経営コンサルタントへの道

コンサルタントのためのコンサルタントが、半世紀にわたる経験に基づき、経営やコンサルティングに関し毎日複数のブログを発信

【小説風】竹根好助の経営コンサルタント起業1 人選 5 事業部長の推薦と社長の思惑

2023-09-22 12:03:00 | 【小説】竹根好助の経営コンサルタント起業

  【小説風】竹根好助の経営コンサルタント起業1 人選 5 事業部長の推薦と社長の思惑

 

■ 【小説風】 竹根好助の経営コンサルタント起業 

 私は、経営コンサルタント業で生涯現役を貫こうと思って、半世紀ほどになります。しかし、近年は心身ともに思う様にならなくなり、創業以来、右腕として私を支えてくれた竹根好助(たけねよしすけ)に、後継者として会社を任せて数年になります。
 竹根は、業務報告に毎日のように私を訪れてくれます。二人とも下戸ですので、酒を酌み交わしながらではありませんが、昔話に時間を忘れて陥ってしまいます。それを私の友人が、書き下ろしで小説風に文章にしてくれています。
 原稿ができた分を、原則として、毎週金曜日に皆様にお届けします。

【これまでお話】

 エピローグは、主人公である竹根好助(たけねよしすけ)の人柄を知る重要な部分でした。
 親によるある教えで、超一流ではないものの上場商社に入社した竹根の若かりし、1ドルが360円の時代でした。
 入社して、まだ1年半にも満たないときのことです。アメリカ駐在事務所を開設するという重大発表がありました。社内では、誰が派遣されるのか話題沸騰です。若輩の竹根は推理小説でも読むような気持ちで、誰が選ばれるか、興味津々で推理を働かせました。
 一方、竹根の信条のひとつに「サラリーマンとしての心得のひとつとして上司からの命令には逆らうなというビジネス書の教えをかたくなに守ってい」という頑固というか、意志堅固なところがあります。
 初めてのアメリカ人事に、まさか竹根に白羽の矢が立つことはないだろうとおもっていた竹根です。
 1ドルが360円の時代のことですので、人選は慎重になされるでしょう。無責任な下馬評と同類かもしれないが、竹根の視点で人選推理を推理小説でも書くように、人事の行方を推理するのでした。

【過去のタイトル】
 1.人選 1ドル360円時代 鶏口牛後 竹根の人事推理 下馬評の外れと竹根の推理

■■ 1 人選

 私の会社を引き継いでくれた竹根が、経営コンサルタントになる前の話をし始めました。思わず私は乗り出してしまうほどですので、小説風に自分を第三者の立場に置いた彼の話をご紹介します。

◆1-5 事業部長の推薦と社長の思惑

 竹根の妄想とは関係なく、一方では駐在員人事は進んでいる。
 角菊の人を見る目に疑問を持ち始めた福田社長は、「角菊事業部長の新規の三案についてはよくわかった。それで、あなたとしては誰を第一候補として今回は推薦するのかね」と、少々きつめの言葉を角菊に投げかけた。
 福田社長は、自分が抜擢したばかりの角菊をなんとしても一人前の事業部長にしようと必死である。
 「前回の三人のリストは、ベテラン順に記載しましたが、今回は推薦順位順に記載しました。前回、最若年として候補に挙げた佐藤君ですが、今回も彼を第一候補として推薦します」

 「佐藤君を推薦する理由は、前回も聞いたが、も一度説明してくれるかね」
 「佐藤君は、わが事業部の若手の中では稼ぎ頭であり、彼の英語力は抜群です。人間も如才なく、お客からの受けは結構よいのです。先日も、タイから来た・・・」
 「確か、彼の担当は東南アジア向けの輸出業務だよね。東南アジア向けは、うちは伝統的に強いし、すでに彼の先輩たちが築いてきた土台の上での彼の実績だよね」
 「彼の実力を見込んで、重要な東南アジアの輸出業務の任に当てています」
 「東南アジア市場全体のわが社の売上高の伸び率はどうかね?」
 「伸び率は把握していませんが、わが社の海外売上高の四十六%を占めています。その中の約半分は彼の売上ですから、わが社の輸出の約四分の一を彼一人で稼いでいることになります」
 「彼は、この一年で、何社くらいの新規顧客を開拓したかね?」
 「東南アジア市場は、代理店網がきちんとできているので、新規開拓は特にしていません」
 「そうか、わかった。ただ、今日は急な用件が入っているのでこの辺で終わりにしよう。次回は、明日の九時四十五分からにしたいが、予定はどうかね。それまでに、今回推薦している三人の年率の売上高伸長率と新規顧客開拓数を調べておいてくれたまえ」
 「スケジュールの件と、データの件は了解しました。明日の午前十時十五分まえですね。では、失礼します」
 ――今日は、結論を出したいので充分時間を取ってあると確か社長は言っていたのに、なんで急に仕事を入れてしまったのだろうか?――
 角菊には、社長の考えが不可解に思えた。

  <続く>

 

■ バックナンバー

  https://blog.goo.ne.jp/keieishi17/c/c39d85bcbaef8d346f607cef1ecfe950

 


この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 【小説風 傘寿】 老いぼれ... | トップ | ◆【経営コンサルタントの独り... »
最新の画像もっと見る

【小説】竹根好助の経営コンサルタント起業」カテゴリの最新記事