【経営四字熟語で目から鱗が落ちる】3-04 南船北馬 点から線へ仕事が繋がる 処々を忙しく旅する
日本の経営者・管理職は、非常によく勉強をしていますが、耳学問が進みすぎて、それらに振り回されすぎているように思えます。いろいろな経営理論を聞きかじり、そのメリットのみが強調されたお話を聞き、消化不良を起こしていることに気がついていません。そのために「知っているつもり」「やっているつもり」という”つもり”が積もっていて、自社にとって最適な方法が提案されても「陳腐な理論」「古い経営手法」というような位置づけでかたづけてしまっている企業が多いです。
四字熟語の中には、【心 de 経営】の精神に則る、経営者・管理職の心の糧になる発想が多数見つかります。前章の思考法を用いながら、それを企業経営に活かすことが、“戦略的”な経営に繋がります。企業経営で欠けている【心 de 経営】をいかに読み解いて、戦略経営を行うかを感じ取ってください。
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~ 処々を忙しく旅する ~
12月の和名は「師走」といいます。師走の語源は定かでないようですが、お坊さんが、忙しく走り回る、すなわち「師馳せる」から来ているという説が有力です。しかし、それがなぜ12月なのかとは結びつきません。
「南船北馬(なんせんほくば)」というのは、淮南子に出てきます。南に船で行ったかと思いますと、次は北へ馬で向かうことから、「あちらこちらを忙しく旅する」ことを言います。東奔西走と同じような意味と考えられます。
われわれ経営コンサルタントも、クライアント・顧問先のところへ赴かないと仕事にならないことが多く、日本全国を飛び回ります。面で活動できるほどクライアント・顧問先を持つことは困難ですので、点と点の活動にならざるを得ません。できれば点と線にしたいと考え、クライアント・顧問先とのスケジュール調整をしたりします。しかし双方のスケジュールを合わせることの大変さから考えますと、強引に点を線にするというようなやりかたも善し悪しです。
私が経営コンサルタントとして独立してまもなくの頃、クライアント・顧問先が、上諏訪と松本にありました。毎月第○△曜日という決め方をしていましたので、前日上諏訪で仕事をし、その日のうちに松本に移動し、翌日は松本で仕事をしてから帰宅をするということが続きました。
スケジュールが、順調に運んでいる間は、このやり方は、多少疲労度は高いものの時間効率が良く、少ない時間で、多くの仕事をこなすことに繋がりました。ところが、移動手段であります特急が故障や事故で遅延したり、クライアント・顧問先の都合で時間や日にちの変更があったりしますと、とたんにスケジュールが乱れてしまいます。
点と線の仕事ですので、観光をするゆとりもない日々でしたが、お陰さまで収入は安定し、自分でも驚くほどに毎月大きな金額がボンボンと入り、本当にこれでいいのだろうかと逆に心配にもなりました。取引銀行の支店長がわが家に挨拶に来る程でした。しかし、ボロ屋に住んでいるのにも関わらず、定期的に大きな入金があるこの男は本当に信用できるのだろうかという思いをさせたのではないでしょうか。
近年、経営コンサルタントとして独立起業される方も多いのですが、なかなか仕事にありつけず大変なようです。当時の私は運が良く、顧問先が顧問先を紹介してくださり、いつしか仲間とともに仕事をするようになりました。
その仲間の仕事の手伝いをすることも多く、ようやく南船北馬、東奔西走という意味が分かりました。経営コンサルタントは、専門性の高い仲間と仕事をしますと、高度なサービスをクライアント・顧問先に提供でき、それが信用に繋がります。
経営コンサルタントとして独立起業を考えている人、すでに独立起業しているがうまくいっていない先生方に、専門分野の異なる仲間との協業を考えてはどうかとい提案をするうようにしています。
一般企業でも、とりわけ中小企業では、一社だけでは経営資源が不足してしまいます。かといって、補完関係にある知り合いの会社との合併というのはなかなか難しそうです。かつて、異業種交流会というのが流行しましたが、その方式を再考してみれば活路が拓けるかもしれません。
大阪の中小企業が集まって「まいど1号」という人工衛星を打ち上げました。単一の企業ではできないことでも、それぞれの専門性を活かせば、中小企業でもこのように夢を実現できるのです。
これに刺激された東京都板橋区の中小企業数社が、小型な深海探査機を開発して話題になりました。深海探査というのは人工衛星と同様に莫大な費用がかかります。ところが小型な深海探査機であれば、小さな舟でも運べて、レジャーボートに載せて目的の場所に行ってこれを沈めれば目的を達せます。
ここで使われている技術そのものは、直接ビジネスに繋がらないかもしれませんが、技術の高さや社長達のアイディアの新規性が評価されビジネスに繋がる可能性がでてきます。夢を追いかけながら、ビジネスチャンス拡大に繋がるのであればやってみたいですね。
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