は、アメリカのようにタイプやこれから普及されるであろう汎用ワープロやパソコンソフトがあることが前提だよね。その前提を取り払ってごらんよ。それをゼロベース思考と言うんだ。これは竹根先生の受け売りだけどね」<o:p></o:p>

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 そういいながら幸は、竹根の方を見た。竹根は笑顔を返すだけである。<o:p></o:p>

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< 次回に続く お楽しみに ><o:p></o:p>

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■■ 脚注<o:p></o:p>

 本書は、現代情景と階層部分を並行して話が展開する新しい試みをしています。読みづらい部分もあろうかと思いますので、現代情景部分については【現代】と、また過去の回想シーンについては【回想】と表記します。回想シーンも、回想1は1970年代前半にはじめて幸が竹根に会ったときと、回想2は、その十数年後、二度目にあったときの二つの時間帯があります。<o:p></o:p>

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■■高価なワープロがネック 【連載小説】経営コンサルタント竹根好助の「先見思考経営」 No.122

2011-10-26 13:00:09 | 小説・先見思考

■■高価なワープロがネック 【連載小説】経営コンサルタント竹根好助の「先見思考経営」 No.122

 昼は休みに読むブログ連載小説です。経営コンサルタントとどのようにつきあうと経営者・管理職として、プロ士業として一歩上を目指せるのか、小説を通じて体感してください。

【本書の読み方】 脚注参照

■11 新しい企業作り 7 通算122回 高価なワープロがネック

 第11話「新しい企業作り」は、現代に戻り、東京の靖国神社境内である。経営コンサルタントの竹根に誘われて、印刷会社ラッキーの幸社長が肩を並べて散策をしている。

 散策をしながら、幸は竹根のブログへの取り組み姿勢について質問をし、自社にも参考になると考えた。

 竹根に誘われて幸は、洗心亭という靖国神社境内にある茶室に入った。茶道の経験のない幸は、竹根の言葉で観念をしてその席に着いた。落ち着いた雰囲気の中で、幸は再び1980年代に戻り、沈思黙考が始まった。

 顧問を依頼した竹根との相談の上で策定した五カ年計画案の第一議案であるノンファブリック戦略が可決され、第二議案である活版とオフセット印刷の両建て戦略の審議に入った。

 取締役の大松田がオフセット印刷機取り扱いの難しさとして、オフセット印刷機には不可欠な水の話になった。工場長の金山は、オフセット印刷への取り組みには慎重であった。

 営業部長の刷増(すります)は、オフセット時代への突入が始まらんとしている今こそビジネスチャンスであると、大松田に賛意を示した。しかし、アメリカと日本の市場の違いからオフセットビジネスとしてのプリントショップ展開はリスクが潜んでいる。

【回想2 1980年代】 

「だけどワープロは百五十万も二百万もするので、一般企業で一社に一台というわけにはいかないのではないですか?」

「ワープロはこれから今の価格の五十分の一くらいになると予測されている」

「ということは、三万円と言うことですか?いくら何でも、それは無理ではないだろうか」

「一、二年後というわけにはいかないけど、そういう時代がやってくるし、パソコンが普及すればソフトを買うだけで、パソコンがワープロにも早変わりするらしい」

「しかし、その時代が来るまではお客をつかむことができないということになりますね」

「そこは、営業戦略の問題ではないか?営業部長、あんたの担当だよ」

 それまで明るい将来を期待していた刷増の希望が急にしぼんでしまったような顔になった。

「部長の前提は、アメリカのようにタイプやこれから普及されるであろう汎用ワープロやパソコンソフトがあることが前提だよね。その前提を取り払ってごらんよ。それをゼロベース思考と言うんだ。これは竹根先生の受け売りだけどね」

 そういいながら幸は、竹根の方を見た。竹根は笑顔を返すだけである。

< 次回に続く お楽しみに >

■■ 脚注

 本書は、現代情景と階層部分を並行して話が展開する新しい試みをしています。読みづらい部分もあろうかと思いますので、現代情景部分については【現代】と、また過去の回想シーンについては【回想】と表記します。回想シーンも、回想1は1970年代前半にはじめて幸が竹根に会ったときと、回想2は、その十数年後、二度目にあったときの二つの時間帯があります。

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