けい先生のつぼにくる話

はりきゅう漢方の先生が教えてくれる健康に関する話
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腰痛への対応

2007-08-25 03:11:56 | 東洋医学全般
前回は「小また」を使った腰痛へのアプローチについてお話しました。
今回は同じうつぶせて治療している状態ということで、もうひとつ重要な腰痛に効くツボというか部位のお話をしようと思います。

うつぶせに寝かせて、ちょうど膝の裏側、太ももとふくらはぎの間にある、まあるく膨らんでいる場所を「膝窩(しつか)」といいます。この真ん中あたりを鍼灸師は「委中(いちゅう)」と呼んでいます。

古典の書物に「腰背委中求 ヨウハイハイチュウニモトム」といって、腰や背中の病はこの委中をつかうとありますので、新人の治療家はここを躍起になって使うわけです。米人の鍼灸学校の学生などはここに太い鍼を刺して、びしびし電気を通したりしているようです。ところが全然効かないどころか悪くしてしまうことがあります。
伝統的な治療には電気や恐ろしい太い鍼などは、必要ありません。

それは生きたツボの取り方をしていないのと、刺激が強すぎるからです。
古典の医書の時代はいわゆる「春秋の筆法」ということでしょうか、読者の常識とそれまでに培ってきた教養を認めているからか、あるいは簡単にわからないようにするためか、あえてハッキリとした書き方をしていない書物が多いようです。

この委中の概念はひとつの点と考えずに、むしろ「膝窩(しつか)全体」くらいに引き伸ばして考えたほうが臨床的には効果が上がります。とくに膝窩のずっと内側寄りや、外側寄り、ふくらはぎの内側よりの筋が膝の関節にくっつくあたりに押すととても痛かったり気持ちのよいところがあります。そこが治療の場所になります。書物に合わせた正確な場所をとってから、自分の指でやさしく触って、活きている治療部位を探し出すのです。

この痛いところを探すとき、そして刺激をするときは決して強すぎてはいけません。指の先でぐいぐいとえぐったり、つかみこむのは逆効果です。悪くなります。
やさしく親指の拇印を押すように、指紋のところ全体で、ジワーッとやさしく探ります。或いは手のひらの手首の関節よりのところで(掌底)を使ってもよいでしょう。

痛いところ、キョロキョロとしたかたまりの様な物があるところを見つけたら、そこをジワーッとやさしく押してあげて、意識はその部分におきましょう。そして1-2分おしていると少しですがこの固さのようなものが、スッとゆるむ瞬間があります。そうしたら場所を変えて行います。

ここと前回の「小また」のツボを使うと腰痛が大変楽になります。
急性の腰痛、ぎっくり腰などは絶対に腰をもんではいけません。必ず悪化します。
また、慢性の腰痛もまずは患部から遠いこれらの場所をよく刺激してから腰をもんで上げるといっそうの効果があります。

さあやってみましょう!

日本伝統鍼灸漢方
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