ごっとさんのブログ

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ありふれた薬がアルツハイマーに効果?

2018-11-15 10:28:58 | 
広く市販されているぜんそく薬「ジロートン」がマウスの認知症治療の効果があると発表されました。

いまだに明らかになっていないアルツハイマー発症の仕組みが、これで解明に近づくかもしれないと期待されています。

ある病気を治すために作られた薬が、全く関係のない病気に効いたという例は珍しくありません。鎮痛剤として開発されたアスピリンは、のちに血栓や骨粗しょう症を予防する効果があることが判明しました。バイアグラも最初は狭心症の治療が目的でしたが、現在ではED治療薬の代名詞になっています。

今回ぜんそく薬のジロートンを使って、認知症にかかったマウスの治療に成功したという研究成果が発表されました。アルツハイマーをはじめとする認知症の発症メカニズムは、現在でも全容が解明されていません。

脳内にアミロイドβやタウタンパク質という物質が蓄積していることが解剖結果などから判明しています。現在ではこれらの物質のいずれか、もしくは両方が原因であるという説が有力です。

先行研究で、タウの蓄積によってアルツハイマーを発症している患者の脳では、ロイコトリエンの濃度が上昇することが報告されています。ロイコトリエンは、ぜんそくの原因物質でもあり、その働きを阻害するために作られたのがジロートンなどのぜんそく薬です。

そこで研究グループは、ジロートンを使ってロイコトリエンの働きを阻害した場合に、アルツハイマーの症状にどのような影響が出るか確かめました。実験では人間で60歳に相当するマウスで、16週間にわたってジロートンを投与した場合と、何も与えなかった場合を比較しました。

その結果ジロートン投与群では、有意に記憶力や認識能力が向上したと報告しています。さらに投薬した個体ではロイコトリエンの量が90%少なく、タウの蓄積も50%少なかったようです。

ジロートンを使った認知症治療の研究はこれが初めてではなく、2001年以後の論文が約2000件も出ています。こういった先行研究でも、ジロートンがマウスやラットの認知症を改善することは報告されていましたが、具体的な作用機序は明らかになっていませんでした。

今回の研究は、ロイコトリエン濃度とタウの蓄積の減少、さらに症状の改善をつないで実証した初のケースとなります。

また同様に、アルツハイマーをはじめとする認知症の治療に応用されているぜんそく薬に、モンテルカストという薬もあるようです。今後研究が進んでぜんそく薬の効果とタウ/アミロイド蓄積との関係が明らかになれば、ぜんそく薬を認知症の活用する動きが加速するかもしれません。

これはあくまで動物実験ですので、人間への治験など全く行われていませんが、今後の展開に期待できるのかもしれません。私の感触では「藁をつかんでいる」という気もしているのですが。