光で化学反応を促し、表面の汚れなどを分解できる日本発の技術である「光触媒」は、建物の外壁や自動車のドアミラー、マスクの抗菌など様々な応用が進んでいます。
最近は強力な酸化作用を利用して、意外な用途にも活用が広がっているようです。光触媒は、人工光合成ともよばれます。酸化チタンに太陽光などに含まれる紫外線をあてると、周囲の化学反応を促す作用が生じます。
光が当たった表面の多数の原子から電子が飛び出す一方、電子が抜けた穴「正孔」ができます。電子や正孔は、酸素や水と反応して活性酸素を生み出し、その強力な酸化作用で、付着している有機物が分解されるという仕組みです。
光触媒の強力な酸化作用は、汚れの分解だけでなく様々な用途に応用できるようで、東京理科大学の研究グループは、2014年に高純度な希少糖を作れることを見つけました。希少糖は自然界にはわずかしかなく、ガムに添加されているキシリトールや化学実験などに使うエリトロースなど約50種類が知られています。
光触媒で希少糖を大量生産できないかという産業化を目指す試みが長野県で始まっています。原料に用いるのは、キノコ栽培で大量に出る培地(菌床)で、東京理科大学発のベンチャー企業やキノコ生産会社などが事業を手掛けています。
長野県は、エノキタケ、ブナシメジなど多くのキノコで全国1位の生産地です。収穫した後に残る菌床は、県全体のブナシメジで年間7万5千トン、エノキタケで12万トンに達します。
菌床は、スギのおがくずやトウモロコシの芯を粒状にしたもので、主成分はブドウ糖がつながってできたセルロースです。酵素や酸でブドウ糖にしたのち、光触媒でさらに分解し希少糖のエリトロースなどに変換します。
東京理科大の研究グループは、1トンの菌床から約50キロの希少糖が作れると見込んでいます。現在食品業界に活用先の助言を求めていますが、スポーツドリンクや健康食品など希少糖の機能を生かした付加価値の高い食品となることを期待しています。
この光触媒の発見は半世紀前東京大学と東京理科大学などの共同研究で見つかりました。酸化チタンと白金を水につけて光を当てるだけで水が水素と酸素に分化されることを見出したのが発端です。
その後表面についた汚れや悪臭の原因となる有機物を二酸化炭素と水に分解する働きが見つかり、汚れの防止や殺菌、消臭する製品につながっています。さらに光を浴びた酸化チタンの表面では水が水滴とならずに薄く広がる超親水性という現象も見つかり、車のミラーの水滴防止に生かされています。
私もこういった良い性質を持つ酸化チタンには興味を持っていましたが、ブドウ糖の部分分解という化学反応では難しい分野への応用は面白いものと感じています。
最近は強力な酸化作用を利用して、意外な用途にも活用が広がっているようです。光触媒は、人工光合成ともよばれます。酸化チタンに太陽光などに含まれる紫外線をあてると、周囲の化学反応を促す作用が生じます。
光が当たった表面の多数の原子から電子が飛び出す一方、電子が抜けた穴「正孔」ができます。電子や正孔は、酸素や水と反応して活性酸素を生み出し、その強力な酸化作用で、付着している有機物が分解されるという仕組みです。
光触媒の強力な酸化作用は、汚れの分解だけでなく様々な用途に応用できるようで、東京理科大学の研究グループは、2014年に高純度な希少糖を作れることを見つけました。希少糖は自然界にはわずかしかなく、ガムに添加されているキシリトールや化学実験などに使うエリトロースなど約50種類が知られています。
光触媒で希少糖を大量生産できないかという産業化を目指す試みが長野県で始まっています。原料に用いるのは、キノコ栽培で大量に出る培地(菌床)で、東京理科大学発のベンチャー企業やキノコ生産会社などが事業を手掛けています。
長野県は、エノキタケ、ブナシメジなど多くのキノコで全国1位の生産地です。収穫した後に残る菌床は、県全体のブナシメジで年間7万5千トン、エノキタケで12万トンに達します。
菌床は、スギのおがくずやトウモロコシの芯を粒状にしたもので、主成分はブドウ糖がつながってできたセルロースです。酵素や酸でブドウ糖にしたのち、光触媒でさらに分解し希少糖のエリトロースなどに変換します。
東京理科大の研究グループは、1トンの菌床から約50キロの希少糖が作れると見込んでいます。現在食品業界に活用先の助言を求めていますが、スポーツドリンクや健康食品など希少糖の機能を生かした付加価値の高い食品となることを期待しています。
この光触媒の発見は半世紀前東京大学と東京理科大学などの共同研究で見つかりました。酸化チタンと白金を水につけて光を当てるだけで水が水素と酸素に分化されることを見出したのが発端です。
その後表面についた汚れや悪臭の原因となる有機物を二酸化炭素と水に分解する働きが見つかり、汚れの防止や殺菌、消臭する製品につながっています。さらに光を浴びた酸化チタンの表面では水が水滴とならずに薄く広がる超親水性という現象も見つかり、車のミラーの水滴防止に生かされています。
私もこういった良い性質を持つ酸化チタンには興味を持っていましたが、ブドウ糖の部分分解という化学反応では難しい分野への応用は面白いものと感じています。