ごっとさんのブログ

病気を治すのは薬ではなく自分自身
  
   薬と猫と時々時事

風邪の原因はウイルスではない?

2019-01-20 10:28:06 | 健康・医療
風邪を引いたら抗菌剤(抗生物質)が処方されていたのは、ずいぶん過去の話となりつつあります。現在は「風邪の原因はウイルスで、抗菌剤は効かない」が定説となっています。

厚生労働省が2017年に出した抗菌剤の使用指針「抗微生物薬適正使用の手引き」で、抗菌剤を使わないことを推奨したこともあり、風邪に抗菌剤が処方されることはほとんどなくなりました。

CHO東京メディカルセンターのグループが本当に風邪の原因はウイルスと言えるかと疑問を抱き、過去に発表された国内外の論文を調査しました。その結果は意外なものと言えるようです。

成人の感冒の原因をウイルスであると示す信頼度の高い研究は非常に少ないようです。気管支炎を含む風邪全体に話を広げても、ウイルスの検出頻度が高いとの報告はいくつかありますが、それらの研究では細菌についてはあまり調べられていません。

一方細菌が検出されるとの報告もあり、ウイルスと細菌をバランスよく研究することが必要ですが、そのような研究はほとんどありません。つまり成人においては、風邪の原因は実はあまりよく分かっていないというのが正しいようです。

特に高齢者では風邪が重大な病につながり、命取りになるケースもあります。風邪の原因が科学的にはっきり確定されていない現状から、このグループは風邪であっても必要と判断されたら抗菌剤を出すことがあるようです。

いくつかの例が挙げられていますが、60代の女性で風邪の後咳が2か月間続いていると訴えていました。これまで何らかの呼吸器疾患は指摘されていなかったため、他の医療機関では抗生物質が処方されませんでした。

この女性はCTで肺気腫と軽度の間質性肺炎が見つかり、これが風邪が長引いていた原因でした。これは当然抗菌剤の処方によって完治しました。

このあたりは私が30年以上前ですが、抗生物質関連の研究をしていたころ、研究仲間の間では風邪は複合感染であるということが常識となっていました。ヒトの体の中には多くの常在菌が住み着いており、通常は免疫によって抑えられているため何の症状も起こしません。

それがウイルスの侵入により風邪の症状が出ると、この機に乗じて常在菌が増殖を始めてしまうわけです。ウイルスは免疫システムが働けば、比較的短時間で排除できますが、この増殖してしまった常在菌はなかなか減らすことができません。

ですから熱が下がっても咳が長引いたり、のどの痛みがひかなかったりという症状が出ます。これはウイルスが原因というより常在菌などの細菌が原因となっている可能性が高いわけです。

これはあくまで私の意見ですが、現在はあまりに抗生物質の乱用を止めるということに熱心すぎるような気がします。風邪を引いたら暖かくして休み、熱がひいたら抗生物質を飲むというのが正しい風邪の対処法と考えています。