ごっとさんのブログ

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ダイズ成分で再発乳ガン抑制

2018-11-04 10:06:55 | 健康・医療
熊本大学や財団法人がん研究会などの研究グループは、大豆から抽出・精製した物質「グリセオリン1」に、再発した乳ガン細胞の増殖を抑える効果があることを確認し発表しました。

これは新たな乳ガン治療薬開発につながる可能性があります。熊本大学発生医学研究所によると、乳ガンの6~7割は女性ホルモンのエストロゲンを細胞増殖に利用するタイプで、分泌を制御する薬で小さくできます。

しかしガン細胞がエストロゲン受容体の数を増やし吸収力を高めて耐性を持つようになり、1年程度で再発することが少なくないようです。これまでの研究で、再発した乳ガン細胞にエストロゲンを大量投与し、ガン細胞に過剰に吸収させることで、逆に増殖を抑えられることが分かっています。

研究グループは、今回エストトゲンに似た構造の物質を多く含む大豆に着目しました。大豆をすりつぶした抽出液を分子の大きさで分け、再発乳ガンのモデル細胞に加えると、低分子の画分で増殖が抑えられました。

この画分を詳しく調べた結果、グリセオリン1の働きであることを確認し、これはエストロゲンよりも抑制効果が高いことが分かりました。

もともと大豆にはエストロゲンと類似構造を持つレスベラトロールなどの化合物を多く含まれることが知られており、この中からグリセオリン1の効果を見出したものです。

しかしグリセオリン1の作用機序はエストロゲンとは異なり、エストロゲン受容体を介さずに細胞死(アポトーシス)を誘導する新規な機序で、新たな乳ガン治療薬の開発につながる可能性を示しました。

これはエレノアと呼ばれるRNA分子、およびエストロゲン受容体の遺伝子の働きを抑制しています。グリセオリン1は大豆の成分のうちフィトアレキシンと呼ばれる一群の化合物の一種で、古くからその効果を調べられています。

例えば疫病菌という微生物に対して菌糸の生育を阻害し、菌糸から電解質の漏出を起こしアミノ酸やヌクレオシドの取り込みを阻害するといった研究に使われています。実際に色々な研究用試薬として販売されていますので、その入手や生産は比較的簡単なようです。

今回の結果グリセオリン1は、エストロゲンと異なる形で再発乳ガン細胞に作用しているとみられ、異なるタイプの乳ガン細胞への効果も期待できるようです。

研究グループは「今後グリセオリン1が作用する仕組みを細かく解明したい」としています。大豆製品は納豆を先頭に、色々な機能性食品として研究されていますが、その成分を取り出して調べていけば、有用な作用が見つかる可能性が高い食品と言えます。

食べても全く問題ない食品ですので、好んで摂取すれば何かの病気の予防になりそうな気がします。