あらゆる生命のふるさとは海で、陸上で生活するようになった生物が、生き残るために作られるようになったホルモンが「アンジオテンシンⅡ」と「アルドステロン」で、ともに血圧を上昇させる作用を持っています。
海水は塩分が豊富ですが、陸上では食べ物がないと塩分不足になりやすく、重力がかかるので、塩分が足りないと血圧が維持できません。
血液中の塩分濃度が低下すると、腎臓が感知してレニンという酵素を出します。この酵素の働きによって、肝臓で分泌されているホルモンが血管収縮作用のあるアンジオテンシンⅡに変換され血圧が上がる仕組みができています。
アンジオテンシンⅡは脳にも作用して、塩分を取りたい気分にさせるという説もあります。さらに副腎皮質に働いてアルドステロンの分泌を促します。アルドステロンは腎臓からの塩の再吸収を高め、塩分を体にため込んで血圧を上げる作用があり、カリウムを体外に排出する働きもしています。
このように血圧上昇ホルモンは陸上の生物にとって欠かせないものですが、塩分の取りすぎは高血圧の大きな原因となります。
私は一時降圧剤に興味を持ち、こういった血圧上昇ホルモンをいろいろ調べましたが、どいう役割を持っているのかという点では、塩分濃度維持というのは出てきませんでした。
例えばアンジオテンシンⅡは、寒い風を受けたときに、血管を収縮させ身体からの放熱を防ぐといった作用があると聞いていました。いわゆる鳥肌が立つというのは、アンジオテンシンⅡの作用とされています。
高血圧の治療薬(降圧剤)で最初に使われることの多い「アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)」は、このアンジオテンシンⅡが受容体に結合することを妨げて、血管を拡張させ血圧を下げる薬です。
アンジオテンシンⅡの産生が過不足を起こす病気はありませんが、アルドステロンが過剰に分泌される病気があり、「原発性アルドステロン症」と呼ばれています。稀な病気と思われていましたが、診断技術の向上で最近では高血圧患者の5~10%がこの病気だと見られています。
典型的な症状は、高血圧と低カリウム血症ですが、低カリウム血症を伴わない場合もあるようです。この症状は、腎臓の濃縮障害による多飲、多尿で、重症になると突然手足の筋肉がマヒして動かなくなる周期性四肢麻痺が起きます。就寝中に起こることが多く、糖分の過剰摂取などで誘発されるようです。
このように生物が地上で生きるための工夫として進化したホルモンが、現在では高血圧の原因物質として受容体に結合させなかったり、合成そのものを止めたりして高血圧の治療をしているというのは面白い進化なのかもしれません。
海水は塩分が豊富ですが、陸上では食べ物がないと塩分不足になりやすく、重力がかかるので、塩分が足りないと血圧が維持できません。
血液中の塩分濃度が低下すると、腎臓が感知してレニンという酵素を出します。この酵素の働きによって、肝臓で分泌されているホルモンが血管収縮作用のあるアンジオテンシンⅡに変換され血圧が上がる仕組みができています。
アンジオテンシンⅡは脳にも作用して、塩分を取りたい気分にさせるという説もあります。さらに副腎皮質に働いてアルドステロンの分泌を促します。アルドステロンは腎臓からの塩の再吸収を高め、塩分を体にため込んで血圧を上げる作用があり、カリウムを体外に排出する働きもしています。
このように血圧上昇ホルモンは陸上の生物にとって欠かせないものですが、塩分の取りすぎは高血圧の大きな原因となります。
私は一時降圧剤に興味を持ち、こういった血圧上昇ホルモンをいろいろ調べましたが、どいう役割を持っているのかという点では、塩分濃度維持というのは出てきませんでした。
例えばアンジオテンシンⅡは、寒い風を受けたときに、血管を収縮させ身体からの放熱を防ぐといった作用があると聞いていました。いわゆる鳥肌が立つというのは、アンジオテンシンⅡの作用とされています。
高血圧の治療薬(降圧剤)で最初に使われることの多い「アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)」は、このアンジオテンシンⅡが受容体に結合することを妨げて、血管を拡張させ血圧を下げる薬です。
アンジオテンシンⅡの産生が過不足を起こす病気はありませんが、アルドステロンが過剰に分泌される病気があり、「原発性アルドステロン症」と呼ばれています。稀な病気と思われていましたが、診断技術の向上で最近では高血圧患者の5~10%がこの病気だと見られています。
典型的な症状は、高血圧と低カリウム血症ですが、低カリウム血症を伴わない場合もあるようです。この症状は、腎臓の濃縮障害による多飲、多尿で、重症になると突然手足の筋肉がマヒして動かなくなる周期性四肢麻痺が起きます。就寝中に起こることが多く、糖分の過剰摂取などで誘発されるようです。
このように生物が地上で生きるための工夫として進化したホルモンが、現在では高血圧の原因物質として受容体に結合させなかったり、合成そのものを止めたりして高血圧の治療をしているというのは面白い進化なのかもしれません。